レイカーズvsネッツ

2021/2/18

前戦でKDとアービング抜きでサンズを大逆転で撃破してしまったネッツ。恐ろしいのはリーグ4位のディフェンス力を持つサンズを、スコアラー抜きでオフェンスで粉砕してしまったことです。ハーデンの恐ろしさもありますが、ダントーニオフェンスになってきたことが最も怖い部分で、スターに頼らずともシステムで得点が取れるようになってしまいました。

もちろん、そこにはチームメイトを使っていくハーデンのゲームメイクもひかり、追い上げていった時間帯の良さを出させながら、最後は自分で逆転弾を決めたのでした。さすがにサンズですら守れないとなると、ネッツがオフェンスだけで勝ちあがる可能性も出てきます。

ならばサンズ以上のディフェンス力を持つレイカーズに迎え撃ってもらいましょう。果たして、このオフェンス力がどれほどのものなのか。もしもファイナルで対戦したら、再びKDがレブロン相手に試合を決めに行くでしょうが、そこまで持ち込めるのかどうかはKD抜きで知りたいところ。

ただしレイカーズはADに加えてシュルーダーも不在。プレーメイカーがレブロンのみです。その点では通常以上に守らないといけません。ハーデン相手にどこまで守れるのか、アービングは邪魔なのか。そんな点も含めて弱点を洗い出してくるのかどうか。

◎3万5千

レブロンが通算3万5千点を達成です。ジャバーとカール・マローンに次ぐ史上3人目にして史上最年少。ハーデンやKDはレブロン以上のスコアリングマシーンですが、長きにわたりトップレベルでプレーしながら、殆どケガをしないモンスター。

本日は主役が自分しかいない事情もあって、ジョー・ハリスを狙ったポストアップでパワーで押し込みました。それをやってからクズマを中心にワンパスでチャンスを作っていきます。レイカーズの嫌なところは、プレーメイカーがレブロンしかいないといっても、得点についてはクズマやモリスなんかもいること。

さらに主役不在って事で、かつてはプレーメイカーだったガソルとホートン・タッカーが出てきます。ガソルはイマイチなパスを出していますが、中継役としてボールを散らすので、パッシングの中でチャンスは作れていくレイカーズ。

レブロンの特殊性によるポストアップにパッシングゲーム、スコアリング担当のクズマということで、1つひとつのオフェンスで狙いをもって、しっかりと組み立てていきます。ちょっとシュートが決まらなかったので、得点が伸びなかったけど、やっていることは悪くない1Q。

残り2分でダンクに行ったホートン・タッカーが決まっていれば、もっと得点が伸びたかもしれません。それはシュートとしては良いのだけど、インサイドに飛び込むのがレブロンしかいなかったから。レイカーズはシュートが決まらない日はそこそこあるので、違う手段を必ず用意しないといけません。ホートン・タッカーが頑張ろうという部分。

このオフェンスに圧され気味のネッツでしたが、ベンチから出てくるのがジョーダン。そこにレイカーズはハレルってことで、途中からなおさらインサイドが決まらなくなります。デカい選手が苦手なハレル。っていうか、本当はスピードで振り切るのが持ち味ですが、ハーフコートでじっくりと展開しているから、そういうオフェンスにならないレイカーズ。

ってことで、なんだか1Q後半はレイカーズの重たい雰囲気が目立ってしまいました。それは軽さが持ち味のダントーニオフェンスとは全く違うやり方。

◎ハーデン+ダントーニ

スクリーンを駆使し、ポストアップによる局地戦やガソルを経由するパッシングなどを行うレイカーズは3Pラインの内側に3人くらいがいることも多いのに対して、軽いネッツオフェンスは選手が初めからフロアを広くとるポジショニングをします。時間が経ってきたことでハーデン+ダントーニ感が強くなってきました。

ノーセンターにしているスターターは、ドライブでチャンスを作るだけでなく、ブルース・ブラウンが驚くほどカッティングしまくります。ハーデンだけでなくブルースの存在で成立しているようなマイクロボールは、高さの利があるはずのレイカーズ以上にインサイドを使っていきます。

その上でアウトサイドにいるのが効率の鬼ジョー・ハリスなので厄介。ただ、今日はアービングがいるよ。ドライブもシュートも超一流ですが、1人だけシステムの外でやっている感は否めません。そんなこともあって、序盤はイマイチ。

それがハーデン+アービングではなく、どちらか1人になることで改善します。タイラー・ジョンソンとかTLCとか出てくるとコートを広く保って、その上でキャッチ&シュートを決めていく。そりゃあドライブも効くさ。そんでもってTLCがドライブからのキックアウト上手いんだよね。

アービングの時間は基本はドライブから。周囲はスペースを作ってキックアウトを待ちますが、ブルースやTLCはカッティングもしてくるので、いろいろと大変。

ハーデンの時間になるとジョー・ハリスがイキイキし始めます。だってオフボールで動いたらパスが出てくるんだもん。シーズン開幕当初から寂しそうだったハリスは、ハーデン加入直後はさらにパスが来なくなって寂しそうでした。でも、ハーデンに任せる時間帯なら話は違うぜ。

そんなわけで次第に抗えなくなっていったレイカーズディフェンス。冒頭に戻ると「KDもアービングもいないのに、サンズは守り切れなかった」わけですが、レイカーズも同じく「KDもアービングもコートにいないと守り切れない」になっています。むしろアービングにはコートにいて欲しいかも。

いやー、なんでハーデン+ダントーニは優勝できなかったんだろうね。その最大の要因はKDの存在でした。特に2年前はハーデンを止められなかったウォリアーズが、KDに守らせることで止める事にも成功していたし。まぁそれで攻守に疲弊させてケガに繋がったんだけど。

ネッツが13点リードにまで持って行った2Q残り6分。アービングが戻ってくるけど、ハーデンを交代させないナッシュ。うーん、例によってディフェンス強度が落ち始めます。ハーデンはそんなに一生懸命守らないし、それをカバーするようなアービングじゃないし。

しかもジョー・ハリスとシャメットも同時起用だもんね。守る気がないぜ。レブロンがベンチに下がっているレイカーズに好き勝手に得点され始めます。こういう時にせめてジョーダンでゴール下を塞げばいいのにジェフ・グリーンなんだもん。

しかし、オフェンスではジョー・ハリスが3P3連発。つまり、ナッシュは自分たちから「ノーガードでの打ち合い」を選択し、見事に打ち合っているわけです。采配の是非はおいといて、自分たちで望んだ形なのだから、それでいいじゃん。シャンパートもロバーソンも不要じゃん。

アービングのドライブを止めたのに、リバウンド争いに負けてプットバックされるガソルなんてこともあって、ネッツが19点リードに広げます。レイカーズまでもがネッツのオフェンスに飲み込まれてしまった前半。

その後、戻ってきたレブロンのアタックやルーズボールにダイブしてキープしたクズマのハッスルからKCPの3P、そしてガソルを諦めてモリスを加えたスモールラインナップ対抗にしたことでレイカーズが反撃します。ここでレブロンが3万5千点に。

去年のプレーオフでもロケッツ相手にスモール合わせで優位に立ったよね。あそこでホートン・タッカーが出てきてビックリしたけど、ヴォーゲルとしては対抗手段をもってはいるわけだ。

打ち合いを挑んだナッシュは残り3分で19点差までリードを作ったけど、ヴォーゲルが手を打ったことと、まぁ単純にディフェンスは止める気がなかったことで11点差まで縮まって前半が終わります。64-53はレイカーズとしては点が取れなかったのが悩みだな。

〇ハーデン
21.5分
14点
8アシスト

KDがいないからハーデンを酷使しないと苦しかったね。言い換えればKDが戻ってくればプレータイムを減らせるんだろうな。8アシストによって自由自在にオフェンスを組み立てたハーデン。

〇3P
ネッツ 11/21
レイカーズ 4/14

点数の差がどこにあったかといえば、ここだね。でもジョー・ハリスの4/5ってのは日常的な風景だから止めに行かなければいけなかった。行ったけど止められなかった。そしてレイカーズは3Pを決める事よりもディフェンスを重視した選手起用なわけでして、ネッツに決められまくったのが苦しかったね。

そんなわけでリーグ最高のディフェンスチームすらも止められなかったネッツオフェンスという前半でした。ヤベー。

◎レイカーズvsロケッツ

後半もガソルではなくモリスにするヴォーゲル。ただ、そのモリスがマークの受け渡しが悪い。ゾーンみたいなマンツーに見えるのは連係ミスだろうな。ジョー・ハリスとハーデンに3Pを食らってしまいます。そこを抑えたかったはずなのに。モリスはオフェンスでもシュートが決まらず、後半開始早々に17点差に戻されてしまいました。

しかし、この展開はみればみるほど、プレーオフのレイカーズvsロケッツに見えてきます。

スモール合わせにしたレイカーズですが、レブロンの圧倒的な圧力によって自分たちは高さを生かしたアタックを繰り返します。クズマとホートン・タッカーもインサイドで得点していくので、ネッツのマイクロボールの弱みをついて行く。3Pがないので爆発的にはならないものの、堅実にしっかりと襲い掛かっていくぜ。

ディフェンスではハーデンに対してダブルチームやスイッチで必ず襲い掛かり、パスを促します。そこからスモールを生かしたローテによってフリーの選手を作らせず。インサイドにはヘルプを用意し、最終的にはコーナーにパスが出るようにしていくと、ブルースやグリーンの3Pが外れて、プレーオフそのままの展開。

ただ、あの時と違うのは、そもそもレイカーズのローテが悪い。特にモリスが悪い。モリスについてはファイナルでもおとぼけディフェンスしていたけどさ。マシューズはちゃんとやっているけど、ボールを奪いに行く系のディフェンスじゃないので、ロンドのような襲い掛かり方にはなっていません。

そして、そのロンドがいないから「コーナーにパスを出させる」のだけど、それを狙ってスティールしてしまう「読み」がないぜ。だから、プレーオフと同じ現象は起きているけど、成功しているわけではないよ。

ここでネッツを救ったのがTLC。コーナーから3Pをしっかり決めるとトランジションでも3P。守っても、レイカーズのドライブパスアウトを読んで奪っていきます。お前はロンドか!?

〇TLC
15点
3P5/8
3アシスト
2スティール

レイカーズの方が欲しかったような活躍でロケッツのようにはしなかったTLC。ウイング版のカルーソみたいな。オフェンスを読んでパスコースに飛び出てくるし、ディフェンスを読んでフリーのスポットをみつけたり、ドライブしたらパスアウトもしてくるし。2P決めてないんだぜ。

プレーオフテンションじゃない事もあって、激しさもなく、同じ形ながら時間と共に攻略されてしまったレイカーズディフェンス。キングが激おこ。気が付いたら20点差になっていました。

まぁADがいるだけで、全く違うので現時点で気にする必要はないのですが、サンズ戦を見て「ダントーニ×ハーデンはやばいなー」と思っていたら、レイカーズ戦ではヴォーゲルが手を打ってきたディフェンスによって「ロケッツvsレイカーズのプレーオフの再現」みたいな展開になったわけです。もうダントーニの匂いしかしないネッツ。

3Qは90-74で終わります。手を打ったヴォーゲルですが、結局は止められず。とはいえ、その内容はファイナルで当たったときの参考になりそうです。

〇3Pのネッツ
2P 2/8
3P 5/10

後半開始直後にモリスのローテミスからハーデンとジョー・ハリスに3Pを食らったことを除けば、決めたのはTLC2本とシャメット1本でした。このロールプレイヤーが確率良く決めてきたら、守り切れるわけがありません。ここの勝負を分けるポイントです。

しかし、それ以上にしっかりと2Pを塞ぎ切ったことは重要。ロケッツ対策そのままって感じです。まぁネッツにはデュラントがいるので、本当にこれを再現できるかは怪しい。デュラントがコーナーからハイポストに飛び込んできたら、イージーなターンシュートになりそうだし。

◎宿題

ジョーダンがいるのでマイクロボールではないネッツに対して、ガソルを起用したレイカーズですが、見事にハーデンがガソルのスピード不足をついて行き、ジョーダンのダンクに自分もドライブダンク。4Q早々に22点差になってしまいました。

点差が離れているからネッツは迷わずに3Pを打てるっていう事情もあって、半分くらいでレイカーズも諦めたのでおしまいです。

〇ジョー・ハリス
3P6/7

ダンカン・ロビンソンを止めたことで大きな契約を手に入れたようなKCPでしたが、本日は見事にジョー・ハリスにやられたぜ。どこまでマッチアップしていたかはみていません。していなかったかもね。いずれにしても、シューターを止めるのが得意だったはずが失敗したことと、それ以上に「ジョー・ハリスが活き始めている」ってのが重要です。単なるシュータではないよ。

TLCの5本もあって、ネッツはサポートキャストの3Pで圧勝したような試合でした。だからレイカーズのディフェンスも主役にやらせないことは出来ていたわけだ。これがロケッツだと止まってしまい、ネッツだと止まらないってのも事実。プレーオフになったらどうなるのかね。

この点を除けば、まぁレイカーズディフェンスはそこそこだったのかな。ADいないしさ。まぁそれよりもロンドがいないってのも大きくて、シュルーダーがどこまで出来るのか不安。あとモリスはもっと不安。集中してないよね。

〇レブロン
32点
2P13/17
3P1/6
7アシスト

〇クズマ
16点
FG7/13
5オフェンスリバウンド

レブロンの2P決まりすぎ。スモールのネッツの弱点をしっかり使ったし、とんでもないフェイダウェイを決めていたし。もともと今日はオフェンスはダメっぽかったレイカーズなので、内容を見ればこんなもんかと。

ただ、クズマはもっと点を取って欲しかった。オフェンスリバウンドも取っているし、かなり効いていたのですが、「あれっ16点だけ?」みたいな。もう少し脱皮して欲しいよね。今がチャンスととらえて進化できるかどうか。

レイカーズはマギーとハワードを出して、ガソルとハレルを加入させました。それはADに変わるプレーメイク役として良かったし、単純にハレルでパワーアップでもあります。しかし、この試合に限って言えばサイズもフィジカルも足りないチームに対して「ゴール下の強さで押し切る」ってことが出来ませんでした。それはマギーとハワードがやっていたことなので、センター交代させたことによるデメリットです。

つまりはロンドがいないことも含めて、ネッツ(ロケッツ)に対しては、昨シーズンよりも相性が悪くなってしまっているわけだ。ヴォーゲルとしては色々と宿題が出来たような直接対決になりましたとさ。

レイカーズvsネッツ” への4件のフィードバック

  1. ここ数試合はハーデンを中心としたスペーシングがきっかりとしたバランスの良いネッツという雰囲気が出てますが、アービング、KDといい意味でも悪い意味でもチーム戦術の中では浮く存在がいるのが決定的にロケッツとは違う印象を受けますね。
    LAC戦クラッチタイムなんかは、戦術なんか知らん、タフショットでも決めればそれが正解なんだという戦い方ですし。

    ハーデンがボールを持っているとカイリーが不満がもって、空中分解すると思ってましたが、ハーデンに「お前がPGだ。俺はSGになる」とこんなに早くから譲るとは思ってませんでした。

    最後にロバーソンが出てきたり、ベンチにシャンパートがいたりしましたが、チーム戦術が効かないなら、オフェンスはBスターに任せて、DFのスペシャリスト二人に働いてもらうというKDがいた頃のOKC的なことをできるのも強みになるかもしれませんね。

  2. ダントーニの逆襲がネッツで始まりそうなのは胸熱です。しかも今度のダントーニはKDもジョーハリスも持っているし…
    オフェンスで押し切って優勝なんて夢だと思っていましたが、色んな天才が集まったネッツならもしかするのか。
    ブルースブラウンも、ウェストブルックのロールプレイヤー版みたいになってるし。なんだかんだで個人で守れる選手の頭数はいるので、去年のナゲッツやヒート並みの複数人が連動するオフェンスじゃないと、意外にネッツが守れちゃいそうですしね…

  3. レイカーズとヒートはやっぱり苦しんでいるなと感じますね。レイカーズも怪我人増えていますし、ヴォーゲルとスポールストラは試練ですね。2人なら大丈夫そうですけどね。

  4. レイカーズはアウェイの7連戦以降全体的に疲れが出ているのかシュートが入らないですね。それでフリーになってもシュートを躊躇しドライブして最後にタフショットという悪い流れになっています。
    結局レブロンとヴォーゲルがいるのでプレイオフでは別のチームのようになるのかもしれませんが、今は我慢のしどきでしょうね。

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