ケニオン・マーティンJrが問われること

◎「ダンクだから当然」ではない

シーズン198本ものダンクアテンプトがあったマーティン。信じられないような跳躍によるフィニッシュなのだから高いFG%も納得です。しかし、これを「ダンクが多いから当然」とか「運動能力が凄いだけ」というのは違います。

12.7点という得点は「ダンクしかないから15点とれない」でもあれば、「ダンクだけで12点は取れない」でもある微妙なラインです。ジャンプシュートが下手なので得点が伸びないのは間違いない一方で、マーティンがロールプレイヤーであることを考えると、そもそもアテンプトを増やす方が難しいなんてこともあります。つまり、何が言いたいかというと

ダンク能力の高さ以上に、ダンクの回数が異様に多いのが特徴

例えばダンクが多いイメージの押し込み担当たちの回数と比較すると、プレータイムが短く、201センチしかないマーティンが198回もダンクにいっているのは異様な回数に見えてきます。

ヤニス 212
ゴベア 212
アーロン・ゴードン 201
ジャレット・アレン 200

マーティンはジャンプシュート系統が下手なわけですが、その成功率の低さを嘆くよりも「ジャンプシュートを減らし、ダンクを増やせる」ことを評価すべきにみえてきます。どうして、こんなにダンクにいけるのかは、ハイライトをみていてもわかる部分です。ダンクに行く前の動きが秀逸なんだ。

①パスのタイミングに合わせてタメを作れる

いってもサイズで押し切れないマーティンなので、出来るだけスピードに乗った状態でゴール下に飛び込みたい。そのために、パスが出てから最後の一歩を踏み込むようなタイミングのはかり方をしています。

一番すごいのは4:47くらいのプットバックダンクで、リバウンドもタメを作って飛び込んでいます。この一瞬の「タメ」はマーティンの持つ感覚的な部分でしょう。

②リングの裏側、エンドラインを活用するコースどり

コーナー担当としてカットプレーをするマーティンですが、バックボードよりもエンドライン側にポジショニングしていることが多くあります。そこから体を回転させてダンクに行ける身体能力はあんびりーばぼーですが、その身体能力を引き出すために、ギリギリまでエンドラインで待ってから動けるのは素晴らしい。

バックボードからエンドラインは狭いスペースですが、その狭いスペースを広く使えるセンス。ワンステップで跳躍できる身体能力。両方があわさってのマーティン。

③ディフェンスの死角に入り込む

②と一緒ではありますが、ただ単に「タイミングよく飛び込む」のではなく、ディフェンスの死角を取るし、そのためにエンドラインを上手く使ってもいます。身体能力とは真逆のインテリジェンスな強みをもっているのだから、そりゃあダンクも増えるよ。

エンドラインに限らず、オフボールの動きの中でディフェンスの背中側を上手く使います。トランジションでもサイドラインに広がって、スピードのあるフリーランニングをしつつ、ディフェンスの視界から消えているのです。背中を通る能力はリーグ有数だよ。

④ディフェンスのギャップを見つけるのが上手い

そして死角をついているわけではなく、コートの真ん中を走っているのに、何故か「マーティンがダンクに行くコースが空いている」こともあります。どう考えてもディフェンスのミスなのですが、どうしてかマーティンの走るコースは空いていることが多い。チームメイトの位置、パスを引き出す角度、そして特別なことはしていないのに、身体能力でフィニッシュできてしまうのは、コース取りの上手さです。

「ダンクが凄い」ことよりも「ダンクにするのが上手い」というのがマーティン。派手すぎるダンク能力に、ポジショニングとタイミングとコース取りの上手さという地味すぎる能力。マーティンってのは、この両輪があってダンクばかりしている選手です。

ケニオン・マーティンJrが問われること” への1件のフィードバック

  1. ちょっとでかいDJJみたいな?便利屋さん以上の大きい役割を得るのが難しそうなタイプではありますね。

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