2021/4/14
デッドラインで勝ちにくことにしてブセビッチを獲得したブルズ。面白くなりそうだと思って何試合か見ていますが、あんまりおもしろくならない。結局はサディアス・ヤングが一番いいプレーしているじゃないか。
デッドラインで再建することにしてウェンデル・カーターを獲得したマジック。最高につまらないし、酷いレベルのプレーをしていた初めの数試合から、むしろ面白いチームになってきました。むしろ、トレードでマジックは調子が上向いたとすらいえるのが現状です。コール・アンソニーが戻ってきたことも大きいね。
そんな両チームの対戦。マジックファンは複雑かもしれない。
◎ハリス
ブセビッチは古巣に対して1Qで3P3本。ブルズオフェンスを引っ張ると、空いたインサイドにパトリック・ウィリアムスがカッティングして良い感じ。しかし、主役のラビーンはトランジションでの疑惑の3P1つの抑え込まれてしまいました。立ちはだかったのはナゲッツからきたギャリー・ハリス。
マジックはトレード後にHCクリフォードの反抗なのか、新加入の若手をスターターにはせず、酷い試合をしていましたが、フロントからの注意もあったのか、バーチまで放出されてしまい、ウェンデル・カーターはスターターになりました。ベンチから出て良いプレーを続けたことでHCを納得させたともいえます。
それに比べてアッサリとスターターになったハリス。フロントの注意なのか、ディフェンスの良い選手が好きだからかわかりませんが、マジックファンもブルズファンもハリスの事をあまり知らないかもしれないので、触れていきましょう。
ガードディフェンダーとしては総合的にNO.1とも評価しているハリス。エースキラーだけでなく、カバーディフェンスでも力を発揮し、スクリーンを交わしたり、シューターを追いかけたり、いろんな能力を持っています。詳しくは以前に書いたよ。
一方のオフェンスについてはジャマール・マレーの2年目まではヨキッチと共に主役でした。ケガもあって復帰してきたら、得意のシュートが決まらなくなり、今ではリーグで最も3Pの下手なスターターじゃないかと揶揄される始末。なお、個人の感想です。
ただし、ナゲッツの主役だった時も1人で何とかするタイプではなく、オフボールの上手さ、特にギブ&ゴーでプレーを構築してしまう上手さを持った選手です。ナゲッツは実はヨキッチがいなくても、あんなプレーが出来たチームで、そこにはオフボールの上手いマレー&ハリスの存在がありました。当時はね。
逆に言えば、トレードされたことで連携を使いにくくなり、しかもシュートが決まらないのだから、かなり苦しむかなーと考えていたのですが、ハリスが試合に出ていない間にWCJが存在感を出してくれたので助かったようです。
試合開始からボールをハンドルするハリスはWCJとのコンビで崩していきます。自分がドライブしてのパスアウトもあれば、得意のギブ&ゴーでカッティング。さらに3Pも2本決めて上々のスタート。
守っても速攻をチップして止めれば、何度もヘルプでドライブコースに入って止めていきます。同じくWCJもヘルプで止めてくれるので、ブセビッチにアウトサイドから決められた以外は、良いディフェンスが出来ました。
2人を軸に連動したオフェンスと、カバーが早いディフェンス。これで1Qは32ー22と10点リードして終わります。2人を軸に早くも再建ムードが出来てきたじゃん!という雰囲気なのでした。
◎ブセビッチとスペース
1Qに3P5本決めたのに22点しか取れなかったブルズ。しかし、コール・アンソニーとRJハンプトンを並べてきたマジックに対して、2Qはシンプルにラビーンがプルアップ3Pで得点すると、パスアウトをタイスも3P。インサイドでも加点したタイスで点差を縮めていきます。
タイムアウトをとったマジックですが、その後もサトランスキー、ラビーンと3Pをヒットしていくブルズ。マジックがインサイドに収縮しすぎるチームってこともあり、外から打ちまくっています。
ブセヴィッチを手に入れたことで、インサイドに起点を置きながら3Pも打てるセンターが、ラビーンの良さをもっと活かせると思っていました。そもそもフォーニエやロスとプレーしたのだから、ラビーンとも噛み合うだろうと。
しかし、実際にはラビーンはドライブスペースを見つけるのに苦労している印象があります。マルカネンではなくヤングがスターターになっているのも関係しているかもしれません。タイミングを見たカッティングやドライブをするパトリックに比べると、エースゆえにスペース不足に苦しんでいるような。
HCドノバンも今日はそんなことを感じたのか、2Qは残り2分50秒までヤングを出さず、マルカネンにしました。ラビーンのドライブは出ないものの、得点は取れているブルズ。でも中間距離にいるブセビッチがジャマになっているような・・・。
ブルズでも活躍していたWCJですが、マジックに来てからの方がペイント内でボールを貰えている気がします。それはコーナーに広がってスペーシングするようなプレーがないことや、ピック&ロールが少ないことも関係しているかもしれません。ブルズの時は3Pラインの外にいることはもっと多かったよね。
ちょっと皮肉な感じのブルズ。個人的にも上手くいくと思ったトレードが、こんな風に両チームの対戦で気になってしまうっていうね。よりインサイドでのプレーが増え、起点になっているWCJと、本人は活躍しているけどブセビッチでチームオフェンスをスムーズに出来ていないブルズ。
反撃したブルズですが、残り2分からラビーンのドライブを早いヘルプで潰したWCJから速攻が生まれると、ハリスとWCJのコンビプレーからファールドロー。それをブセビッチがフックとハンドオフフェイクからのミドルで返します。
そしてロスのプレーを完全に読んでいるブセビッチが止めると、前半ブザービーターでブセビッチが3Pを決め54-53と1点差まで詰め寄って前半が終わります。まぁあれだね。WCJはこんなに安定してアウトサイドを決めてくれないから、ここは間違いなくブセビッチで良くなった部分だ。
パスアウト3Pについては形になってきているというか、ブセビッチとタイスでストレッチ5は安定してきました。とはいえ前半の3P11/19は反則だろ。でも53点しか取れていない。
◎守れなすぎ
後半はじまってすぐに、やっぱり3Pラインの外にいるブセビッチを離してしまうWCJ。スクリーン使ってフリーにしているブルズ。センターの3Pなんて外れるのを祈るのも一手ですが、それは再建チームだと気にならないけど、プレーオフで勝ちたいチームだとダメだよね。バックスはそれで勝っているけどさ。
ハーフタイムで狙い所にしてきたようなブルズなので、ブセビッチでストレッチしておいてサトランスキーのドライブダンクが決まります。マークのMCWはヘルプがいない事に「なんで?」って顔をしていましたが、こんなにブセビッチにやられていたら無理だって。
さらにラビーンからヤングへのアシストでダンク。前半よりも機能してきたぞブルズ。その内容はWCJがブルズ時代にやっていたようにセンターが外に広がることだな。さらにロング2Pを決めるブセビッチに、トランジションレイアップのサトランスキー。
しかし、ブルズはなかなか逆転できません。WCJのゴール下にやられてしまうブセビッチ。さらにハリスのドライブからMCWの合わせ。何故か、ガード同士なのに合わせが多いぜ。
皮肉にもWCJがいなくなったことでディフェンス力低下が響いているかのような内容ですが、実際にはそれよりもヤングのディフェンス力を使いにくくなったことが影響してそう。これまでなら躊躇なくWCJを下げてヤングに出来たけど、ブセビッチは下げられないじゃん。今日からテンプルが復帰したので使っていますが、やられているのはそこじゃない。
ハリスのオフェンスリバウンドからエニスの3Pが決まって、再び10点差になってしまいます。
バンバが欠場でビッグマンがいないマジックは10日間契約(多分)のダンテ・ホールが出てくるのですが、ブセビッチはホールにも苦戦します。ハードワークだけが仕事で意欲的に動くホールを捉まえきれない。身体能力では明らかにホールが上っぽいしね。しかも、マジックの3Pが決まりまくる。と言っても前半はブルズが決まりまくっていたし。
インサイドを支配され、人数をかけたら3Pで簡単に得点されてしまい、オフェンスで取り返しに行くしかない展開になってしまったブルズ。うーん、ディフェンスが弱いにしても、それもマジック相手にやられているんだもんな。ちょっと守れなすぎだ。タイスも投入してゾーンディフェンスにするんだけど、やっと3Pが外れたと思ったら、サトランスキーのファールがコールされてしまうし。取り返しきれずにズルズルと離されていきます。
ベンチメンバーが増えた3Q終盤。ホワイトのドライブが決まらないブルズに対して、コール・アンソニーがドライブレイアップを決めれば、ロスのダンクをアシスト。さらにオキキもドライブレイアップ。もうインサイドでやりたい放題のマジック。
21点差まで開いて3Qが終わるのでした。そしてラビーンはアテンプト0の0点。ハリスのディフェンスで攻めにくく、シュートが打ちやすい選手に打たせたら、こうなってしまった。こればかりはラビーンが悪いわけじゃないけどさ。
◎ラビーンの追い上げ
4Qになってブルズはアミヌとトロイ・ブラウンを起用してきます。戦力を持て余している感じがするし、やられまくった3Qに起用しなかったのが不思議だし。そのアミヌは見事なパスフェイクでマークマンを騙し、エアボールのフックを打っていました。アミヌっぽい。
2Q同様にコール・アンソニーに切り裂かれるものの、ラビーンがドライブで取り返していき、5分で13点差まで縮めます。うーん、マジでハリスにマークされていない時に、まとめて得点している感じだな。
そのハリスが出てきてもラビーンのステップバック3Pで点差を一桁にしたブルズ。ブセヴィッチをコーナーにおいて、タイスをセンターにしたユニットでオフェンスが機能します。トロイもルーズボールに飛び込むし、結局はラビーンの周囲はハードワーカーの方が良いのかな。
21-5のランで残り4分切って6点差に持って行ったブルズ。点が取れていなかったマジックはWCJがオフェンスリバウンドを押し込みます。そしてラビーンがドライブに行くところで、またもWCJがブリッツで仕掛けると運悪くラビーンが足を踏んでしまい、倒れこんでタイムアウト。
タイムアウトあけもラビーンに託す形になると、ハリスとWCJのハイプレッシャーにドライブ出来ず、ブセビッチへパスを出したところで、自分のマークを捨ててスティールに来たMCWが見事にかっさらってレイアップを決めます。
あれだね。ブルズというよりも、ドノバンっぽい。ストロングスタイルすぎて、何度も何度もやられているハリス&WCJのブリッツディフェンスに対処できていない。ラビーンへセンターがスクリーンに行ったら、絶対にやられるのに、やられっぱなし。
そしてハリスのキックアウトをエニスが3Pで決めて再び10点リードとなり、マジックが勝利したのでした。皮肉以外の何物でもない結果だったね。
〇ブセビッチ
29点 3P5/9
11リバウンド
1アシスト
2ブロック
〇ウェンデル・カーターjr
19点
12リバウンド
4アシスト
2スティール
どっちの方が優れた選手かと問われればブセビッチだよね。それは間違いない。だけど、どっちがチームを動かしていたかといえばWCJの方でした。サボニスに近いイメージでチームメイトにハンドオフを促し、ギブ&ゴーで飛び込んでいく。それにハリスが加わったことで、2人で魅力的なオフェンスを作りそうです。
もともと、マジックはフォーニエとロスが同じようにオフボールで動いていくタイプで、おそらくシステム的には維持されているのですが、ハリスの方がいろんな形でのプレー構築を出来るのと、WCJがブセビッチほど個人で決めないからこそ、コンビプレーが増えていったね。
とはいえ、別にブルズも同じようにブセビッチを使えばよいだけで、ラビーンの高いシュート力とスピードなら、マジック以上に怖いコンビになると思うのですが、そういうプレーが少ない。経緯を知らない人がみたら「このWCJって選手をブルズに欲しいな」と言いそうです。
またブルズはホワイトが極端に目立てなくなりました。マルカネンよりも苦しいかもしれません。ブセビッチとタイスを並べるのが好きなドノバンの狙いもガードの得点を邪魔してしまうのかも。
トロイ、アミヌ、ヤング、テンプル、そしてパトリック・ウィリアムスへの期待も含めて、ウィザーズみたいに「ディフェンダーがいない」ような惨状ではないのに、守れそうにないユニットを好んでしまったドノバン。チームを調整するにも先が長そうに見えました。
若手たちの中で、最も優先順位が低いからかトレードされることになったWCJでしたが、それは本人にとって良いことだったのかもしれません。気が合いそうなハリスとのコンビプレーは、新たな楽しみになったのでした。
なお、コール・アンソニーとは合っていないので、こちらもまだまだ調整が必要です。
来年への期待に溢れるディフェンスがウリのマジックですが、オフェンス面はどうなるのか不安です。アイザックはフィットすると思いますが、フルツは今のメンバーのやり方にはフィットしない気がしますし。PGにオフェンスを委ねるのか、カットや合わせからプレーを作るのか悩まし。
PGに個人技置くのが好きっていうのが悩ましいです。
コール・アンソニーもあまり合わないのですが、優先順位がPGアタックになってしまっていて。
DENファンとしてはハリスの活躍が嬉しい様な悔しい様な。正直今シーズンのフロントの動きには不満しかないです。ハリスクレイグだけは放出して欲しく無かった。
まあ
仕方ないっすね。
ゴードンが活躍しているのも事実ですし。