セルティックスvsヒートですが、今回は先に結果をお伝えします。ヒートが接戦をものにしましてセルティックスは8敗目を喫しました。前回の対戦では連勝を止められたセルティックスが再び負けたヒート。そこにはどんな相性の問題があるのかを検証するためのゲームレポートです。
見方を変えると違う感想が抱けるのはコービーが教えてくれました。
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◉事前情報を確認
まずヒートの特徴だけ述べておくと、
◯レーティング
オフェンス 102.0
ディフェンス 103.9
全くオフェンス力のないチームです。ディフェンスは11位とそれなり。
9人が20分以上出場し、7人が二桁得点のバランス型チームです。強力なエースには欠けますが、特徴ある選手を並べてバリエーションで勝つ事を目指しています。それはフィッツデイルに似ていると後日気がつきました。
ある意味HCの采配が問われるチームです。
HCといえばセルティックスも同じです。スターターは割と万能系が揃いますが、ベンチは特徴ある選手を並べるセルティックスなので、どんな合わせ方をしてくるのかも関係するかもしれません。
なお、ドラギッチ、ジェームス・ジョンソン、ホワイトサイドはいません。
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◉ハンドラーの自由を奪う
1Qは24ー15でセルティックスがリードします。活躍したのはジェイレン・ブラウンが12点。なんで活躍したかというとディフェンスからの速攻とアーリーオフェンスでシュートチャンスがあったからです。
最近、セルティックス対策になってきているのか、ブラウンとテイタムのウイングを消しにくるチームが見受けられます。ヒートもジョシュ・リチャードソンを当ててブラウンを消しに行きました。狙いは成功しますがアーリーオフェンスではどうしようもない。なお、テイタムは開始3分でルーズボールに飛び込んだ際に手を踏まれてしまいロッカーへ。
セルティックスがリードしてはいますが、ほぼアーリーオフェンスでの得点です。それだけヒートのディフェンスが機能してもいました。ウイングを消しに行くとハンドラーのアーヴィングに自由が与えられるわけですが、ヒートディフェンスが抜かれる事はありませんでした。理由は2つ。
1つはマークマンがアーヴィングに対しキャッチ&シュートは許すくらいに抜かれないように下がって対処していた事。ただ、何となくアーヴィングが打つかどうかを分かっているような対応でもありました。悪く言えば思い切りが悪かったアーヴィング。
もう1つはオリニクとアデバヨのディフェンス上手い事。スクリーン時のショーディフェンスとヘルプディフェンスに機動性があるので、マークマンが追いつく時間を簡単に稼ぎますし、パスコースを読んで手を出そうとします。
そしてセルティックスはハンドラーに自由がなくパスコースを読まれているのでウイングからの3Pが生まれなくなりました。ウイングは個人勝負で止める前提で、ハンドラーにヘルプは用意する形をとっています。
24点は取られたけど、ハーフコートディフェンスは効きまくっていたヒートでした。
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◉攻略してるのかしてないのか。酷いよヒートオフェンス。
しかし、ヒートオフェンスは酷かった。ウェイターズはブラウンに消されます。これはセルティックスが狙ってブラウンをつけています。アーヴィングと対峙するタイラー・ジョンソンには自由があり、ピック&ロールからアデバヨが最も効果的でした。その点では崩していますが、単にアデバヨが決められない。
ドラギッチがいないのでワイドなパスも出てこないのでセルティックスのスティールの被害に遭いやすくなります。3Pも0/6と散々。前途多難なヒートオフェンスでした。
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2Q 44ー36
2Qになってもヒートのオフェンスは酷い。センターはミッキーに変わりますが、やはり良いパスが来ても決めきれないシーンが目立ちます。オリニクから逆サイドのコーナーへのドラギッチ的なパスが出ますが3Pが決まりません。
◯前半の3P 1/12
このコーナー3Pはホークスも上手く使うチームで同じようにセルティックスを苦しめています。決まらなきゃ意味ないですが。
さらに酷かったのはフリースロー
◯前半のフリースロー 7/15
全員ハワードかよ。つまり3Pとフリースローが標準並みに決まっていればヒートはリードしていた可能性すらあります。しまいには3対1の速攻すら決められなかったヒート。セルティックスディフェンスを完璧に攻略したとは言えませんが、まともに決めてさえいれば、十分に機能したとは言えるくらいの2Qのオフェンスでした。
ポイントはセンターへの合わせに対してセルティックスの反応が遅れる事。遅れる理由は4人が外に開いていてヘルプまでの距離が遠い事です。それってセルティックスがいつもやっている事だったり。
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◉ジョシュ・リチャードソンという武器
セルティックスはホーフォードがドライブ、ポストアタックを連続して決めて2Qがスタートしました。両プレー共にホーフォードにちゃんとパスが渡った事が成功の理由です。それくらい1Qはハンドラーからのパスが乱れていました。
またヤブセルが連続3Pを決めます。この人ディフェンスはハイパーだけどシュート力皆無だった気がするので打つだけでも驚きなのですが元々は打っていたのか?
ここにはセルティックスがシューティング指導が上手い事が証明されたような感じです。テイタムが目立ちますが、ヤブセルまで決めさせてしまうのだから、おそらく相当優秀なコーチングメソッドを持っていそう。あれ?スマート?
◯前半の3P 7/13
少し評価の難しいところで、ヤブセルについてはチェックする価値がないと判断していたかもしれません。一方でアーヴィングがキャッチ&シュートを決めますが、前述の通りマークはいるけどチェックには行っていません。
またブラウンがコーナーから決めますが、このプレーは逆サイドでアーヴィングに対し、ピック後のプレッシャーをかけ損ね、ブラウンのマークがヘルプディフェンスに飛んで行ったが故に決まりました。つまり、逆サイドからヘルプに出ておりハンドラーへのヘルプの早さは意図的に行われ、そして初めてフリーの逆サイドまでアーヴィングがパスを捌けた形です。ハンドラーを潰しきれなかったヒート。
あまり視野が広くないアーヴィングですが、プレッシャーがかかっておらず、かつ自分に向かってくるヘルプが数人いれば簡単にフリーを見つけます。ここのプレッシャーが成功しなければヒートは全く守れなくなります。
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しかし、ヒートが何とかついていけたのはジョシュ・リチャードソン。
ディフェンスのスペシャリストはテイタムからスティールし速攻。ブラウンのシュートをブロックと1人でウイングを止めていきます。ここに周囲が注意を払わなくて良いのは利点ですし、ウイングからの得点が止まればハンドラーに集中出来ます。
ワイドに展開されない、されても個人が止めるというのはセルティックス攻略のキーポイントなのかもしれません。途中でスマートが全員のポジションを修正したオフェンスでワイドにボールが動き、逆サイドからの複数人のカットプレーが決まったシーンがありました。ヘルプの意識が高いので有効であり、さすがにヒートもそこまではフォローし切れないといった雰囲気です。
だからスマートは本当に素晴らしい。
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◉ブラウン対策からオリニク活用まで
ヒート62ー59セルティックス
ヒートが逆転します。ハーフタイムの修正としてウェイターズ問題を解決しにきたヒート。とにかくブラウンに抑えられまくっていたウェイターズ。まぁ元々終盤勝負という面もありますが。
そこでウイングのリングから離れた位置でスクリーンを使ってブラウンを引き離しにいきます。この位置だとスクリーンが難しい代わりにファイトオーバーし難くなります。マークが外れるとドライブしていくウェイターズ。またスイッチなどでマークが変更されると簡単にインサイドへドライブしていました。テイタムをかわしてレイアップへ。ただしFGはこれ1本のみ。
ウェイターズが自由になると両サイドでボールが動くようになります。鳴りを潜めていたドライビングオフェンスが動き出します。セルティックスのヘルプは早いので引き寄せてキックアウトパターンが増えます。
ここにも修正点があって、ウイングからミドルラインへのドライブを増やし、両サイドを横断しやすくなったので、結果的にはトップから45°からの3Pとなります。もちろんそこまでローテーションしてくればエクストラパスでコーナーですが。
◯3Qの3P 4/7
やっと決まった。結局はシュートが決まるかどうかだということ。
ウェイターズがミドルラインへのドライブが出来るようになり、両サイドをワイドに使え、3Pに繋げる。そこでさらに空くのはオリニク。ピック&ポップでトップ付近からのシュートとドライブを決めていきます。
ウルブズが4人が両サイドに開き、真ん中をタウンズに使わせるとしましたが、それに近いオリニクの活かし方。ただ、タウンズみたいに信用は出来ないので両サイドもシュートを決めていないとフリーになりません。
かなり理論的だったヒートの修正点。そのスタートはウェイターズをウイングから自由にしていく点なのでスポルストラHCが冴えています。
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◉3ー2ゾーン
逆転したヒートはディフェンスを途中からゾーンに変えます。そういえば他のチームもやってたなと思い出してみるとジャズでした。レポートしたのはクリッパーズ戦で「アーヴィングみたいなオースティン・リバースがいる」と評した試合
ジャズの狙いはアンストッパブルだったリバース以外に打たせたい事でしたが、セルティックス相手にそれは有効ではありません。なんせ決まらないのはスマートくらいで、スマートをフリーにするのはさすがに勇気が要ります。
そしてこのゾーンは最終的にはスマートの連続3Pに繋がりました。それはクリッパーズと違いよく動いて中外とポジションを変えていくスマートなので、ゾーンのポジショニングを混乱させることに成功していたからです。
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それではゾーンの狙いは何だったのか?
そもそも前半のヒートのディフェンスは効いていました。という事はスポルストラがしたようにスティーブンスが修正してくる可能性は大きかったです。そこをゾーンでいなしてしまう目的はありそうです。ゾーンの前にアーヴィングとホーフォード、テイタムが3Pを外すのですが、これはフリーを作れており前半からの修正が効いた形です。それを見て修正を許さないディフェンスに変更しました。
そして前半のディフェンスが効いていたポイントを3つ上げると
・ハンドラーへのプレッシャー
・ウイングを個人で対応
・ヘルプの早さ
こうなりますがヘルプはゾーンなら早いし、ウイングへもヘルプに行けます。問題はハンドラーへのプレッシャーになるのですが、3ー2なのでトップへのプレッシャーはかけやすくなっています。またハンドラーにプレッシャーをかける目的はワイドに振られないためなので、そもそもゾーンならば振られても対応しやすくなります。
このゾーンが効いていたかは難しい所です。スマートが3Pを決めたし、コーナーでフリーで打つロジアーという場面もありました。しかし、セルティックスお得意のドライブからのイージーレイアップはし難くなりますので、3Pの確率とどちらが高いかの勝負です。
◯3QのFG4/17
◯3Qの3P2/11
つまりFGの殆どを3Pにしてしまい、確率の賭けに勝ったといえるヒートでした。前述の通りマンツーマンの時にも3Pは外れているのでゾーンが有効だったかは難しいです。
このQのセルティックスは15点でしたが、仮にあと3本3Pが決まっていても24点です。それは「ゾーンで守ったし3P決められただけだから仕方ない」くらいに諦められる点数でもあります。
実質的にはスティーブンスによる修正を防ぎ、ゲームに変化をつける事に成功したのがゾーンの最大の意義だったように感じます。
ジャズも何処かでゾーンしてたのかな?ジャズはジェレブコのダブルチームみたいなゾーンなので一瞬だとわかりにくいです。ヒートは分かりやすい。
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◉点の取り合いになった4Q
守り合いだった3Qまででお互いに60点前後だったのに4Qはヒート28ー30セルティックスと攻め合う形になりました。
しかし、開始4分でホーフォードが3つファールしてファールアウトになります。4つ目と5つ目はどこがファールなのかわからず、キレたホーフォードが6つ目をしてしまった感じ。この3つのファールが1分くらいの間でコールされています。
とにかくピーピーうるさくコールされるようになってしまい、最終的にヒートはアーヴィングのドライブに対して手を出せず為すすべなくなってしまいます。
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そしてお互いに3Pを決め合います。確率も3Pの方が高くなります。
◯ヒート
FG 10/21
3P 5/9
◯セルティックス
FG 9/19
3P 4/8
変な試合になって行きます。ヒートが得点出来たのはオリニクが半分の14点と決めまくったからですが、それは対策というのも難しい話。1つ言えるのはアーヴィングやロジアーを狙っています。1点リードの最後のオフェンスも直前にブラウンに止められたウェイターズではなく、アーヴィングにマークされたリチャードソンを選択しました。ディフェンスの悪いところを狙うのはセルティックス方式だけど、ヒートもやるよ。
セルティックスがホーフォードを欠いた事で、スマート、ロジアー、アーヴィング、テイタム、ブラウンなんて超スモールラインナップになっており、そこをドライブで攻める事が出来たのがヒートの成功理由です。
それはつまりセルティックス対策の話としては何とも言えません。
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◉逆転を逃したセルティックス
オリニクとエリントンの3Pで一旦は11点差にされたセルティックスでしたが、ゴール下まで行けば少なくともファールコールしてくれる状況になり、さらにスマート、アーヴィング、ブラウンと3Pを沈めて、ラストプレーでアーヴィングのミドルが決まれば逆転ブザービーターまで行きました。
そういう意味ではほぼ無意味になった4Qのヒートディフェンス。
ここまで触れた通り、ドライブを止める事が優先でキャッチ&シュートを許していたので、3Pはともかくドライブを止められないのは想定外でしょう。ホーフォード退場の代償がスモールラインナップのドライブを止められなくなったこと。微妙。
そんなわけで4Qのヒートディフェンスには何も言えず。
ちなみに前回の勝利も3Qまでにディフェンスで大きくリードしたのをセルティックスが追い上げています。セルティックスが素晴らしいことを置いといてレフリーコール問題は常に気にしなければならず、オフェンスで対抗できることは大切です。オリニク様様。
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◉試合全体を通して振り返る。
◯3P
セルテ 13/32 41%
ヒート 10/28 36%
◯FG
セルテ 30/80 38%
ヒート 33/75 44%
つまりセルティックスは2P35%しか決められませんでした。3Pは打たせたけど、ドライブは止めるディフェンスです。
それはどうやって実践するかというと、まずは個人のディフェンスが抜かれない事。そしてスクリーンに対してビッグマンがショーディフェンスでスピード負けせず、マークマンが戻って対応する事です。なのでビッグマンが動けないと難しい。
またヘルプのスピードも大切です。ヘルプが早いなんて当たり前ですが、セルティックスはゴール下を空けておくのでヘルプのために移動距離が長くなるので『速さ』が重要です。
普段からガードが多くユニットを組んでいるヒートなのでセルティックスに速さ負けしません。スイッチしても誰でも守れてしまいます。
◯スイッチしても守れる個人のディフェンス力
◯ヘルプのスピード
この2つが大切なわけですが、マネしろと言われてもマネ出来るチームは限られます。
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◉ジャズ
途中にも出てきたジャズもセルティックスを破りました。その試合はゴベールとフェイバーズがケガをしてスモールラインナップ合わせになった事。ちなみにジャズにも元セルティックスのジェレブコがいて活躍したわけです。
やっぱり速さの部分で負けず、特にビッグマンの役割で負けていないことは大きな要因です。そこにオリニクとジェレブコという皮肉。それらはセルティックスの特徴を消してしまいました。ちなみにスモールラインナップだけど走らないというのがジャズとヒートの共通点です。
そしてジャズとヒートに共通したのが、試合の中でのHCによる仕掛と変化。
セルティックス分析時にブラッド・スティーブンスを絶賛したわけですが、ジャズのスナイダーもヒートのスポルストラも采配の妙を魅せるタイプです。この試合でゾーンディフェンスが挟まれたことは、部分的には効率的だったか疑問ですが、全体としては重要なポイントだった気がします。
セルティックスのオフェンス編では前半の反省を後半に持ってくるとしました。あの頃よりは前半に得点しているセルティックスなのですが、反省を活かそうとしてもディフェンスも対応を変えているため意味がない状態にしておけば、それは効果的なセルティックス対策と言えそうです。
そんなわけで、ヒートがセルティックス対策をどうするのか見てきましたが、ジャズと似ていたねという結論。ちなみにウイング分断していたのもジャズなので、ジャズ戦をみてスポルストラが考えてきた可能性もあります。