ウォリアーズvsシクサーズ

2021/4/19

カリーさんがとんでもない活躍をしている今日この頃。もともと選手が揃っていないなら得点王候補だと思っていたのですが、なかなか奇妙な戦術をとっているウォリアーズ事情で苦しんでいるシーズンにも見えています。しかし、ここ数試合についてカリー本人が「違う勝ち方が出来ている」と発言しており、それこそがスティーブ・カーの狙いって気もします。

シクサーズはポルジンギス、デュラント、レナードとなぜか対戦相手のエースクラスが欠場する試合ばかり。なので、少しは観ているんだけど、フルゲームは見ないことが多かったな。レナードはともかくポルジンギスとデュラントは休養日みたいな感じだったし。なんだろうね。

そのシクサーズはシモンズとトバイアスがいません。こうしてみる機会を失いすぎなので、今日はカリーを観たいことを優先していきましょう。なお、カリー兄弟なのでステフとセス表記に変えよう。

◎シクサーズ

セスが兄相手にプルアップミドル、3P、そしてステフのバックビハインドパスを読んでスティールし速攻。12-0の幕開けとなります。

今シーズンのシクサーズはファンが「セカンドユニットになると極端に火力が落ちる」というくらいなので、特別素晴らしいオフェンスをしているわけではありませんが、リバースらしいミドルレンジとファールドローという堅実な選択を増やし、そこにリバースらしくないセス、ダニー、コルクマズらの3Pが加わることで上手くいっているイメージです。

HCの特徴と選手の特徴が違うことで成功しているわけですが、大前提としてエンビードが決まりそうにない3P打ちを減らし、むやみなフロップングも減らし、逆にミドルを確実に決めていくことで安定したのが大きく、ここはリバースらしさが表れています。結局のところ「何故、ブレッド・ブラウンはこれが出来なかったんだ?」という感想なのですが、それがHCとしての資質の違いなのでしょう。

安定した選択が増えたオフェンスはギャンブル的なゲーム展開を減らし、それはディフェンスも安定して整えられる特徴もあります。本日はシモンズがいないことで、この傾向はさらに強くなっており、ウォリアーズはトランジションに移行できず、ステフのプレーメイクからターンオーバー連発になりました。ステフを気をつければOKなウォリアーズオフェンスなので、シクサーズ、特にセス&ダニーからすると楽勝っぽい。

しかし、マッチアップがサイブルに代わった瞬間にステフに3P連発されます。オフボールのステフに対応できなかったのと、ピック&ロールでエンビードが狙われてのプルアップ3P。らしいプレーだ。

このエンビード問題があるから、シクサーズはブレイザーズを苦手としており、今シーズンも2連敗しています。普通のプルアップ3Pでも出てこれないのに、リラードのディープ3Pなら打ち放題。同じくヤングのいるホークスとは0勝1敗なので、この先どうなっていくのかは興味深いです。ということで、ステフに嫌な相手だ。

幸いにもイーストのトップチームで弱点を狙ってこれるラプターズが自滅し、セルツもバランスを崩したので追い風は吹いています。ウエストで勝つには苦しいけど、イーストならね。ホーネッツあたりがもう少し頑張れば面白いですが、ディフェンスで対抗できないんだよね。

ワイズマンがいないことでスモールラインナップも増やしたため、ウォリアーズは時間と共にオフェンスは解決してきます。とはいえ、インサイドを攻めにくいのは事実だから、ステフさえ押さえておけば爆発するわけではない。その間に得点していれば問題なかったシクサーズですが、オフェンスが上手くいきませんでした。

理由はシンプルでルーニーとドレイモンドにエンビードが封じ込まれたこと。正しくはエンビードに渡るパスを封じられたか。シーズン前半のシクサーズは、子エンビードに対してオフボールスクリーンを用意し、ローポストでボールを持たせることを徹底して成功していたイメージでしたが、次第にやらなくなっていきました。理由はわからん。

それでもちゃんとゲームメイクすれば問題ないのですが、セスが下がったら中途半端になっちゃった。もっと徹底してエンビードに渡す形を作って良かったのにね。こういう時にどうしていたかというと、シモンズやトバイアスの出番ですが、本日はそこに不在。

ジョージ・ヒルが登場したときにはエンビードはベンチに下がったので、改善しないまま1Qが終りました。開始3分が12-0で始まったのに、そこから点が取れなくなり、終わってみれば24-24.最後はステフがセスとのアイソに挑んで理不尽なブザービーター3Pで同点にしたのでした。

◎勝ちに行く

ワイズマンがルーニーになったことは攻守に安定を生み出しますが、それは初めからわかっていた事。これ以外の変化としてウーブレではなくベイズモアをスターターにしています。明らかにスターターは火力が落ち、ステフとウィギンズくらいしか攻め手がないのですが、それはカリーを支える構図がハッキリしたことにも繋がるので、ハイスコア連発の理由も見えてきます。

そしてカリーが下がるとルーニーを戻し、ウィギンズ、ウーブレも並べるのでセカンドユニットも強くなっています。これに関しては初めから出来たことを敢えてやっていなかった感じのスティーブ・カーなので、その腹の内はわかりません。

でも、2Q序盤にセカンドユニットで目立ったのはジョーダン・プール。3人目のスプラッシュ候補はシュートが安定してきましたが、周囲がスタータークラスで囲まれているので、力を発揮しやすいようにも見えます。カリー一家のダミアン・リーも難しい3Pを決めてウォリアーズがリードします。

ここでウィギンズがエースムーブしてくれれば一気にウォリアーズペースなのですが、ドライブはハワードにブロックされてしまい、サイブルにはスティール速攻とトランジションからのコーナー3Pで取り返されてしまいます。エンビードのいないシクサーズは明らかにオフェンスに困っているのだけど、ウォリアーズ側のオフェンスが悪かったことで点を取られてしまった。

しかし、エンビードが戻ってきたらトランジションからポストアップしたウィギンズが&ワンで再びリードします。これが安定すると強くなるんだけどなぁ。そしてディフェンスではドレイモンドがエンビードを止めます。相手が強いことで集中できているようなドレイモンドは無駄のない守り方になっている。

ポジション取りでは出来る限りアウトサイドに押し出すドレイモンドですが、エンビードがボールを持つとドリブルをつかせておいてコースにはいることを徹底しています。エンビードがドリブルせずにミドルを打てばチェックなしですが、そこはポジショニング次第だ。

しかし3ファールになってしまったのでルーニーと交代。ここも徹底しているスティーブ・カー。主力2人しか使わないじゃん。ルーニーも良いディフェンスをするもののドレイモンドとの違いはドリブルに対して奪い取るような手の出し方が出来ないこと。だから、パワーで押し込まれてしまいます。ファールも出来ないし。

それでもルーニーが勢いを止めていることで、後ろからヘルプに来たウィギンズとリーがエンビードをブロックします。パスの判断が遅いことも理解している守り方で、リスクを減らして守っています。代わりにコルクマズやダニーには3Pを食らっているよ。

そしてオフェンスではカリーが3Pとドライブでリードを保ちます。3Pは変わらず出てこないエンビードなんだけど、ドライブでも決まっているのは、やっぱりエンビードがゴール下に間に合っていないから。多分、これはエンビードではなく、シモンズとトバイアスがいないから耐えきれないんだろうね。

エンビードはやる気があるのか、ルーニーに対してはバックコートからディフェンスに行くのですが、それで逆に抜かれてしまうしさ。出ないくて良いところに出て、出るべきところに出れていないな。

そして残り30秒。2ON3なのに速攻に行ったウォリアーズは、トランジションが悪いシクサーズを置いてきぼりにして、ノーマークのレイアップ。なんでだよ。それでもエンビードが業を煮やしたのかコーナー3Pを打つと、これがリングをはねて決まり、55-55の同点で前半が終ります。

ということで、少し前まで何しているのかわからなかったスティーブ・カーの采配は、明確に「勝ちに行くための選手起用」に代わっており、その中でカリーは輝きを増している感じでした。一方でエンビードを潰しに行く作戦にハマっているようなシクサーズですが、それは今日の選手層だと仕方がないんだろうね。

◎ストロングポイントの次

後半になってシクサーズのオフェンスはハイポストかエルボーにいるエンビード経由を徹底するようになってきました。ハーフタイムの修正ですが、ポストで持たせてアタックではなく、しっかりと逆サイドまでパスをだす起点役なので修正としては間違っていない感じです。ドリブルの前にパスを出そう。

これに対しては早めのダブルチームしか選択肢がないようなウォリアーズですが、そもそもエンビードのパスからは、そんなに滑らかにパスが回らないし、それ以上にカッティングもなく、3P打つだけ、って感じのボール回しになっているので、シクサーズの修正は失敗している感じです。まれにコルクマズがドライブしたらダンクしたけどね。

オフェンスが停滞してしまったようなシクサーズ。一方でウォリアーズもゴール下ミスが多く、エンビードのプレッシャーに負けてしまいます。アウトサイドのステフは2人かけてでもチームで止めて、インサイドをエンビードに任せるような守り方に修正したのかな。とにかく両チームが点が取れない展開で後半開始6分で8-7です。

流れを変えそうな口火を作ったのはウィギンズ。1on1からミドルをヒットすると、ドレイモンドのパスアウトから3P。ステフにディフェンスが集まっているなら、活躍しないといけないぜ。

しかしシクサーズはヒルが出てくるとエンビードのパスアウトを受けてからドライブ、そしてダニーにキックアウトで3Pを決めさせます。PGらしいことはしていないけど、みんなドライブしないからね。

今度はサイブルがドライブしますが、エンビードを守りながらヘルプもしてしまうドレイモンドが止め、ウィギンズの3Pも外れたので、やっぱり停滞が続きます。どっちもストロングポイントを止められた後の展開力が足りなかった。

しかしエンビードが下がると、わかりやすくバックドアカットでイージーな点を取ったウォリアーズ。リーがサイブルを抱きかかえて自分の方に引き寄せてファールドローする技も見せて、最後にリードを奪い取って3Qが終りました。

◎千両役者

2Q同様にセカンドユニットは明らかにウォリアーズの方が良い。シクサーズディフェンスは後追いばかりになってしまいファールが増えていきます。しかもリバウンドに飛ぶ人数が明らかにウォリアーズの方が多いし。

でも、それが点差に出てきません。フリースローミスしたり、ウィギンズがドライブしたらサイブルにスティールされて速攻を食らったり。ウーブレがヒルをアンクルブレイクしたと思ったら、逸ってドライブしてオフェンスファールしたり。

そしてウーブレがゴール下を外すと、カウンター速攻に行ったシクサーズが逆転。テンポアップを狙っているようなヒル。次のオフェンスでもディフェンスリバウンドから走られてしまうウォリアーズ。ちょっとばてているようにも見えます。

残り7分でステフもエンビードも戻ってきます。ここをリードして迎えたかったはずのウォリアーズなのにね。このままだと手詰まりじゃん。

でも、こんな時に活躍するからスーパースター。3人惹きつけてドレイモンドにアシストしてステフ。さらにプルアップ3P。エンビードを引き付けてドレイモンドにアシスト。そして、またピック&ロールを使って出てこないエンビードに対してプルアップ3P。

シクサーズはエンビードでは攻め切れないけど、ディフェンスが寄っているので、マキシーのドライブにサイブルのカッティング。3Qにまずかったポイントが改善される点の取り方で対抗します。これってコルクマズとスコットを起用しないから出てくる改善なのかな?

ドライブからファールドローしたステフのフリースローで残り3分半でウォリアーズが1点リードになって、シクサーズがタイムアウト。ルーニー&ドレイモンドを並べたウォリアーズはエンビードにボールに触らせず、最終的に3Pラインの外まで出てきたエンビードがタフ3Pになってしまいます。

そしてまたもステフが3P。続いてウィギンズが走って速攻。

さらにエンビードのアタックをルーニーが止めている間にドレイモンドの高速ヘルプで潰してトラベリングを誘発。ステフがエンビードを引き出しておいての3Pで残り2分には9点差に広げてしまいます。

〇ステフ・カリー
49点
3P10/19

スーパースターっぷりをみせつけたステフ。しかも、49点のうち、4Q残り7分からで20点です。役者が違いすぎた。今日も今日とてスペシャルなのでした。

でもチームとしては107点だし、ステフ以外は3P4/15なのでエース以外は大苦戦。ステフを輝かせることに軸足を持って行ったことで、ハイスコアを連発しているって感じでした。それは悪くないのだけど、クレイ・トンプソンを待つってことだ。

◎プレーオフモード

シクサーズは課題が多かったけど、シモンズとトバイアスがいないなら仕方ないかな。2人がいたら勝っていた内容でもあるので、そこはさすがにエースキャラ2人いなけりゃこんなもんだ。オフェンスパターンの乏しさはエース不足ってだけなので、むしろこれくらい戦えたなら十分なんじゃないのかな。ただMVP争いでいえばステフとの役者の違いを見せつけられすぎた。

そんなウォリアーズですが、今シーズン見た中で最も強いウォリアーズでした。すごくウォリアーズっぽいウォリアーズだった。

シーズンずっと何しているのか、よくわかんなかったわけですが、この試合は非常に明確な采配でした。これやっていれば、もっと勝っていたのは間違いないけど、敢えてやっていなかったんだろうね。

そしてこの試合のMVPはドレイモンド・グリーン。素晴らしいディフェンスと冷静なゲームメイクでチェスゲームみたいなチーム戦術の中心にいました。ハイスコアのステフよりも、スーパーなディフェンスを見せたドレイモンドの方が大事。

相手の強みを消しに行き、リスク管理した戦い方はプレーオフっぽい。プレーオフのウォリアーズみたいだったんだ。それはドレイモンドが集中していることとも関係しているよね。

もちろん、不足部分は大きく、単純にウィギンズがデュラントだったなら、もっと遥かにイージーに勝っていました。そこは足りていないんだけど、チームとして的確に戦うメンタリティの強さを超久しぶりに感じた試合でした。そりゃあステフが好調なのもわかるよ。

ということでプレーオフモードになってきたのかな。

ウォリアーズvsシクサーズ” への1件のフィードバック

  1. 今年はウィギンズ2番手、ウブレイとジョーダンプール3番手あたりでなんとかしようと試行錯誤してるスティーブカーのイメージでした。

    ただここ最近はウブレイがちょっと怪我してたことも重なったのか、ステフの脇をベイズモアやトスカーナで固めだして、勝とうとしてる感じでした。

    書いていただいてるように、トンプソン待つに切り替えちゃったのかな。。

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