マブスvsスパーズ

2021/4/11

最近、好調のマブス。いつも誰かがいないイメージですが、それはチームつくりを遅くもさせるよね。幸いドンチッチがいるから形にはなっているけど、1年前から何が伸びたかっていうと微妙ではある。それが選手が揃うことで、やっとプラスを生み出せるのかなーなんて思いながら見てみましょう。

スパーズの方は充実したシーズン。明確に1年前よりも伸ばすことに成功しており、これがプレーオフレベルに通用するのかってことになってきます。そういう経験を積まないといけないし、プレーオフに出るためにマブス相手と言えども戦わないとね。

◎ポルジンギスの役割

ディフェンダーを増やしてきたマブスですが、それが成果に繋がっていないのが一番の課題。個人としては守れる選手になったのは間違いないのだけど、チーム力に落とし込むのは違う問題かな。開始からスパーズのトランジションに苦しみます。スパーズとしては強みの部分だ。

マレーやデローザンがスピードに乗ってボールを運んでくると、ファーストディフェンダーがスピードを止められないのが気になるところ。これは個人の問題ではなくて、全体の戻りが遅いと下がりすぎてしまうので、捕まえきれない。デローザンが2on3でも、だれにも止められずにレイアップに行けちゃったりしてさ。

初めの交代がメリ→ブロンソンなので、スピードで対抗したいと早々に踏み切ったようなカーライル。これでトランジションは減ったのですが、全体はインサイドに収縮気味になり、パスアウトが効いたデローザン。まぁデローザンが上手いだけかもね。よくそんなところにキックアウト出来るよね。本職PGみたいだ。

オフェンスは誤解を恐れずに言えば「ポルジンギスを信用するのを辞めた」ような気がしていて、以前はハイポストでボールを持たせることが多かったけど、基本的にはガード陣のドライブに対して、ポップしての3Pを狙わせつつ、そこからのドライブで得点させています。起点ではなく、フィニッシュ役にしている感じ。

だからブロンソンも重要性が増したのでしょうが、インサイドで起点になれたジェームス・ジョンソンを放出しているので、基本はアウトサイドから攻めることを徹底しています。それはちょっとスパーズ相手だと相性が悪い。ガードが多い相手にドライブとシュート中心だもんね。

しかし、起点にならなくなったポルジンギスがディープ3P、プットバックダンクと活躍することでスパーズの弱みであるインサイドを使えました。ドライブも決めていくのですが、3Pフェイクにひっかかったユーバンクスに対してポポビッチが怒っているので、スパーズとしてはやられてはいけないプレーだったっぽいです。

あまり動き回らないポルジンギスからパウエルに交代すると、スクリーンにも積極的かつオフボールで動いて合わせのダンク、インサイドでパスを受けてのキックアウトも出てきます。守っても自分のマークマンへのパスコースを警戒しながらのヘルプによってデローザンを遅らせると、後ろからフィニースミスのブロックも決まります。パウエルの方が良い感じだったので同点に追いついて1Qが終ります。

パウエルではオフェンスの核にはなれないけど、フィニッシュ担当として考えたらガードが多いスパーズ相手には、動き回ってパワフルに飛び込んでいくパウエルの方が良かったのでした。

あとドンチッチがあまり動かないから、パウエルの方が違いを作れていいんだよね。オフェンス以上にディフェンスでその傾向が強いかな。アリウープパス狙ったら、パウエルでは届かない高さだったけど。

◎マッチアップゾーン

ミルズの3Pで再び先行する2Qのスパーズ。デローザンとマレーではプルアップ3Pがないので、ミルズのシューティングに対応できなかった感じのマブスでもありました。さらにゲイのポストアップもスターターにはない武器。

ディフェンスではマレーがドンチッチのマーク担当ですが、ポルジンギスがスクリーンに来て「追いかけられるけどポルジンギスが空きそう」になったら、構わずゲイにスイッチしました。そしてドンチッチがベンチに下がると、わかりやすくマッチアップゾーンになります。

全体的にフリーを作らないためのディフェンスは、個人のマッチアップではなくチームでの対応が強く出ています。今時はエースキラーのディフェンダーなんてナンセンスみたいな。3年前はマレーがエースキラーやらせまくっていたのにね。

しかし、このディフェンスは裏目に出て、少し遠い距離からの3Pを打たれてしまいます。しかもマブスは決めてくるんだ。そして3Pラインの外まで追いかけたくなったために、ブロンソンvsパートルになったところをスピードで振り切られちゃったしさ。両コーナーにもパスを振られてしまい、シンプルに攻略されてしまいました。

とにかく誘い出されるパートル。ポルジンギスのマークだとしても広くアウトサイドに出ないといけないので、カウンターのドライブも食らってしまいます。ブロックに成功するとマレーの速攻に繋がったので、全てが失敗ではないものの、マブスの特徴にハマってしまったので7点ビハインドまで行ってしまいます。

3Pが決まらなかったこともあり、オフェンスでも苦戦したのですが、ディフェンスを動かしてフィニッシュできているので、そんなに悪くはなかった。もう少し守れていればトランジションも増えて得点は増やせた気がします。あとパートルもユーバンクスも、やけにオフェンスファールをコールされちゃった。

前半は56-51でマブスリード。スパーズのディフェンスが機能しなかったことが差になって出てしまいました。

◎タイムアウト

お互いに速攻をブロックするシーンが出てきた後半。それはトランジションが増えているってことなので、スパーズの狙いが機能していることになります。しかもハーフコートになってもデローザンがポルジンギスがブロックに来ているのにゴール下を決めれば、マレーもドライブ&ワン。これで逆転します。ケルドンもダブルクラッチでポルジンギスをかいくぐった。

3Pが決まらないとロングリバウンドもあって苦しいマブス。でもポルジンギスを起点にする形は辞めているしな。と思ったらドンチッチがポストアップから&ワン。身体強すぎ。どっちにしてもドンチッチ起点なわけだ。むしろアウトサイドなら他の選手も行くけど、インサイドはドンチッチだけ。

タイムアウトからマブスはオフボールで動いてきたハーダウェイとJリッチがハイポストからミドルを打ちます。困ったら、この形を使うのか。初めはコーナーにいるのでドンチッチからのパスアウト待ちなのだけど、そこからスクリーンを使ってトップに向かってフリーになる動きがはいってくる。なかなか的を絞らせない攻め方で得点していきます。

フィニースミスはドライブからハンマーダンクを決め、ドンチッチは狙いすました3Pファールドローと3Pが決まらない以外は上手くいったマブスオフェンス。

しかし、スパーズはデローザンがアタックして、ファールドロー、ミドル、キックアウト3Pと勢いが衰えず、やっと外したと思ったら反応が悪かったポルジンギスの後ろからパートルが押し込んでリードをキープしていきます。

ところがオフェンスミスが続いた後で、ボール運びでハーフライン近くにいるデローザンにホワイトがパスを出してしまうとラインを踏んでバックパスバイオレーション。出した方も受けた方も悪い。このミスの後でドンチッチが3Pを決めてマブスが逆転します。ものすごくタイムリーな3Pだった。

タイムアウトのスパーズはデローザンのアタックを使いますが、ぶ厚いカバーで3人がきたマブスが止めます。その後はカバーの外からミドルを決めていた。そしてロニー・ウォーカーが3Pを決めれば、さらに速攻でメリ越しのダンク&ワン。これで再びリードします。

マブスはドンチッチのパスからブロンソンの3P、カットしてきたパウエルのゴール下とドンチッチ起点で得点し、さらにメリはダンクのお返しに3Pをヒット。2本目の3Pはエアボールしたロニー・ウォーカーに対して、メリは3Q終了のブザービーター3Pを決め、89-88とリードを奪い返したのでした。

どっちもタイムアウトから形を変えて成功しているので、HCが試合を揺れ動かしていた3Qでした。デローザンを止めるかどうかが焦点になっているのに対して、ドンチッチは焦点になっていないような印象もありましたとさ。

ロニー・ウォーカーがスピードで振り切ってレイアップを決めると、さらにミルズのパスアウトから3Pを決め、またもスパーズ優勢から始まります。ハーダウェイのドライブをパートルがブロックし、マブスのシュートが落ちていくのに対して、マレーとミルズの3Pで8点リード。

ブロンソンが3Pを決めるも、ドンチッチのいない時間のためオフェンス構築に苦しんでいるマブス。久しぶりにポルジンギスがペイント内でポストアップして決めましたが、単発な感じは否めない。それでもオフェンスリバウンドを頑張ったポルジンギスで残り6分を2点差で迎えます。

3Qと違うのはスパーズがインサイドカバーが多めになってきたこと。これでパスアウト3Pが生まれたマブスはブロンソンとJリッチが決めます。対するスパーズはデローザンのドライブに合わせたパートルが&ワン。さらにデローザンはユーロステップでポルジンギスからファールドロー。

ドンチッチにはダブルチームしてでも、やらせなかったスパーズがエースのデローザンで押していき、ポストアップからターンシュート&ワンで残り3分9点差まで広げます。

タイムアウトからマブスはドンチッチのポストアップを使ってパスアウトからポルジンギスの3P。そしてパートルにハック作戦に出ます。これはポポビッチのミスだな。リードが9点になった時点で残り2分までベンチに下げるべきだった。でも1本決めたけど。

続いてポストアップするドンチッチ。マークのホワイトがこれまで通りの感じだったのにファールコールされます。レフリーの私見が強いというか、忖度したというか。このファールで強くいきずらくなったのか、ドンチッチに押し込まれてのフックを決められます。っていうか、ポストアップ連発のドンチッチ。

さらにボール運びから、そのままポストアップしたドンチッチからフィニースミスがゴール下で合わせると、ブロンソンのレイアップが落ちたのをJリッチがプットバックで残り1分20秒で1点差に。その間のスパーズはデローザンのシュートがリングに嫌われたりしてさ。

ちょっとデローザンに頼るのが早すぎたイメージのスパーズ。ちょっと苦しくなりそうに思えたところで、ドンチッチ相手に仕掛けてドライブ&ワンを決めるデローザン。スパーズはドンチッチのディフェンスを狙っているっぽい。ここでポルジンギスは退場。

それでもポストアップのドンチッチはケルドンからファールドロー。デローザンの3Pが外れると、さらにポストアップしてディフェンスが寄ってきたところでパスアウト。これは外れるもオフェンスリバウンドをキープしたマブス。最終的にはドンチッチに回ってきてドライブフローターを決め、残り19秒で同点にします。

まぁ終盤はドンチッチ連発しかないよね。それでも決めるタフショット能力とファールドロー能力があるからな。よくぞ追いついた。スパーズとしてはホワイトからマークを変えたケルドンで押し込まれたのは計算外だろうね。

デローザンは時間を消費してから、ホワイトのスクリーンを使って仕掛けます。これもスイッチさせればドンチッチなんだけど、フィニースミスがすぐに戻ってきたのでスイッチにはならず。ただし、密着マークにはならないので、タイミングはかったステップバックミドルを選択し、残り0.5秒で見事に決めて勝利をもたらしたのでした。

〇デローザン
33点 FG13/25
9アシスト

デローザンはなかなか不思議な選手で40点くらい決めたイメージなのに、得点は大したことないんだよね。まぁ不思議というか3P決めないからだろうけど。

それだけデローザンが決めたということは、マブスはキックアウト3Pを警戒していたということ。スパーズの3Pは8/21と確率は悪くないものの、本数が少なかったです。

〇マブスの3P 13/42

マブスは倍の42本を打ちましたが、確率は31%と低く、終盤はドンチッチのポストアップ連発になりました。本数が多かったのはディープ3Pでも構わず打っていたからで、そこまで追いかけないスパーズは前半こそ苦労したものの、後半はあまり打たせませんでした。代わりにコーナー3Pを食らっており、どっちもどっちでしたが。

結局のところ、インサイドの起点がドンチッチしかなかったマブスはオフェンスの構築に困り、どうしても3Pを打たないとダメだった形です。途中でミドルを打っていましたが、もっとあのパターンを使えばよかったのに。ただハーダウェイがFG0/5だったので、オフェンスオプションにしにくかったのかもしれません。

ポルジンギスは31点15リバウンドと得点源として機能している一方で、もう少し起点になれる選手が欲しいマブスでした。あとレディックって出場したくないんでしょ。トレードでメリを獲得しただけになっているな。

マブスvsスパーズ” への3件のフィードバック

  1. お疲れ様です。
    いい試合でしたね。マブスファンとしてはよく追い上げたなって思いましたが、最後のデローザンのポゼッションは入る気しかしませんでした。
    マブスが好調だったのはベンチから出てくるブロンソンの高確率なドライブ&スリーとハーダウェイのトランジション&個人技による打開の影響が大きかったので、二人がダメだとオフェンスは立ち行かなくなりますね。ここから大きく変わることはないと思うので、二人の出来がプレーオフでも強く影響しそうです。
    レディックは何なら次の試合から出るという話もあるみたいです。ただ、ガードは飽和気味なので、どうローテに組み込むのかカーライルの手腕が楽しみです。
    あと、管理人さんに質問なのですが、仰られている起点となれる選手って他にどのような選手を想像されてますでしょうか?ジェームズ・ジョンソンはトランジションからガードのスリーをお膳立てしていたことと、ハードにディフェンスしていたこと(あとトランジションでよくボールを失っていたこと)くらいしか印象になかったので不思議でした。
    オールスタークラスのバムとかブーチェビッチとかは起点としてよく理解できるのですが、ロールプレイヤーで起点というとパッと出てきませんでした。
    今コメント書いていて唯一浮かんだのがピストンズのプラムリーですがイメージあってますかね?プラムリーをロールプレイヤー扱いは失礼かも?
    気が早いですが、今年ダメだった場合どの方向に舵を切るのか楽しみでもあり不安です。オールスターを一杯集めるのは好きではないのですが、スター呼び込むのかなあ。

    1. この試合でポスト起点でオフェンスを始めたのはドンチッチだけでした。
      ジェームス・ジョンソンにボールを預けると、一回インサイドに収めてからの展開が期待できます。
      といってもマブスではコーナーにいることも多く、そんなシーンは少なかったですが。

      ロールプレイヤーも大事ですが、「スターター相手には通用しないけど、ベンチ相手なら主役になる選手」が足りていない印象です。
      だからドンチッチに頼る時間が長くなってしまう。
      去年はセスやマルヤノビッチの特殊性を使い、バブルではバークスが担ってくれていました。もっと前だとバレアとか。

      必要なのはそういうタイプの選手だと思います。必然的に「昔はスターターとして活躍していたベテラン」になる事が多いですね。

      1. 回答ありがとうございます。非常にわかりやすかったです。
        確かに今のマブスでドンチッチ以外でインサイドにボールを収められる選手はいないですね。
        管理人さんの回答を見て真っ先に浮かんだのは、ウォリ王朝時代のウエストでした。
        もう補強はできませんが、現実的な線だとホーフォードとかですかね?契約重すぎるのでないのかな…
        ご丁寧にありがとうございました。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA