20180308 ピストンズ vs ラプターズ

ウエストが激しいプレーオフ争いをする中でイーストは順位争いだけになっています。その要因が勝てないピストンズ。気がついたらヒートよりもホーネッツの方が近いよ。

そんなピストンズが負けて自分達が勝つとプレーオフが決まるラプターズ。リーグ最強のセカンドユニットを擁して盤石のシーズンでホームコートアドバンテージはとりたいです。



◉最近のピストンズ

2勝9敗という急ブレーキのピストンズ。あまり試合は観てないですが、負け始めた当初はグリフィンが個人でやり過ぎでした。戦術グリフィンとリバースを酷評していましたが、グリフィンが悪かったというようなトレード後のクリッパーズです。

 

そんなリバースと仲が良いらしいバンガンディーはシステマチックなチームにしたから評価していたのに戦術グリフィンとはなんなのか?

あのトレードそのものは評価しています。グリフィンクラスをドラフトで指名することは出来ないし、育ってきた若手と契約が切れるベテランも含めて良いトレードでした。
しかしグリフィン加入から15試合。未だにその意味が見出せない試合内容ならばトレードは大失敗です。そもそも得点力ならばトバイアス・ハリスで良かったわけだし。

 

これだけ動いてプレーオフ出れないなんて許されないバンガンディー。負けられない戦いがそこにはある。



◉最近のラプターズ

 

12勝1敗と絶好調。デローザンは先週のMVPだそうで。セカンドユニットの事もアップしたし、特に言うことはないです。

あぁOGアヌノビーがケガで離脱しているとか。それは残念。あのディフェンスはルーキー離れしています。でもここでもシモンズいるからな。万能すぎるシモンズ。

なんでもスターターにマルコム・ミラーを使っていたとか。知らない。でもそもそも1Qにファールトラブルがあるとセカンドユニットではなくて、パウエルやノゲイラ使います。
それだけセカンドユニットは固定ローテーションにしたいし、そこにサードユニットを混ぜたくないのね。

 

パウエルが頑張らなければいけないのに、ミラーにまで譲るなんて!そんなパウエルがこの試合ではスタートです。

トロントとデトロイトは近いからかラプターズコールする応援団がいます。勝っている内にホームの客席を埋めなきゃダメだって言ったじゃないか!



 

 

◉ドラモンド、グリフィン、モアランド

ラプターズの嫌いな部分にイバカが3Pを打ちすぎる点があります。まぁ35%決めるので確率的には悪くないのですがアテンプトが多い。しかし、ここが打つことはデローザンのドライブを有効にするためには必要なのも事実です。

最近の特徴としてバランチューナスまでもがよく打つようになりました。これがよく決まります。

 

◯2月以降のバランチューナスの3P
0.9/2.0 46.7%

この試合でも1Qに2本打って1本を決めました。共にデローザンのドライブに対しヘルプが寄った所でアウトサイドに開いています。

 

流れの中での必要性があり、それが確率良く決まる前提での3Pを打っています。イバカは決まらないものの、バランチューナスが3Pに加えてポストアップも決めて、8点を奪います。

パウエルも外から決めた事で1Qのラプターズは27点を奪います。



ピストンズはこれに悩まされます。それは3P自体もそうですが、ドラモンドが外に引き出されてしまいます。そんな時にリバウンドに参加してこないグリフィン。

イバカも飛び込んでこないので助かっていますが、意外とリバウンドが強くないグリフィン。ルーキー時代が最も多くとっていました。まぁジョーダンやドラモンドと組んだらそんなにリバウンドはとれませんが。

 

◯1Qのオフェンスリバウンド
ラプターズ 5本
ピストンズ 4本

FGは高くないラプターズでしたが、オフェンスリバウンドを繋いで得点を伸ばしました。ピストンズは全てドラモンド。それも打っては外しを繰り返しただけです。

 

アウトサイドに広がるビッグマンを捕まえながら、インサイドヘルプをしっかりとこなし、リバウンドを確保する。どう考えても1人では出来ません。そこの設計問題がありそうです。



これが2Qになると劇的に改善します。

リーグ最強のラプターズのセカンドユニットに立ちはだかったのは控えセンターのモアランド。1人で抑えていきます。

 

◯エリック・モアランド
7分 5リバウンド 2ブロック 1スティール

驚異的な活躍をしたモアランド。殆ど1人で守っている状態でした。2Q開始から7分を4点に抑えたピストンズ、いやモアランド。

交代した後の5分間でラプターズは14点を奪って何とか反撃しますが、2Qを18点に抑えられました。

というか、なんで交代させたのか!?
ちゃんと試合観てた?

 

とにかく高い機動力を持つモアランド。例えばポエルトがペイント外からターンシュートを打つのにマークマンとしてチェックすると、リングに当たって逆サイドに落ちたリバウンドを自分で拾います。1人で2人分守っていました。

ちなみにモアランドがあまりにも1人で広範囲をカバーするので調べてみたら、グリフィン+モアランドのコンビだと18分しか出ていませんがディフェンスレーティング76.8でした。

 

献身性の足りないグリフィンと機動力マックスのモアランド。こっちのコンビの方が合いそうですが、最重要なのはドラモンドだからやりにくい。



ピストンズは前半のラプターズを45点に抑えました。そこに1つのラプターズの特徴もあります。

前述の通り、バランチューナスとパウエルが活躍した1Q。誰も活躍しなかった2Qとなりますが、前半のFGアテンプトは46本で、そのうちラウリー&デローザンは12本のみとなりました。

 

デローザンのドライブのためにはバランチューナスだって3Pを打つけれど、先に3Pを打つパターンの方が多いラプターズです。脇役陣から活躍させるのが常套手段。

それに対してピストンズは1Qにドラモンドとグリフィンが多く打ちました。FG24本中12本を2人で打ちます。主役から始めるピストンズです。



◉グリフィン問題を考える

 

オフェンス面でグリフィンの良い部分はスキルが高くポイントPF的に振る舞えることです。悪い部分は自分で打つ以外にプレーメイクになっていない部分です。

最近観た中でこんな選手いたなー、と考えたらアーロン・ゴードンでした。スキルも身体能力もあるけどシュートを生み出すパスが出来ない。グリフィンはゴードンよりも得点力があるから良いですが。

 

トップでボールを持つグリフィンにブルックがハンドオフを受け取りに行きます。狙いは自らドライブするだけでなく、自分がいたサイドが空くので広いスペースをグリフィンに利用させる狙いです。
しかしグリフィンはボールを渡した後止まります。ブルックがパスモーションをとっても一歩くらいしか動きません。

ドラモンドがハイポストでボールを受け取り、45°にいるグリフィンにハンドオフで受け取りに来ることを促しますが、やっぱり動かずにパスを待ちます。

 

15試合たったのに未だにピストンズお得意のハンドオフさえ理解していないというのは、一体何なのか?



しかし、グリフィンはグリフィンです。
パワーで飛び込むと誰も止められません。ポストアップから、アーリーオフェンスからインサイドにアタックされたラプターズは困ってしまいます。

しかもグリフィンの演技に騙されたレフリーがイバカにファールコールします。交代になったイバカは去り際に何かをレフリーに言うと一発退場に。激昂していたわけでもないのに、一発退場というのはどうなのか。

グリフィンに対してどうしてもインサイドへのヘルプが必要になり、ケナードやブルックが外から決めて行き、オフェンスに勢いが出てきます。

 

◯前半のブレイク・グリフィン
14点 FG5/8
0アシスト

高確率で決めたグリフィン。でもアシストはなかったり。

◯前半の3P
ピストンズ 7/11
ラプターズ 4/19

グリフィンのパワーアタックとドラモンドのリバウンドがあり、3Pがこれだけ決まればオフェンスは機能します。

前半で59点をとったピストンズが14点リードで折り返します。

しかし、ピストンズの問題点は前半のショットチャートをみれば明らかでした。

全くコーナーを活用できないピストンズ。よく利用していたのはトバイアス・ハリスとブラッドリーなのでやっぱり整備出来ていないのか?



ラプターズが上手かったのは、イバカがいなくなった時にバランチューナスではなくノゲイラを起用したこと。1人でインサイドをやらせるにはバランチューナスには機動力が足りません。そこでノゲイラ1人に任せて周囲を動けるメンバーにしました。

小さい選手がグリフィンを止めるのは難しいですが、その前にグリフィンへのパスをカットしたり、出来るだけ苦しいシュートに追い込んで後ろからノゲイラがブロックしたり。

 

完全にピストンズペースだった2Q最後に高さも速さもあるノゲイラを使って問題を解決したのは面白い選択でした。かわりにオフェンスではダンクしか出来ないけど。



◉ピストンズを責めることは出来ない

 

ラウリーの4点プレー、シアカムのコーナー3Pですぐに6点差にするラプターズ。ピストンズもグリフィンのポストアップで対抗するのですが、ラウリーが再び4点プレーを決めます。お互いのオフェンスが機能する3Q前半となります。

 

この時間のピストンズで良かったのはグリフィンにボールプッシュをさせず、徹底してローポストに立たせた事。

コーナーからのシュートがないとはいえ、そのコーナーからグリフィンが起点になるならば問題ありません。個人のアタックで決め、パスアウトでケナードが3P、バランチューナスにブロックされるものの逆サイドから詰めてきたドラモンドがフォローします。

これはかなり機能している形でした。グリフィンを獲得した時に予想された形です。



しかし、その間にも点差は縮まっていきます。3Qに3本のFGを打ったラウリーは全てバスケットカウントにしました。そしてデローザンがドライブを決めてアシストしていきます。

 

◯3Qのラプターズ3P 6/11

◯3Qのアシスト
ラウリー 5
デローザン 4
シアカム 1
バランチューナス 2

見事なアシスト&3Pでピストンズが2点とる間に3点とっていくラプターズ。それもしっかりと切り崩しての3Pなので偶然とはいえない確率です。

バランチューナスが3Pラインの外に出出ていてもフリーには出来なくなっている事情もかなり関係しました。細かくスクリナーをやっていくインサイド陣と空けられたスペースにドライブするガード陣。

 

ピストンズは25点とりますが、ラプターズは40点をとり一気に逆転します。モアランドが出てきても関係なく、それはもうラプターズを褒めるしかない見事なオフェンスでした。



◉グリフィンvsデローザン

 

例のセカンドユニットの時間になりますが、イバカに代わりスタートになっていたシアカムとライトがいないので形になりません。突破役がいないので苦しくなってミスをする珍しいヴァンフリート。そしてまたもモアランドに何もさせてもらえないポエルト。

 

早々にラウリーが出てくると、見事なアシストをインサイドに通せば3Pを自分で決めます。

ピストンズもモアランドがゴール下を決めれば、エニスのドライブで得点していきます。

グリフィンがゴール下を押し込めば、デローザンがミドルを決めてお互いにひかず残り5分にはいります。



残り5分ではラプターズが3点リード
残り3分ではラプターズが5点リード

何故かこの時点でリードさえしていれば逆転されていないラプターズです。そのリードはそれから6秒で2点だけになります。

 

終盤になりグリフィンは非常にクレバーなプレーをします。イシュ・スミスにゲームメイクを任せてミスマッチを作らせたり、自分がアウトサイドからドライブするのではなく、ハンドオフでブルックに3Pを打たせます。さらに逆サイドで同じハンドオフからスクリナーになってドライブさせます。

 

デローザン頼みになってきたラプターズが残り1分で3点リードしますが、グリフィンがドライブからイシュ・スミスにアシストし3Pで残り22秒同点となります。

デローザンがロング2Pを難しいスピンシュートで17.5秒ラプターズリードに。
グリフィンがポストアップからフェイダウェイを&ワンで決め10秒ピストンズ1点差リードに変えます。

エンドラインのスローインからデローザンがコーストtoコーストで4.6秒ダンク&ワンでラプターズが2点リードに。

ピストンズはラストプレーもグリフィンのポストアップ。見事にターンシュートを決めて同点になります。



ちなみに残り0.3秒でもう一度ピストンズボールになり、サンズが見せたゴール下ダンク作戦をしますが、スローインのグリフィンがとんでもないパスミスでラプターズボールに。あれはドラガン・ベンダーのパスが素晴らしかった。

ラプターズも同じプレー。パスミスというほどではないけど、ドラモンドに潰されます。あれはグリズリーズのディフェンスが酷かった。

結局はハーフコートシュート打って外しました。サンズのブザービーターを振り返っておきましょう。マネしたければ練習しないと。



◉ヴァンフリート

ラプターズはヴァンフリートのゲームメイクから始めますが、この試合はとにかく判断の悪いヴァンフリート。展開がないところにパスしたり、トラベリングしたり。グリフィン相手のドライブもシュート前に止められます。

ピストンズもドラモンドがゴール下をミスし、オフェンスファールをとられ。

バランチューナスがグリフィンをブロックしますが、バランチューナスもドラモンドに止められます。

3分たってやっとシアカムのゴール下で得点がはいると、イシュ・スミスがミドルで簡単に同点に。

違いを作ったのはまたもデローザン。フリースローラインからのミドルを&ワンで決めます。

バランチューナスがエニスをブロックし、イシュ・スミスの速攻も追いかけてリバウンドを確保します。動くよ、バランチューナス!

残り1分でラプターズが3点リードします。



残り37秒でグリフィンがバランチューナスとアウトサイドで勝負し、プルアップ3Pで同点に。

グリフィンがデローザンを止めます。
そこからグリフィンはラウリーとのポストアップに挑み、キックアウトでブルックがフリーで3Pを打ちますが外れます。

リバウンドから走ったデローザンがリングにドライブすると3人に囲まれ、コーナーのヴァンフリートに。

残り1.1秒のこのシュートをヴァンフリートが決めてラプターズ2点リード。

最後はグリフィンがなんとか3Pを打ちますが、リングの根元に当たってゲームオーバーとなりました。



◯フレッド・ヴァンフリート
6点 FG2/10

決勝シュートを決めても喜びの表情をみせなかったヴァンフリート。そこまでのプレーは酷かったです。とはいえ、あのタイミングであそこにいるのがヴァンフリートらしさであり、打てただろうけど迷わずパスしたデローザンでした。

◯デマー・デローザン
42点 6アシスト
FG16/28

素晴らしい勝負強さをみせたデローザン。なんでこれでクラッチタイムが弱いのか?
そしてなんだかんだ4Qから常に先手を取っていたラプターズ。接戦は負けパターンなのですが、先行していれば勝てるジンクスは継続です。

勝利がもたらすものは大きいのか、バランチューナスは非常によく走りました。あそこまで献身性ある選手だったイメージはないのですが、最近は本当によく動きます。ポエルトの恐怖なのか。

イバカはいなくなったけど、シアカムの代役も十分でした。イバカより良いくらい。しかし、グリフィン相手だと苦しくなります。まぁグリフィンクラスは他にはほぼいないので問題ないでしょう。

 

これでプレーオフ一番乗りとなったラプターズ。お得意のアシストからの3P攻勢とデローザンの勝負強さ。必要なのは自信だけにも思えるので、このまま首位で走りたいです。

最強のセカンドユニットはどこへ行った?



◉得てして内容と結果は異なる

 

前半を見る限りピストンズはダメダメでした。それはやはりグリフィン次第になっているから。それでも強いグリフィンがなんとかしてしまうけど、それだけで勝てるほど甘くはない世界です。

しかし、後半のピストンズの内容は最近の結果からは想像もつかない良い内容でした。それが首位のラプターズ相手でも勝機があった理由だと思います。何故、ラプターズ相手だとチームとして戦えたのかは知りません。

悪かった前半に大幅リードし、良かった後半に追いつかれているから難しい。

 

◯ブレイク・グリフィン
31点 FG12/21
3リバウンド

やっぱりリバウンドは問題ですが、周囲と連動してプレーを始め、スクリナーやトレイルとして貢献した後でローポストからアタックするのはラプターズを困らせました。

◯アンドレ・ドラモンド
10点 21リバウンド
FG5/14

でもそうなるとドラモンドの存在感は希薄になりました。リバウンドはモンスター。より走れるモアランドの方がフィットするとか言ったら怒られるかな。
少なくともグリフィンとドラモンドのどちらかはコートにいる形にすれば良いのに。グリフィン+モアランド、ドラモンド+トリバー。



そんなわけでピストンズは悩ましい。本当に悩ましい。これまでの結果が信じられない内容だけど、試合内容が違うことも想像できます。

 

グリフィンが後半みたいなプレーをすれば、こんな成績にはなっていないはず。ちなみにここ15試合のグリフィンの成績

◯FG%
キャッチ&シュート 37.5%
プルアップ 27.1%
10フィート以内 55.5%

※キャッチ&シュートとプルアップは10フィート以上の距離

つまりチームとしてボールムーブする中でキャッチ&シュートするのと、そこからインサイドに詰めてシュートする2つのパターンならば相当怖い選手です。
でも守る方からするとプルアップシュートさせとけば問題ないわけです。

しかも3Pなんてキャッチ&シュートよりもプルアップの方が多い。

 

あまり動かないのも気になるけれど、そんな選手は他にもいるから置いといて、すぐにでも戦術グリフィンは辞めて、フィニッシャーにしていかないとプレーオフは夢のまた夢。

今シーズンのピストンズはワガママ三昧のイメージだったチームに規律をもたらして勝っている感じだったのに、グリフィンがくると制御出来ていないHCも気になります。

ハーフタイムに修正出来ているのだから、なんとかなると思うのですが。



◉コーナーシュート

 

別にコーナーからのシュートなんてなくても、後半のピストンズみたいに成り立っているならば問題ありません。

しかし、前半全く打たなかったピストンズと後半のラプターズのショットチャートみると考えてしまいます。

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