ゲーム3
テイタムが50点を取って1勝をもぎ取ることになったゲーム3です。本日3試合目なので、テイタムの事中心に触れていきたいと思うのですが、「テイタムがステップアップした」といえばわかりやすいですよね。でも、実際の内容はかなり異なっていました。
それくらい論理的にセルツがネッツを攻略していきました。なので、不思議でも何でもない結果なのですが、ゲーム2の内容が酷かったので「なんで突然、論理的になったんだ?」という不思議さは付きまといます。
ブラッド・スティーブンスのセルツだった
なんというか、これが今日の感想です。それは今シーズンがそうではなかったからこそ感じる感想でした。
◎アービング
話は試合前から始まります。例によって意味の分からん理論を展開し、余計なことをしゃべり、いろんな人から批判されているアービング。ちゃんと調べてないので何言ったのか知りませんが、スマートやブラウンがファンに落ち着いた対応を呼びかけるくらいの問題に。
これで当然、アービングがボールを持つたびに大ブーイングなのですが、さらに火に油を注ぐプレーをしてきます。それはアービングじゃなくてブラッド・スティーブンスがね。これを真剣にやったのか、その場で偶然に出たのかわかりませんが、今シーズンは「天才」っぷりがゼロなので、HCが施したことにしておこう。
ボールを運んでオフェンスエントリーしたアービング。目の前にいるのは何故かロバート・ウィリアムス。えっ?なんで?
この時、スピード突破せず、パスを回したので事情はよくわかりませんでしたが、その後にダブルチーム相手には仕掛けたアービングなので、相かわらずの判断力だなって感じです。
2Q中盤になると、今度はアービングの前にグラント・ウィリアムス。さすがにロバートが1回出てきただけなら偶然だけど、今度はグラントなのだから、狙っているとしか思えない。
この対応はアービングを煽るだけでなく、どうせスピードについて行けないなら、サイズのある選手でジャンプシュートを打ちにくくすることにも繋がります。基本的にネッツオフェンスは5人が広がっているので、セルツもカバーを用意しにくいのですが、グラントが向かっていったときには3人がカバーに待っていました。
まぁ大方は普通のマッチアップなのですが、ハーデンとデュラントにメインディフェンダーをぶつけて、アービングには特殊対応していたセルツ。そしてレイアップすらも外すアービングには、積極性のかけらもなく、煽られて負けた選手にしか見えませんでした。
事実は本人しか知らないでしょうし、事実を語ることはないでしょうが、ヘンテコ対応はアービングの性格と試合前の問題からブラッド・スティーブンスが仕掛けたことにしておきましょう。
◎ジェフ・グリーンの不在
もう1つのニュースはジェフ・グリーンが足底筋膜炎で離脱することになったこと。こちらはメンタルでもなんでもなく、攻守に多大なる影響を与えることになりました。デュラントに次ぐマルチプレイヤーなので、その不在はネッツのインサイドを大いに困らせます。
試合開始からハーデンのステップバックに、ジョー・ハリスの3P、そしてデュラントのジャンプシュートで早々に15点リードになったネッツ。ここからアービングとデュラントが油断しているとしか思えない状態に突入し、1Qの間に追いつかれてしまうのですが、そんなメンタルの問題ではない現実的な問題も。
ディフェンス面でマルチなグリーンの不在がもたらす影響はわかりやすいですが、オフェンスでも問題が発生しました。
ネッツはダントーニっぽい5人が広がったスペーシングのチームですが、ハーデン以外にアービングとデュラントがいるので、起点もいっぱいあるし、広いスペースのいろんなところで1on1フィニッシュします。ハーデンスタートみたいに固定化されていない。
そこでパスを回し、楽そうなところで決めるわけですが、動かないグリフィンが出ているスターターは、インサイドはデュラントフィニッシュが前提だったのですが、交代で出てきたのはクラクストンなので、普通にポストにポジショニングし、そこにパスが出てくると1on1で押し込むだけなのに、押し込みに苦労します。まぁ仕方がない。
これまでのセルツならば、収縮して対応するのですが、本日は全然収縮してきません。だからクラクストンが打ち切るしかない。他の選手も同じです。
普段のネッツならグリーンなのでペイント内にポジショニングせず、コーナーなどに広がってのドライブが効果的だし、それ以前にスターがドライブしちゃいました。でも、今日はそうならない。ドライブしたらカバーはいるからね。それでも強引に行けばよいし、ハーデンが行けばクラクストンへのアリウープを決めました。
でも、アービングが話にならないから、突破するのはハーデンくらい。デュラントはジャンプシュート打つのでね。
前半のネッツはデュラントとハーデンが17点ずつで、2本の3Pにドライブを決めたジョー・ハリスが8点。ここまでは良かったけど、2点のアービングによって次がなく、セカンドユニットの時間に得点が止まってしまいました。
ドライブ中心のはずがグリーン不在でそうもいかず
アービングが何もしないから得点が伸びず
クラクストンが外したことで上手くいかない
そんな負担をクラクストンに賭けちゃダメだろ。何故かアライズ・ジョンソンも出てこなかったしな。
ジェフ・グリーンの不在はセカンドユニットを混乱させましたが、それ以上に「グリーンを出しておけば何とかなる」采配だったナッシュに混乱を生み出したのかもしれません。
◎何が起きたかセルツ
しかし、この試合で最も不可解なのはセルツがゲーム2とは別のチームになっていた事。ゲーム2で思い出すのは「史上最強のオフェンスマシーンにして、史上最高クラスのマルチディフェンダー」のデュラントでした。後者は言い過ぎですが、基本はテイタムのマークになってジャンプシュートを止め、テイタムが下がるとケンバのマークになって止めきっていました。
そう、テイタムはデュラントに完敗といっても過言ではありませんでした。ジャンプシュートに頼りすぎるから、ウイングスパンで止めに来る天敵みたいな存在に。しかし、一番変だったのは「なんで勝てないデュラントに向かっていくのか」ってことでした。スイッチさせればいいじゃん。
ゲーム3になってもネッツは簡単にスイッチしてくれます。むしろゲーム2が楽勝だったから、よりインテンシティのないディフェンスで選手が交差すればスイッチスイッチ。でもグリーンはいないんだぜ。
ギリギリのギリギリでハーデンを「マルチ」にいれたとしても、2人しかいないマルチディフェンダーなのに、スイッチをバンバンしたらどうなるかは、考えるまでもありません。ロケッツがマイクロボールで同じような選手を集め続けた理由がそこにはある。
そして今日のセルツは次々と選手がクロスする動きを繰り返すので、もうあっちこっちでミスマッチが発生します。前半21点FG8/15だったテイタムですが、デュラント相手に決めたのはステップバックミドルの1本だけだったような気がします。チャレンジしたけど決まらなかった方が多かったと思う。
オフェンスエントリーからペイント内・両サイドと選手がポジションを変えるので、ネッツは混乱。まぁ正直、混乱するほどのチームオフェンスじゃないのですが、ネッツなので混乱します。これは本当に「ネッツだから」としかいいようがない。
そのうえで、今日のセルツは誰もが意欲的にアタックします。これまではミスマッチを作っても「一呼吸おいてから」の仕掛けだったのが、今日はノータイムで仕掛けてくる。
ケンバのドライブから始まり、フォーニエもドライブにコーナー3P、スマートもトップから3Pを決めれば、トリスタンのゴール下にパスが通りまくる。これらがほぼスイッチしてからの形なので、確率も良くなりました。
そのうえで、グリーンがいない問題か、ラングフォードが何もしていないのにドフリーになって3Pをヒット。決まった瞬間にデュラントが「誰のマークだ」と怒っていたもん。ネッツが集中していないのが丸わかりなシーンでしたが、それを生み出すくらいセルツの仕掛けは早かったです。
また前半だけでトリスタンが7つのオフェンスリバウンドを取りましたが、これもスイッチさせまくっていたことで、誰もボックスアウト出来ず、自由にリバウンドに飛び込めたことが関係しています。
ネッツは間違いなく悪かった。でも悪さを引き出していたのもセルツでした。ゲーム2から考えると驚異的な変化ですが、本当はブラッド・スティーブンスってこんな感じだよね。相手の弱みを引き出しまくる。
◎メインイベント
後半になっても次々にマークを受け渡してしまうネッツに対して、スマートのパスからバランスアタックしていくセルツ。ただネッツも前半はマズいと思ったのかインテンシティがあがり、マンマークは強くなってきました。
そんな状況なので、次第に攻めていくポイントがテイタムになることが増え、そして狙うはアービングなのでテイタムvsアービングが連発されます。まぁこれで負けていたら話にならないテイタム。ってことでセルツが最大10点リードまで行きます。
でも、ケンバがファールトラブルになると、ハーデンとデュラントのアタックによってネッツが追い上げ、アービングのジャンプシュートでネッツが一旦は逆転します。
つまりは1on1の繰り返し勝負をしていると、ハーデンとデュラントに押し切られてしまうという事。ディフェンスは何とかしたいのですが、そのための武器も足りず、オフェンス面の改善の方が大切になります。
タイムアウトのセルツはここからオフェンスが変わります。正しくはインテンシティをあげたネッツディフェンスがマンマークで頑張るからヘルプも機能してきたので、個人技アタックだけでは決まらなくなってきたからの次の手が出てきます。
中身は大したことなく、1on1からのドライブキックアウトの繰り返し。でも、これも昨シーズンのメインシステムでありながら、今シーズンに出てこなかった形です。とにかくスムーズなパスアウトがないのが今シーズンだったのに、ここにきてパスが出るのはネッツのディフェンスが弱いからなのかな?
そしてこのテイタムからのキックアウトをスマートが3P連発でリードをもたらします。3Qに打った3本全てを決めきり、しかも1本はアービングのファール付きで4点プレーに。盛り上がる会場。さらにテイタムもアービング相手の1on1をジャンプシュート&ワン。
3Qのセルツはスマートが4アシスト。これが主にバランスよく散らすパス
テイタムが3アシスト。これが主に後半のキックアウト。というかテイタムのアシストは全部スマートの3Pでした。
ほぼテイタム&スマートで攻め切ったといえる3Qのセルツ。2人で7アシスト29点でした。チームは合計35点で8点リードにしました。
一方のネッツはチームで27点ですが、全部ハーデン、デュラント、アービングの3人でとった得点に。ってことで3人vs2人だったけど、2人の方が上回るっていうね。
テイタムは19点を奪いましたが、ほぼアービング、グリフィン、クラクストン相手の得点です。最後にハーデンからも奪っていたな。つまりはいろんなオフェンスパターンから生み出した局地戦を展開したわけです。昔みたいに「ここで勝てるのか」みたいな形ではないけれど、チームオフェンスの中で局地的に勝てるポイントで勝負するのは、すっごくブラッド・スティーブンスっぽいオフェンスでした。
うーん、なんで突然こうなったのか。そしてデュラント相手に仕掛けていたゲーム2は何だったのか。全くもって、こうなった理由はわかりませんが、内容的にはネッツの弱点を使い切ったことで得たリードでした。
◎ネッツの不安材料
テイタムがお休みの4Q序盤。関係なくセルツがリードを広げます。グリフィンは反応の悪さという弱点を晒すように、ヘルプに出てはトリスタンにゴール下に侵入されてプットバックされ、ケンバの3Pについて行けず、オフェンスはハーデンの3Pくらいしか武器になっていない。
4Qはディランと10点、ハーデン15点、アービング8点でチームで35点取ったネッツですが、それは個人技しかなかったって事です。ブルースがなんとかしようとしていたくらいで、今シーズン初めてチームオフェンスしているセルツを止める算段がなく、ダラダラと試合終了になりました。
一気に試合が決まることはなかったですが、これといって書くこともないので、めんどくさいのでまとめです。
ネッツの現状がよくわからないのですが、
ジェフ・グリーン ケガ
デアンドレ・ジョーダン ケガ?
TLC ナッシュの判断
アライズ ナッシュの判断
こんな感じで出てきませんでした。多分。
一番解せないのはTLCが出てこない事。スイッチ誘導されまくって抗えないのだから、ウイングの出番のはずでした。またクラクストンよりもアライズの方がこの形には向いています。
これらはHCナッシュの不安材料ですが、見方を変えると「TLCもアライズもデュラントで賄える」というポジション事情も出てきます。グリフィンの控えがクラクストンだったというだけ。
シーズン終盤はデュラント酷使が目立っていましたが、柔軟な対応が出来ないというだけでなく、そもそも欠場者が多くてナッシュが経験を積むことが出来なかったというのもあります。毎試合、その場しのぎで繋いでいくしかなかった。
そしてスターパワーで押しきれてしまうネッツだけに、なかなか味わえなかった問題でもあります。このシリーズだってゲーム3になり、グリーンがいなくなって初めて大問題になっただけだし。
〇デュラント
39点
FG13/24
9リバウンド
4スティール
〇ハーデン
41点
FG11/18
10アシスト
7リバウンド
いくらテイタムが50点を奪ったとはいえ、2人で80点のスーパーコンビがいたら普通のチームなら負けません。3Pも50%以上決まっており、これで勝てなきゃルールがおかしいレベル。
アービングが16点に沈んだとはいえ、ケンバも3P7本全部外して6点だしさ。
足りなかったのは圧倒的に「ハードワーク要員」であり、「ディフェンス要員」でした。クリッパーズが同じような状況でテレンス・マンとロンドのディフェンスに救われたように、ブルースやTLC、アライズを重視すべきだったと思います。
チームで一番得失点差が悪かったのがシャメットの△26でしたが、困っているからシューター使うと上手くいかないのはありがち。そもそもパス来ないじゃん。
まぁいろいろあるけど、ネッツ最大の不安材料であるナッシュの采配が際立ってしまった試合でした。正直、それがなければ、なんだかんだと最後はハーデンとデュラントで勝ち切っていた気がします。
セルツはこれでケンバさえなんとかなればね。ブラウンがいれば、さらにディフェンスでの違いも作れましたが、それが出来ない中では局地戦を制していけた勝ち方は「これしかない」って感じで、弱者の戦略が上手いブラッド・スティーブンスっぽかったです。
テイタムのスーパー感よりも、HCが目立った試合でした。ハーデンとデュラントもスーパーだっただけにね。
やっぱグリフィン足引っ張ってますよね。
試合見ててもリバウンド競り負けるわボックスアウトしないわリムプロできないわスクリーンやカッティングで澱んだオフェンスを動かすでもない。
ホントグリーンの不在が痛い痛い。
仰るように何よりもナッシュが駄目。
クラクスもグリフィンも完全に攻略されてるのに、下げるでも策を伝えるでもなく放置。
BKNはシリーズ敗退するとは思いませんけど、苦戦してKDが怪我しようものならシーズンエンドです。
誰かハードワークできる選手がいないものか……
グリフィンはベンチメンバー相手がベストな起用法だったみたいですね。オルドリッジのアクシデントが尾を引いてます。
もともとデアンドレと組んでいて、ゴール下仕事サボり気味なので、ワンビッグになるにはハードワーク足りないですね。
という認識をナッシュがもってないのかなー。アマレもいるのになー
ゲーム2と打って変わってスティーブンスらしく正しくオフェンスしているゲームが観れました。特に対アービングは消耗に繋がると思うので徹底してやり続けてほしいです。しかもアービングはなぜかエース級にマッチアップするとなぜか前のめりになってオラつく所があるので、ファウルがかさんでくれればなお良し、、、
それとテイタムがこれだけスーパーな活躍を毎試合するのは厳しいので、ケンバにもしっかり仕事をしてほしいです。テイタム以上にスピードでギャップを作れる選手なので、PnRでインサイドを使いながらネッツDFを攻略していってほしいです。
ケンバさえ、もう少し良くなれば。ハーデンあたりを狙うことで、スタミナ消費も目指せますしね。
ブラッド・スティーブンスのセルツに戻るなら、そう簡単には負けないはず!
中盤にKDへのダブルチームを何回か見ました。3−2ゾーンのような感じで、前3人居てダブルチーム→ローテーションのような形で。だからって二人で80点取られたらわけないですが。
カイリーへは、小さいガードに手が長い選手をつけて、パスもジャンプシュートも打ちにくい、抜かれてもレイアップもチェイスダウンするって発想はスティーブンスらしいかなと思います(ブラウンが居ないので)
プリチャードの代わりにロミオ、ジャバリの代わりにグラントを出した感じ、より大きくシステマチックに守ろうとした感じはしました。問題はオフェンスですね。
ネッツはダブルチーム対応がうまくないですが、ジョー・ハリスもいてシューター強烈なので、出来るだけ使いたくないんですよね。
ラングフォードが3P決めたのも大きく、ディフェンス優先の起用をしやすくなりましたし、もう一工夫が加わると面白いのですが、何かあるかな?