ナゲッツvsスパーズ

2021/4/9

ウィザーズをみてイライラなので、お口直しに見る試合です。困ったときにはナゲッツを見よう。相手がスパーズならなお良し。

前半はナゲッツが3P10/18だったのに対して、スパーズは3/13でした。この差が大きくて11点差となりましたが「シュートの好不調で勝負が決まる」のは基本的に良い試合です。お互いに狙ったオフェンスというか、しっかりとした戦略を実行した結果、好不調が響いた感じです。

両チームにあってウィザーズになかった要素を中心に前半を振り返ります。

◎マレーのいないナゲッツ

ナゲッツはマレーが欠場。ヨキッチほどの影響はないものの、今シーズンはほぼ2人でプレーメイクしていたので、アウトサイドの大黒柱がいないことは大きく響いていました。スターターにはカンパッソがはいり、2Q終盤は復帰したモンテ・モリスがいました。

カンパッソはコンビプレーを駆使してゲームメイクし、時にはヨキッチへのスクリーンなどでスパーズを大いに困らせました。ディフェンスでも横から手を出すのが上手く、ターンオーバーを誘発しまくり、マレーの代役を立派に勤めていました。

しかし、ドライブ担当がバートンしかいないオフェンスは、スパーズ側としても止めやすく、パートルのブロックを中心にしっかりと追い込んでドライブを仕留めていました。もちろん、ヨキッチには困るわけですが、マークのパートルはムダに手は出さず、ヨキッチの背中側に居る選手がスティール狙いで飛び出してきたのが印象的です。

つまり、ドライブにはセンターがカバーし、ヨキッチのポストにはガード陣がカバーしていました。マレー、ホワイト、ケルドンのヘルプというか、スキを見て掻っ攫いに来る判断は見事。自分のマークを捨てるので、フリーの選手も生まれるのですが、トータルで言えばヨキッチを困らせていました。

そんなディフェンスに対して、マレーがいないナゲッツはオフェンスパターンを変えてきます。これがウィザーズにはない部分だよ。戦略的に複数の形をしっかり用意しているので、一見ヨキッチの判断次第に見えてそうではない。

PGゴードンにして、前述のカンパッソのスクリーンを使ったヨキッチのプレーを織り交ぜることで起点を変えていったり、MPJとヨキッチがオフボールスクリーンで1人がカッティングし、もう1人はポップして3Pを狙うプレーは、ビッグマン同士のオフボールスクリーンという悪魔のようなコンビプレーです。しかも、両方ともシュートが上手いから空けられない。

ヨキッチに対しては割と対応できていたスパーズディフェンスですが、こうなってくるとかなり苦しい。特にパスキャッチしてジャンプしたら誰も届かないMPJをどうすりゃいいんだよ。

ヨキッチがボールを持つ時間が長いと前述のようにヘルプで奪い取ることもあるのですが、ワンタッチになってくると苦しいぜ。それでもパートルはファールしないで守っていたし、3Pに対しては強くチェックに行かない事で「フリーでも打たない判断」が多めのヨキッチへの警戒が出来ていました。

でも、どうしてもこんなことを繰り返されるとインサイドカバーが増えてしまうよね。そしてスパーズディフェンスの動きを見ているヨキッチは、インサイドで空いたMPJやゴードンにパスを通すのはもちろん、そのフェイクから3Pラインでフリーになっている選手を見つけてはパスを出していきました。

複数のパターンを持っているナゲッツは、オフェンスの入り口を変えながらも、「決まった動き」ではなく、ディフェンスをしっかりと見てパスの判断が出来ており、前半は3P決まりまくりで得点を積み上げていきました。

◎ナゲッツを知っているスパーズ

ウィザーズが持っていない中で、スパーズで強く感じたのはゲームプラン。ナゲッツとは2日前にもやっている連戦なので、ナゲッツが何をしてくるのかを明確に理解してプレーしていました。ナゲッツ対策が強く出ていたよ。

まずはスターターにカンパッソがいるので、サイズのミスマッチを使う事。特にデローザンは押し込んでしまえば必殺ミドルがあるので、かなりイージーモードで、豪快なドライブダンクも決めていきます。

またナゲッツディフェンスは1つのパスに対して全体が連動してポジションを動かしていくし、インサイドカバーが早いので、これを逆手に取るようにワンタッチパスのようにハイポストに入れてリターンを出させていました。1つひとつの動きは整理されていても、動かされ続けるとディフェンスはつらいよね。

たまにパートルが出しどころを失ってしまい、自分でロングフローターを打っていましたが、決まらないけど自分でオフェンスリバウンド取って救っていたな。ヨキッチのカバーディフェンスも厄介なので、一回収縮させておくようなプレーを混ぜていました。

デローザンとマレーを中心に組み立てていくスパーズですが、そこは通常通り。ナゲッツに比べるとオフェンスパターンが少ないというか、そもそもガード4人並べているので、もちろん多様なプレーコールはあるのだけど、ナゲッツのように「わかりやすいパターン変化」は作りにくく、ドライブ&シュートの作り方を変えていくだけです。自発的な変化は難しい。

しかし、ガードが多いという事は、それぞれの選手がいろんなことを出来るという事。パスの連続であればメリットがあるよね。加えて「ナゲッツディフェンスはこう動くはず」ということがインプットされているので、多くのプレーでボールと逆サイドに選手を多くして、ヘルプポジションをとっていく選手を曖昧にしていました。

そして特に目立ったのがスターターのケルドンとベンチのロニー・ウォーカーのオフボールの動き。エンドライン沿いを逆サイドへ移動し、自分のマークがヘルプポジションをとったら3Pを狙い、追いかけすぎたらバックドアカットを決めていました。

ケルドンの方は日常的にみるかな。今日はいつもよりも広めスペースをとっていた印象で、パスを貰った時にはドライブも3Pも完全に決まるゾーンにはいっていました。推進力とフィニッシュ力の高さを生かした形です。特にマークがMPJだと逆サイドのケアが悪かったので狙っていたんじゃないかな。

ロニー・ウォーカーはこういうプレーを日常的にやっているイメージがないので、ナゲッツ対策だったんじゃないかな。特に逆サイドのコーナーからゴール下に飛び込んだカッティングが有効。ディフェンスの警戒が緩まるのをよくわかっている形であり、パスを出すデローザンはドライブしてディフェンスをひきつけた時に、明らかにロニー・ウォーカーが飛び込んでくるのを待っていたので、シナリオ通りだったような。

ある意味、スパーズの方が「決めつけているプレー」になっていて、ナゲッツの動き方を把握していた感じ。でも、こちらは3Pの確率が悪かったのでビハインドで前半が終わったのでした。

◎ファール

後半始まってヨキッチが2つのファールをしてしまいます。1つはオフェンスリバウンドがスパーズに出たアンラッキーだけど、2つ目は自分のターンオーバーから余計なファールでマレーが&ワン。ジャマール・マレーがいない試合で一番気を付けないといけないファールトラブル。これでスパーズのドライブに半端にしかブロックに飛べなくなりました。逆に狙っているかのようにドライブ連発していたデジョンテのマレーとデローザン。

これで苦しくなったナゲッツディフェンス。周囲がインサイドカバーにいったので、ホワイトとゲイが3Pで点差を縮めます。オフェンスで取り返すしかないナゲッツですが、MPJは見事なカッティングを決めたものの、ヨキッチがゴール下をミスするし、ゴードンへ狙いすぎの裏パスはターンオーバーになるし。あと、スパーズもケルドンがファールトラブル

ヨキッチはこういうミスも多いんだよね。ただ、その後に自分でスピンムーブからダンクを決めて取り返す集中力がある。メンタル。

しかし、試合の流れはスパーズなのでホワイトのフリースローで2点差にすると、ゴードンをパートルがブロックし、一気に逆転へ・・・という場面でPJドジアーがドライブ&ワン。でも、フリースローはエアボール。なんでやねん。逆にデローザンはトップからドライブして&ワン。フリースローも決めた。

ところでデローザンのマークはゴードンですが、見事にスピードで振り切られまくっています。これがナゲッツの弱点で、スピード突破してくるエースに対して守れるディフェンダーがいません。3Pがないデローザンに助かっているけど、わかりやすく弱点を出していました。PJドジアーにこの役割をやらせるかもしれませんが。

だから打ち勝つしかないナゲッツ。またMPJがカッティング&ワン。エグイ。殆どドリブルしないで得点しまくる。そしてヨキッチからドジアーへの裏パスも通って、本当に打ち勝っていくナゲッツ。っていうか、ドジアーのマークがゲイになっていたので、こちらもスピード勝負。

そしてインサイドプレーが続いた後でヨキッチのパスアウトからモリスが3Pです。モリスはトランジションでも3P決めれば、ドライブも続けて13点差に戻して3Qが終わります。スパーズもゲイやデローザンで点を取れているのに、問答無用だったな。まぁ終盤はこの2人が外していたけど。

この3Qでナゲッツが良かったのは、前半にやられていたエンドライン沿いでの合わせをやられなかったこと。そしてオフェンスではヨキッチが背中を向いている間にスティール狙いに来ることを許さなかったこと。ハーフタイムの修正が効いていました。

シュート精度の差ではなく、スパーズオフェンスから得点パターンを奪ったわけです。ヨキッチの2ファールがなければ試合が決まっていたかもね。

◎トランジション

オフェンスが苦しいスパーズは3P打ちになってしまいます。一方のナゲッツはミルサップとマギーが並ぶとオフェンスが上手くいかない。全員が流動的に動くのがナゲッツなのに、ずっと真ん中にいるマギーがジャマ。よくわからんオフェンスファールしているしさ。高さで押し込んではくれるんだけどさ。

そんな感じで、どっちも悪い4Q序盤。バートンがドライブを決めたら、ケルドンもドライブファールドローで返して、10点差で推移していきます。そういえばナゲッツはジャマイカルがいないんだね。いればこんな事にはならなかったような気もします。

打開したのはスパーズ。ハイプレッシャーディフェンスで苦しめると同時に、走って走ってトランジション。ディフェンスが戻っていても、一気に行ったホワイトによって4点差にします。

スターターを戻すことになったナゲッツ。ファーストプレーでヨキッチのパスアウトからバートンの3Pが決まり、MPJは速攻でファールドロー。仕事が早い。9点差に戻すと、スパーズはデローザンが出てきます。

スパーズは苦しいのですが点差をつめた時同様にトランジションに賭けます。ハーフコートオフェンスでは対策が効いていないので、これしかない。だからヨキッチやMPJにやられもするけど、それ以上に点を取るために走ります。全員が走るから明確に指示が出たんでしょうね。ミルズまでハーフコートで止まらずにドライブしてレイアップ決めてる。

残り3分半でナゲッツのリードは11点。タイムアウトのポポビッチはデローザンのドライブに逆サイドのコーナーへホワイトを動かしての3Pを決めさせます。良く決めたねホワイト。

さらにデローザンのキックアウトは続き、今度はパスを受けたケルドンがスピードでゴードンを振り切ってレイアップ。残り2分には4点差まで縮めます。

MPJがミドルを外しますが、ディフェンスでデローザンのパスをカットし、トランジションへ。ここは止めたスパーズですが、ヨキッチにボールが戻るとプレッシャーに行きすぎてファールコールされフリースローに。すぐにホワイトの3Pで取り返すも、モリスのドライブをパートルがテンディング

デローザンがファールドローして残り1分3点差にすると、ホワイトもドライブで続いて1点差に。それぞれゴードンとMPJがスピードで抜かれています。一応、ナゲッツはプレーが止まるとオフェンスならMPJを、ディフェンスならドジアーを出す細かい対応ですが、こうなる時もある。

残り16秒でファールゲームにいったスパーズ。フリースローをバートンが2本決めて3点差。タイムアウトのスパーズはミルズからホワイトにパスを渡しますが、ここでバートンがファールしてしまい2スローに。2本とも決めたホワイトで残り11秒1点差。

スティールさえ防げばよいナゲッツ。タイムアウトでプレーの確認をし、ヨキッチをスロワーにしてMPJに持たせます。ここで選ばれるようになったのかMPJ。しかしフリースローを2本目を外してしまいます。

激しいリバウンド争いの後でボールを取ったのはケルドン。逆サイドのリングめがけて、MPJを吹っ飛ばしながら加速してレイアップに行きますが、吹っ飛ばされたMPJが体勢を立て直してブロックに飛び、シュートミスを誘って試合終了となりました。

あそこからよくぞレイアップまで行ったケルドンでしたが、吹っ飛ばされてからのリカバリーが早かったMPJ。自分のフリースローミスで負けるわけにはいかないもんね。

◎ヒント

ジャマール・マレーが不在とはいえ、ナゲッツの弱い部分を使ってきたスパーズの対応はいろんなヒントが混じっていそうです。ゴードン加入から負けなしのナゲッツですが、やっぱりスピードには弱いこともわかりました。スパーズとしては3Qが悔やまれますが、後半ずっと走り続けるわけにもいかなかったしね。

その弱点を消すくらいに点を取るしかなかったナゲッツですが、スターターだけでなくモリスが3P5/5で救ってくれたのが勝因です。シュートの好調さで勝ったともいえるので、スパーズとしてはアンラッキーでもありました。

スパーズはこれで5連敗。惜しい試合だったけど、これが続くと厳しい。これで2つ負け越しになってしまいました。次がマブスで、マジック、ラプターズと続くので、何とか勝っておきたいですね。

ちなみにナゲッツは4位だとレイカーズとファーストラウンドになりそうなのですが、そのレイカーズは7位マブスと2.5ゲーム差まで縮まっており、レブロンとADの復帰が遅れ、ズルズルいくと、まさかのプレーインに回るかも。

ウエスト怖い。いろんな相手に勝てるだけの準備をしておかないと、簡単に勝率5割を下回ってしまう。1つのやり方だけで大丈夫と安心することすら許されない。

ナゲッツvsスパーズ” への8件のフィードバック

  1. DENはどうやってUTA PHXに勝つんだ?ハンドラーへの圧が全然足りないしMPJ、バートンのクローズアウトが余りにルーズ。ドジアー48分出す気?多少奮発してハリスを残すべきだったのでは。
    それかオフェンスで打ち勝つ覚悟を決めたのかな。MPJ、ヨキッチ、マレーの3人で破壊。
    後マギーのポジショニングが悪すぎて笑ってしまった。流石に酷いw

    1. マギーをとるくらいなら、ガードのディフェンダーとっておけよ。って感じです。
      バートンがいないこともバブルではプラスに働いた面もあったし・・・

  2. >口直しにナゲッツ
    ナゲッツのレポが読みたいのでどんどん酷い試合を見てもらって口直ししてもらいたいですね笑
    そしてナゲッツ特集へw
    ドジアー君の管理人さんの評価が知りたいです

    1. ドジアーはディフェンス面では働けているので、使いどころがあるのですが、バートンを下げてまで使いたい選手になれていないのが苦しく。
      またカンパッソの方がフルコートプレスできるのもドジアーの序列を下げていますね。

      ってことでモリスが頑張るでしょ。

  3. 対戦相手の方を見るためだったのでしょうが2試合連続でスパーズ戦を取り上げていただいてありがたい限りです。
    スパーズの問題・課題について触れている部分は少ない印象ですが、あえてそれらを挙げるとすればどのようなことがあると思われますか?

    1. いやー、スパーズを観たかったのですが、それぞれの試合で良い部分は多かったし、課題もあるのですが、現ロスターでの戦い方を考えた時に、これといった欠点や修正事項ってないし、完成されている感じなので、コメントしにくかったんですよ。

      特にロニー・ウォーカーが控えになったことで、ベンチメンバーの方が個人での積極性があり、チームバランスが良くなりました。でも、これも以前に触れたし。

      最近はポポビッチが激高するシーンがないので、それだけチームには満足しているのだと思います。

      1. >現ロスターでの戦い方を考えた時に、これといった欠点や修正事項ってないし、完成されている感じ

        ホッとした反面、プレイオフ争いが現ロスターでの限界なんだと改めて思いました。
        将来勝つことを考えるなら少々今シーズンの負け試合が増えたとしてもサマニッチにプレイタイムを与えて欲しいというのが個人的な願いです。

        1. 限界というか、あとは若手が伸びるしかないって感じです。
          その中で、若手の伸びしろではなく、エースキラーのゲイがイマイチ止められていないこと、そしてパートルのフリースローは違う問題として解決できれば、もう少し勝てそうだなと。

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