ブレイザーズvsシクサーズ

2021/2/11

ブレイザーズはシクサーズをお得意様にしています。その理由はエンビードに対してピック&ロールを仕掛ければ、イージーに3Pを打てるから。今シーズン30フィート以上離れたディープ3Pをリーグで最も決めているリラードを筆頭に、簡単に3Pを打つことでオフェンスが機能します。どこのチームもがマネ出来るわけではない。

そして前の試合はキングス相手に3Pを打たれまくったシクサーズでもあります。どんな対策を施してくるのか。あるいは例によって放置するのかが気になるのでシクサーズを見てみましょう。

◎予定通りの3P

ブレイザーズは予定通り、リラードとトレントが3Pを打って行きます。狙いすましたプレーなので、迷いがなく、ボッコボコにしていきます。3本目の3Pが決まった後でシクサーズはエンビードが前に出始めました。しかし、安定した対応にならないので関係なく決めてくるリラード。

そこでダニー・グリーンが気を利かせて、自分のマークを捨ててでもカバーに出る動きをしますが、それが毎回できるわけでもなく。そしてキングス戦でみせたように、そもそもエンビード関係なく3Pチェックよりも中を固める選択肢が多いディフェンスなので、トレントなんかはセス相手に上から打っています。

それにしても決めまくったリラード&トレント。なんと1Qは2人で3P7/8です。これだけで21点も取ってしまった。

ちなみにシクサーズの被3Pは37%でリーグ17位と平均的。ペイサーズからACダン・バーグを引き抜いたわけですが、ここのディフェンスは重視していない様子です。もちろん、この後は3Pへの警戒を強めていくのですが、問題があったのはリバウンド

3Pで引き出されるけど、そこには明確に前に出ていかないエンビードですが、その代わりインサイドを塞いでほしいわけです。でも、あまりにも決めてくるリラードに中途半端になってしまい、その結果としてカンターがオフェンスリバウンドを取りまくりました。1Qだけで4つだぜ。

シクサーズの弱点を突いてきたブレイザーズが、ついでにストロングポイントまで潰してしまったのでした。快調なオフェンスになったよ。途中からはリラードを警戒したら、周囲のワイドオープンが生まれまくった。でも外したんだけどね。

ってことで、ハイスコアになった1Qは37点だったブレイザーズ。ところが36点を奪われたので1点差です。こっちもディフェンスが課題さ。

◎インサイドを攻める

キングス戦の序盤がトランジションゲームだったのでエンビードが遅れまくっていました。あれはキングスの方がスピードスターのフォックスを使って仕掛けた事情もありますが、修正っぽいことをしてきました。

基本的に走りたいシモンズと、その時のエンビードのスタミナがシクサーズの問題。なのでフリースローのリバウンドにはエンビードをいれないとか、細かい工夫をしてスタミナロスを避けようとしてます。そしてシクサーズの強みは、別にエンビードがいなくても便利なシモンズとトバイアスがいるので、十分にインサイドをカバーできること。

ペイント外のショットブロックに出たエンビードにはリバウンドの義務が課されないようで、前に走らせるケースが出てきます。オフェンスリバウンドをとったカンターですが、言い換えればゴール下に必ず詰めるのが良さなわけで、前に走られると追いつきません。

ハーフコートになると先にシモンズがポストアップし、ほぼここだけでオフェンスが終わります。1Qだけで13点のシモンズ。ちなみにシーズン平均が14点なので、どれだけアグレッシブに得点を取りに行った事かわかります。

ここで面白かったのは、そもそもブレイザーズディフェンスはインサイドに収縮はするけど、その後のローテがマズかったのに、いつの間にか収縮すらしない形になっている事。最近、ブレイザーズを観ていないからパサーのシモンズ対策なのか、システム変更かは知りませんが、自分で攻めるしかなかったシモンズ。ちゃんと決めた。

2Qになると、トバイアス中心のオフェンスになります。マキシーも出てきて突破を図るのですが、予想外にブレイザーズのベンチメンバーがディフェンスを頑張るので得点が伸びません。まぁファールが挟まったので、止まったわけではありませんが、個人個人で差を作れないから、鮮やかな連携にならないシクサーズ。

セスあたりをセカンドユニットに持ってきた方が、気持ちよく外から打ってくれてドライブも効く気がしますが、オーバーヘルプしなくなったブレイザーズディフェンスによってパス回しにならないので同じかな。

一方のブレイザーズもカーメロなんかを中心にしていますが、こちらも個人同士のマッチアップ勝負になり、得点が伸びません。お互いにセカンドユニットは起点となる選手へヘルプをせず、時にやられるけど、爆発させない展開になりました。

シクサーズのスターターが戻ってくるとエンビートやシモンズが変わらずインサイドに詰めていくので得点になるものの、アウトサイドが決まらず。

一方でブレイザーズはサイモンズ、フッド、トレントがドライブを決めていったのでリードを得ます。完全に振り回されてしまったシクサーズディフェンス。3Pを打たれると思ったらドライブ連発だよ。

これに不満だったようなシクサーズのコーチ陣。タイムアウトから見違えるようにディフェンスがハードになります。システム的にというよりも「気合入れて守れ」って感じの変化で、激しくなったことでブレイザーズはゴール下を落としてしまいます。

激しくなったのでファールコールされることもあったけど、逆にコールされなくてテリー・ストッツがクレームしてテクニカルも。まぁそれくらい変わったって事だ。

残り4分43秒で58点目をとったブレイザーズですが、59点目は残り26秒のリラードによるフリースローまで決まりませんでした。4分も無得点だった間に、インサイドを攻めていくシクサーズが徐々に差を詰めて逆転。前半は63-60でリードして終わります。なお、途中でカンターが出血してロッカーへ。

序盤は3Pでリードしたブレイザーズでしたが、エンビードとシモンズによるインサイドアタックを中心に堅実に得点を重ねたことで逆転する展開でした。キーになっているのはディフェンスの激しさですが、ある程度は3Pを許容してもハードに守るインサイドを塞いだことがもたらした逆転でもありました。

お互いの狙いがそれぞれ機能した感じだけど、結局はシクサーズの弱点を突くだけでなく、ストロングポイントを消すこともしないとダメってことなのかな。

◎疲れたのかエンビード

ブレイザーズの3Pが連続で外れると、シモンズがトランジションアタックから得点を生み出し、8点リードまで広がって後半が始まります。セスがシュートを決めていれば二桁リードになったんだけど、両チームともアウトサイドが決まらない。

後半始まったばかりですが、エンビードが腰に手を当て始め、カンターを度々離してしまいます。なお、カンターはホチキスで傷口を止めたっぽくって痛々しい。

ブレイザーズはエンビードのポストアップを潰しに行くためダブルチーム。血の気が多く自分で止めたそうなカンターがダブルチームを促していたので、チームの指示なんだろうね。そしてエンビードがパスミスします。

ここから再びシモンズのポストアップが増えます。自分で決めに行く上にパスアウトからダニーの3Pを生み出す指紋巣なので、苦労しまくっているブレイザーズ。エンビードがミドルを外してくれて助かっているくらい。

エンビードはポストアップしてファールドローもしますが、コーストTOコーストしようとしたらシュートに行くところで倒れてしまうし、守ってもカンターにフィジカル負けしてしまい、またもオフェンスリバウンドを押し込まれて同点に。

何故、ここまでエンビードが疲れているのか、後半が始まったばかりとは思えない疲れ方なので気になります。1つの理由はカンターがトップにまで出てきてスクリナーになるし、リラードのディープ3Pが怖いので外まで追いかけ、でもカンターにはゴール下に飛び込まれるので、連続するプレーに疲弊しているのだと思います。トータルではなく、部分部分の問題。

もう1つはキングス戦よりも、トランジションに参加しているようにチームとしても走らせている事と、2Qのディフェンス改善が効いているのかな。まぁタフスケジュールなので、他にもあるのかもしれませんが。

エンビードを下げたシクサーズは再びハードなディフェンスを展開し、リラードのピック&ロールに対して前に出たハワードによってスティールも生まれます。このディフェンスは効いていたのですが、サイモンズがタフな3Pを決め、カーメロもフェイダウェイミドルで抵抗。

シクサーズはマキシーがドライブ&ワン、トバイアスがユーロステップでレイアップとドライブがしっかりと決まり、最後はオフェンスリバウンドを踏ん張ったハワードからサイブルにパスが渡り、ファールを貰って93-87とベンチメンバーによって良い終わり方をし・・・たと思ったら、フリースローのリバウンド争いでハワードがファールしてしまった。

シクサーズ4点リードとなった3Q。ベンチメンバーは前半から続く個人の頑張りで戦えていただけに、もしもエンビードが疲れている理由がハードなディフェンスにあったとしたら、ちょっと悩ましいね。あぁいうディフェンスをしたいんだけど、それをするとバランスが乱れてしまうのか。

◎メロタイム

ゴール下へ飛び込むジャイルズへ雑なパスを出したカーメロでしたが、キャッチできなかったジャイルズからカーメロに戻ってきてミドル。フッドもミドルで続きますが、コルクマズもミドルで返します。個人同士の戦いがハードになる中で、距離を取ってのミドルは有効だよね。決まるなら。

トバイアスとのマッチアップになっているカーメロは、トバイアスへのパスを止めてターンオーバーさせれば、タフショットにしてミスを促します。そして逆にカーメロはタフな3Pを3連発でヒット。個人の戦いで勝ちまくったカーメロによってブレイザーズが5点リードになります。

これで先にスターターを戻すシクサーズ。ゾーンをしていたブレイザーズに対してエンビードはフィジカルコンタクトされないし、シモンズは飛び込むスペースが多いしで、やりやすそうにしています。なのでスターターが戻ってきたらマンツーに戻す。もちろんカーメロはコートに残します。

警戒されているリラードが、なかなか突破できないものの、またもカーメロがタフショットでミドルを連発。ボッコボコにされるトバイアス。ちゃんと守っているのに決められてしまうのでダニーとマークチェンジ。カーメロにボールが渡る前にパスカットするダニー。

シクサーズは休んで元気になったエンビードがインサイドに飛び込んでファールドロー。このプレーの後でエンビードのスクリーンを使ったセスのミドル、そしてカッティングするシモンズで残り4分1点差にします。カーメロがリードを作ってくれたのは良かったけど、他の選手が全く決められなかったブレイザーズ。

ここから両チームが重たーくなります。ピック&ロールでシンプルに打ちたいリラードですが、エンビードがブリッツしてきてシモンズと2人で囲んでくるのでパスも出せず。あと、単純にカンターの飛び込み方もね。

ドライブしたトバイアスだけどカンターのプレッシャーでレイアップが決まらず、リバウンドからフリーになったセスも決まらず。せっかくもらったフリースローもデリック・ジョーンズとトバイアスがそれぞれ1本ずつミス。

残り2分。またもタフショットになったけどトレントが3Pを決めると、トレントはエンビードをブロック。こぼれ球をエンビードが拾うもデリック・ジョーンズにオフェンスファール。そしてリラードがドライブからショートレンジをねじ込んで、5点リードにします。

タイムアウトのシクサーズはプレーコールには失敗するものの、エンビードがミドルを決めます。ダンクに行ったデリック・ジョーンズがミスするも、オフェンスリバウンドのブレイザーズ。しかし、リラードのフローターも外れると、トランジションでシモンズのパスからセスが3Pをヒット。

重たい展開が続いた中で見事に決めたセスで残り22秒同点になりました。なお4Qでシクサーズが決めた唯一の3Pでした。ここまで3Pに頼らないチームも珍しいね。それが良い効果を生み出しているのも事実だけど。

ラストオフェンスに行くブレイザーズはリラードがボールを持ちます。ここにプレッシャーをかけまくるシモンズ。そして残り5秒で仕掛けてきたリラードをファールで止めて、スローインからやり直させます。

スロワーのカーメロはリラードに出せないとみるや空いていたコビントンに出し、ギブ&ゴーでリターンを貰うと、ここでトバイアスと交錯しファールを貰います。しっかりとフリースローを決めて残り3.1秒2点リードに。もっているぜカーメロ。

〇4Qのカーメロ
17点
3P3/4

リラードがFG1/5で4点と苦しんだ中で、見事にマカラムの穴を埋めました。特にマッチアップのトバイアスとの勝負に勝ちまくったのが印象的。ちなみにシクサーズのベンチメンバーは19点。カーメロは1人で24点なのでベンチスコアで圧倒したブレイザーズでした。

ラストプレーのシクサーズはスクリーンからフリーを作ろうとしますが、エンビードのマークをしていたコビントンがパスを読んで飛び出し、見事なスティールでクローズしました。ハードに守りあった試合の最後にはふさわしかったかな。

◎印象は良かった

1Qの惨状に対して、以降のシクサーズディフェンスはハードに個人が頑張っており、以前のように弱点を使われまくることもなく対処出来ました。その反動がエンビードの疲労ってのは悩ましいですが、もっと弱点をさらけ出すかと思いきや、そうでもなかった。

ただ、同じく38分プレーしたトバイアスがカーメロにやられたのは、必然だったのかもしれません。ハードに守り続けるのは大変だよね。ワークシェアしたいけど、ここにバックアッパーが足りないんだよね。

シクサーズのもう1つの敗因は15本も奪われたオフェンスリバウンド。カンターには7つも取られました。ディフェンスを頑張っていたから多くのシュートが落ちたのが要因ですが、前に出たらゴール下が空いた面もあるからね。

まぁ単調にしか守れないと思っていたシクサーズが、こういう頑張り方を出来るのは新鮮ではあったので、今日のところはポジティブに観ておきましょう。

ブレイザーズも落ち着いていたけど、これはポストアップが多いシクサーズが相手だからだったのかも。途中でドライブされていくと苦しそうな場面もあったし、ちょっとこの試合だけでディフェンスを語るのは難しそうだ。

トレントがスターターになってディフェンスが良くなった面と、オフェンスオプションが足りない面と両方あったね。今日のようにカーメロが埋めてくれれば良いけど、フッドやサイモンズの出番が増えているのは、日替わりでいいからヒーローが出て欲しいってことかな。

まぁこの形が出来るようになったのは、層が厚くなったからなので、一応それなりに成果も出てきたとしておきましょう。勝ち方としては終盤にオフェンスが苦しくなったけど、カーメロの個人技+ディフェンスで制したわけだから、悪くないぜ。

ブレイザーズvsシクサーズ” への2件のフィードバック

  1. 一時はスターターが1人になり、どうなる事やらと思いましたが、対戦相手にも恵まれ少しづつ復調してきました。
    控えではさっぱりだったカンターがスターターになって働きだしたのが一番大きいです。出来ることしかやらないのが良いのでしょう。外に出てスクリーンを掛けても、やるのはアウトサイドスクリーンとスクリーンアウトしてゴールに切れることだけ、ボールが上手く入ればそのままレイアップだし、アウトサイドからのシュートならポジショニングしてリバウンドを上手とります。ヌルキッチの控えだとどうしてもポイントセンター的なものをチームに求められてしまうので、上手いかないのでしょう。ディフェンスは相変わらずですが、力負けはしません。
    キープレヤーのトレントは大活躍です。ルーキー契約を延長しないPORですが、リラード、CJ、コリンズに続き4人目の契約延長となりそうです。カーメロは非常に頑張っていると思います。困ったときのアイソレーションは頼りになります。
    フッドは物足りないし、サイモンズのディフェンスは酷いままだし、ジャイルズはPTを与えられればもう少しやると思ったのですが期待外れです。
    今のままではウエストの上位には勝てません。CJとヌルキッチが戻り、ウイング陣とヌルキッチがかみ合えばチームとして機能するのでしょうが、時間があるかどうかですね。LAの2チームは主力を1対1でジョーンズとコビントンで対応出来るので、比較的組みやすいのでしょうが、UTAやDENはやり難いですね。

    1. そうかルーキー契約を延長しないできたんですね。
      不良債権を発生させてしまった反省からかな。

      ナゲッツがウイング不足に困っているのに比べると、ウイングディフェンスは枚数が足りているんですよね。
      相性が強く出そうなウエストなので、組合せを祈るべきか。

      最近は、リラードの勝負強さで勝ち切っているすごみがあります。
      この勝率って、ほぼリラードの強さだったような。

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