プレーオフ①レイカーズvsサンズ

ゲーム3

まさかのツービッグを選択したゲーム2のヴォーゲル。エイトンへ最大の敬意を払い、クリス・ポールに「肩が痛いんだろ?」と投げかけて勝利を得ました。しかし、それでも7点差だったので、サンズにも十分に勝機はあります。

ゲーム3で何を変えてくるかと思ったらクリス・ポールはそのまま。サリッチではなくカミンスキーにしてきたくらいです。一方のレイカーズはよりハッキリとツービッグの形を選び、ハレル、モリス、ホートンタッカーを起用しませんでした。代わりにシューター系統のマシューズがプレータイムを増やし、マクレモアもちょっとだけ出ています。

正直、(ちょっと寝落ちしていたこともあり)何が起こっているのか理解に苦しむ試合でした。どうしてこんな形になっていったのか、ヴォーゲルが何を仕掛けているのか、本当に理解できないので、全て試合が終わってから感想を書くことにしました。

◎互角の1Q

1Qは28-27でサンズがリードしました。ここまでは互角って事です。注目のクリス・ポールはゲーム2ではピック&ロールを行ってもドラモンドが出てこず、エイトンを追いかけられる屈辱的な対応をされましたが、ここではハイピックを使ってドラモンドを出来るだけ外におびき出したところでエイトンへのアシストを決めています。

加えて2本のミドルもヒットし、レイカーズの狙いが成立しないことを示す立ち上がりになりました。言い換えると「クリス・ポールが機能していれば互角」ってことになります。

エンドラインのスローインになったとき、クリス・ポールのマークに行ったのはADという奇妙な光景もありました。ここら辺が何を仕掛けているのか、わからないところなのですが、ひとまずレイカーズはクリス・ポールに対しては「まだ肩が痛いはずだ」という前提の対応をしていました。

一方のサンズディフェンスはこれまで通りに見えましたが、やけにADが目立ち10点を奪いました。かなり謎なのですが、単にミドルを決めただけともいえます。

・・・いや、いえないかな。ドラモンドも出ている時間帯はインサイドに侵入できなかったはずが、今日は詰めることが出来ています。逆に言えばドラモンドが外に出てくることも。

本日のドラちゃんは、すごく良い部分と悪い部分が同じように出ていたので、トータル微妙なのですが、これまでと違ったこととして、レブロンへピック&ロールに行く事が多く、それも一回はゴール下まで行ってから「ダッシュで」スクリーンに向かいました。

「ダッシュで」がドラモンドらしくない。でも、これでエイトンを動かしていたのも事実でして、やけにエイトンがゴール下にいないなぁって感じです。その理由がイマイチわからないから困っていたのでした。

◎超ロースコアの2Q

1Qとうってかわって、2Qは16-12と信じられないロースコアになりました。フル出場したクリス・ポールが苦しくなり始め、ブッカーも4本全て落としたサンズが12点。なお、エイトンは堅実に2本全部決めました。自分でいかないから2本しかないけど、堅実さは随一。

一方のレイカーズもレブロン、AD、シュルーダーの3本柱でFG0/8とどうにもならず。ドラモンドが7リバウンドと奮闘したくらいで何もなかった2Qです。

さすがに決まらな過ぎたからか、マクレモアを投入したヴォーゲルですが、なんでホートンタッカーじゃないのかってところに、この試合の狙いが観て取れます。やはり1QのようにADにインサイドを攻めさせるのが前提で、3Pシューターを加えて攻めようとしました。

ADを有効活用してペイント内を攻略したい

これがレイカーズの狙いだったことは間違いないと思いますが、2Qが超ロースコアだったことで、もう1つハッキリしたことがありました。それはバタバタしまくっている展開なのに、レイカーズがスローダウンを選ばず、フロントコートに入ったら即座にドライブしていく事が多かったことです。

つまりペイント内を攻略するために、トランジションを増やして個人でのスピード突破という手法をチョイスしました。クリス・ポールがいるとはいえ、ブッカー、ミカル、ペインというガードが並ぶサンズ相手に、おじさん軍団が選んだ手法としては驚きでした。しかもホートンタッカーは使わないんだぜ。

〇試合のペース
ゲーム1 92.5
ゲーム2 91.5
ゲーム3 99.5

シュートミスが多かったことも関係していますが、顕著にペースアップしています。サンズはハーフコート徹底のチームで、組み立てたがるのですが、レイカーズがレブロンやシュルーダーがボール運びからそのままアタックするのが目立ちました。

〇レブロン
21点
ペイント内 16点
フリースロー 2点

〇シュルーダー
20点
ペイント内  8点
フリースロー 7点

だから実はADとみせかけて、この2人の方が顕著にペイント内だらけになりました。それぞれ3Pは1本しか決めておらず、とにかくインサイドアタックで得点を繰り返していきました。

ツービッグだし、どう考えてもインサイド渋滞なのですが、ガソルはアウトサイドにいるってことと、ドラモンドは後半8分しか起用されず、クズマがメインになったのでロースコアの前半から後半になって試合は大きく動いていきます。そのクズマは後半だけで6リバウンドと起用に応えてしまうんだから恐ろしい。

◎走った先にあったもの

クリス・ポールもやっぱりダメってことで後半は8分のプレーに留まりました。レイカーズはシュルーダーがフルコートではクリス・ポールをあおりまくり、ハーフコートでは無視してブッカーにダブルチームで襲い掛かっていました。「間違いなく痛いので虐めます」というサイン。

そしてレイカーズは3Qだけでレブロンが10点全てペイント内で、ADは18点をペイント内+フリースローで奪いました。2Qは得点にならなかったけど、3Qになって一気に点差を付けに行ったのでした。

特にサンズはクラウダーがファール4つになったため、交代することになり、カム・ジョンソンがレブロンのインサイドアタックにやられた印象です。

んーーーとはいえねー。アンフェアなんだよね。なんでインサイド渋滞させているレイカーズの方がインサイドで得点が取れるのか。サンズはエイトンに渡すことが出来れば点は取れますが、そう簡単にはパスを通させてもらえませんでした。クレイグやカム・ジョンソンが3Pでなんとか食らいついたけど、13点差まで開いて3Qが終わります。

ただ、ここらでサンズの苦しい事情にレイカーズが付け込みに行った気もしてきました。「エイトンは安定して決めてくれる」のですが、エイトン以外はムリ。それでいてレイカーズはひたすらペイント内アタックしてくるので、エイトンはディフェンスでも重要でした。

ひょっとしてツービッグで戦わせることで「エイトンしかいないインサイドを疲れさせたい」というのが狙いだったのか。ついでにいえば「クリス・ポールがいないならブッカーの負担が大きいはず」というのも、トランジションの狙いだったとしたら?

サンズが今シーズン成功している理由に「ハンドラーを極限まで減らす」という戦略がありました。上手い選手を集めるのではなく、役割分担をはっきりして得意な武器で戦わせていく。

クリス・ポールが厳しい中、ジャボン・カーターを起用しなかったので、サンズはブッカーとペインしかハンドラーがいません。それはレイカーズからするとディフェンスターゲットを絞りやすくもなっています。KCPがブッカーをチェイスしまくった上でヘルプまで用意できるのだからね。

なお、KCPが足を痛めて離脱するのですが、そこからマシューズが素晴らしいディフェンスでブッカーを追いかけまくりました。まぁ残っているスタミナはマシューズの方が遥かに多かったしさ。

ってことで、共に41分出場したブッカーとエイトンに対してランニングゲームかつペイントアタックして疲れさせるのも戦略の1つだったのでしょうか。それにしては簡単に抜きまくっていたので、そっちの方が謎なんだけどね。

◎レイカーズの事情

そして2人が休んでいる4Q序盤。インサイドを攻めまくった中でマシューズの3Pが決まって18点差になります。2人が戻ってきても最大21点差まで開き試合を決めたレイカーズでした。

〇3P
レイカーズ 7/28
サンズ 11/29

レイカーズの誤算は3Pが25%と振るわなかったことかもしれません。ペイント内を攻めたけど、本当は3Pとセットだよね。この3Pが決まったことでリードを広げた時間帯だったので、わかりやすかった。

しかし、そこからサンズも反撃します。それはブッカー、ブッカー、またブッカーではなく、マークが厳しいブッカーから両ウイングにパスがでて、ペインの3本を含めて3P5/7も決まった4Qでした。ブッカーは4アシスト。

レイカーズの油断もあったけど、この形がなかなか作れなかった試合でもありました。サンズ側が2Qに3P連発できていれば、試合展開も変わっていたかもしれません。

とはいえ、さすがに追いつけず、しかもフランストレーションを溜めたブッカーが終盤にドライブしたシュルーダーを思いっきり押して、フレグラント2で退場しました。諦めずに追いかけたことは良かったけど、諦めておけば、こんなことにはならなかったのにな。なお、クラウダーも退場。

〇ペイント内得点
レイカーズ 58
サンズ 38

得意のインサイドで20点もの差をつけたレイカーズ。勝因はハッキリしています。しかし、これに対してサンズが取れる策は、レブロンのドライブを止めるくらいしかありません。

〇レイカーズのペイント内得点
ゲーム1 44
ゲーム2 42
ゲーム3 58

〇ADのペイント内得点
ゲーム1 8
ゲーム2 6
ゲーム3 20

〇レブロンのペイント内得点
ゲーム1 4
ゲーム2 6
ゲーム3 16

ゲーム2までとは明らかに違ったペイント内得点ですが、特にレブロンとADは顕著でした。この2人を蘇らせることがヴォーゲルの狙いって事になりますが、ひょっとするといろいろ小難しいことを考えたのではなく「自分たちの良さを思い出そう。以上」くらいのものだったのかもしれません。

しかし、とにかく気になったのは、こうやって書いていくと「レイカーズの事情」ばかりが気になってくる事です。それだけレイカーズ側が仕掛けることが多く、ゲーム1→ゲーム2→ゲーム3と毎試合、違いが出てきています。サンズの方が追いかけるばかりで、何を狙ってきたのか探しにくい。

昨シーズンもやれることが「1つしかないけど強力」なロケッツに対して、ゲーム2以降は完封しましたが、ダントーニがやれることは本当に何もなかった。応援するしかない。ハンドラーが少ないサンズがクリス・ポールの不調により、策を講じにくくなっており、まさかのロケッツ状態です。

この負け方はゲーム2よりもショッキングです。ゲーム4に向けてインサイドを固めるのかどうか。モンティが何をしてくるのか注目したいのですが、それを上回るほどヴォーゲルが変えてくる可能性すらも否定できないのでした。

プレーオフ①レイカーズvsサンズ” への7件のフィードバック

  1. なかなかポイントゴッドを見切れませんね。
    それでも、日を追うごとに良化しているのは間違いないですが、現時点では足を引っ張っているのも間違いないですね。
    ここまでの戦いで、通用したもの、しなかったものを整理して、次戦に臨んで欲しいです。
    一番通用しているのはエイトンです。
    そして、ADを1on1で抑えているのもエイトンです。
    クラウダーは残念ながら、レブロンにはあまり通用していないように見えます。
    レブロンには、ブリッジズ、クラウダーよりクレイグの方が通用しているように見えます。
    ツービッグ+レブロンなら、エイトン、シャリッチ、クレイグが良いような気がします。
    PGのスタートはペインでしょう。
    game2、3の出来を見れば、明らか。
    空回りする時はありますが、ペインはやれますよ。
    少なくとも、今のクリスポールよりは全然良い。
    4Qは、ブッカーにハンドラー任せてもいいですが、ペインに35分はプレーして欲しいです。
    休んでるうちに、クリスポールが使えるほどに回復すれば、ラッキーです。
    ブッカーは、たまに感情を抑え切れずに、崩れる時もあります。
    キッチリとスクリーン掛けて上げれれば、また活躍出来ると信じています。
    次戦も最悪負けても仕方ないです。
    ジェボンカーター、イートワンモアなども試したいです。
    可能なら、スミスも。
    レイカーズも満身創痍なはずです。
    まだまだチャンスはあると思っています。

    1. レブロンに対しては誰と決めるのではなく、交代で対応する事でレイカーズ側に逐一違う対応を要求し続けるべきかなー。レブロンも本調子じゃないのですが、今日はドライブも多く、このままだと押し切られますね。

      なお、クレイグは一人オールコートが良いのでシュルーダーに当てるのも一案です。ツービッグよりも、ガード減らしてウイング増はどうかな?

      ハンドラー出来そうなウイングも1人は入れときたかったですね。ミカルが頑張るか。

      まぁこのまま終わったら、たいした経験にもならないので、エイトン以外の奮起は期待したいです

  2. このサンズの閉鎖感は去年のプレイオフのブレイザーズとロケッツ戦に感じました。ナゲッツとヒートは対抗していましたが、共通するのがアデバヨとヨキッチというスーパーなビッグマンであることから、キーはエイトンかなと個人的には考えてます。
    ただ、あの二人のように起点になれるのかと言われると疑問ですが。

    1. その二チームと似ているのは、まさに起点がハンドラーのみって事です。だからどうやって変化をつけるのか。
      サリッチのポストアップはひとつのオプションだと思ってましたが、使わない選択でしたし、何が残ってるかなぁ

  3. お疲れ様です。
    後半にデニスがポールを捨ててブッカーにダブル来て、当然ポールにボールが出るも何もできなかったシーンが印象的でした。
    選手層的にレイカーズのインサイドアタックはある程度はしょうがないのかなと思いますが、ブッカーへのダブルチーム対策としてモンティがどうするのかは見てみたいです。
    カリーのときも同じことをコメントしていた気がするので、意外とどうしようもないのかもしれませんが…

    レイカーズに関して思うのは、ヴォーゲルの選手の使い分けが絶妙ですよね。
    レイカーズもたくさん選手を連れてきていて、HCとチームの相性は抜群かなと感じました。
    あんなに選択肢があるとチーム内外から何かしら不満が出そうなのに少なくともプレーインからは全く感じさせませんよね。
    ヴォーゲルしか勝たん!

    最後に話は変わりますが、何か意図がなければ、例年通り2021プレーオフみたく記事のカテゴリー分けをしてほしいです。
    定期的に過去のプレーオフの記事を見てる人からのお願いです。

    1. カテゴリー作るの忘れてました。それはすぐに分けます。

      ヴォーゲルとペリンカでいうと、ペリンカの連れてくる選手をヴォーゲルが気に入ってるとは思えないんですよね。去年は特に酷くてウェイターズもJRスミスも、ついでにクックも、なんとも使いにくそうに見えました。今シーズンはセンターがね。ガードのエースキラーもKCPのみですし。

      でも、それでも、使い分けで成功するのは不思議で仕方がないです。カルーソ、THT、クズマを上手く育てているので、それがチームを救っているような。

  4. レブロンのドライブに対するサンズの対応は甘かったですね。
    game1、2はほとんどないムーブでしたから。
    あそこは行かないとダメですね。
    レイカーズ、スリーは入っていないので、なおさらです。
    やはりエンジンが掛かってきたレブロン対策が一番効果的だと思います。
    ブリッジズは、得点パターンを研究されているので、なかなか空かないし、クローズアウトも凄く速いし、その後のドライブ、ミドルのジャンパーすら打たせてもらえません。
    攻め方を変えていかないとプレーオフでは通用しませんね。
    今、計算出来るオフェンスはエイトンとブッカーのところだけ。
    これだけ高い確率で決められるエイトンを使わない手はありません。
    もっとエイトンのアテンプト増やすしかないのでは。
    そうすれば、自然と外も空くはずです。
    間違いなくダブルチームで止めに来るでしょうから。
    どうせフルメンバー同士なら分が悪いのは最初から分かっていたこと。
    思いきった采配が必要だと思います。
    自分なら、スタートはペイン、ブッカー、クレイグ、サリッチ、エイトンで行きます。
    ブッカーのレスト時はイートワンを使い、ブッカーのハンドラー時にはジェボンを使います。
    現状のクリスポールは足を引っ張るだけです。
    ただ、徐々に良化している、2日空くという事を考慮して見極める必要はあります。
    クリスポールの高確率のミドル、ここぞのスリー、パスワーク、NBAイチの統率力。
    クリスポールの回復が一番の勝利への近道なのは間違いないです。
    思いきるならディフェンスの良いスミスを使ってみるのも手です。
    レギュラーシーズン、それほど使っていないですが、最終戦でポテンシャルの高さを見せているし、将来サンズのインサイドをエイトンと共に担う人材です。
    もうちょっとレギュラーシーズンに使っていれば、プレーオフでも使い物になった人材ですが、序盤にNBAのスピードに対応出来ず、ケガもあり、出番はガーベイジタイム専門でしたが、その中でもスピードに対応出来るようになって来ています。
    game4、もちろん取りたいですが、まだ勝てる要素を探す時間に充てるべきです。
    可能性を集めて、ホームへ戻りたいです。
    モンティの手腕に期待しています。
    11年振りのプレーオフです。
    まだまだ愉しみたいですよね、サンズファンは。

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