プレーオフ①ブレイザーズvsナゲッツ

ゲーム3

舞台をポートランドに移すゲーム3。ここまではブレイザーズ優勢だけど、1敗したら元に戻ります。あるいはナゲッツが1勝3敗になることも怖いから、どれも一緒か。

◎ナゲッツの弱点と強み

試合はリラードとマカラムのアタックが鮮やかに決まりブレイザーズが先手を取りました。リラードはカンパッソをスピードで抜き、マカラムはリバースをハンドリングシェイクでベイクしていました。さらにリラードはスイッチさせてvsMPJでアタック。ついでにMPJにマークされたコビントンにヌルキッチが見事な裏パス通しています。

さて、これらのプレーで大切だったのは「抜いた」ことに加えて「ヘルプがいない」ことでした。正しくはリラードがカンパッソを抜いたら、そこにはMPJがいたのですが。

つまりブレイザーズはアイソ気味の形を作り、リラード&マカラムの突破を狙ってきましたが、そのゲームプランは「MPJは楽勝」だったと思います。1年前は腰の引けたディフェンスでドノバン・ミッチェルにボッコボコにされたMPJですが、ここではアグレッシブに向かっていって簡単に抜かれていました。

ナゲッツの弱点を利用しに来たブレイザーズでしたが、運の悪い(?)ことに早々にMPJはファールトラブルになりました。これでベンチに下がると、どこから攻めるのか、なんかイマイチになってしまった。もちろんリラード&マカラムってことは変わらないのですが、そこはナゲッツも警戒しているので、ダブルチームもしてきます。

その後のパスが出てからの対応があんまり良くないブレイザーズなので、フリーになったはずのヌルキッチだけど遅れてきたディフェンスに苦労するから、確実なフィニッシュには持って行けないんだよね。

〇前半のディフェンスレーティング
MPJ
オンコート 144.4
オフコート  95.2

13.5分プレーしたMPJでしたが、とにかくMPJがコートにいるとディフェンスが崩壊していました。ちなみに2Qにもファールして3つになったのですが、うち2つがオフェンスファールだったので、本当にブレイザーズは運が悪い(?)

MPJがいなければ守れていたってことになります。ただMPJは酷いディフェンスレーティングの代わりに、チーム1のオフェンスレーティング139を叩き出してもおり、別に大きなビハインドを生み出したわけではありません。止められない3Pを決めて貢献もしていました。

そんなわけでMPJがいなくなるとオフェンスが困るような気がするナゲッツ。マレーやバートンもおらず、シャキール・ハリソンやマーカス・ハワードが出てくるんだから、かなり大変だ。

でも、「シーズン中にいろいろ仕込んでいる」のもナゲッツ。ブレイザーズの流れになりそうなところをヨキッチがポンポンと3Pを連発して止めると、そこから3オフェンスくらいゴードンPGのアタックにし、これがボール運びからそのままドライブ成功させるゴードンになってしまいます。前半は7点のゴードンですが、ほぼここで取っていたな。

そしてベンチから出てきたモンテ・モリスはチーム全体を使うゲームメイクから5アシスト。ジャマイカル・グリーンが2本の3Pに、オフェンスリバウンドのねじ込み。ヨキッチもハンドラーではなく、合わせのカッティングで得点し、ベンチに下がったらミルサップ中心で組み立てる。

ブレイザーズがどうしてもリラード&マカラム起点のオフェンスになっていくのに、ナゲッツの方はPG役がころころ変わり、誰もが合わせのプレーもしていくので、非常に止めにくい。なお、止めにくいけど、選手の能力が優れいているわけじゃないので、効率的ではないよ。

ブレイザーズはヌルキッチがやけに積極的にスティールに飛び出てくるディフェンスをしており、攻守にいくつかの策を持って臨んできたのだと思いますが、MPJがファールトラブルでいなくなり、誰もが起点になってくるナゲッツオフェンスに後手を踏んでいったのでした。

リラード&マカラムの方が強力なのは間違いないけど、何をしてくるのかわかりにくいナゲッツは止めにくい。そんな感じで、ナゲッツが最大12点のリードを得たのですが、スターター同士になるとブレイザーズ優勢なので、前半終了と後半開始のスターターが出てくる時間帯にブレイザーズが追いつく試合展開なのでした。

◎ヌルキッチ

後半になるとゲーム2同様にリラードに対してゴードンになります。これが3Pを止めるのに効いているのですが、面白いのは「抜かれた時のヘルプがカンパッソ」になっており、リラードのレイアップを叩いてターンオーバー、ヌルキッチからチャージドローなんていう形で、180cmもない選手のヘルプが機能します。高さよりもスピードが大切。

ただヌルキッチがチャージングしたのは、ヨキッチがリラードやマカラムにダブルチームにでも行かないと止めきれないっていう事情もありました。だからヌルキッチにパスが出てきたのだけど、それをカンパッソが止めるっていうね。奇妙なディフェンスで成立させていくナゲッツ。

ブレイザーズの方は例によってコビントンのカバーが効いており、ゴードンのゴール下を外させるし、カンパッソのドライブは止めてしまいます。ただ、ヨキッチの3Pは止まらない。これで再び突き放しますが、やっぱりゴードンじゃリラードのドライブは止めきれるわけもなく、アタックして得点をとっていくし、カーメロへパスを渡すと3Pで再び2点差にします。

ここから再びヨキッチが決めに行くのですが、ヌルキッチはヨキッチのマークとは違うところで奮闘します。3Pラインの外にいるヨキッチのマークだけど、MPJがドライブしたらゴール下まで戻ってブロック。普通のセンターならやれないやつ。

またオフェンスではヨキッチがヘルプに出まくるため、自分はゴール下に飛び込んでオフェンスリバウンド。カンパッソに止められたのが悔しかったのか、そこから良い働きでコビントンと共にブレイザーズを支えていた。・・・のですが、リバウンド争いで倒れていたところに、MPJがリバウンドキープして着地してきたので、4つの目のファールになってベンチへ。

ゲーム2で6ファールのヌルキッチですが、非常に広いエリアを動く必要があり、極めて大変な役割です。奮闘したくても奮闘しきれないし、どうしてもファールが増えてしまう。ヨキッチがこんなに3P決めなければ話は違うのですが。

仕方なくカンターに変えるのですが、ゴール下のヨキッチの顔を叩いて、フレグラント1。っていうかヌルキッチでギリギリなのをカンターが間に合うわけないよな。そんなこともあってブレイザーズはRHJを使ってスモールラインナップに。

そんなこんなでヨキッチを守る難しさが溢れている3Qになりました。ヌルキッチは良いとしても、やっぱりスピードのあるビッグマンを1枚用意しておかないといけません。レイカーズならADがいるね。ブレイザーズはこのエマージェンシーでRHJが出てきて、貢献していますが、本来はジャイルズだったんじゃないの?

なんでテリー・ストッツがそこまでジャイルズを嫌がっているのかわからないのですが、単にそういうことではなく「状況によって選手を使い分ける」ことをしないと苦しいなーっていうのが感想です。序列で起用しているストッツなので、そういう発想に乏しい。

丁度、レイカーズがサンズ相手にはハレルではなくガソルを選び、ナゲッツはこうやってベンチメンバーを使って行けるわけだしさ。せっかく用意していたジャイルズがもったいないなー。いずれにしてもゲーム4以降もRHJを積極活用したほうが面白そうです。

なお、終盤にゴードンをマークしていたヌルキッチが退場し、コビントンとカーメロのコンビを選んだストッツ。これは成功していましたとさ。

◎ハイパーリラード

珍しくMPJがシュートミスを連発し、ヨキッチまで外したのに対して、ブレイザーズベンチにおける最大の武器であるカーメロが3P連発で追い付きます。ここだけは使い道が多い。でもパウエルがきたら起用されないデリック・ジョーンズとかもさ・・・

さらにカーメロはヨキッチを止めます。ビックリ。なんというか神通力で守っている。あとヨキッチ疲れている。マレーとのピック&ロールがないからか、明らかに動かないことが多く、センターラインにばかりいる。疲れからか簡単なシュートミスが増え、張り付いてくるカーメロに大苦戦しています。つまり抜けなくてもサイズ差があるから打てるんだけど、外しちゃう。

もしもマレーがいたら、ドライブで突破してくるからマークもズレるのですが、今はヨキッチが自分でなんとかするしかないナゲッツ。でも、リバーズが助けてくれました。

ポストアップするヨキッチからコーナーのリバースにパスが出て3P
ポストアップするヨキッチへパスを出せなかったのでプルアップ3Pを決めるリバース

基本はヨキッチなんだけど、その周囲のプレーで再びアドバンテージを得たナゲッツ。うーん、どうなんだろ。決めたリバースは誉めるにしても、やっぱり勝負所でヨキッチに頼るしかないのは厳しいな。

逆にそもそもリラード頼みのブレイザーズですが、3Pは打てなくても簡単に抜けるので、次々にドライブしていきます。ところがパスアウト3Pが全然決まらない。マジか。勝負強さが売りだったのに・・・

それでもリラードはドライブを決めるし、ゴードンとヨキッチ2枚来ている上から3Pというハイパーっぷりを発揮し、同じく2人を抜いてMPJのヘルプが来る前にダンクでフィニッシュ。ハイパー。本当にハイパー。

〇残り3分のリラード
11点
2P1/1
3P3/6

結局、ゲーム2では効いているかに見えていたゴードンのディフェンスですが、もう通用していません。普通に3P決められるし、抜かれまくるし。なんでモリスを起用しなかったんだろ。

リラードのハイパーっぷりがあって、残り3分から19点を奪ったブレイザーズでしたが、リバースが決めた2本の3Pが大きく、最後まで粘ったものの追いつくことは出来なかったのでした。

なお、残り1分から3P連打で驚異の追い上げを見せたので、やっぱり「抜かれてもいいからゴードンが正解」な気もしてきます。難しいな。

◎どうなんだろ

内容的に言うと「ナゲッツの方が強かった」という展開で、リラード&マカラム中心のブレイザーズに比べると、MPJがファールトラブルになろうが関係なくチームオフェンスしていたナゲッツでした。

ただ、どうみてもリラード&マカラムの突破の方が強烈で、ナゲッツの方が「止める方法がない」ように見えています。手を変え品を変えのディフェンスだったから、攻略にてこずっただけで、ゲーム4は何とでもしてくる気がします。

ある意味、リラード&マカラムのスタミナ勝負になるかもしれません。そのためには負担を減らせる工夫も必要で、デリック・ジョーンズやRHJでディフェンスとカバーリング重視の方が良さげですけどね。

止める方法がないのはヨキッチも同じですが、既にちょっと疲れていそうだし、1人だからね。高さで押し込まれてもいいからスピードで上回る相手を付けて、トランジションにも持ち込みたいかな。

36点のヨキッチは許容範囲として、21点のリバースにやられた形ですが、まぁ1試合に1人はそんな選手も出るよ。そもそも全部を止められるようなディフェンス力なんて持っていないんだしさ。

〇3P
ナゲッツ 53%
ブレイザーズ 31%

しかし、この差では勝てないよね。チェイスしきれていないブレイザーズなので、ディフェンスを考えてください。オフェンスは相手が誰でも抜けているから大丈夫でしょ。

そんなわけでナゲッツの強みが十分に出たけれど、だからといってゲーム4がイージーになるようには全く見えないのでした。そろそろバートンくらい戻ってきてくれた方が良さげ。誰もリラードを止められないナゲッツでした。

プレーオフ①ブレイザーズvsナゲッツ” への1件のフィードバック

  1. この日のヌルキッチは悪くなかった。展開としては完全に勝ちゲームでした。リバースの3Pが余計でしたね。そんなに続きはしないでしょう。後はカーメロ以外のベンチが働かない。スモールならインサイドを生かせるはずのカンターも駄目だし、RHJやジョーンズに得点は期待出来ない。ベンチがもう少し頑張らないとね。選手は居るのだから。
    第4戦は圧勝でした。実質ヨキッチだけなのでそこを止めるとこういう試合展開になります。スターター同士なら勝てるはず。このままの展開で次も行きましょう。ヌルキッチがこの調子なら絶対に勝てるはずです。

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