バックスvsネッツ

2021/5/2

ハードなシーズンも終わりが見えてきました。プレーオフを見据えた準備をしていく時期にバックスとネッツの連戦です。お互いに手の内は明かしたくないけど、情報はしっかりと得ておく必要があり、それぞれデュラントとヤニスをどうしていくのか試したいところです。

イーストで唯一デュラントと真っ向から戦えるヤニス。一方でヤニスのオフェンスに対してデュラントで真っ向から戦うのは、それほど意味のある事ではありません。ヤニスばかりが攻守で疲弊しても意味がないし、複数の手段を考えないといけないのでした。

◎デュラント対策

バックスはスターターではないもののメインのマッチアップはタッカーでした。オフェンスの主役であるヤニスとミドルトンに負荷をかけないためにはタッカーが適任ではありますが、前半はデュラントに対して無力に近かったです。

タッカーの長所はサイズで負けてもフィジカルに強く、平面で抑えきれること。それ以上に相手のプレーを先読みしてコースを塞ぐ高速ヘルプです。しかし、マンマーカーとして考えるとスピードには対応しきれず、ブロック力も足りません。

そのためデュラントのドライブに対応しきれないし、ポストアップされると最後は高さで打ち切られてしまいました。ハードに守れてもタフショット関係なく決めるデュラントにタジタジって感じです。

デュラント無双の前半でしたがFG8/16なので「デュラントにしては」苦しんでいたともいえます。あとターンオーバーが5つもあったのですが、それはネッツがデュラントにやらせすぎッて感じだった。

バックスにとってポジティブだったことはタッカーなので「ボールも持てないほどのフェイスガード」にはならず、ネッツがスクリーンなどを使ってデュラントにボールを持たせるようなプレーをしており、割と頻繁にタッカーから他の選手にスイッチしていました。そして、そんな時にホリデーやミドルトンになってデュラントがシュートミスをしていました。

ペリカンズ時代もホリデーはデュラントを止めていた記憶があるので、ミスマッチ誘導のようでそうではなかったスクリーン。ただ、バックスはアービングを止められるディフェンダーがホリデーくらいしかいないので、そこでスイッチが発生するとアービングvsタッカーでより分の悪い勝負になりそうなんですけどね。

そんなわけで、あまり良い印象がなかったタッカーのマンマークですが、いろいろ考えていくと、それがベストなのかなーって感じでした。強烈にデュラントを防ぎに行くのではなく、一番リスクの少ない形に落とし込んでおこう。

1Qのネッツはデュラントが6点、4ターンオーバーだったものの、強烈な個人のポイントがあったことでパスを繋いでワイドオープンの3Pを打てるシーンも多く、37点を奪って最大14点リードになりました。

しかし2QになるとFG5/9でターンオーバーも1つしかなかったデュラントが12点を奪いながらも、他の選手で10点しか奪えず、バックスに追いつかれてしまいました。デュラントがスーパーになるほど、チームのリズムは失われていた印象です。

バックスからするとデュラントにやらせておいた方が守れるという図式。ただ、デュラントはFG80%とか普通にやってくるから、イージーシュートだけは避けておこう。みたいなリスク管理かもしれません。

◎ヤニス

意味わからないシュートを決めまくるデュラントに比べると、ヤニス対策は一般化されていて、アウトサイドは捨ててインサイドを重視して守りましょう。だからセンターがマッチアップするのですが、どこのチームもこのパターンをやるようになっています。

単にシュートが下手なだけでなく、フリーでボールを持つヤニスはあまり効果的なパスを出さないし、周囲のリズムは勝手に乱れるという利点もあります。ヤニス、ヤニス、ヤニスで攻めていくときのバックスは危険信号なので、2Qのデュラントと似ているね。

そんなわけでネッツもデアンドレ・ジョーダンがメインのマッチアップでした。大切なことはドライブされた時に高さで対抗できることです。カバーでジョーダンを使うよりは、直接マッチアップさせた方がノーヘルプで対応できる。

ただ、最近のバックスは特に試合序盤はホリデーのコントロールからチームオフェンスをしてきます。確かにヤニスは空くのですが、ボール運びから何からやるのと、ハーフコートでフリーになったところにパスが出てくるのでは意味が違うよね。

前半は3P1/3だったヤニスなので、3Pという点では悪くなかったネッツ。しかし、ポストアップするヤニスにパスが出てのミドルもフリーで打たせてしまい、これがバッチリ決まっていきました。前半は2P9/12と高確率で決めたヤニスは20点を奪いました。

シクサーズがバックスと対戦した時もエンビードがヤニスのマークでしたが、1本の3Pをきっかけにドライブで崩されまくりました。それはエンビードがヤニスのシュートに対して、そこそこ前に出たからこそスピードでぶち抜かれたわけですが、そんなエンビードに比べるとジョーダンはいくらなんでも離しすぎ。

ミドルなのだから3Pよりも確率良く決まるし、シュートが決まるから迷いが生まれているジョーダンはドライブでぶち抜かれもしました。本当はインサイドは止める前提なのに、止められなかったっていうね。

ネッツは割としつこくジョーダンに対応させたので、バックスのオフェンスは楽になりました。しかも、ホリデー相手にディフェンスを一生懸命やろうとしているアービングが逆にチームディフェンスとしてはバランスを崩すっていうか、2人もマンマークに集中していると他に手が回らないよね。

ミドルトンもハイポストのアイソなどを活用して前半だけで16点。ホリデーも13点とバックスのビッグ3に49点もとられたネッツ。これだけやられても互角なのだから悪くなかったともいえるし、止めるべきポイントを何も防げなかったともいえるし。

これをプレーオフまで続く前哨戦と考えたら、バックスの方が収穫の多かった前半であり、グリフィンやデュラントに対応させなかったネッツの方が隠した前半だったとも言えます。この試合だけで語りにくくい試合だね。

◎止まらない両エース

後半もヤニスをものすごく離しているジョーダンにより3Pがきまります。さらにポストアップからターンシュートにファールドロー。ヤニスを止められず、前に出れないのでペイント近辺からならノーチェックで打たせてしまいます。乗ってしまったヤニスはさらにもう1本3Pをヒット

こういう時って悩むけど「どうせ決まり続けるわけないからゲームプランを徹底する」なのか、「さすがに放置できないのでピンポイントでマークを変える」なのか。どっちが正解なのか難しいですが、あまりにもジョーダンがドフリーにしていることがヤニスを乗せているので、今日は後者を選ぶべきな気がします。

もしもバックスが一気にリードを広げていたら、タイムアウトでディフェンス変更だったかもしれませんが、やっぱりデュラントが決め返すので5点程度の点差で進みます。セカンドチャンスからアービングもジャンプシュートを決めていますが、個人技の匂いが強くなっているネッツです。でも関係ない。

5分経過してネッツがタイムアウトですが、特に対応を変えず。デュラントの3Pで2点差にしますが、またヤニスに取り返されます。なんとヤニスは16連続得点。止まらないハイスコアゲーム

やっとヤニスが3Pを外してくれたと思ったら、フォーブスが3Pにタフミドル。でもデュラントもタフミドルで返してしまいます。タッカーにファールされてたけどノーコールだったのでクレームしてテクニカルとられたけど。その後、普通に守っているとタッカーもじり貧なので、細かくハンドチェックに出てみますが、4つ目のファールに。

結局3Qも両エースが決め続けました。デュラントが13点、ヤニスが18点。ヤニスがベンチに座っている終盤に、ホリデーがデュラントを止めるも、こぼれ球がタイラー・ジョンソンに出てコーナー3Pで逆転したネッツ。それを残り30秒で戻ってきたヤニスがミドルで同点にして3Qが終ります。

ヤニスが18点だけどチームメイトが10点に留まったバックスですが、この試合はエースが止められないけど、エースが決めている方のチームが困ってしまうっていうね。

◎12本目と13本目

2Qもそうでしたが、デュラントとアービングを同時に休ませるナッシュ。逆にバックスはヤニスもミドルトンもコートに出ています。これがグリフィンとシャメットの3Pでネッツの6点リードになるんだから面白い試合だ。ミドルトン連発で追いつかれたものの、デュラントが戻るまでの時間を互角で持って行けたのだから問題なし。

ところでネッツにはグリフィンがいます。ヤニスキラーとして最も有効なオプションですが、ここまでマッチアップさせませんでした。これは隠したのかなんなのか。しかし、遂にマッチアップするとチャージドローするグリフィン。

一方で戻ってきたデュラントに対してはミドルトンが止めます。似たタイプだけあってか、わりとデュラントに相性が良いイメージです。なんというか、スピードやらパワーやらなんやらで明確に負けているポイントがなく、全部で負けているようなミドルトン。

お互いにハーフコートオフェンスを止めましたが、トランジションを出せたバックスがホリデーの3Pで5点リードにします。プレーオフになるとディフェンスの重要性が上がるけど、同時にディフェンスからトランジションでイージーに決めた方が有利だよね。

タイムアウトのネッツは簡単にデュラントが3P。しかしヤニスも3Pで返します。今日は何なんだろ。でも、これって7戦シリーズだとしたら、4試合はヤニスが負けそうだよな。ワイドオープンのヤニスよりも、タフショットのデュラントが勝ちそうっていうね。

お互いに個人技の様相が強まるのですが、アービングがホリデーを攻略できないのに対して、ミドルトンで攻めていけるバックス。グリフィンが豪快なプットバックダンクを決めて何とか離されないものの、バックス優位な雰囲気で・・・デュラントの3Pだよ。何にもないところから決めすぎ。

残り4分でバックス3点リード。ここで久しぶりに全員を経由するようなボールムーブを見せたバックスはカナートンが3Pをヒット。なお、次のオフェンスはヤニスが1人でやってミスしていました。アービングも1人でやってシュートが決まらない。

終盤にきてヤニス以外で攻めてれているバックスとデュラントしか決められないネッツという対比になりました。それでも決めているデュラントも凄いな。

ヤニスのアタックはグリフィンに加えてヘルプに来たデュラントで止めるのですが、リバウンドがバックスにばかり出てきます。リバウンド要員を起用できないネッツだしさ。そして残り2分20秒、またもヤニスではなくミドルトンで6点リードに。

グリフィンのけがの治療でネッツのスローインスタートになったオフェンス。デュラントはスローインの段階でマークのグリフィンよりもデュラントを見ています。そしてスクリーンがあると迷うことなくデュラントに襲い掛かり見事にブロック。こぼれ球をアービングが3P決めたけど。

どうやらヤニスは直接デュラントを止めたそう。プレーオフの勝負どころでは直訴しそうだな。

残り1分半でハイポストから仕掛けたヤニスはステップインで5点差に。久しぶりに決めたな。ネッツはデュラントではなくアービングがドライブを決め、守ってはグリフィンがヤニスのミスショットにします。

ここで勝負の3Pを打ったデュラントですがミス。あっさりしていたボケちゃうけど、ここまで3P7/11だったから、大事な1本をミスしてしまったことに。これを勝負弱いと言えるのかどうかわかりませんが。

しかし、ミドルトンのシュートも外れ、残り3.4秒で3点差でネッツのラストオフェンスに。またもタッカーがデュラント担当ですが、スクリーンも何もなくボールを受けに行ったデュラントがターンして3Pを狙うも、これが決まらずバックスが逃げ切ったのでした。

◎収穫はあったのか

42点のデュラントと49点のヤニス。どっちもアシストはあまり伸びず、個人技で決めていく展開となりました。守る方もそれを望んだってことだ。バックスが本当にそれでよかったのか微妙ですが、タッカーがマークしている以上はそうなるんだろうね。

〇アービング
20点6アシスト
FG8/21

〇ミドルトン
26点6アシスト
FG11/21

でも勝負を分けたのはこっちでした。セカンドエースの差がバックスに勝利をもたらすことに。6アシストしているしね。特に4Q10点のミドルトンがヤニスへの意識が高いネッツには効きました。

そして勝負を分けたっていうのは、アービングを止めるホリデーがいたってことです。ハーデンが戻ってきたらフィニッシャーが1枚増えると考えるか、それともネッツにはディフェンダーが足りないとみるか。とりあえずケガ人の分だけバックスが上回ったってことで良い試合です。

ネッツからすると、さすがに今日はヤニスが決まりすぎだし、グリフィンは有効ってことはわかったし、収穫はあったと思います。一方で自分たちのオフェンスはデュラント頼みが強すぎた。

それはバックスも同じですが、柔軟性が足りないチームだけど、個人技の戦いになるネッツ相手なら弱点が露呈しないことも分かりました。あとはエース達が頑張るだけか。

どうも長い戦いになりそうな両チームの顔合わせ。そして負けたネッツは2位転落となり、笑っているのはシクサーズとなった試合かもしれないのでした。

バックスvsネッツ” への2件のフィードバック

  1. グリフィンがマッチアップして早々にチャージドローはちょっと笑いました。チャージドロ―って天分とか、元から上手いタイプが居るってテクニックなんですかね。

    1. NBAは両足つけてないといけないので、完全にコースを読まないとチャージとれないですよね。だからセンスかなー。

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