ロケッツvsジャズ

2022/3/2

ロケッツはこれで最後になるかもしれません。ジェイレン・グリーンが活躍した試合なのでチェックしてみましょう。なお、オーバータイムまで行ったので、ざっくりと行くよ。ジャズはこの時期にロケッツに苦戦しちゃダメだろ。そこに何があるのかも合わせて確認だ。

◎走っとこう

序盤から凡ミスが多いジャズ。なんでもないパスアウトがズレるし、オニールはゴベアの頭より低いロブパス出すし。コンリーはパスなのかシュートなのかわからないロブでゴベアを困らせるし。イングルスが恋しい。

なので、早々にドノバン頼みが増えます。そのドノバンは1人で決めていくし、マークが寄ってきたらパスを捌くし。ほぼ完ぺきな前半でしたが、そうして作られたミスマッチにパスを出したら、ホワイトサイドがKJマーティンに押し出されてターンシュートを打つことすらできないし。

ジャズはドノバン頼みが強くなりすぎの傾向があって、ところが1人で何とかしちゃうから成立しています。それはとってもプレーオフっぽいし、せっかく補強した選手を使い切れていないっていうデメリットも大きいんだよね。ダニエル・ハウスが加わったけど・・・まぁどうでもいいか。

そんなわけでリードしたジャズなんだけど、ドノバンがいなくなったら一気にロケッツに追いつかれてしまいます。

ロケッツが対抗できるなんて珍しいと思ったら、スターターにマシューズがいる。なぜかマシューズで改善する謎のロケッツ。さらに開始早々にドノバンのエルボーを食らったテイトがロッカーに下がると、マーティンとマシューズが同時にコートにいるので、それぞれシューター担当兼オフボール担当になり、ロケッツはボールに寄ってくる選手が減り、スペースを保てて、すっきりします。

特に初めに目立ったのがマーティンだったので、なおよかった。コーナーからの3Pを決めれば、オフボールカットでの豪快なダンク。ボールを持たない担当が大きく広げた上に、インサイドも攻め込んだので、どうしても全体がマンマークへの意識を高めざるを得ないジャズ。

そして空いたど真ん中にグリーンが豪快なドライブダンク。ディフェンスは軽かったけど、それがまたスピードアップを生み出し、シンプルにパスでインサイドを攻略されて、そこからカウンターのように走って。そうするとゴール下からゴール下に走らざるを得ないホワイトサイドの遅さが目立ち始めるし。

すると、ホワイトサイドはオニールがオフェンスリバウンドをとって、自分はペイント内でドフリーなのに、一生懸命ディフェンスに戻っていた。なにしてんじゃ。戻る意識は昔より高いね。

前半だけで22点のドノバンにボコられまくったロケッツは、ゴベアにもFG6/6を食らいます。ところがゴベアの得失点差は△7でした。それはゴベアの責任ではないオフェンス問題と、例によってスナイダーなディフェンス問題がありました。

◎スモール

ロケッツはスペースを保てたオフェンスになりましたが、それは偶然っぽい。でも偶然じゃなかったのは「ゴベアなんてアウトサイドに引き出せばいいんだろ」という誰もが知っている攻略法をやるのに適したロスターだったこと。ウッドは初めからインサイドに行く気はないし、シェングンはポイントセンターだし、ほかあどうせ小さいし。

前述のマーティンのカットプレーも基本はそこ。自分たちでインサイドを空けておいての狙い通りのカットプレーに、ガードドライブでスピード勝負です。どこかの代表監督がやりたそうなファイブアウト戦術。

ただマジメなゴベアと違って、不真面目なホワイトサイドは外に出て来てくれなかったりするけどね。酷いんだぜ、スクリーンなんか何もなかったのに、勝手に近くにいる選手にスイッチしてボグダノビッチに外を追いかけさせてた。そんなわけでホワイトサイドの時間の方が守れてしまった奇跡。奇跡っていうか、ロケッツに3Pシュート能力が足りなかっただけなんだけどね。

いずれにしても、火力不足であっても、必ず誰かが空くことを知っているロケッツ。そうなるとパスも回るし、重たくならないぜ。それでも18点差まで広がったんだけど、残り1分でグリーンがミドルに続いてトランジション3Pもヒット。

ゴベアのアリウープダンクをタックルでファールしたマシューズなんてダークなプレーもあったけど、最後もグリーンがステップバック3Pをヒットし、前半は66-53と13点差で終わります。

まぁ見えてきましたね。ジャズがスモールに弱いという点をロケッツが活用しまくっている。というか、ナチュラルにそうしたい。その中でマシューズとマーティンがいることでハンドラーにはスペースが生まれ、よりやりやすい。

◎ゴベア過労

前半から気になっていた事ですが、ウッドのマークは初めからボグダノビッチなんだけど、ウッドはインサイドでポジションをとることを拒否します。スイッチからミスマッチを作っているはずが、インサイドに行かないし、ゴベアがいたらパスアウト。ビビっているようにしか見えないんだけど、それが結果的にアウトサイドオフェンスの徹底にもなっています。

あと、いつも「ウッドが持ちすぎ」に見えるのですが、今日は全然ボールを持たない。やっぱりビビっているよね。コーナーに移動してスポットシューターとかやってるもん。

そんな中、KPJがドライブから右手で上手いフィンガーロールを決めると、グリーンはドライブからフェイクでゴベアのタイミングを崩し、フェイダウェイ。ビッグマンがストレッチし、ガードがドライブで仕留める。ウッドに帰化してもらおうか。

インサイドに侵入してくるゴベアを止めることは出来ないんだけど、代わりにゴベアを苦にせず点が取れているロケッツ。そしてこれがホワイトサイドになったところでシェングンが1on1で打ち勝ってファールさせると、再びゴベアになったところでウッドが3Pをヒットし、さらにインサイドも決め切った。

初めはスモール戦略でゴベアを無効化していたけど、次第にビッグマンもインサイドで活躍し始めたぞ。それはロケッツ側の良さでもあり、ゴベアが走らされてて疲れ始めているようなジャズの事情でもある。なんせマジメなゴベアがピック&ロールに対して前に出て守らず、KPJにも3Pくらいます。点差がなくなっていった3Q中盤。

リバウンドに行くゴベアに足を引っかけたKPJだけどノーコール。ブチ切れのスナイダーがテクニカル。ロケッツにも、レフリーにも、あと実はスナイダーにも働かされているゴベア。

追い付けそうなロケッツだったんだけど、シェングンがゴベア相手の3Pを狙って連続ミス。狙いは良かったけど、決まらないとね。その後、マーティンがゴベアのダンクをブロックするスーパープレーで10点差で終わった3Qでした。

もうロケッツは守る気なんてない。諦めてる。諦めているんだけど、時にマシューズとマーティンのディフェンスでビックプレーもあるんだ。そしてジャズは、この展開になるととにかく守れない。解決策がない。ただオフェンスでどうにかできるから大きな問題にならないだけ。

◎変わらない弱さ

4Qもスピードで勝負するマーティンのドライブと、高さで押し切るゴベアのダンクから。そしてゴベアにマークされ空けられているヌワバが遂に3Pを決めて、ロケッツの狙いは加速します。なぜ、ゴベアを下げてゲイとフアンチョを並べるような対応をしないのか。なんならオニールとゲイでもOKなくらいだぞ。

それでもコンリーのパスアウトからクラークソンの3Pで二桁リードはキープ。キープ出来なきゃディフェンスを何とかするのかな。しないだろうなー。

ところが、ここまでの流れに反して、お互いに点が取れなくなっていきます。ロケッツは単純に足が動いてディフェンスの強度が上がった。まぁそれはジャズがビッグマンの強みを生かせなくなったとも言えます。ロブパスをキャッチできず、カバーに来たウッドに奪われたホワイトサイド。

そうしてジャズのオフェンスが長くなると、こちらもトランジションが減ったロケッツ。自分たちのディフェンスが軽かったら、そのままカウンターのスタミナもあったけど、しっかり守るようになったら、一呼吸いれはじめたな。

戻ってきたドノバンがディフェンス2人の間を抜け、ノーマークのレイアップ・・・をミス。このカウンターでグリーンが速攻を決め、点差は7点に。やっちまったエース。

そしてロケッツはゴベアにマークされているマーティンがコーナー3Pをヒット。たとえジャズのディフェンスに苦しめられても「絶対に打てるポイント」があるロケッツ。で、ジャズはゴベアを下げなくても、ボグダノビッチとマークを入れ替え、ウッドにゴベアにすれば済むんだけど、それもしないんだよね。

〇3P
マーティン 4/8
ウッド   4/7

いや、どっちでも一緒か。ここまでわかりやすくやられたら、違う手段にするよね。普通は。しかもグリーンがドライブからインサイドでゴベアとの1on1を制するんだもん。これだけやっても残り3分でまだジャズが6点リードしていたけど、ウッドの3Pで3点差。

しかし、ゴベアは何度もオフェンスリバウンドで救います。これがあるから辞められない。完全にオフェンスの人になっているゴベア。

〇ゴベア
オフェンスリバウンド 6
FG 12/14

えぐいな。もう完全にこの戦いになってきた。そんな中、本日酷いプレーをしているコンリーがロブパスをウッドに奪われ、KPJがゴベアをスピードでぶち抜いてファールドロー。フリースロー1本外したけど、残り1分で1点差にします。

ドノバンは囲まれながらのアタックでファールドロー。でもフリースローを1本ミス。お互いにミスだね。

ここでグリーンに勝負させないのがロケッツ。KPJとウッドのツーメンゲームを仕掛けますが、ウッドへのパスをドノバンがカットして再度ラインを割ります。グリーンにやらせて決めればヒーロー、負けても経験値&タンクが普通だと思うけど、どうなってるんでしょ。

再びウッドのハンドオフからKPJにいかせて同点に追いつくロケッツ。あっさりとやられるジャズ。この2人で来ることを読んでいて、ウッドのマークをオニールにしたのに、簡単にやられるっていうね。

結局、最後までディフェンスの酷さを示したジャズ。マジで特定の形にハメないと守れない。ハマらなくてもハメようとする。これが「ゴベアがガード相手の1on1でボコられている」なら救いようもあるけど、そうじゃなくて「ゴベアにカバーに行かせてフリーを作る」し、「カバー不要になる守り方は出来ない」んだもんなぁ。

それでもジャズのラストオフェンスは強引に仕掛けたドノバンがギリギリでキックアウトするとコンリーが3Pをヒット。多分ドノバンはトラベリングだけど、今日のレフリーはボールしかみていない。

ロケッツのラストオフェンスは、再びゴベアをスイッチさせる狙いだけど、ここはハウスが守り切ったのですが、苦しくなってウッドに戻ってくると、見事にゴベアの逆を取って打った3Pがブザービーターで吸い込まれ、オーバータイムです。

うん、これは頑張ったぜウッド。それは良いけど、マジでグリーンにボール持たせないね。

◎オーバータイム

なんだか久しぶりにハンドラーするコンリー。そこからゴベアとの関係は良いんだけど、ウイングとの絡みに乏しいよね。結局、ドノバンの1on1になっている。シューターみたいなコンリー。あと決まらなくなっているドノバン。

そしてマーティンのコーナー3Pにゴベアがチェックに行った結果、インサイドでウッドがオフェンスリバウンド。マジでこれってクリッパーズに負けたプレーオフそのまんまじゃん。コーナー3Pに引き出されて、リバウンド取られて。ロケッツが4点リードになります。

ってことで、もうコンリーのハンドラーもなくドノバンアタック。スピンからのレイアップ&ワン。ロケッツは再びマーティンのコーナー3Pになるも、これは決まらず。そしてドノバンがプルアップ3Pで逆転です。

今度はマーティンのドライブからキックアウトでマシューズの3Pになるも、これも決まらず。ドノバンはドライブフローターをミス。逆にKPJがカウンタードライブから&ワン。もうグリーンは完全に消えたけど、まぁいいか。

ジャズはドノバンがKPJに止められ、今度はコンリーのプルアップ3Pで再逆転すると、ドノバンのドライブキックアウトからコンリーのコーナー3Pで突き放します。っていうか、結局はこうなるんだよね。上手くいかないコンリーハンドラーに対して、コンリーシューターは悪くない。

タイムアウトのロケッツは、またもコーナーでマーティンが空きますが3Pをミス。結局、最後の最後で、この3Pが決まらなかったことがジャズに勝利をもたらしました。だからマーティン狙いで成功したといえば成功したけど、相手に委ねたディフェンスすぎて、テレンス・マンに負ける未来が待っていそうなのでした。

ってことで、あまりにもデジャブ過ぎたジャズ。それは何も変わっていないジャズ。デッドラインで補強した意味も分かんないし、どうするんだろ。

ロケッツはマーティンを使った方がいいってさ。マシューズよりもね。もちろんテイトよりも。その方がガード陣もウッドもドライブしやすい。この試合だけ見ると上手くいっているけど、自分たちでスペース消すし、選手の組み合わせがよくわかんないし。

さて、ドラフトはどうするんでしょうね。去年のドラフトで3人の1巡目を指名し、そこを重点的に育てていくと思ったら、今年のドラフトも待つんだもんな。普通に育てながら負ければいいのに、育てずに負けに行く変なチームだ。そんな1年でした、と何度も書くことになりそうです。

ロケッツvsジャズ” への5件のフィードバック

  1. わかりやすい説明ありがとうございます
    なぜ昨年より成績が大きく落ちているか疑問に思っていたので、とても参考になりました
    タックス払ってまでして今年にかけているはずなのに、対策している変化が見られない
    シーズン終了時に敗因をどうするのか、今から不安でなりません
    ユタは昨年が話題のピークで、どこでも記事が減少しているように見えるので、是非また試合の分析お願いいたします

    1. 去年は健康でしたしね。今年は、そこそこ離脱者もいて、イングルスの件もあって、ちょっと厳しい。

      イングルスを出したのは理解できるのですが、それがそっくりマイナスポイントになっているので、新加入を新たな刺激として利用できないスナイダー問題というか。

      1. コメントありがとうございます

        私もイングルスの件は仕方ないと思っています
        新しい選手使わずして、固定メンバーで負け続ける状態、ちょっと絶望的ですね

        ロケッツ戦の後に、ボグダノビッチが記録を作りましたが、ミッチェルのアタックに偏らずバランスの良い時は勝てるのですが、そうするとエースが調子を落とすという悪循環…

        でも、プレーオフに向けて、レギュラーシーズンで全ての選手を適材適所で使おうとしないコーチは、シーズン終了後敗因になってしまう予感です

  2. こんな状態のロケッツの記事をありがとうございます。ここまで全試合見てますが47試合出て、ラストポゼッションをグリーンに任せたのが2/28のクリッパーズ戦の1試合のみです。素材型のドラフト2位に対して本当に笑うしかないです。シュルーダー、ゴードンが欠場でテイトも途中からケガ、ウッドがパワーで負ける分ボールを持ちたがらなくシューターになってようやくボールを持てるグリーンですが、本当にずっとこの状態です。ケガ人が多くてハンドラーが増えて良くなった2月、ガレッジタイムで好き勝手やってるグリーンのが連動性0ですが得点を取っていて、サイラスは育成無理なんだなと思ってやりきれません。「グリーンにやらせて決めればヒーロー、負けても経験値&タンクが普通だと思うけど、どうなってるんでしょ」おっしゃる通りすぎて歯痒いです。フロントって大事ですね。

    1. サイラスは何考えているんでしょうね。
      このまま行くと、クビ以外の道はないわけで、フロントとどんな話をしているんでしょうね。

      コロナ直撃のオーナーなので、それは可哀そうですが、そういえば誰かにチームを売らないのかな。
      それが最速の解決策に思えるのですが。

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