ケニオン・マーティンJrが問われること

2000年ドラフト1位の父を持つケニオン・マーティンは、かねてより「より大きな役割」を要求していたところ、クリッパーズへとトレードに出されました。再建チームからビッグネーム収集癖のあるチームへの移籍は「より大きな役割」という点で疑問ばかりですが、本人のプレーとしても勝手気ままなロケッツから、2大エースが君臨するクリッパーズへと移って、正しくプレーできるのかが問われることになります。

ロケッツでできていたことがクリッパーズで同じようにできるわけじゃないし、ロケッツで許されていたことがクリッパーズで許されるわけでもない。何よりも戦術的に役に立つのかどうかがポイントなんだろうね。

◎何故、主力と呼ばれないのか

高校卒業して1年間をIMGアカデミーに通い、ドラフト52位で指名されたという変わり種の経歴を持つマーティン。高校時代はピッペン息子と一緒だったらしいですが、一応ワン&ダンなので3年目が終わった段階で22歳と若く、下位指名からローテーションの一角をつかみ取った成長株でもあります。

201センチとサイズとしては微妙ですが、全てをカバーしてしまう跳躍力を武器にインサイドで戦い、ガードすらも置き去りにするようなスピードでコートを走り回ります。3年目のシーズンで特筆すべきは、その高確率なフィニッシュ力です。

〇TS63.5%

ロケッツの主力で唯一の60%超えとなっており、チーム最強のフィニッシャーでした。もちろん、ハンドラーとしての能力は低いので主役キャラではないですが、センター並みの確率の良さはロールプレイヤーとして最高水準です。ただし、3P能力に課題があることで使いにくさも混じっています。

〇2P67.9%

通常、TSを使うのはFGは悪くても3Pを決めているとか、フリースローをゲットする確率が高いためですが、マーティンは2P成功率の高さを3Pとフリースローの悪さで下げているという変な201センチ。ただ、3Pだって30%を切るわけじゃないし、これだけ高確率で決めてくれるならば、3P35%なくたってお釣りがきます。

〇ペイント内得点 8.3
〇速攻での得点  2.7

シェングンに次ぐチーム2位のペイント内得点は、他のPF達に大きな差をつけており、それでいてチームトップの速攻を決めています。PFみたいな感じだけど、リバウンドからトランジションへと先頭を切って走っているぜ。あとロケッツはガード陣がもっと頑張れや。

〇カットプレー 2.7
〇コーナー3P 36%

もちろんカットプレーでの得点もチームトップ。46本も決めたアリウープはチームを盛り上げてくれるわけですが、それだけでなく、ちゃんと決めているコーナー3Pでストレッチ役もこなせており、ディフェンスの死角をついてタイミングを合わせた飛び込みもしてくれます。

マイボールになったら速攻の先陣を切るランニングをみせ、ハーフコートではコーナー担当としてチームメイトに合わせ、高確率のフィニッシャーとして機能する。

ロールプレイヤー仕事に徹していることを考えると、これだけ有能な動けるPFはリーグ全体を見回しても見つける方が大変です。

何故、ロケッツの主軸と呼ばれなかったのか

マーティンは両ウイングでプレーできる便利屋としてローテの一角にはいっており、ロケッツの大事な戦力でしたが、本人が不満に思うように「主軸」感がなかったです。それはジャバリ・スミスとタリ・イーソンがいるから期待値が低かったことが最大の理由ですが、SFにエリック・ゴードンを配置した3ガードにされてスターターになれない状況も不満を後押ししました。マシューズがスターターの時もあったな。

まぁ好かれていなかったよね。活躍している割に重要視されていなかった。12.7点はゴードンやジャバリと比較してそん色なかったわけだし、しかも22歳の若手有望株なんだから、もっと期待されてよかったのは間違いない。

しょせん、52位指名だからなのか。それともハンドラー能力が低いからなのか。マーティンがコートにいることでチームには連携が生まれ、ハードワークでのアドバンテージももたらされ、速攻とペイント内得点だけでなく、チーム全体が明らかに改善するのだけど、マーティン個人の評価は高まらなかったのでした。

少なくとも今回のトレードで得られた対価は安かった。っていうか、ディロン・ブルックスのサイン&トレードにも加わり、意味わからんトレードになったから、何を出して何を手に入れたかが難しい。2巡目指名権2つってことでいいのかな。

ケニオン・マーティンJrが問われること” への1件のフィードバック

  1. ちょっとでかいDJJみたいな?便利屋さん以上の大きい役割を得るのが難しそうなタイプではありますね。

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