ウィザーズvsウォリアーズ

2021/4/21

好調なカリーを続けてみてみましょう。オンボールプレーが多かった試合から、ワイズマンとウーブレの離脱もあって、オフボールのカリーも支える構図が作られていることが好調の要因に見えます。加えてオフェンス担当が減って、ディフェンス担当が増えたことで、より戦略的になり、シクサーズ戦はプレーオフみたいな戦い方をしていました。

一方でウィザーズも3月後半からのウエストブルックがMVPモード。この期間のリバウンド数がリーグ3位ってクレイジー。ケガ人が多いけど、それを埋めてしまうウエストブルックって感じです。でも、かつてのウォリアーズはウエストブルックを止めるのが得意だったよね。ドレイモンド&ルーニーでエンビードを抑えたけど、アウトサイドがそういうチームディフェンスが出来るのか。

◎カリー対策

本日もカリーのドライブフローターから始まります。普通に抜かれすぎのビール。シュートが決まらないことはあるけど、悪くないスタートのウォリアーズですが、決まった後にアブディヤへのワンパス速攻で返されてしまうなど、ちょっと集中力の低い立ち上がり。やっぱり「シクサーズ戦は気合がはいっていた」ことを示すような感じです。

ウィザーズのディフェンスはスイッチが通常営業ではあるけど、スイッチ後もオフボールのカリーを追いかけることを徹底してます。そもそもスイッチディフェンスはスプラッシュ対策として進化した戦術だしね。そしてコーナーのカリーにダブルチームも厭わないので、さすがのカリーも困ってしまいます。

「カリーにダブルチーム」というのは普通に考えられる話です。そうなればカリーがフリーのチームメイトを見つけてパスを通せばいいのですが、強かったころのウォリアーズではピック&ロールでこの形はあっても、コーナーでそんなことは起こりにくかったです。

理由はシンプルで「2人も来るならカリーにパスは出さない」から。これでリングにダイブする選手のイージーシュートを生み出すから強かったウォリアーズですが、今はそこまでの完成度はないってことになります。どうしてもカリーにパスを出したくなってしまうんだ。

加えてカリーがパスを出したときにウィザーズのヘルプが間に合ってしまいます。理由は2つ。まず単純にアブディヤが上手くスペースをカバーしてくれること。気の利くウイングだ。もう1つは八村がいないことで、ネトが起用されており、全体的にスピードがあること。ウォリアーズもルーニーしかインサイドにいないから、スモールラインナップでスピード対抗して守るのが理にかなっている。

アブディヤがカリーからスティールして速攻に持って行くし、ディフェンスリバウンドを取るのがウエストブルック中心なので、ワンパス速攻も出てきやすく、序盤はウィザーズがスピードでウォリアーズを上回っていきます。ビールは3Pをエアボールしているけど。

20-9となったところでウエストブルックがベンチに下がると流れが変わります。そこまで速攻が多かったことでオフェンスになっていたけど、ハーフコートになるとウィギンズとウーブレがビールを止めるので、ウィザーズオフェンスは苦しくなります。ってことでウォリアーズディフェンスは悪くない。オフェンスの終わり方さえ、しっかりできれば。

ただオフェンスは改善しません。徹底してカリーには2人で来るのに、カリーがパスを出した後の展開力もフィニッシュ力も足りない。この頃になるとベンチメンバーも増えてきたので、カリーはオンボールプレーばかりになります。そこからちゃんとパスが出ているのでカリーは悪くないんだけど・・・そのうち、意地になったのか自分で打ってはシュートが外れてしまいます。

そうやってシュートが決まらないもんだから、ウエストブルックが戻ってくると再びトランジションに持って行かれ、コーナーが空きまくり。最後はウエストブルックにまで3Pを決められてしまい、1Qは38-20とウィザーズが大きくリードすることに。

◎さすがのウィザーズ

こうなるとカリーのいない2Qは困りそうなのですが、そうでもありませんでした。ある意味、収縮すべきポイントがなくなったウィザーズディフェンスに対して、ゆっくりとハーフコートを作ったウォリアーズはルーニー、ウーブレ、ウィギンズとインサイドを攻めていきます。

インサイドプレーが決まったわけですが、仮にシュートが外れていても、さすがにここからのカウンターアタックはなさそうでした。ワンビッグでロビンが出てきていたウィザーズはインサイドが弱いし、全体のスピードもダウン。カリーがベンチに下がって逆に楽になったウォリアーズ。

前回も書きましたが、これまでウォリアーズはセカンドユニットが全員ベンチメンバーだったりして弱かったのですが、今はウィギンズとウーブレ中心で、かつジョーダン・プールが4点プレーを決めるので良い感じ。シクサーズ相手だと厳しかったけど、ウィザーズディフェンス相手なら楽勝かな。

ウーブレの速攻で点差を一けたにすると、ウエストブルックからロビンへのパスをウィギンズがカットして、そのまま自分で持って行き追撃。ベイズモアはピック&ロールでショーディフェンスをしないロビンに対してミドルを決めたので4点差に。

うーん、さすがのウィザーズ。酷いぜ。18点リードが4分半で4点差だ。オフェンスも悪かったけど、24点も取られるディフェンスがね。毎度のことながら、ベルタンスを起用して早打ち3Pさせて、トランジションでやられるっていう攻守のバランスの悪さ。

ビールを戻して突破させるのだけど、シュートを外す外す。これはブルックスの責任ではないね。そんなわけでカリーが戻ってきた残り6分の時点で2点差。ウォリアーズからするとラッキーだよね。

ところでウィザーズが点を取れなかった違う理由として、ロビンのゴール下が止められまくったことがあるのですが、丁度、こんな質問をもらっていました。

「ロビン・ロペスのフックは海外ではジャバーに例えられていますが、あのフックを止められる選手はいるのでしょうか?」

答えは簡単で「フックを打たせなければよい」なのですが、ウォリアーズはルーニーが1on1で外に押し出してシュートミスを誘い、ウーブレがヘルプでブロックし、プールが後ろからスティールすることで3連発でロビンのオフェンスを止めました。これが全て「ロビンの右手側を止める」形で、全員が右手側にターンしたところを狙っていました。ロビンは遅いので左にターンされても間に合うんだけどね。

つまり、ウォリアーズは「ロビンの特徴を選手にインプットさせていた」ということになります。3番手センターのスカウティングをして、イージーに止めたわけで、プレーオフモードのように準備していたことが伺えます。明らかに事前準備で上回っているからこそ追いついた形です。

これで一気に逆転したかったウォリアーズですが、カリーとベイズモアの3Pは外れ、守ってもロビンと交代したガフォードのパワープレーに押し込まれてしまいます。フリースローは2本ともミスしてくれたけど。

決まらないカリーの代わりにウーブレは3Pを決めるも、やっとビールが3Pを決めると、ネトの嘘くさいフェイダウェイも決まり、ウエストブルックのドライブからガフォードのダンク、同じくウエストブルックからガフォードのアリウープになって、ウィザーズはリードをキープします。ただ、ビールはプレーを読まれているので、ボールすらもらえないこともしばしば。スカウティングされてるな。

そんなウィザーズでしたが、速攻のフィニッシュに行ったアブディヤが着地時に足を痛め、骨にひびが入ってシーズンアウトとなってしまいました。今日はアブディヤがいるから守れていただけに、苦しいぜ。しかも交代がベルタンスだもんな。スピード負けしちゃうだろ。守る気ゼロだ。

ベイズモアが3Pを決めて、ベルタンスが3Pを外した処で前半が終り、60-58とわずかにウィザーズリードでした。でも1回も逆転されなかったね。

前半はカリーが6本の3P全部外したのでウォリアーズとしては仕方ないね。1本でも決めていれば勝っていたし、激しくマークされても決めるのがカリーだし。ちゃんと5アシストしているし。ただ5つのターンオーバーもあったので、そこまでカリーにオンボールプレーやらせてしまうのは厳しかった。

◎打ちあい

ピック&ロールでウエストブルックを剥がしたカリーは、ショーディフェンスに来たレンを一瞬で抜いてドフリーのフローター。しかし、これをまさかのミス。さらにフローターをレンにブロックされるし、さすがにお疲れなのかもね。

問題なのは前半同様にシュートが外れたから、ウエストブルックにトランジションに持って行かれること。カリーが決まっていれば失点も減っていた。ウォリアーズあるある。

ネトが3Pを連発し、ビールがドライブを決めたところで9点リードに。しかし、ここからカリーがドライブレイアップと、この試合初めての3Pで点差を縮めると、ベイズモアもコーナー3Pで1点差にします。

ウィザーズはアブディヤからベルタンスになったからか、前半のスイッチ前提とは守り方が違って、カリーに対してはウエストブルックがかなりしつこくいきます。これには苦労するカリーなのですが、3Pを決めた時はビールになっていて、スピードを失ったウィザーズがそこまで積極的にダブルチームに来ない(来れなくなった)ことで、少し楽になりました。

そしてウエストブルックがベンチに下がったタイムアウト明けのプレーで、オフボールで動いたカリーにダブルチームに行ったベルタンスによってウーブレがゴール下でドフリーになりダンク。これで遂にウォリアーズが逆転します。ウィザーズからすると、アブディヤ不在が明確に戦術的なデメリットになっていることに。

さらにカリーが3P、そしてベイズモアのカッティングにドレイモンドがパスを通し、ウォリアーズの流れになります。「カリーを止める」ことを優先するなら、普段のローテを崩してでもウエストブルックをカリーに合わせるべきでした。そういうことは絶対にしないのがブルックスクオリティ。せめてベルタンスをボンガにしておけばよかったのにさ。アブディヤのヘルプからも、ウエストブルックのハードチェイスからも解放されたカリーが、一瞬でリードをもたらしたのでした。

ここでやっとボンガを起用したブルックス。センターがガフォードになっていたこともあり、スピードでは負けなくなります。ウエストブルックも戻ってくるとカリーにはやられなくなりますが、カリーを囮にするドレイモンドには崩されてしまう。

ただし、ウォリアーズディフェンスもガフォードとウエストブルックのパワーアタックに困ります。ボンガもゴール下に飛び込んでくるし、センターがドレイモンドとルーニーしかいないので、1枚起用の時間帯はウォリアーズにとって厳しい。

そんなわけで前半は「どちらかのディフェンスが機能する」ことが多かったですが、3Qになってシンプルな打ちあいの様相が強まりました。ただでさえ守れないのに、ディフェンダーを起用しないウィザーズは通常営業ですが、ちゃんとスカウティングしている雰囲気なのに、ウォリアーズ側も破壊力に苦しんでしまったね。

とはいえ、ウォリアーズが93-86と逆転に成功して3Qが終ります。論理的な結果だ。アブディヤの存在意義の大きさを感じずにはいられないのでした。

◎理不尽大王

前半はセカンドユニットの時間にインサイド押しに成功したウォリアーズですが、今度はウエストブルック、ボンガ、ベルタンス、ロビンと並んでいるので難しくなります。特にウィギンズに対してボンガが1人で守れるので、アタックしにくい。

しかも相手がベルタンスで楽勝のはずのウーブレが、簡単に抜くんだけどゴール下でロビンに止められたり、勝手にミスしたり。ウエストブルックのレイアップミスにも助けられ、点差は縮まらないんだけど、上手くはいかない。

そんな中で5点差のままカリーが戻ってくるかと思われた残り7分で、プールがディープ3P連発し11点差になります。カリーにはやられないのに、他の選手にはやられてしまう本日のウィザーズ。それって「スカウティングとゲームプランがあれば、それなりに出来る」ってことでもあるのかな?

あとはカリー投入で逃げ切るだけ。ところがウィザーズがドタバタなオフェンスを繰り返す中で、カリーもミスで付き合ってしまいます。頭を抱えるカリー。この試合トータルで9ターンオーバー、FG5/17と酷かったウエストブルックですが、何故かこのペースにウォリアーズも巻き込まれてしまうというね。

カリーのレイアップにコンテストしたウエストブルックは、ディフェンスリバウンドを取ってコーストtoコースト。さらにウーブレの3Pが外れたのもディフェンスリバウンドからコーストtoコースト。ギアを上げるウエストブルックの流れに飲み込まれていきます。

問題はウォリアーズがトランジションを止めれていないこと。トスカーノが離脱しているのもあるけど、誰かしらがファールしてでもハーフラインで止めていれば良かったのに、誰もいなかったね。これで残り3分半で4点差になります。

ウィギンズのミドルが外れると、ディフェンスリバウンドはまたもウエストブルック。でも今度はウォリアーズも全員が戻っていたので、リバウンド時にウエストブルックは最後尾だったので、さすがにハーフラインでウーブレが捕まえます。が、これが全く関係なく、足を止めることなく、そのままレイアップに行ってしまいます。必殺・理不尽速攻。どう考えても速攻にならないシーンなのに・・・。

ここでボックスアウトをサボったビールがウィギンズにオフェンスリバウンドを押し込まれますが、ビールはドライブ&ワンで取り返します。しかも、このファールでドレイモンドが退場。インサイドの核を失ってしまった。直前のウエストブルックの速攻でドレイモンドのファールが増えちゃったのが痛かった。

起点のパサーがいなくなり、オンボールプレーからのタフショットになってしまうカリーが理不尽3Pで決め返すことが出来ず、逆にベルタンスの3Pで逆転したウィザーズ。ウーブレのアタックには困るけど、ウエストブルックのドライブでリードをキープ。

残り1分。ビールがドライブで4点差。カリーがドライブで返すも、再びドライブに行ったビールが珍しくゴール下にいたベルタンスへのアシストを通し4点差に戻します。

でもまたカリーのドライブ。後は時間を使えばよかったウィザーズですが、ウエストブルックがまさかのパスカットを食らいます。締まらんぜラスさん。

同点のレイアップに行ったウィギンズですが、こっちもまさかのミス。サンダー戦だけスーパースターになる事で有名なウィギンズでしたが、相手がウィザーズだとそうはいかなかったのでした。

◎それぞれの課題

11試合連続で30点オーバーだったカリーを18点に抑えたウィザーズのディフェンスが勝利した試合でした。でも、ウォリアーズは114点は奪えており、本当の問題はドレイモンドが退場したことで「カリーを囮に使うプレー」が出来なかったことでした。

あの退場がなければウォリアーズが逃げ切っていた可能性が高いですが、ドレイモンドが無駄なファールをしたというのではなく、ラス&ビールの突破が退場に追い込んだ形なので、単純な話として
・ドレイモンドとルーニーの2枚では厳しい
・ドレイモンド以外のパサーがいない

という2点の問題であり、要するに「イグダラがいない」ってことでした。ここはウォリアーズの不思議な所でもあって、さすがにイグダラやリビングストンレベルは用意できないにしても、誰かしらは獲得しておいても良かったよね。誰かっていうと、誰もいないけど。ロンゾを欲しくなる理由でもあるな。

もう1つ気になったのはウィギンズ。「カリーを囮に使う」のはウォリアーズ恒例のバックドアカットですが、ウィギンズは全然やらないね。難しいのはシーズン通して、ウォリアーズ自身がカリーにオンボールをやらせていたから、ウィギンズも必要じゃなかったこと。ワイズマンがジャマだったこともあるし、結構難しいね。

本日のカリーは得失点差△21でワーストでした。でもそれはウィザーズの問題点でもあります。「カリーをどうするか」はハッキリと考えてきたし、後半はウエストブルックが追い掛け回して止めたのは良かった。でもカリーがコートからいなくなると「なんとなく守る」感じになるから、逆に守れないっていうね。

っていうか、毎試合こうやって相手エースへのゲームプランが出来ているなら、もっとディフェンスはよくなるんじゃないのかな?
それが出来ない理由としてディフェンダーがいないことが大きい。たまたまカリーへは対応できたけど、ウエストブルックもリラードなんかが相手だと弄ばれるし、ウイングやビッグマンに対しては誰も立ち向かえないし。

前半は八村がいないことでスピード対抗できたけど、後半はアブディヤもいないので八村不在が響いてしまった。そんな中で出てきたボンガはウィギンズ相手に活躍できたと思うんだけど、ディフェンスなんてブルックスには評価されないんだろうね。

ウエストブルックは今日もトリプルダブル。そんなことより20リバウンドです。ビールも10リバウンドなので、エース2人で30リバウンド。どんなチームだよ。だから周囲にはディフェンスが良くて走れる選手を並べた方が面白いと思うんだけどね。まぁいまさら言っても始まらない。

両チームともロスターにちょっとした問題があった。そして両チームともケガ人で苦しんでいます。共にプレーインの当落線上なので、全力で戦うんだけど、それもまた怖いんだよなー。

ウィザーズvsウォリアーズ” への1件のフィードバック

  1. こんなに明確にディフェンスプランを持っているウィザーズは今シーズン初めて見ました。
    何故今日だけ、と考えると、ビールを得点王にしたいからとしか思えませんね笑
    ここからのウィザーズはボンガの出来が凄く重要そうですね。ハッチソンの戦術理解が進んでいることも期待です。

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