負けたいチームとの試合が続いていたのに、マブスとホークスに連敗したペイサーズ。いろんな意味で意外な結果です。
1月22日から10勝3敗と貯金を増やし、オールスター明けにはラプターズも倒して好調と思いきや、3連敗しているバックス。強いチームには弱いのですがラプターズ倒したしな。
弱いチームに取りこぼすペイサーズと強いチームに弱いバックスならばペイサーズ有利かな。
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◉ペイサーズのミドル、バックスのドライブ
バックスはなんとテリーがスターター。そんなテリーがヤングを止める場面もありお互いのディフェンス優位で試合は始まります。その理由は連敗中の両チームが試合開始直後で気持ちが高まっている事もありますが、オフェンス問題があります。
ペイサーズは不効率とされるミドルを打っていくチームです。それに対してバックスは基本は個人が守り、インサイドへのヘルプだけはしっかりと厚くしています。つまりミドルは打てます。
ミドルこそ決まりますが、そこでディフェンスを引き付けてゴール下のイージーパターンには持ち込めません。また、いつもはピックで打開するのですが、あまり使わずに個人勝負になっているのでミドルを多発する事も難しい。
バックスのディフェンスはインサイドヘルプ
ペイサーズのオフェンスはアウトサイドは個人で仕掛ける
つまりバックスはアウトサイドを複数人で守る必要がないのでヘルプに人を裂きやすくなりました。これが機能するのは当然の流れです。
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バックスは3Pとゴール下のチームです。ペイサーズは比較的3P側を優先して守ります。要はここも個人勝負です。
バックスは個人で仕掛けて3Pを打つようなパターンはなく、ドライブ→キックアウト→3Pです。このキックアウトから3Pを打ちたくてもペイサーズディフェンスが待ち構えている形になります。
となればドライブで決めきるわけですが、アンテトクンポにサイズとパワーで対抗するヤングもいて、あまり確率良くドライブ出来ませんでした。もちろん時にはダンクまで持っていきます。
バックスのドライブ、ペイサーズのミドル
お互いの好きなプレーは決まるけど、そこから発展的にオフェンスを繋げることは出来ない形で開始8分たっても得点は1桁のままでした。
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よくわからないのですが、お互いのベンチが打開に動かないので1Q通じて同じ攻守の関係性になりました。
バックスが打開しないのは理解できます。ドライブ決めれば問題ないので、しかしパーカーが素晴らしいドライブしてはシュートを外していきました。代わりにブラウンのキックアウトからアンテトクンポというペイサーズが警戒しなかったパターンでリードします。
ペイサーズは終盤になってやっとランス・スティーブンソンとサボニスが打開しにいきます。意外とスティーブンソンはチームプレーをします。しかし、ディフェンス優位で展開していたためフィジカルなプレーに潰されていきます。
ここで1つの勝負の分かれ目がきます。フィジカルかつ得点が入らない展開に苛立ったのはバックス。ファールなどは全く関係ないところでベンチに座っていたブレッドソーが文句を言い、チームファール5回でペイサーズにフリースローが与えられるとアンテトクンポが文句を言い、テクニカルが連発されます。
21-18で終わった1Qですが、不利なコールをされているのはペイサーズなのに、バックスがフランストレーションを溜める変な展開でした。腕を掴まれたサボニスの方がファールコールされたりさ。
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◉打開方法が違う両チーム
2Qになると打開パターンが増えていきますが、この違いが面白い。
バックスはアンテトクンポ、パーカーがキックアウトを受けて3Pを決めます。加えてブレッドソーもプルアップ3Pを決めます。
それはつまり「ペイサーズが想定していないパターン」での打開です。これはとても重要で警戒されているプレーから、警戒されていないプレーになるのでイージーであると共に、そこを止めるに行くと簡単にドライブを決められます。
苦しくなるペイサーズディフェンスですが、「入り続けるわけない」と判断してガマンするのも1つの手段です。
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ペイサーズの打開パターンはまずは引き続きスティーブンソンとサボニスによるアタックです。これは崩せるのですがシュートが決まらず。
次にボグダノビッチが行きます。それはアーリーオフェンスでの積極性とテリーやブラウン相手に個人で勝てそうだからです。それでいてボグダノビッチはクイックリリースで3Pを打てるので、マークを引き付けてインサイドヘルプを減らす役割も担います。
そこまで行くとスペースが増えるのでヤングやターナーがドライブや合わせを決めて行きます。
これらはペイサーズとしては設計に含まれているプレーなので「バックスが警戒しきれない多彩なパターン」で攻略しました。
こちらはシュートが落ちるのを待つわけには行きません。
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その結果はお互いにオフェンスが機能して行く事になりました。重かった1Qと違いフリーを作って打ったり、インサイドまで攻め込んで打ったり。
ただ、そんなに確率が良くなかったのでそんなに得点は伸びませんでした。前半は46-45でバックスリードで終わります。
◯3P
ペイサーズ 2/9
バックス 6/12
スタメン起用のテリーがフリーをしっかり決めてくれましたが、その他はあまり想定していなかったアンテトクンポが2/2です。それは割とバックスには恵まれたといえるし、空けられた状態でしっかり決めたともいえます。
一方のペイサーズはあと1本決まればいいリードしていたわけなので、想定内だけど決められなかったね。
フィジカルなディフェンスの戦いから、お互いの打開策がみえてきたので「プレーオフゲーム」という実況の言葉です。
打開策として『個人の質』だったバックスと『選手層』だったペイサーズというのも特徴をよく表しています。
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◉怒りのブレッドソーとクレバーなジョセフ
後半始まって3分でブレッドソーが4回目のファールをします。それはスマートさとはかけ離れたファールです。
そもそもテリーをスターターにせざる得なかったのはブログトンに加えてデラベドバとスネルが離脱しているからです。ガード不足。
ブレッドソーのファールはインサイドにドライブしたヤングに対してアンテトクンポが守る中でヘルプに行って腕を叩きました。十分に守れる雰囲気だったアンテトクンポなので、グッドチャレンジではあっても3つのファールをしている選手がやるべきチャレンジではありません。
ゲームメイカーとしての能力が低いブレッドソー。控えのブラウンは良い選手だけどそもそもゲームメイカーではないし。
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そこから少しずつペイサーズ有利になり、オラディポの爆発で一気にペイサーズが14-1のランで8点のリードを奪いました。
そこにあるのはブレッドソーもいなくなり、アンテトクンポとミドルトンのプレーメイク頼みになったバックスとコーリー・ジョセフによるゲームメイク力の差です。
内容的にはオラディポの爆発ですが、肝心なのはそこまでオラディポが目立っていなかった事です。複数のパターンを織り交ぜて、全員を使って行ったジョセフ。
それは全員使っているので必ずしも効率的なプレーかは疑問です。しかし、前半の攻略でも書いたようにディフェンスに対して有効な攻め手を探していくと共に、選手層のペイサーズをゲームを通して有効な攻撃手段にするものでした。
そしてチャンスを掴んだところで、オラディポのシュートが当たり、明確にオラディポ中心に切り替えました。途中からボール運びからオラディポ任せにしています。
クレバーだったジョセフ。なお、ペイサーズもスターターPGのコリソンが離脱中です。
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3Q残り3分半で堪らずブレッドソーを戻すバックス。アンテトクンポ、ミドルトン、そしてパーカーを揃えたユニットは個人で攻めるポイントが多くてペイサーズは苦労します。
言い換えれば普通ならば休ませる選手をこの時点で総動員して起用しているバックスなので勝負をかけています。ここで引いたら大量ビハインドで負けるという判断は、おそらく正しいですが、それだけベンチを含めたチーム力を信用できていません。
そんなバックスに対して、オラディポと交代して出てきたランス・スティーブンソンがミドル連発に、アンテトクンポからスティールして速攻、そしてブザービーターのレイアップを決めて逆にリードを広げ、78-67と11点リードで3Qが終わります。
◯3Qの得点
オラディポ 11 FG5/7
スティーブンソン 6 FG3/6
アンテトクンポ 4 FG0/5
オラディポがアンテトクンポを上回ったというよりも、ペイサーズはオラディポを活かし、バックスはアンテトクンポ頼みになった、そんな3Qでした。
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◉キッドの教え
4Qスタートでは変わらぬペイサーズの全員アタックに苦労するもパーカーがドライブを決め、ソンメーカーがブロックするなどバックスのベンチメンバーも奮闘します。
しかし、始まって2分半でまたもブレッドソーが不要なファールで5つ目となります。交代させますが、こんな選手は終盤に残さないで使い続けて退場させた方がチームのためな気がします。
ペイサーズは14点リードとなります。
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そこから当然バックスはプレッシャーを強め、速いテンポで攻撃していきます。オラディポがフリースローを2本落としたり、ホームコートアドバンテージにも後押しされ、流れを掴んだバックスは12-0のランで残り3分には5点差まで詰め寄ります。
そんな時に感じたのはキッドについて書かれた記事。ただし、感じたのはペイサーズのオフェンスからです。
速攻マスターのキッドですが、レベルアップしたのはペースを落とす事を学んでからだとか。シュートまでの道筋をムリに打開しようとせず、流れに身をまかせる事で適切なシュートチャンスが訪れるのを待つ。
ペイサーズはバックスのプレッシャーに合い、時にはターンオーバーしてしまいます。しかし、ムリなプレーをするよりもプレッシャーに対してボールを動かしていくうちに、自然と生まれるシュートチャンスで打っていくので、少なくとも時間を消費しているし、バックスは的を絞ってディフェンスする事が出来ません。
内容としてはリズムを掴んだバックスが大きく点差を縮めました。それでもリードして終盤を迎えたのはペイサーズでした。点差がある中で局面を悪化させなかったとも言えます。
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◉最後にオラディポ
とはいえ残り1分半で4点差まで縮めたバックス。リードを得ているペイサーズですが試合はわからなくなります。
そこでミドルを決めるオラディポ。
3Pをエアボールしたアンテトクンポとブレッドソー。
ファールゲームのフリースローをしっかり2本決めたオラディポで勝負ありでした。ちなみにファールゲームにいったテリーに文句を言っていたブレッドソー。残り時間を把握していませんでした。
点差以上に力の差を、チーム力の差をみせたペイサーズでした。なんで連敗してたの?
◯ビクター・オラディポ
21点 FG9/19
まぁまぁの活躍だったオラディポ。オラディポがいないと勝てないペイサーズですが、リードを得た時間と最後以外は何もしていなかったともいえます。
それはチーム力の中でオラディポの決定力と爆発力を使っているペイサーズらしさです。
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◯プレータイム
ジョセフ 41分
ヤング 37分
オラディポ 36分
そして1番替えがきかなかったのはジョセフでした。そのゲームメイクが光った試合でした。
◯プレータイム
アンテトクンポ 43
ミドルトン 40
ブラウン 12
ソンメーカー 5
アンテトクンポの代役はいないとはいえ、そんなにソンメーカーを信用できないのかという内容です。パーカーがスティーブンソンにマッチアップするなど、かなり選手がムリを効かせた割には采配を疑いたくなります。
その原因を作ったブレッドソーも含めて何をしているのか?
◯ヤニス・アンテトクンポ
24点 FG6/18
確率の低かったアンテトクンポですが、疲弊していたので責められません。ちゃんとローテーションさせていれば、全く違った気もします。
◯クリス・ミドルトン
30点 FG11/21
疲弊していただろうけど、素晴らしかったミドルトン。
要は個人能力ではバックスの方が上でした。しかし、それを扱う能力はHCとPGには不足していました。ブレッドソーの方が責任は重いです。
確かにケガ人は多いけど、シーズンの中でもっと厳しいチームを多く見てきました。そんなに苦しいとは思えないバックスです。
そして足りないのはどうみてもブログトン。ブログトンさえ戻って来ればかなり違うでしょう。ゲームメイクして変化をつけて、相手を攻略してとバックスの頭脳待ちです。
ずっと読んでるとwhy notさんの選手の好みとかが割と見えて来てまた違った楽しさがありますね
東も西もPOは混沌として来て楽しみです
そうなんですよね。特に接戦になればなるほど好みが出てしまうんですよ。それはちょっと偏りになってしまって嫌なのですが、そう見えてしまうので仕方ないのかなと。
でもオラディポなんか好きなタイプではなかったけど、次第にかなり好きなタイプになってきました。
だから好き嫌いだけでは判断しないように心がけてはいます。