ゲーム2
絵にかいたような負け方をしたゲーム1のナゲッツ。守れないであろうガード陣がリラード&マカラムに粉砕され、ヨキッチ&MPJは点を取るも、オフェンスの打ち合いではマレーがいないから分が悪かった。
しかし、形を変えるのは無理な話であり、少しでもリラード&マカラムを乱していくしかありません。一方でブレイザーズも打ち勝つしかないのも事実。そんなことを考えながらゲーム2を観ていたのですが、気が付いたら夢の中、危ない危ない試合を見る、でも気が付いたら夢の中、なんてことをしていたので、あまり記憶がないのです。
ということで、かすかな記憶と2試合のスタッツを見ながら振り返ってみましょう。
◎リラード
〇ゲーム1
34点
3P5/12
13アシスト
〇ゲーム2
42点
3P9/16
10アシスト
ハイパーリラード。どうしようもないレベルの活躍でした。しかし、ブレイザーズは単にゲーム2に負けたのではなく、109点に留まったわけで、ハイパフォーマンスの割にはチームオフェンスは続かなかったわけです。
リラードは止められないが、周囲を止めた
これがナゲッツがゲーム2で勝った理由です。一方でゲーム2も後半のリラードを10点に抑えたことで勝っています。チームメイトは38点なので、リラード以外を止めるだけでなく「リラードを止めればなんとかなる」ってのも事実。
このバランスをどうするのかがナゲッツディフェンスのポイントになるわけですが、ゲーム2の後半はアーロン・ゴードンがフェイスガードで3Pを打たせないことに成功したとも言えます。選手別のマッチアップデータとリラードの3Pをみると
〇マッチアップと3P
カンパッソ 7/9
MPJ 2/3
ヨキッチ 2/6
リバース 2/2
ゴードン 1/4
やはりサイズのあるゴードンに苦労したわけですが、カンパッソもこれはこれでマッチアップ回数が多い割にはアテンプトを抑えています。とはいえ、この確率で決められたらお手上げなわけで、素晴らしいディフェンスを見せながらも止めきれていない構図です。
ということでナゲッツからするとゴードンで光明が見えたわけですが、ここで大事なのがヨキッチとMPJのスタッツです。リラードはスイッチ誘導したら、高確率で3Pを打ってきます。ヨキッチなんて12回のマッチアップで6本も打たれています。
ならば勝負の行方は「スイッチ誘導できるかどうか」ってことになります。これがウィザーズなら楽勝なのですが、そこは「シーズン中にいろいろやっておく」ナゲッツなので、びっくりしたのはMPJのディフェンスでした。
自分のマークマンがリラードにスクリーンに行った瞬間にブリッツを仕掛け、スティール狙いの間に元のマークマンがスクリナーをかわすディフェンスが出来ており、以降のパターンが弱いブレイザーズの弱点を突くことにも成功していました。
ヨキッチもやるパターンではありますが、ディフェンス力に乏しかったMPJもしっかりこういうことが出来るようになったわけだから、本当によくやるよね。ゲーム3はブレイザーズ側がどうやってスイッチさせるか、あるいはブリッツ対策をどうするのか。そんなことが問われそうです。
ゴードンで守り切ったナゲッツですが、そこにはしっかりとチームディフェンスする前提もあったということで、思ったよりも上手くいったゲーム2の後半でした。
◎マカラム
〇ゲーム1
21点
FG8/20
0ターンオーバー
〇ゲーム2
21点
FG9/12
5ターンオーバー
あまり変わっていない活躍度ですが、注目点はゲーム1はアテンプトが多く、ゲーム2はターンオーバーが多かったこと。シュートに行かれるほど抜かれることが減った代わりに、ターンオーバーを誘発できたし、逆に高確率で決められたし。
5つのターンオーバーのうち、3つがモンテ・モリスなので、このマッチアップがキーになります。またリラードからマカラムにうつったカンパッソには相当イラついており、ボールのない所で押してテクニカルも食らっています。
ナゲッツとしてはカンパッソとモリスでマカラムを止められそうな雰囲気があり、リラード以上に感触は良いはず。だけど、ブレイザーズからしてもマカラムは高確率で決めているわけだから、ここのマッチアップに勝てば30点オーバーも期待できます。
ゲーム2だけでいえば、ナゲッツのディフェンスが優勢でしたが、この結果を続けるなら、それはマカラムじゃないでしょ。ってことで、リラードの件はチーム同士の対策っていう雰囲気ですが、マカラムに関しては
ゲーム3以降にマカラムが個人技で上回るのか
そんな戦いになります。テクニカルだらけだったゲーム2は乱戦に持ち込んだナゲッツの方に傾いたわけで、同じようにマカラムに対してフィジカルに仕掛けまくることが続くでしょう。
なお、マカラムに対してはブリッツを仕掛けても、そのまま抜いてくるので意味がなかったこともチームディフェンスを難しくします。
◎ヨキッチ
2試合通してディフェンスの作戦が成功していたのはブレイザーズの方でした。ヨキッチのスーパースターっぷりを堪能することでナゲッツを止めに行きました。
〇ゲーム1
34点
FG14/27
1アシスト
〇ゲーム2
38点
FG15/20
5アシスト
共にハイスコアになったものの、アシスト数が少なく、ブレイザーズはヨキッチにやらせることで連携遮断に成功しています。さすがに15/20はヨキッチを誉めるしかないので、「もう少しヨキッチがシュートを外せば」十分に勝機があったといえます。
ヌルキッチが守れないってならともかく、ちゃんとタフショットには追い込んでいるのに、決めまくってしまうヨキッチには手も足も出ません。シュートの上手いビッグマンはこれまでもいたけど、フィジカルに押し込むプレーも良ければ、シュートも上手いってのは新感覚。
なお、カンターになると抜かれるし、離してしまうしってことで、ヌルキッチほど難しいシュートに追い込むことは出来ていません。ここの関係性も含めてコビントンにスイッチする可能性があります。
ちなみにvsヌルキッチだとFG52%ですが、vsカンターだと73%まで跳ね上がります。可能な限りヌルキッチをぶつけることがブレイザーズには必要なことになり、ゲーム2でヌルキッチが退場したことはナゲッツにとっても大切な追い込み方です。
ヨキッチのアシストを封じ込めることに成功しているブレイザーズですが、そんなことが簡単に上手くいくわけがなく、コビントンのカバー能力も非常に重要で、上手くスペースに飛び込ませない形を作り、パスが通ってもハンドチェックして困らせることに成功していました。ゲーム2は2ブロック、2スティールとインサイドカバーとして奮闘。
コビントンとヌルキッチはディフェンスレーティングが115くらいなのですが、140近いカンターを筆頭に、チームで125なので、この2人はかなり奮闘している方です。ヨキッチ対策を徹底するために交代のタイミングを合わせて、2人を必ずコートに送り込む作戦も有効かもしれません。
ヨキッチで気になるのは、単に連携を封じられただけでなく、パスの出し先がかなり限定されている事でした。
〇ヨキッチのパス数
カンパッソ 25.0
ゴードン 11.0
モリス 10.0
リバース 8.0
MPJ 5.0
〇ヨキッチのパスから3P
カンパッソ 2.5
リバース 2.0
MPJ 2.0
モリス 1.0
パスの殆どがガードにだすことになっており、得意のMPJとのホットラインが潰されています。そのうえで3Pにも繋がっておらず、二重に苦しい。
ゲーム3以降もヨキッチが35点以上とることが必要になりそうです。ブレイザーズは過度にヨキッチに反応することなく、辛抱強く落ちるのを待つのが一番です。それが出来るヌルキッチと、パスの先をカバーするコビントンとの勝負がどう出てくるか。
◎MPJ
それぞれへの対策が進む中で、最も読めないのがMPJの存在。ブレイザーズからすると連携を消したけども得点を取られており、ナゲッツからしてもヨキッチ中心のオフェンスじゃなくて打開するのにはMPJが欠かせません。
〇ゲーム1
25点
3P1/10
〇ゲーム2
18点
3P3/6
試合結果とは逆になっているMPJの得点数。ゲーム1も3Pを決めていればナゲッツが勝っていた可能性も十分にあるわけで、ナゲッツにとっての「伸びしろ」な感じは半端ないです。2年目ですが、20点くらいじゃ物足りない存在になっているので、ゲーム3以降にヨキッチの得点が伸びなくてもMPJが30点オーバーするかどうかナゲッツを楽にします。
ちなみにMPJへ最も多くのアシストを記録しているのがミルサップの4つ。だからこの2人を同時起用するのもアリってことです。それだとゴードンのディフェンス力が足りなくなるからダメなんだよな。うーん、難しいよね。
MPJはシーズン中はヨキッチのパスを受けてインサイドでも3Pでも決めていくのが最大の特徴でしたが、そのラインを消されても、得点できるパターンが残っていることがシーズンを通してナゲッツが作ってきたことです。
いまいちオンボールでの1on1ドライブ能力が足りないMPJ。それさえあればデュラントなのですが、個人で違いを作りきれていません。シーズン前半はヨキッチに合わせたカッティング、コーナー3P、オフェンスリバウンドなんかが得点パターンでしたが、そこは「シーズン中にいろいろやっておく」ナゲッツ
シーズン後半になるとオフボールスクリーンの組み合わせで、MPJが抜け出す形を仕込んできました。特にマレーが離脱してしまったことで、この得点パターンが重要になったといえます。体半分抜け出しさえすればスピードあるドライブも持っているので、かなり怖い存在になれます。
そしてヨキッチとスクリーン交換するので、ナゲッツ的にはヨキッチのプレーも楽に出来ます。そのためにはカンパッソのパスが重要になるのですが、ゲーム2でもヨキッチのカッティングにきれいに合わせており、十分に期待できるのでした。
本来であればコビントンに対応させたいところですが、それをやるとカバーが足りなくなり、もっとMPJの得点が増えてきそう。基本はパウエルで対応していますが、MPJが止められなくなればデリック・ジョーンズに変更するかもしれません。
ということでゲーム1ではブレイザーズの作戦が上回ったけど、ゲーム2ではナゲッツ側がリラードを止める形を成功させた後半でした。それぞれ、相手の出方に対して対処する方法も残っているので、ゲーム3になって何が出てくるのかを楽しみにしましょう。
このシリーズの勝敗は良くも悪くもヌルキッチ次第と思っています。Gは相手の怪我もあり確実に上回るでしょう。ポーターにも30点以上取られなければパウエルと互角、ゴードンはコビントンがしっかりと抑えてくれます。ヨキッチに1対1でやられるのはしょうがなく、起点になりチームオフェンスをされなければ良いでしょう。
問題はヌルキッチ、やはりメンタルでしょうね。気性の激しさが良い方に出れば、チームのムードも格段に良くなり、スタッツに関係なく彼が張り切って、気分よくプレー出来れば自然と勝てると思っています。これまではレギュラーシーズンを含めて不甲斐ないプレーが続いています。去年の復帰直後のプレーと気迫を思い出せよヌルキッチ!
ヨキッチを止めるのはハードすぎる仕事で、今やリーグで最も止めにくい選手です。でも30点をとられるのはOKなわけだし。ファールアウトしちゃうのはね。
まぁお互いに個人でエースを止める選手が出てくるかな戦いなので、わかりやすい
このキッチ対決、元はチームメイトってとこも興味深いっすよねぇ。
セルビアとボスニアで本人たちは仲良しですしね。
若き日のヨキッチはヌルキッチを差し置いてスターターになるの拒否したって話もありますからね。
それが今やMVPか。