◎何が凄いのか
じゃあ、その判断の早さってすごいのか。別に判断が良くて展開力溢れるわけじゃないので、個人で見たら何もすごくありません。多分、75%くらいのチームのファンは、自分のチームにシェパードがいたら「こいつ要らないでしょ」って思うだろうね。なんせ3Pも大して決まっていないから、何役なのかがわからん。
しかし、ペイサーズにおいてはハリバートン、ネムハード、マッコネルの3人にプレーメイクをさせるわけで、1つのオフェンスの中で『プレーメイクのやり直し』を効かせてくれます。展開してシェパードまでパスが出た時に、打てるのか、それとも作り直すのかがハッキリする。それもミスなく進めてくれるからさ。
〇ペイサーズのパス数 330.5(2位)
ガードアタックから作るチームだし、トランジションで決めきるけれど、パスが多いのがペイサーズ。何度もやり直せるのも実は強みだったりします。それ以上にシェパードのプレーで重要なのは
余計なことは一切しない
これが徹底されていること。リーグNo.1といってもいいほど、余計なことはしない。かといってシュートに消極的でもない。打つべき時は打ち、ドライブすべき時はドライブし、パスを出すときはパスを出す。でも「すべき」じゃないときは、すぐにPGへ戻して、やり直しさせていく。
驚異的に余計なことをしない。でも、誰よりも早くコーナーに行くし、スクリナーにもなるし、オフボールムーブも多い。まさにロールプレイヤーの鏡。
シェパードの存在は、よりプレーメイカーを輝かせる
ニックスとのカンファレンスファイナルでは、ブランソンがシャパードをマークするんだけど、そうするとゴーストスクリーンを使いまくっていたように、単に待っているだけではない、ゲームプランに即した戦術的な動きをします。ただ、それはプレーメイカーのジャッジに委ねられるので、相手の弱点を有効活用させる意味でも戦術に愚直なのも良い部分です。
そのため、ハリバートンがいない来シーズンに期待できるのかというと、ちょっと微妙。物足りなさの方が目立ってしまうかもしれない。その代わりネムハードにかわってディフェンスでの仕事が増えるかもしれない。
◎ディフェンス判断
〇ディフェンス平均走行距離 4.60
シェパードはオフェンスでも走りますが、それ以上にディフェンスで走りまくっています。50試合以上プレーしている選手ではリーグで3番目。コーナーからトランジションに戻ることの徹底さと、フルコートで相手ガードに付きまとっていくこと。でも、ここでもほとんど余計なことはしないというか、愚直に粘り強くついていくタイプ。
そしてハーフコートでもシューターを追いかけたり、コーナーからゴール下までヘルプにきて止めることもしています。ディフェンスの仕事量はかなり多いし、早い判断のローテーションでチームを助けています。
その一方でエースキラーというには力不足。ネムハードやニスミスにかわって相手エースとマッチアップするケースはレアでした。もう少しディフェンス力が上がると、普通のチームでも使いやすくなりますが、「良いディフェンダー」どまりです。経験を積むことでエースキラーにもなれるのかな。止め方はいろいろ持っているので面白くはある。
そんなわけでベン・シェパードは特殊な存在。ザ・ロールプレイヤーとしては、非常に輝くけれど、戦術的なチームじゃないと必要とされないし、余計なことをしない良さを感じられるHCじゃないと、敢えて使いたいとは思わなそう。
でも、ペイサーズにおいては相手への対策・ゲームプランと合わせて、マサリンよりも『使いやすい」選手として機能しています。1回、マサリンを起用してダメな日だったらシェパードを使おう、っていう起用法は、それだけ信頼されているってことです。かわりに何か違うものを生み出してくれるわけではない。
ハイレベルなPGがいるチームであれば使いたくなるのがシェパード。ペイサーズの強さを象徴するようなプレーで2年目ながらファイナル進出に貢献したのでした。