2021/5/5
諸事情により、試合を観ながら書くことが出来ず、なかなかゲームレポートになりません。プレーインに向けてJJJが復帰したグリズリーズを2試合ほど見ているのですが、本日は欠場。試合に出ていても、あまり存在感がないというか、グリズリーズらしくチームオフェンス前提なので、JJJがいなくても成立しているし、いても大きなプラスを生みだせてはいないのでした。
相手はウルブズですが、もうこれでウルブズを見るのは最後になるかな。グリズリーズをチェックしつつも、ウルブズのまとめとして書いていきましょう。「さようなら」を書くかどうかはわからないし、プレーオフになったらそれどころじゃないし。
◎ディアンジェロ問題
シックスマンで起用されていたディアンジェロですが、その心はベンチメンバーを引っ張らせることにありました。スターターについてはルビオがいるので、エドワーズ&タウンズを中心に組み立てればいいじゃないかとね。しかし、そんなに上手くいっていないのはルビオが不調だからか、それとも相性の問題か。
そして遂にディアンジェロをスターターにしてきました。ベンチからルビオが出てきて組み合わせ直すことにしたフィンチ。意図するものが何なのかは不明ですが、試合開始から非常に印象的なオフェンスになっていきました。
ディアンジェロがシックスマンとして起用されていた理由の一つはPGではなくSGとしてスコアリングの仕事がメインとなり、それはエドワーズと被る点がありました。実際、ウルブズで一番オフボールが上手いのはディアンジェロで、ウォリアーズ流というかカリーのように自分がスクリナーになってからディフェンスの反応と逆に進むのが非常にうまいです。でも、ネッツ好きの管理人としては物足りないぜ。
本日はPGになったディアンジェロ。ターンオーバーが多かったものの、タウンズとのコンビプレーを中心にしながら、マクダニエルズへのスキップパスを通せば、エドワーズとはハンドオフ→ショートパスと繋いでオフェンスを形作っていきました。
これまでディアンジェロにおける問題は、エドワーズと共存するのが難しいというか、どっちかがハイスコアだともう片方は点が取りにくかったわけですが、普通にPGとしてエドワーズを使っているので両者が共存できています。
またルビオだと早めにエドワーズに渡して、エドワーズのハンドラーアタックになるのですが、ディアンジェロの場合はパス交換から始まります。この点はむしろ「エドワーズ→PG」というパスがディアンジェロの時の方がシンプルに出てきている気がします。
その理由は推測すると、まず単純にエドワーズのパスからFG33%しか決めていないルビオに比べると、FG54%のディアンジェロの方が信用されていること。もうひとつはハンドオフなど「エドワーズに向かっていくオフボール」を使い、時には逆にリングにダイブしていくディアンジェロに比べて、ルビオは「エドワーズと適切な距離感」を取りたがります。
まだルーキーなので、そこまでゲームメイクが上手くないエドワーズってことを考えると、明確にパスをもらいに来るディアンジェロの方が出しやすいのかな。加えてこうしてオフボールでディフェンスを動かしてくれるディアンジェロってこともあって、エドワーズの突破も効果的に絡んでいました。
3月以降でみるとディアンジェロのパスから3P47%決めているエドワーズ(ルビオからは38%)実はPGから託されるよりも、ちゃんとアシストされた方が良いのかもね。
前半はタウンズが3ファールになりながらもディアンジェロとエドワーズの関係も良く、ベンチからルビオも出てくるので63点を奪い良い感じのオフェンスになりました。こんなにタウンズに頼らないのは初めて見たかもね。
◎ディフェンス問題
オコギーをスターターにしているのは相手エースを封じるため。本日の相手はいうまでもなくモーラントです。そうなると他の選手もマークがスライドされていくわけですが、これがちょっと面白かったウルブズ。
セカンドガードになるブルックスに対してディアンジェロかエドワーズがいくのが普通ですが、ここは2番目に止めたい選手ってことでマクダニエルズが行きます。つまりオコギーとマクダニエルズの役割はディフェンス主体ってことだ。
PF扱いだけど、こうしていろんな選手のマークに行くマクダニエルズ。ベンチから出てくるバンダービルドも同じなので、ウルブズのPFは変わった役割を担っています。能力が高いので良いディフェンスが出来る2人ですが、明らかに経験不足もあって、そんなに機能しているわけではありませんが、スライドのさせ方がファンキーだよね。
そしてここ5試合はエドワーズのリバウンド数が8.2あったそうです。ってことでこちらも役割がスライドされました。逆にエドワーズがリバウンドをとれないと成立しない形です。ディアンジェロがウエストブルックだったら・・・なんてな。最近はPGがリバウンドを取るのが増えている理由はディフェンダーの扱いとも関係しています。
ちなみに前半はタウンズのディフェンスリバウンドが0でした。リードも1なので、周囲の選手でキープしていったことになります。これが成立するようになればディフェンス力も上がってきそう。
しかし、ディアンジェロがマークすることになったカイル・アンダーソンにはボコられた感じです。前半が13点、FG5/6と止められなかった。
また最近は試合の大半をゾーンで誤魔化すことが多いのですが、これが全く機能していません。本日はゾーンのギャップをしっかりと攻略してくるグリズリーズのベンチメンバーに好き勝手決められました。こういうところの完成度が全く違うんだよね。
なんでゾーンをしているのか。ひょっとしたら健康を保つためなんじゃないかって気もしてきます。どうせ負けてもいいわけだし、来シーズンに向けたゾーントレーニングと同時にコンディション管理ってね。それくらい足が動いていないってことでもあるのでした。
◎完成度
魅力的な選手を揃えるウルブズに比べて戦力的に劣るグリズリーズですが、比較にならない完成度で前半は73点を奪いました。ディフェンスではかなり苦労した反面で、オフェンス面はディフェンスの弱みをしっかりと活用し、簡単に得点を積み重ねたよ。
これを「経験の差」ということは出来ず、なんせモーラント、クラーク、ティルマン、ベインと2年目までの選手で攻略しているんだもん。特にベインとティルマンのベンチ2人は選手としての完成度がウルブズとは全く違います。無駄のないポジショニングと適切な判断でスーパープレーは何もないのに2人で18点を奪いました。
ウルブズのエドワーズ&マクダニエルズみたいな能力はないけど、2段階上の判断力があるぜ。ってことで、プレーオフに行きたければ、こういう選手も含めて構築しないと厳しい。
そしてゲームメイクもすれば、自分で得点も出来るモーラントによって次々に崩していきました。ディアンジェロがモーラントくらいペイント内でフィニッシュできればスーパースターなんだけどな。
前半だけで16点、5アシストを記録したモーラント。ウエストブルックを見ていると感覚がズレてくるけど、全局面でプレーに絡むことで明らかにグリズリーズをチームとしてワンランク上に引き上げています。
残念ながらディアンジェロがモーラントみたいなフィニッシュ力を身に着けることはないし、エドワーズがモーラントみたいな冷静なゲームメイクをすることもないよ。
だけど、1人でやるのが良いか、2人で分業するのが良いかは完成度次第。モーラントを相手にしているからこそ、ウルブズはディアンジェロとエドワーズの両者を揃えてコンビネーションを構築していく必要性があるように見えた前半でした。
◎わかりやすい3Q
後半になってモーラントにマクダニエルズがマークしますが、オフボールのポジショニングで簡単に引き剥がされてダブルクラッチダンクを食らいます。うーん、ディフェンダーにしたいのは理解できるし、モーラントは3Pに消極的だから選んだんだろうけど、本当にこれが完成するのかな?
一方でオフェンスは好調をキープ。タウンズとのハンドオフで突破していくエドワーズ。やっているのはツーメンゲームだけど、タウンズが持つことでディアンジェロへのパスも見えているから、ヘルプがない状況でシュートに行けているエドワーズ。
でも、そこからは単に個人技で3Pを連発。素晴らしい反面で、もっとドライブして欲しいんじゃないのかなっていう疑問もあるんだけどな。
さらにオコギーのスティールからディアンジェロの速攻に後ろから追いついてダンク。この後のスローインでティルマンが怠惰なパスを出して、これもエドワーズが奪ってゴール下。オフェンス力だけで反撃に出てきたウルブズ。ウルブズっていうかエドワーズ。
グリズリーズはティルマンが素晴らしいディフェンスでタウンズを止めるのですが、オフェンスリバウンドをオコギーに押し込まれてしまうなど、守り切れず。そしてエドワーズのパスアウトからエドワーズの3Pまで決まると、トランジションからディアンジェロがプルアップ3Pで同点にします。
エドワーズから口火を切ったけど、見事に全員が絡んだウルブズ。タウンズが止められてもオフェンスは止まらなかったのは進化なのかな。
タイムアウトあけもディアンジェロのワンパスからエドワーズが3Pを決めて逆転、今度はエドワーズが3Pフェイクからディアンジェロに渡して3Pを決められたグリズリーズ。ってことでモーラントが自分で点を取りに行きます。マクダニエルズでは相手にならないとばかりに平面で抜くと3人のブロックをかいくぐっての&ワン。
ダブルチームに来たら簡単に捌いてワイドオープン3Pを作ると、トランジションでルビオとタウンズが曖昧なマークをするとみて間を抜けるドライブでファールドロー。ちなみにこの時点でウルブズはディアンジェロとエドワーズをベンチに下げています。
そしてスイッチさせてvsタウンズにしたらドライブからミドル&ワン。ファールトラブルのタウンズを追い出し、同点にします。ワンマンショーだぜモーラント。1人でやるぜ。速攻からティルマンへのアリウープも通した。
主役3人がベンチに下がってしまったのでオフェンスにならなかったウルブズ。ディアンジェロがシックスマンだったら起きなかった現象なのでした。しょうがないからエドワーズを戻したら、リードの3Pが生まれたけど、カイル・アンダーソンに3Pを食らってしまい、3Qは107-103でグリズリーズがリードして終わります。
そんなわけでディアンジェロがPGしていたの方が良いと思っているんだけど、そうなるとベンチが点を取れないっていうことも証明された3Qでした。まぁビーズリーが戻ってきたら違うのかもしれないけどさ。基本的にタウンズがいるかいないかで、オフェンスは大きく変わるんだけど、いない状況でプレーメイクできるのはディアンジェロくらいってことですね。
◎モーラントとルーキーコンビ
ディアンジェロ、エドワーズ、リードの3人の関係で崩していくウルブズですが、ディアンジェロはロブパスをカットされ、エドワーズはレイアップをミスし、その間にメルトンの3Pが決まって9点差になります。完成度。ブルックスも3P。
ひとつの課題で言うと主役の完成度が足りていないのは仕方がないとして、わき役の成長を信じるのか、より確実な選手に変更するのかはオフの大事な課題です。フィンチは若手を選びそうだよな。
ディアンジェロのパスからバンダービルドの飛び込みが決まれば、同じパターンで速攻も決まるんだから、この選手を放出したくはないよね。ディフェンスリバウンドから速攻まで早いし運動量が多い。エドワーズの縦パスを受けたディアンジェロからバンダービルドの合わせで3点差。
ディアンジェロのパスがあれば動く選手は使われていき、使われればエドワーズも空いて3Pを決める。当たりまくっているエドワーズだけど、使われまくっているわけじゃないから、ボールを持った時に効果的になっています。
が、守れない。ゾーンにしたらベインの3Pに、クラークのゴール下と中外空いたところを使われまくります。グリズリーズからするとイージーなんだよね。ハイポストに簡単にパスが通るので、殆ど動かなくても、ボールを動かすだけでチャンスを作れている。
それでも戻ってきたタウンズの3Pで追い付きます。グリズリーズはちゃんと守っていてもウルブズの個人能力に抗えない。ウルブズは単に守れない。そういうハイスコアゲームに。
ディアンジェロとモーラントがフローターを決めあい、ディアンジェロ→タウンズ→ディアンジェロ→タウンズでカッティング&ワンを決めるとバランチューナスはファールアウト。モーラントはvsタウンズにしてステップバック3P。どっちのセンターもファールばかり。
モーラントはvsディアンジェロを狙いますが、これを読んだバンダービルドがスイッチしてマークに行くも、ミドルをヒットするモーラント。さらにドライブするとシュートは外れるもティルマンがオフェンスリバウンドからベインに繋いで3P。ルーキーコンビで残り1分5点差。
タイムアウトからのスローインでサイドライン際でパスを受けたディアンジェロは倒れこむとブルックスのファールがコールされ退場。ボーナススローも得て1秒も使わずに3点差にします。フロップっぽいよな。
時間を使ったモーラントはドライブからコーナーにキックアウト。再びベインが3Pを決めたのに対して、タウンズはホームランパス。残り1分半でもパスミスしていたし、なんでこんなに終盤になると弱いのか。
ということで、最後にグリズリーズを勝利に導いたのはデズモンド・ベインの3P連発でした。一方でウルブスを敗退に導いたのはタウンズのターンオーバー。仮にウルブズが強くなったとして、ここの差が埋まるのかは疑問だらけなのでした。
◎さようならウルブズ
〇モーラント
37点 FG14/27
3P1/2
10アシスト
モーラントの凄いのは3Pを2本しか打たずに30点以上とれてしまうところ。そして周囲に3Pを決められる選手を合わせています。ベインの4/9を筆頭に48%決めて勝利を手にしました。
基本的にペイント内を攻略するのがグリズリーズですが、この戦術的特徴と選手の特徴がピタリとあっています。完成度の高い選手を集め、無駄のないプレーで得点していく。守れなかったのは残念だけど、狙い通りのオフェンスは展開できたはずです。
それが逆にJJJが復帰しても、そこまでのインパクトがなかった理由でもありますが、プレーインに向けて強さを感じさせたのでした。もっとも昨シーズンのバブルでも強さは発揮しているけど、勝つには戦力が足りなかった感じだしね。
〇エドワーズ
42点
3P8/9
7アシスト
6リバウンド
40点オーバーのエドワーズですが、打ちまくってハイスコアではなく3Pが高確率で結果的に40点になっただけです。だから悪くないし、キャリアハイの7アシストも記録しました。エドワーズに頼り切ったわけでなく、でもエースとしての仕事をしたのだから、ディアンジェロの14アシストも含めて、やっぱり今日のスターターで良い感じだった気がする試合です。
でもベンチは弱かった。半分はファールトラブルのタウンズが悪いので、気にすることもないのかもしれませんが、個人は働いている割にチームとしては機能しきっていないわけで、ディフェンスをどうしていくのかと共に、層の厚さをどうしていくのかがオフの課題となります。
フィンチがHCになってから良い感じにはなってきたのは間違いない。だけど、各ポジションで個人が完成度を高めないといけないのは未知数の部分が大きいし、ディフェンスに至っては改善するところだらけ。
何よりもルーキーが勝負を決めてきたグリズリーズに比べると、試合に勝ち切るという点でタウンズへの不安も大きい。というところで今シーズンはこれで最後です。ウルブズのいろんな良し悪しが観れた試合だったので、これ以上は見ても仕方がないさ。
モラントの絶賛とは対照的に、カルバーとかマクラフリンが完全に忘れられた選手になってますよね…
CLEから貰ったウィギンスにしろ、タウンズにしろ、ナズやバンダービルドにしろ、優れた個人技持ちや素材は集められているのに、クラッチタイムで存在感を失ったり、ディテールが甘かったりするタイプが多いのが根本的な問題なのかなと今シーズン思いました。HCが代われば改善するかとも思っていましたけれども、たぶん戦術じゃなくで集めるプレイヤーのタイプの問題なんでしょうね。
ビーズリーとか、オフにどう動いていくのか気になります。
ディアンジェロとアンツはクラッチでも強いので前に比べれば戦えるのですが、グリズリーズに比べると選手の集め方問題な気がしますよね。
構想に入らない選手は積極的に放出して、経験ある選手を加えた方が良さげです