レイカーズvsヒート

2021/2/20

ファイナルの再戦となる顔合わせ。レイカーズは順当なシーズンを過ごしながら、ADのケガに加えてシュルーダーも離脱しており、調子を落としています。ネッツ戦では大敗を喫し、戦略的な部分でもファイナルほどの完成度はないことを示してしまいました。

しかし、ヒートはそれ以上に深刻な状態。バトラー、ドラギッチ、ブラッドリーなどが離脱して成績が上がらず、戻ってきたバトラーはトリプルダブルクラスの活躍を連発しているけど、それはむしろバトラーを起点としてしか使えていない気もします。

ウォリアーズ戦を見る限り、ヒートの問題は多彩だったオフェンスパターンが色あせており、やけにバトラー起点が多過ぎたり、ハンドオフ3Pに頼りすぎている気がします。これらのプレーはとっても効果的なのだけど、1試合つづけていくとディフェンスに読まれるから後半に失速してしまうような。

1つひとつのプレーが悪いわけではなく、試合トータルの話なので、ある意味、必要なのは「勝てる」という自信かもしれません。ADのいないレイカーズに勝つことで、月並みな言い方ながら勢いに乗りたいところです。

◎完璧なワンプレー

試合開始からヒートのワンプレー・ワンプレーが明らかにレイカーズを上回ります。ディフェンスが全く対応できていないレイカーズ。ウイングにいるオリニクからアデバヨ、バトラーのドライブからアデバヨと、トップ近辺に立つアデバヨがリングに飛び込む動きに対して、それぞれ角度を作ってのアリウープパスが決まります。

ボールと逆サイド側で合わせる動きが決まれば、バトラーのドライブにはノーヘルプになってイージーレイアップ。インサイドに収縮すればキックアウトでナンが3P。

そして繰り返されるアデバヨとダンカンのハンドオフプレーから、3Pにはレブロンのファール、同じ形からバックドアカットしてダンカンがドフリーのゴール下。

アデバヨのマークがガソルってこともあって、どうしても各プレーに絡んでくるアデバヨの脅威が加わり、完成度の高いワンプレーの精度で上回っていくヒート。ダンカンのロブパスをクズマが横からカットするシーンもあったのでレイカーズもある程度の対策はあるようですが、ファイナルほど準備はしていないってことだろうね。

レイカーズはネッツ戦同様にレブロンの個人技主体。そこにクズマがタフなターン3Pを決めれば、コーナーからのドライブでリバースレイアップ。ポジションバランスをしっかりととるようなシステムはしているけど、基本的には個人技によるプレーメイクの序盤です。なのでヒートがリードしていきます。

レブロンがベンチに下がって厳しいかな、と思ったらアデバヨとバトラーも下がったので、お互いにオフェンスが停滞気味になった1Q後半。しかし、ここでナンが連続3Pを決め、イグダラも3Pで続いて15点差に突き放します。ほぼ個人のシュート力で持って行ったナンは1Qだけで15点。

一方で1Q終盤になるとレブロンを戻すレイカーズは、パスゲームからインサイドのハレルやモリスに合わせる形。ここは良かったけど、レブロンのドライブは例によって天敵・イグダラがはじき出されてしまいました。ということで1Qは36-23とヒートが13点リードに。ナンのシューティングとディフェンスで凌ぎ切ったことが大きかった印象です。

後半に失速しそうなのがヒートの課題ですが、その前に勝負を決めてしまえば問題ないわけで。レイカーズもAD不在でパンチ力不足なので、ディフェンスが崩れなければ逃げ切れそうだけど。

◎個人技は苦しい

2Q初めのレブロンドライブもゴール下で最後まで競るイグダラによってシュートミス。でも次は3Pを決めて対抗するキング。でも、ちょっとお疲れに見えます。オフボールで全く動かなかったり、パスの判断を早まったり。

そんなことを考えていたら、トランジションからディフェンスの間をスピードで抜けて、ファールされながらのレイアップをねじ込みます。常識なんて通用するはずがないキング。

あまり記憶にないモリスのローポスト起点を繰り返すレイカーズ。困っているって事なのでしょうが、モリスにボールが入ったら真ん中をカッティングしてきたレブロンにパスが通りイージーなゴール下・・・をアデバヨのプレッシャーで外すキング。

やっぱり疲れているのかなーと思ったら、次は再びトランジションアタックで、そこそこタフなレイアップを決めます。レブロンの好不調もありますが、それ以上にレブロン頼みになっているオフェンスも苦しい。モリスがポストアップしていると思ったら、ハレルがコーナーにいるので、せっかくホートン・タッカーがドライブで抜けてもヘルプが来て、パスアウト先がハレルだもんね。結局レブロンに戻すことに。うーん。

ということでバトラーがベンチでレブロンが出ている時間帯でも、追い上げられず。ツービッグが特に苦しいので、レブロンを下げると同時にモリス→クズマのワンビッグになります。この方がハレルがインサイドを使いやすい。

KCPとカルーソのドライブから、キックアウトでクズマやマシューズの3Pになるので、レブロン頼みの時間帯よりは改善します。3Pを打った後はハレルのインサイドに合わせてゴール下。マシューズのパスアウトからKCPの3Pと、良い感じになってきたレイカーズですが、マシューズのシュートが外れ、クズマのトランジションもレイアップミスと、あと一歩追い上げられません。

レブロンが戻ってくるとマークはアデバヨかバトラー。プルアップ3Pは諦めるような形に近いですが、ドライブさせません。そこでクズマが行くのですが3Pもドライブも決まらず。そしてディフェンスがアデバヨvsガソルになっていると、バトラーとアデバヨのピック&ロールを止められません。

15点差くらいで終わりそうでしたが、残り1分からバトラーが連続でミドルをミス。一方でガソルのパスアウトからKCPが3Pを決めると、マシューズのシュートミスをKCPがオフェンスリバウンドでキープし、最後はガソルがブザービーター3Pを決め、59-52と7点差になって終わります。

ヒートからするとアンフェアな終わり方でした。ずっと二桁リードしていたのに、最後にやってしまったぜ。その前段にあったのはレブロン抜きでドライブ、パスアウト、インサイド合わせと中・外・中のリズムを改善させたレイカーズの事情もあったよ。レイカーズ的には苦しんだ前半だけど、帳尻を合わせる事には成功したってことでした。

◎悪さが目立つ

前半は3本の3Pを全て外し、流れを切った感もあって落ち込む表情をし、KCPに励まされてマシューズが3Pを決めて4点差になって始まる後半。でも今度はKCPが外しちゃったし、レブロンがトラベリングするし。クズマは3Pを決めるけど、ダンクは後ろからナンにブロックされるし。

そんなレイカーズでしたが、ディフェンスではガソルがアデバヨのアタックを止め、マシューズはバトラーのオフェンスファールを引き出し、ヒートは24秒ギリギリのプレーが増えてきます。バトラーはアデバヨとのピック&ロールから&ワンを決めるものの、ガソルの3Pで追い付かれてしまいます。

懸念していた通りの展開になってきたヒート。レイカーズディフェンスに対応されてしまい、個人でねじ込みに行かないと苦しくなっています。でも、その担当であるバトラー起点が多いから、あれもこれもバトラーで上手くいかないじゃん。ドラギッチが欲しい。

タイムアウトを取るものの、上手くいかず、マシューズの3Pで逆転されます。そこからバトラーがゴール下を連続でミス。アデバヨが押し込んでくれるし、レブロンもレイアップミスを連発してくれたので、助かりましたが苦しいぜ。

レブロン→カルーソでガソルのワンビッグになるレイカーズ。前半はここでクズマが助けてくれましたが、そこはヒートも警戒するじゃん。するとガソルがパスミスに3Pエアボール。結局ハレルと交代なんだけど、ついでにモリスも出てきて再びツービッグです。

ハレルがローポストでボールを持つも3人がインサイドに固まっているのにツッコんでシュートミス。ハイポストに出てきたらパスを貰った瞬間にバトラーがスティール。

ディフェンスもローテミスで空いたバトラーからナンへのアシスト。バトラーはハレル相手のドライブも決めて再逆転します。バトラーはさらにドライブからモリスのファールドロー。

レイカーズからすると、このユニットになると攻守にミスが出てしまう。ヒートからすると、バトラーのところで簡単に攻めていける。ってことで、非常にわかりやすくなったし、ヒートがチームオフェンスを機能させているわけでもありません。10点リードになるよ。

レブロンが戻ってきますが、まさかのレブロンとホートン・タッカーでもローテミスでイージーレイアップ。トランジションも捕まえられずにアチウカがゴール下でドフリーになってファールで止めるしかなく。

ホートン・タッカーの3Pやドライブ、レブロンが合わせたゴール下で対抗したレイカーズではありましたが、とにかくハレルとモリスが並ぶと苦しい。これってネッツ戦も同じだったので、単にADがいない以上の問題です。特にモリスのディフェンスが判断ミスが多い。

3Qは81-77とヒートが4点リードに戻して終わりました。予想通り苦しくなったヒートオフェンスに対して、一気にリードを得られそうなレイカーズだったのですが、レイカーズにも問題があった。お互いに悪い部分が目立ってしまう3Qとなったのは、それぞれ調子の悪さを感じさせます。

◎読み切る展開

ナンがオフェンスリバウンドを押し込み、さらにキックアウトパスを受けてワイドオープン3Pを決め9点差に戻します。これに対して、ホートン・タッカー、レブロン、カルーソ、レブロンと3Pを連続ミスのレイカーズ。ハレルがリバウンドで助けてくれるものの、本日も3Pに悩みそう。

ただ、この3P連発はインサイドを広くして、ハレルとモリスのプレーエリアを保っている形なので、形としては悪くありません。ある意味、ハレルが助けてくれるのも計算のうち。アデバヨのワンビッグになっているヒートよりは上だろうと。

しかし、モリスがポストに立つハレルへ浮き球のパスを出してアデバヨにカットされれば、レブロンのレイアップもアデバヨがブロック。そしてダンカンの3Pで再び10点差です。

残り7分でレイカーズは前半同様にワンビッグ。ここで追い上げたのがキーだったわけで、ハレルがアデバヨを、KCPやマシューズがバトラーを止めてディフェンスは前半と同じ雰囲気に。ハレル→ガソルになってもディフェンスは機能していきます。

ってことで、いずれにしてもヒートオフェンスは課題がありあり。1Qはチームで崩しまくっていたのに「バトラーが止められる」ように見えるのは、それだけ個人アタックになってしまっているという事。オフェンスパターンはディフェンス側に読まれている感じです。

でもヒートもディフェンスではレイカーズのパスを読み、レブロンのパスからシュートに結びつきません。スティールできなくったって、間に合っていれば簡単には打たせないぜ。ガソルのパスアウトからKCPがタフ3Pは決めたけど、レブロンからはやらせない。

お互いにシュート決めるのが難しいだけでなく、パスさえも簡単ではない展開なので、オンボールで目立つプレーは出てこないとなれば、一瞬の反応速度やルーズボールでアデバヨの存在感が際立ってきます。なので、攻守にアデバヨに張り付いて動きを制限するようなガソル。バトラーがシュートを打つと、ボールは一切見ないでアデバヨのボックスアウトに動いているし、オフェンスも自分がマークしているアデバヨにスクリーンをかけています。

そしてなかなか決まらないバトラー。フリースローもミス。その間にレブロンのドライブ、クズマのリバウンドで残り1分2点差まで持って行った。

レブロンのキックアウトからクズマがワイドオープン3Pを打つも決まらず。それ決めないとレベルアップしないぜ。
ボールを持ったダンカンに必要以上に近づいてエルボーを食らってオフェンスファールを引き出すKCP。なお、ダンカンは6ファールで退場。

残り25秒2点差でレイカーズボール。まさかのレブロンに持たせずにガソルとのハンドオフからマシューズの3Pを選択しますが決まらず。クズマじゃないのか。ファールゲームに行くのですが、ここのフリースローは決めたバトラーで4点差

レイカーズは急いだオフェンスでマシューズがプットバックで2点差にすると、タイムアウトあけのイグダラのスローインをレブロンが奪い、ラストチャンスが生まれます。オリニクのプレッシャーを受けたレブロンがカルーソに出し、ミドルを打つも決まらず。ヒートが逃げ切ったのでした。

うん、相変わらずキングはそこで自分で行かないんだよね。

◎敗因

4Qは17-15と超ロースコアでした。お互いのオフェンスを読み切っており、まともなチャンスが生まれませんでした。冒頭の通り、この展開が予想できたヒートなので、かなり苦しいのですが、レイカーズもADとシュルーダーがいないことで同じようなことに。

振り返ってみればレイカーズの敗因は3Qの後半にディフェンスローテミスからイージーな失点をしまくったこと。ディティールが悪い。3Pが決まらないっていう問題もありますが、その前にオフェンスの形が悪いのも事実なので、いろいろと苦しいね。4Q序盤は単純に3Pが決まらなかった。

ヒートとしても24点、5アシストのバトラーは良いようで悪い。ボール持ちすぎです。ヒーローの出番が13分と短く、後半になるほどにアデバヨ起点も減ってしまい、ワンパターンでした。分析的には負けたようなものですが、気分的には「レイカーズに勝った」であり、ナンが好調を維持していることも含めて、もう少しプレーシェアしましょう。

ってことで、奇しくもファイナルに進んだ両チームが苦しんでいる中での直接対決でした。オールスターブレークも見えてきた中で、どこまで修正してこれるのか。

レイカーズvsヒート” への2件のフィードバック

  1. ヒーロは前半戦の接触で足を痛めたみたいですし無理させなかったみたいですね
    最後のターンオーバーもう少し含めて状況的に負け試合だったのですがそれ以上にLALが悪くて助かったと行った感じでした
    不幸中の幸いの事にイースタンカンファレンスは団子状態ですのでいましたねえからでもプレイオフ行ける可能性がまだまだあるのでMIAはドラギッチが復帰する後半戦で巻き返したいところです
    戦力的にはトレード関連よりチームに合っていないハークレスをウェーブで3Pシューターが欲しいからストゥルース本契約の方が可能性がありそうです

    1. なんでハークレスはそこまで嫌われているんですかね?
      今はウイングのディフェンス力が足りていないので、戦術面よりも個人のディフェンス力で使えそうな気がするのですが。
      ブラッドリーもいないし、バトラーがいればハークレスでもいける気がするんですけどね。

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