キングスvsシクサーズ

2021/2/9

開幕から好調のシクサーズはイースト首位。でも実はシクサーズは昨シーズンと同じような感じに勝っていて、周囲が苦戦しているっていう状態です。とはいえ、明らかにエンビードの使い方が良くなっており、期待を抱かせる内容です。

キングスはここ数試合が上り調子。アップダウンを繰り返しているチームですが、ハリバートンによって落ち着きをもたらされるので、戦い方に変化がもたらされるようになりました。ガンガン行こうぜしかないチームではなくなるのかどうか。

◎トランジション

シクサーズの立ち上がりは、あまりエンビードを使わず、トランジションから強気なアタックに行く上、エンビードは3Pラインの外にいるぞ。これを繰り返していると後半に失速するのが定例行事ではありましたが、セスとダニーは堅実なシュートが多いから、カウンター合戦にはならないのかな。

キングスにはスピードスターのフォックスがいるため、案の定トランジションでの打ち合いになっていくものの、ディフェンスがサボり気味でインサイドを固めているので、キングスが3P外してくれる間はリードできます。エンビードも疲れない。つまり攻守にポジティブではない状況です。

前回みたときはエンビードにスクリーンを用意してまで、徹底してローポストに立たせるハーフコートオフェンスを展開していましたが、代わりにシモンズは死んでいました。本日はシモンズっぽい立ち上がり。エンビードのポストアタックはあるけど、普通にホルムズやバグリーとフィジカルファイトしまくっている形なので、「ポジションが取れたら」やっている程度です。

キングス側のディフェンス問題もあるので、ガード陣のスピード突破は効果的ではありました。エンビードとシモンズの外を捨てて守られると、停滞していしまうイメージもありましたが、そこはディフェンス次第ではあるよね。

これが8分経過し、ホワイトサイドが登場すると、簡単にポジションをとれるのでローポストのエンビード勝負が増えていきます。多分、ホワイトサイドはここでポジション取られても苦しまないから何も考えていないんだろうね。まぁ2分ぐらいでエンビードも下がったから、いじめられなくて済みましたが、シクサーズはオフェンスで堅実にリードを得ていきます。

もともと早い展開が多かった中でエンビードが下がると更にスピードアップします。ハワードはしっかり走ってくれるし、ミルトンのドライブやコルクマズの3Pもあってオフェンス好調。シモンズも速攻で&ワン。

ただ、それ以上に自分たちもキングスのガード陣にドライブを食らいまくり。急激にスピードアップしていきました。エンビードがベンチに下がった残り2分46秒の時点では26-19でしたが、そこからシクサーズが16点、キングスが13点を奪うっていうね。共に60%近いFG成功率を記録する1Qは、42-32でシクサーズが10点リードです。

頭の中にあった展開とは全く違うものだったので、ちょっと困惑。いろいろできるのは良いことなんだけど、今はエンビード仕様を徹底したいのかと思っていました。その方がデビッド・イェーガーらしいし。まぁキングス時代も選手に無視されるかのように展開が早くなっていたか。

◎フォックスとハリバートン

プレイヤー・オブ・ザ・ウィークに選ばれたフォックス。好調を誇示するかのようにプルアップ3Pも決めまくり、ドライブも自由自在な1Qでした。何もないところからトランジションにしてしまう圧倒的なスピードね。それも走っていないホワイトサイドがいても関係ないんだもんな。

2Qはハリバートンから。スクリーンを使って抜け出すとハーフスピードでディフェンスを見ながら、簡単にフローターを連発します。ディフェンスを手玉に取っているぜ。シクサーズのディフェンスも連携が良くないので、ヒールドがハンドオフフェイクからドフリーのダンク決めたりしてね。

ディフェンスを気にしないかのようなトランジションアタックを好むキングス。でもハーフコートになってもハリバートンが構築してくれる。しかし、今度はエンビードの登場でそうもいかなくなります。上手いインサイド合わせをしたのにプレッシャーに負けてしまった。

要はゲームプランとしてエンビードを走らせたいんでしょうね。それはプランとしてはよくわかるよね。試合トータルで考えたらアップテンポにしておいた方がアドバンテージは大きくなるはず。シクサーズもスローダウンしてこないので好都合です。ヒールドのコーナー3P、ハリバートンのディープ3P、フォックスのミドルで2点差に縮まります。

ここからシクサーズはエンビードとシモンズのポストアップを増やしていきます。それに対して素晴らしいディフェンスを展開したキングス。ダブルチームを仕掛けパスを促すと、動きが少ない上に雑なエンビードのパスを奪い取っていきます。シモンズには苦労していた。

ただ、ディフェンスが良くなったのでスローダウンにはなってしまいます。スティールから速攻を仕掛けられれば良いけど、全てが上手くいくわけではない。

それでもフォックス、ヒールド、ハリバートンと3Pを決めていったので逆転に成功。フォックスの高速ドライブも決まって前半を71-66と5点リードに変えて終わらせました。ハイスコアの展開はゲームプラン通りなんだと思います。その上でエンビードのローポスト対策も万全だったね(ホワイトサイド以外は)

これでもう少し守れるチームなら、15点くらいのリードになっていたとは思いますが、何もかもが上手くいくってことはないよね。早い展開でフォックスのスピードとヒールドのシュート力を使い、ハーフコートを判断に優れたハリバートンで構築するのが上手くいっているのかなーと感じさせる前半でした。

◎バグリー!!!

前半同様にディフェンスではエンビードをアウトサイドに追い出して意味のない形にし、オフェンスではスピードでワイドオープンを作っていくキングス。ヒールドからバグリーの合わせもスピードでエンビードを翻弄したよ。

ところが3Pが決まらない。前半が決まりすぎただけの気もしますが、フォックス、バーンズ、ヒールド、バグリーと全員決まらない。良いシュートを打ててはいるんだけどね。これに対してセスがステップバック3P決めてしまうんだ。思い通りにはいかないぜ。

早々にハリバートン登場。スモールラインナップで振り回しに行きます。成功しているんだけど、やっぱり3Pが決まらない。バーンズとバグリーはインサイドに飛び込んで得点してくれるけど、さすがにそれだけでは得点は伸びないよね。キングスが優勢だけどリードを広げられない展開です。

シクサーズはここでエンビードのローポスト徹底のプレーコールにし、両サイドにボールを動かしてポストを狙いますが、エンビードの2倍くらい足を動かすバグリーが徹底してフルフロントで守り、パスがはいってもバーンズが飛んできて塞ぐ見事なディフェンスをします。

3Pが決まらないキングスと、見事なディフェンスをするキングス。ハイスコアだった試合はキングスの事情でペースダウンしていきました。3Q開始から8本の3Pを外し続けたキングスですがリードは許さない。そして9本目の3Pをバグリーが決め、エンビードからはテイクチャージ。シモンズの速攻にもテイクチャージ。どうしたバグリー!!

ニックス戦はランドルに押し込まれ続けていたのに、エンビードは止めているバグリー。面白いね。なお、徐々に押し込まれるプレーには弱いので、ボールを持たれると苦しくなってはいます。ダブルチーム作戦が機能しているわけですが、ダブルチームしておかないとバグリーが押し込まれるってことかも。

残り3分でエンビード→ハワード。ここでバグリーも下げておくべきだったかもしれません。高い集中力でプレイしていたのが途切れたようにエアボールを打ってしまい、さらにハワードには合わせのダンクを食らいます。それでもハリバートンからのアリウープパスでダンク&ワンを決め、リードは渡さない。

こんなにバグリーが目立っているのを見たのは久しぶりだな。ルーキーシーズンはたまにあったけど、ケガが多くて目立たなくなっていったもんね。前はフィジカルな展開にならないことで力を発揮していましたが、本日はフィジカルファイトしているから簡単には負けず、スピードで上回っています。ACカラミアンが効いていそうなバグリー。

最後までバグリーのディフェンスに困り続けたシクサーズ。残り0.3秒で3Pファールを引き出したコルクマズによってなんとか91-87と4点差で終えました。ファールしたのはハリバートン。やっとルーキーっぽいミスをしてくれた。

◎トバイアス

4Q開始からハワードのインサイドによってシクサーズが追いつきます。ドライブに合わせに来るタイプのセンターに苦労しているキングス。ハワードはディフェンスでもフォックスのドライブに手を出していきます。ブロックしたり、テンディングしたり。微妙だったし、エンビードと交代。

シクサーズはトバイアスが働き始めます。もう少し早く働くべきだったのですが、エンビードが警戒されている中でマークは薄いよね。1on1になれるからアグレッシブにインサイドに行って、パスを出していきます。そしてトランジションから3Pで逆転に成功。

キングスとしてはゲームプランとして対策を用意してきたけど、さすがにトバイアスまでは気にしていられないよね。シクサーズとしても明確なシューターではないし、ドライブが強いわけでもないし、使い方が難しくて持て余しているけど、だからこそチームの狙いを塞がれた時に目立ってきたというか。

エンビードに対してバグリーを出してきたキングスに対して、エンビードを使わないシクサーズ。シモンズとトバイアスで構築していきます。面白いのはセスとダニーも出てこないでサイブルとミルトンになっていること。単なるローテでもあるけど、これがディフェンスで効力を発揮し、スピードアタックをさせません。

前半が71-66でしたが、残り6分になっても99-103。後半の18分では28-37と急激に得点が伸びなくなっています。両チームのディフェンス戦略が表に出てきた感じ。あとキングスの3P問題か。

エンビードにマークされるバグリーはコーナー3Pでディフェンスを無効化しますが、もうバグリー相手にローポストを挑まなくなったエンビードはハイポストに構えてミドルを決め、ゴール下はシモンズとトバイアスが使っていきます。見事にゴール下を連発で外すシモンズなんて問題もありましたが、お互いにリムプロテクターがいない状態でのオフェンスになったので、シュートも決まり始めます。

これをみてキングスはバグリー→ホルムズを選択。一方でミルトンがケガをしたシクサーズはセスを投入します。ダニーじゃないんだ。

エンビードが構えるペイント内にドライブできなくなったキングス。ローポストとはいかないもののエンビードにパスが入るので、そこを起点にしていくシクサーズ。リードしていることもあり、強気に打つエンビードのミドルが決まったこともあって、残り1分で6点リードに。あっリバースがテクニカルでフリースロー与えてしまって5点差だ。

ここでキングスはシモンズへのファールゲーム。時間を使わせず1本外させると、ヒールドのパスからホルムズが&ワン。でもこっちもフリースローを外してしまったので4点差。

今度はプレッシャーディフェンスを選んだキングスですが最後はエンビードにファール。これを2本とも決めたエンビードによって6点差となり、3Pを狙いすぎたキングスが決めきれなかったのでシクサーズが逃げ切ったのでした。

なお、シクサーズはミルトンのケガで最後のタイムアウトを使っており、ファールゲームとプレッシャーディフェンスの連続を狙った方が良かったかもしれません。まぁ結果論なんですけどね。

◎時の運

キングス側の事情で進んでいった試合ではありましたが、シクサーズとしてもエンビードが止められるなら違う形を選べたので、お互いにそれぞれの戦略を出した試合でした。キングスからすると自分たちの事情で負けたし、シクサーズからすると自分たちの事情で勝てた。

〇3P
シクサーズ 45%
キングス 33%

アテンプト数がシクサーズ20に対して、キングスは42本と大きく違うので、そこには異なる戦略がありました。とはいえキングスとしては多く打ったけど40%決めないと勝てないのも事実でした。

ハリバートンが2Qで15点を取って以降が無得点。それはキングスがハリバートンではなくフォックスを選択しすぎたのも大きかったし、ハリバートンにはやられたくなかったシクサーズの事情もあるよね。だからFG0本のサイブルを長く起用してきました。

〇フォックス
34点
FG13/30
10アシスト

これをどうみるのかが難しいところ。活躍したのは間違いなく、得点もアシストもエリート。でも30アテンプトってのは、フォックスとして正しかったのかどうか。フォックスが輝いているからこそキングスは好調だし、でも、ボールを散らしきれなかった感じもあるし。

ターンオーバーも3つしかないのでフォックスは良いプレーをしたさ。でも、終盤に勝たせるプレーにはならなかったね。要はキングスのオフェンスは終盤になって物足りなかった。必殺プレーが欲しかったところです。ないものねだりというか、まだチームがそこまで考えるほどには強くなっていないというか。

バグリーのディフェンスが良かったのは驚きだし、そこにはバーンズのヘルプもあったので、チームとしてディフェンス戦略の向上が見られます。フルアタックな空気は変わっていませんが、ディフェンスのディティール向上が最近の好調さに繋がっているのかもね。

いずれにしても、もう少し見てみたいと思わせる試合でした。ただ、この試合ってビエリッツァの使い時だった気がするのに、起用されなかったのだから完全に構想外なんだね。

シクサーズはなんというか。ちょっとよくわかんなかった。リバースらしいといえばらしい。良い感じに来ている中で、その良さを出してもいるけど、ダメならダメで違うことしているのがね。本日プレータイムが最も長かったのがトバイアスの41分なのでリバースの起用が当たったのも事実。サイブルを信じたこととか、上手く試合をこなしたぜ。

ただ、それが意図的だったのかどうかが、いまいちわからん。なかなかファンキーな勝ち方だったな。ルー&ハレルで勝っていた頃を思い出すような。鮮やかなんだけど、選手次第な気がしてくる感じ。

いずれにしてもセスとダニーによる3Pオフェンスではなく、ディフェンス勝負を選択できる幅広さはいいよね。首位をがっちりキープして、他のチームとの差を広げつつあります。独走状態は続きそうだ。

キングスvsシクサーズ” への5件のフィードバック

  1. バグリーはこの連勝中にジョセフと共にミニッツを減らされていたのでまぁカラミアンに「お前ディフェンス頑張らないと厳しいよ?」みたいなノリで言われたんでしょうかね?w
    今日はまさかのエンビート相手に大立ち回りしましたね。
    今日の4Qはサイブルに止められたフォックスという感じでしたね。そこでもっとタイリースに任せるべきだったですがまぁ最近の4Qの勝負強さは凄いのでそれもまた勉強ですね。
    この数試合同様に相手の3PAを平均以下に抑えられているので良かったと思います。
    シュートはうてていればそれでよしとします。入るも入らないもありますしね。3Pへのディフェンスがこのままの傾向で続けられれば良しです。

    1. バグリーのハードワークは謎でしたが、ディフェンスの狙いが出来ていて良い感じですね。守れるわけじゃないけど、後は個人の成長も必要ですし。

      システム的な部分というよりも、終盤のワンプレーの精度とか、チョイスが良くなれば、プレーオフ争いにも参加できるかなぁ。

      1. その通りです。
        結局はフォックスの成長次第って所ですねクローズに関しては。まぁでもカラミアン様々ですわ。
        ジョセフ、GRが出てる時にしんどくてでも使わざるをえないセカンドユニットに上位とは差があるのでビエリツァでどんなアセットを組むかですね。おっしゃる通りこの試合なんてビエリツァ使いたくて仕方ないような展開なのに使いませんでしたから完全に出す気しかないでしょうからね。3-4を任せられるウイングが一番欲しいんですけどね。

  2. なんだかんだで25点17Rですから、エンビード中心の考えは合ってるんですかね。ストッパーのタイブルとちょこちょこ得点するコークマスも上手く使いこなしてる感あります。

    1. エンビーの使い方は、かなり良くなっているし、この試合の終盤はミドルを決めて得点を伸ばしたので、中心としては良いと思います。

      昨シーズンまでなら負けていたであろう展開でも、粘り勝てたのは大きいですね

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