ウィザーズvsホーネッツ

2021/5/16

シーズン最終戦にして8位決定戦でもあります。それは通常のシーズンならばプレーオフを賭けたワンゲームサバイバルなわけですが、今シーズンは逆にプレーインがあるっていうね。

ウィザーズはビールが復帰してきました。しかし、試合開始からなんでもないところでボールをポロポロこぼしまくり。テーピングを自分で引きちぎってベンチに下げられ、テクニカルスタッフと揉めてもいた。とにかくコンディションが悪すぎるビールの存在は、この試合を大きく左右していくのでした。

◎ビールとベルタンス

ウィザーズのスターターはラス、ビール、八村、レンのお馴染みのメンバーにベルタンスを加えました。この時点で悪い予感しかしません。予想以上に足が動いていなかったビールに、いつもどおり足が動いていないベルタンスによってウィザーズディフェンスはボッコボコにされました。

後半になるとレンの出番がなくなりましたが、それだけベルタンスを優先していたってことです。通常であれば「ベルタンス・八村・レンを並べるなんて馬鹿じゃないの」で済むところですが、ビールの件に加えて相手がホーネッツなのだから「頭がイカレている」としか言いようがありません。さすがすぎるブルックス。

一方のホーネッツはニックス戦のスターターからゼラーを外し、ラメロ、ロジアー、ブリッジス、ワシントン、マクダニエルズの5人でハイペースを狙います。つまり、普通に考えてもウィザーズ相手なら取るべき戦略を、さらに強めてきたわけです。

ハイペースを狙うラインナップにしたホーネッツ
ベルタンスを加えてきたウィザーズ

当然のようにホーネッツが圧倒し、36-22とリードして1Qが終りました。ビールの件は仕方がなかったけど、ちょっと普通じゃない采配によって大きなビハインドとなってしまったウィザーズなのでした。

途中、ハッチソンが出てくるとロジアーだったか相手に良いディフェンスを見せました。この人、ガードを守るのが上手いっていう変な特徴があるみたいです。なので、必ずしも止められないってことはないのですが、上手くいきそうなラインナップになっても関係なく後退していたブルックスです。

そして後半を迎えるとレンではなくギャフォードにしてスピード対応も図りました。しかし、そのギャフォードが4ファールになってベンチに下げると、以降はギャフォードに出番なし。これも意味不明でした。使えるからギャフォードにしたのに、4ファールで忘れられるっていうね。

だから必死な試合展開に判断能力が見事に失われていったブルックスって感じです。「HCの差でホーネッツが勝つ」そんな展開まっしぐらだったのですが、本日は奇跡が起きました。

3Q8分が経過したところで、ベルタンスがスピードでぶち抜かれてファール。同じように抜かれてラメロのクビに後ろからラリアットを食らわせたところでフレグラント1がコールされ、さすがにブルックスはベルタンスを下げました。15点差まで広がった3Q終盤。

ここで登場したのが何故か前半に出番のなかったマシューズ。マシューズがコートに出てきてからのウィザーズはディフェンスが締まります。といってもマシューズ本人が劇的に改善させてくれるわけではなく、ラス、イシュ、ハッチソン、マシューズ、ロビンの5人になったことでスピード負けすることがなくなり、ホーネッツがお疲れな点も含めて、前半のようなハイペースに巻き込まれなくなりました。

7分のプレータイムながら+14の得失点差を記録したマシューズによって、4Q残り7分で同点となってマシューズがビールと交代でベンチに下がります。

この時点で「どうせベルタンスを起用するんだろ」と思っていましたが、驚くことに試合終了までブルックスはベルタンスをベンチに座らせ続けました。一体どんな風の吹き回しなのか。今シーズンを考えると理解不能なのですが、結果的にベルタンスが出てこなかったことがウィザーズの勝利に繋がっています。

相変わらずの采配を見せたブルックスと、後半にまさかの采配になったブルックス。意図的だったのか何なのかわかりませんが、ホーネッツ相手にスピードでぶん回されるメンバーにしてどうするって話なのでした。

なお、マシューズももう一度起用されることはなく、ハッチソン・ギャフォードと共にベンチに座っていましたとさ。

◎若かったラメロ

ホーネッツはほぼ完ぺきな対応を見せたのですが、ラメロvsベルタンスでスピードでぶっちぎりまくったのに、ラメロが外しまくってしまいました。手首のケガで休んでいたこともあってタッチが合わなかったのでしょうが、それでもフィニッシュが酷かった。

このフィニッシュの悪さはヘルプディフェンスが寄ってこないことにも繋がり、得意のファンタスティックなパスも封じられています。「封じられた」というよりは単にウィザーズが反応できていないだけの気もしましたが、いずれしてもてラメロが消えていたことがホーネッツの敗因です。

ホーネッツもケガ人が多く、今日は実質的に7人ローテだったので、単に選手がいなかった面もありますが、グラハムがディフェンスを読んだファールドローとプルアップ3Pで得点出来ていただけに、終盤はラメロを下げても良かったはず。

それをしなかったボレゴなのだから、ラメロはプレーインで結果を残しましょう。

ホーネッツの他の誤算としては、スピード勝負の中でイシュに負けてしまったことです。FG7/11に7アシストだけでなく、8リバウンドも記録しており、平面の戦いに持ち込んだけど、そこに伏兵が待っていました。ローテの人数が少なかったことで後半になって運動量が落ちたことも痛かった。

そんなイシュの活躍は数字以上に問題があって、ブルックスがイシュをコートに残す采配をしてきました。ぶっちゃけこれが一番大きかったような気がします。スピードでぶん回せるはずが、ガードを増やされてしまった。イシュがシュートを外していたら、ベルタンスが出てきたんじゃないの?

もう1つの誤算みたいなところは、ギャフォードが出てくるのに合わせてゼラーを起用し、そこは計算の範囲内だったでしょうが、ロビンに合わせてビヨンボを起用したけど、想像以上にロビンがフックを沈めてきました。かなりのタフなフックだったのに決められたことはボレゴの計算を狂わせたでしょう。

ここからロビンに対してもゼラーを使うことになったのですが、ビヨンボの時の方がタフショットだったんだよね。代わりにオフェンスで取り返すし、そもそもパスを通させないのはゼラーの方が上手いし。

ホーネッツからするとイシュとロビン両方にやられたことが痛かったのでした。片方なら別に何とでもなった気がしますが、後半はインサイドプレーを決められつつ、スピードでも圧倒できなくなってしまった。

◎お疲れウエストブルック

通算トリプルダブルを更新し、プレーインを決めたことに加え、ビールが欠場してしまったからか、ウエストブルックはお疲れになっていました。この試合もやっぱりお疲れな感じで、「どこかで加速するんだろうなー」という信頼の反面で、「加速してもミスだらけになりそうだな」という怪しさに満ち溢れていました。

本日は3ターンオーバーですが、むしろ調子悪くてターンオーバーする前に止められてしまった感じです。破壊力に欠ける中で、動けるホーネッツディフェンスがシャットアウトしていきました。

特に気になったのはドライブに対してコースに入ると、見事にハンドチェックでボールをたたいていたホーネッツの対応です。弱点というかクセを読み切ったようなディフェンスなので、プレーインでも流行るかもしれません。

そんなウエストブルックでしたが、後半になると帳尻を合わせるように、得点をあげて何とかチームを勝たせました。らしくないレベルの最小限だったので、ホーネッツとしては許容範囲だったはず

◎ビール

試合序盤は「あきらめた方が良いレベル」に酷かったビールですが、別人のようになって4Qに大活躍しました。これまでのビールにあった勝負弱さとは違い、外しても強気に打って決める姿は感動的ですらあった。

ケガのリスクが極めて高い中でのプレーでしたが、チームを勝たせるために奮い立った感じのビール。一皮むけたかな?

でも、これでプレーインってどうなんだろうか。勢い的にウィザーズがセルツに勝ちそうに思っていましたが、お疲れなウエストブルックとケガの影響が明らかなビール。普通にテイタムに粉砕される気もしてくるのでした。あとスマートね。

◎ホーネッツのウイング

プレーインに進むことになったホーネッツ。相手は突如としてオフェンスが変わったペイサーズ。流動性アタックならばサボニス中心のペイサーズに分があります。

必要なのはブリッジス、ワシントン、マクダニエルズがどれだけサボニスを封じられるか。サボニス本人を封じるのではなく、サボニス中心の連携を封じることが求められるので、かなり難易度の高いミッションです。

それでも伸び盛りなブリッジスとマクダニエルズってこともあり、この2人の活躍次第です。今日は3人で41点ですが、オフェンスリバウンドが3つだけで、ちょっとインサイドでチーム全体が封じ込まれてしまいました。スピードを生かしたカッティングと、運動能力でカバーするリバウンドなど、より全局面で存在感を発揮して欲しいところです。

ラメロ同様に、こういうプレー機会に恵まれたことで、選手の成長も促されるはず。促されないと、それまでの選手ってことだ。もうひと頑張りが必要なウイングです。

ウィザーズvsホーネッツ” への4件のフィードバック

  1. ラスにブリッジスをつけたのがかなり効果的に見えましたが、後半それをやめた時間帯があったのがラスを復調させたのかな、と感じました。
    でも、最終的にはボレゴとスコットブルックスの差をビールの精神力で埋めたという恐ろしい試合でした。試合後のビールとのやりとりやラスの擁護を見るに、モチベーターとしての能力は確かっぽいのが余計に切なく感じます。

    クリッパーズとの負け合いに負けたOKCファンとしては(笑)まるで別世界の試合でした

    1. ブリッジスもグラハムも止めるシーンがあって、上手いカバーしてましたが、最後はスリーガードにしちゃって、ラメロ下げてれば、、、っては攻守にあるんですよね

  2.  ポケットドリブル等多彩なフェイクとアジリティを武器とするアイバーソンに対し、ウエストブルックはシンプルにスプリンターとしてのスピードで勝負するスラッシャーだと認識してきました。(スピードを前面に押し出すあまり、もう少しボールハンドリングにも注力したらと思うこともありましたが。)
     そのスピードが年齢、怪我、疲れ等の体調面の為鈍った場合、癖等の弱点を突かれやすいという認識でよろしいでしょうか?それとももっと気になる点を感じられておられますか?

    1. 最近はドライブから始めないので、弱点を突きにくくなったのですが、ホーネッツはドライブさせて止めるの上手かったですね。普通は止めにくいところを上手くボールに手を絡めてました。

      それが何なんかは、よくわかりません。

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