ゲーム２
ゲーム１の大半でアドバンテージを取りながら、スタミナが落ちたように失速した４Ｑのセルツ。しかし、ブラウンのドライブ⇒スマートへのキックアウトからドライブ⇒インサイドで合わせたテイタムという劇的な形で勝利したセルツ。
結果から言うとゲーム２もデュラントを止めることに成功しました。そこにあったのは何なのか。基本的にデュラントは止めたいけどムリ。だから「デュラント以外を止める」か「デュラントにパスをさせる」から選択するのですが、まともにとめたわけで、なかなか興味深いものがあります。
なお、単に酷使されているデュラントに限界がやってきただけかもしれません。
◎ブルースの時間
試合開始からの９点が全てブルースでした。シーズン平均９点なのにさ。３Ｐ、ドライブファールドロー、ミドル、トランジションとオールマイティなのさ。相変わらずブルースの優秀さが目立つわけですが、その一方で活躍して当たり前でもあります。オールマイティなところだけが評価すべきなのかもね。
デュラントに対して基本はテイタム。しかし、ボールを持たせたくないのでオフボールで動かれると早々にスイッチします。このスイッチするのがスマートとブラウンの２人になっていて、それこそトランジションでデュラントをホーフォードがピックアップしても、そこにスマートがダブルチームに行きました。大きなルールとして
スマート、ブラウン、テイタムの３人でデュラントとカイリーにマッチアップ
こんなイメージの守り方です。もう１人はセスを守ります。なので、タイスとホーフォードはドラモンドかブルースの担当です。ナチュラルにスピードのミスマッチがあるブルースだし、デュラントへの警戒が強い中で、一番簡単に空きます。そこを使えたのだからネッツのオフェンスは正しいよ。
この守り方のもう１つのポイントはドライブで侵入されてもホーフォードやタイスが待っている事です。ジャンプシュートに踏み切ろうとしたデュラントからスティールしたホーフォード。見事なボールの叩き方でカウンターにすると、テイタムに対してセスがフレグラント１。
でもアグレッシブな守り方もハマっているから続けます。スマートがカイリーのドライブを止めていると横から飛び出てダブルチームのテイタムがターンオーバーを促し、そしてドライブへの早いカバーで、またもブルースに３Ｐは食らいます。ここは諦めるしかないけど、ＦＧ４／４は反則だ。
点差が二桁になったところでブルースがエドワーズと交代。クラクストンも出てきてスピード重視のラインナップに変更されます。これでセスの３Ｐこそ生まれますが、全体的に個人技頼みになったので、オフェンスは苦しい。ただセルツもホワイトがフリースローミスしたりと、あまり点が入りません。
さて、個人技のデュラントさん。「疲れているのか」は１つのポイントですが、明らかにドライブの迫力不足になっています。
〇プレータイムとドライブ数
オールスター前 ３６分 １０．１回 ７．２点
オールスター後 ３９分 ９．２回 ６．８点
プレーイン ４２分 ７．０回 ４点
そしてゲーム１は９回でした。やはりドライブは減少傾向にあります。この１Ｑでも張り付いてくるホワイトに対してドライブせず、ジャンプシュートに行ってファールドローしています。オフェンスマシーンはどっちでも点が取れますが、明らかに選択が悪い。悪くても点は取る。
ヤバいと思ったのか、カイリーをベンチに下げるタイミングでブルースを戻します。ビッグ３の一角になっているブルースのパスからデュラントのミドル。ミルズもタフミドルで続くと、クラクストンのブロックから走ったドラギッチが＆ワン。再びリードを手に入れたネッツ。
デュラントへの対処こそ出来ているものの、そこを強く守る気持ちがある中で、他の４人がバランスよく攻めて来るのにセルツは苦労します。ドラギッチからクラクストンへのアリウープパスも出て、１Ｑを３３－２４とネッツリードでおわります。デュラントを止めに行くと他が空く典型例でしたね。でも、それは諦めるしかない。
◎３人目
セルツのディフェンスの話から始めたわけですが、負けず劣らずハードに守っているネッツ。テイタムもブラウンも自由にボールを持たせてもらえず、スマートのパスからはチャンスが生まれるってくらいです。１Ｑ最後に３Ｐを決めたグラントが、２Ｑ初めも３Ｐで点差を詰めて始まります。
しかし、テイタムはブラウンのディフェンスにクラクストンのカバーでターンオーバー。セルツに感化されるように、ハードな対応をしているネッツですが、それって大丈夫なのか。ドラギッチはテイタムを後ろから押してファール。タフなのはいいけど、スタミナもつのかね。
そしてテイタムのパスからタイスのゴール下。スマートにしろ、テイタムにしろ、この形については機能しており、ネッツの方もアグレッシブなプレッシャーにでているわけです。裏にパスを出すのはセルツの方がシステム化されているよ。ドラモンドにパスでてこないもんな。アトキンソン時代が懐かしい。逆にタイスはロケッツではやれなかったプレーだね。
いずれにしてもセルツの方も「テイタムやブラウンに引き付けて、他の選手が決めるのが効果的」なわけです。ただ、テイタムとブラウンにミスが多いので、ビハインドを抱えてしまう。ドラモンドが見事なハンドルで逆を取ってファールドローしたので、点差が二桁に戻ります。
セルツはスマートが３Ｐにトランジションアタックで取り返します。お互いに３番目の男がキーになるのも同じだね。一番プレッシャーをかけにくいわけだ。んっ、じゃあビッグ３って正解なのか。
しかし、今度はドラモンドのパワープレーダンク。セスとドラモンドの見事なギブ＆ゴーからセスのゴール下。ホーフォードのパスアウトからグラントがドライブファールドロー。
うん、わかりやすい展開ですね。お互いが強く出ているディフェンスは、エースに仕事をさせないけれど、そのほかの選手まで止めきることはできません。そうなってくるとセルツの方が優位・・・ではなくて、オフェンスではネッツの方がタレントが多いよね。あまり効果的なオフェンスを作れないセルツですが、ホーフォードの万能性があるのはやっぱり便利だね。買い戻した甲斐があった。
コーナーからのドライブキックアウトでスマートに３Ｐをうたせ、外れたのをオフェンスリバウンドから＆ワン。ブラウンのパスアウトから３Ｐ・・・は決まらなかったか。それでもトランジションもボールプッシュしてプレーメイクしてくれるもんな。大きなブルース・ブラウン。
残り４分でタイスを戻すと、ドラギッチのマークがタイスやホーフォードになってしまい、ドラギッチが連続得点。そこそこタフなミドルもヒットするので、またも点差が離れます。そしてピック＆ロールからデュラントが３Ｐをヒット。テイタムもダブルチームに行ったけど間に合わなかった。トランジションもねじ込んだデュラントで１７点差まで広がります。
それでもホーフォードが３Ｐを返し、タイスがデュラントのパスをスティールしてテイタムのダンク。カイリーのミドルが外れたカウンターで、テイタムのトランジション３Ｐが決まり、一気の８－０ランで猛烈に追い上げ、ブラウンもタフなレイアップを決めて追い上げ。
ただ、またもドラギッチに３Ｐを決められ、前半は６５－５５と１０点差で終わります。セルツの５５点は「こんなもんかな」って感じです。ネッツはデュラントとカイリーで２１点ながら６５点まで持って行ったのだから出来すぎ。ブルースとドラギッチで３０点も奪ったのでした。後半も続けられるかな？
◎主役がいない
テイタムが見事なキックアウトを見せますがブラウンは３Ｐをミス。続いてドライブしたテイタムですがドラモンドにブロックされます。なかなかエースがこない。ネッツも初めはブルースの豪快なドライブファールドローなので前半からの流れは継続です。
ホーフォードがコーナー３Ｐを決めると、３Ｐのようなパスをタイスに通し７点差にするも、スティールし損ねた流れからセスに３Ｐを返されてしまいます。うーん、マジで前半と同じだね。どっちもエース以外で攻める必要があります。
先に決めたのはドライブでファールドローしたテイタム。さらにデュラントのドリブルを後ろからスティールしたブラウンが速攻＆ワン。２人とも決めちゃったぜ。これで流れをゲットと思ったら、ドラモンドがドライブ＆ワン。もちろんフリースローは外しますけどね。
それでもデュラントのパスはまたブラウンにスティールされ、テイタムのキックアウトからホーフォードが３Ｐ。どうやら、この試合は「デュラントよりもテイタムの方がキックアウトが上手い」のがキーになっています。明らかにワイドオープンを打てているのはセルツ。お疲れなのかデュラントからブルースへのパスが減っています。
タイムアウトのネッツですが、デュラントはテイタム相手にやっぱりドライブせずにミドルを打ってミス。さらにブラウン相手のアイソはハンドルミスからスティールされ、速攻を食らいます。ドラモンドのオフェンスリバウンドや、セスの３Ｐで何とか繋ぎますが、デュラントは困りまくっています。なおカイリーに至っては存在感ゼロ。ゼロの方がどっかで爆発しそうだけどね。
今度はテイタムのハンドルミスをドラモンドがスティール。カイリーのミドルは決まらず、ブラウンに至っては自分の足にドリブルしてターンオーバー。主役が消えている試合。「消されている」から「消えている」になってきた後半です。勝手にミスしている。
テイタムがフリースロー１本ミスしたと思ったら、デュラントは２本ともミス。カイリーのドライブはグラントがブロックし、テイタムの３Ｐはブルースがブロック。もうマジで主役がいないぜ。そしてデュラントが疲れているぞ。疲れることなんてないと思っていたオフェンスマシーンも人間だったのか。
そんな感じで、ややセルツペースで進むとタイスのジャンパーやスマートのフリースローで同点に。セスが４ファールになり、ドラモンドを下げてしまったネッツはオフェンスにならない。ドラギッチの爆発が再び来るのかどうか。
ドラギッチが来る前にレフリーコールが増えまして、ボーナススローが与えられていくネッツ。そしてブルースのオフェンスリバウンドからミルズの３Ｐで、またもリードするのはネッツ。どうも追い抜けないセルツ。ブラウンがタフなドライブを決めるも、デュラントにはフリースローを与えてしまい、９０－８５で３Ｑが終わります。
◎人の子
休んでいたセスが３Ｐでリードを広げると、ミルズのシュートミスもセスがリバウンド。セスはブラウンのマーク担当だったりして、フィジカル的に大変なはずだし、だからファールが増えているんだけど、よく頑張っているよね。ドラギッチもスティールしてディフェンスの奮闘が目立つ本日のネッツ。
オフェンスがマズいセルツはプリチャードがクラクストン相手の１ｏｎ１でミドルをヒット。何故かここでタイムアウトはナッシュ。２分半しか経っていないし、セルツはこの１本しか決まっていないのに、なんだったんだろ。しかもタイムアウト中にセスの３Ｐが２Ｐに変更されました。
タイムアウトの理由はデュラントを戻したいってことかな。でも、やっぱりミドルを選んで決まらない。逆に戻ってきたテイタムのキックアウトからブラウンの３Ｐです。そしてカイリーのミドルが外れると、ブラウンがカイリーを抜いてねじ込み。さらにプリチャードのステップバック３Ｐで逆転。
デュラントの１ＯN１はグラントに止められます。ヤバいって。ブラウンは再びカイリー相手にフィジカル勝負でレイアップを決め、デュラントのミドルはテイタムがブロック。ターンシュートはブラウンのプレッシャーでミス。
グラントがオフェンスリバウンドを取ると、ブラウンが３Ｐ。大盛り上がりのボストン。
もうほっといても外しそうだけど、そういう気分にさせないのがデュラント。セルツは何度も何人でも激しくいきます。するとパスから久しぶりにブルースのフローター。うーん、これが続かなかったことがネッツの停滞でもあるよね。デュラントが捌けなかったのか、ブルースが合わせられなかったのか、チームメイトがジャマだったのか。全部あるな。
残り３分半。５点リードのセルツはテイタムがドライブすると、カイリーが思いっきり腕を叩きます。もちろんファールコールですが、納得いかないらしいカイリーのチャレンジ要求にこたえたナッシュ。ウソだろ。もちろん失敗でフリースロー決めて７点差。さらにテイタムがドライブからねじ込んで９点差。
今日の感じだと、ここから９点取るのはムリっぽんだよな。なんて思ったら、ブルースが見事にフロップ気味に倒れてホーフォードからファールコールを奪い、６つ目にしたのでコートから追い出します。まだワンチャンあるか。
しかし、残り２分。テイタムがアイソでプルアップミドルをヒット。まだ１２点差で時間も十分にあるけど、今日はもうムリだね。ってことで、セルツが２連勝にしたのでした。
〇デュラント
２７点
ＦＧ４／１７
ＦＴ１８／２０
セルツのハードで、ハードで、ハードなマークに苦しんだ側面はもちろん大きいけれど、そのハードマークに対してドライブの選択が出来なかったデュラント。ナッシュの酷使がたたったように見えました。
〇デュラントのプレータイムとドライブ
オールスター前 ３６分 １０．１回 ７．２点
オールスター後 ３９分 ９．２回 ６．８点
プレーイン ４２分 ７．０回 ４点
プレーオフ ４２分 ７．５回 ４．０点
うーん、史上最高のオフェンスマシーンも人の子だったね。ただ、恐ろしいのはこんなにシュートは決まっていないのに２０本ものフリースローを打っている事。殆どミドルに対してのファールなんだぜ。どんだけ怖いんだよ。
間違いなくディフェンスが効いてシュートミスが多かったデュラントですが、ミスさせるほど激しく守り、ファールしても仕方がないというセルツでした。だから、批判するようなスタッツでもありません。ちゃんとファール貰って２７点は取った。
〇アービング
１０点
ＦＧ４／１３
１アシスト
こっちでしょうね。シュートを打たせても貰えなかった。ブラウンとスマートのマークが厳しすぎて何もできませんでした。後半はドラギッチとブルースの得点も伸びず、セルツディフェンスの激しさの前に沈黙したネッツでした。というか、前半はそれでも上手くいったんだから、続ければ良かったのに、どんどん個人技頼みになったからね。
そんなわけでベン・シモンズを復帰させるのかどうか。どうみても失速しているエース２人だし、プレーメイク力が足りていないネッツ。ぶっつけ本番プレーオフなんて聞いたことないけど、今の状況なら欲しくなるかな。
〇テイタム
１９点
ＦＧ５／１６
１０アシスト
〇ブラウン
２２点
ＦＧ９／１８
６アシスト
止められたのはセルツのエースも同じ。ブラウンは帳尻だけ合わせた感じです。ただ、テイタムのアシストが安定していました。ここが最大の違いだったね。後半もしっかりとパスを回してチームメイトの得点を促しました。厳しいマークをされる中で、次へと展開する能力の差が両チームの差でした。
言い換えればオフェンスのチームであるネッツだけど、ディフェンスでも対抗できていたわけで、セルツとしてはディフェンスが機能した以上は、もっと楽に２連勝しておきたかったところです。意外と粘られた。粘られたけど、勝ち切った。
ゲーム３も同じディフェンスが出来るのかどうか。舞台をブルックリンに移し、もっとファールコールが増える気がします。だから違う展開が待っていそうなんだけど、今のデュラントのドライブしない姿を見ると、オフェンス勝負でも勝つチャンスはありそうです。