サンダーvsウルブズ

2021/2/6

同じカードの連戦というBリーグのようなスケジュールになっている今シーズン。2試合含めて考えないとね。やっていることが中途半端でコンビネーションがないウルブズと、シンプルなオフェンスにして頑張らせているサンダー。タレントはウルブズが上だけど、やりたいことと集めるべき選手の考え方でサンダーが大きく上回っています。

そして1試合目は、試合終盤のタレント力でディアンジェロ・ラッセルが決勝3Pを決めてウルブズが制しました。前の試合がスパーズ戦で、ラストショットを外して負けていただけに、2試合続けて外すわけにはいかなかったディアンジェロ。

〇ディアンジェロ・ラッセル
21点
3P5/8

タイミングの読めないパスとシュート力でゲームを作れるディアンジェロですが、得点については3Pに頼る部分が大きいので、チームとしての合わせプレーがないと輝きにくく、ウルブズでは個人での得点を求められすぎて困っています。

〇マリック・ビーズリー
24点
3P6/12

一方で「エースとしてはイマイチ」だけど、得点力のあるビーズリーはオフボールでの動き出しから、ワンタッチ・ツータッチでの得点力に磨きがかかってきました。1on1シチュエーションではない形で輝くタイプなので、ディアンジェロとのコンビを増やせばよい感じにも見えています。

このコンビにナズ・リードのスクリーン&ダイブをどこまで有効に組み合わせることが出来るかがウルブズの重要なポイント。しかし、オフボールプレーを3人で完結するのは難しいぜ。

そして本日はそのキーになるディアンジェロがいません。連戦だから休ませるのは良いのだけど、ケガも含めてコンディショニングが大丈夫なのか気になってくるチームです。いずれにしてもルビオはいるけど、パサーが減ったことでウルブズが変化するのかに注目したい2試合目。

一方のサンダーはSGAが休みでディアロをスターターに加えて戦いました。ホーフォードの大活躍があった一方で、スターターは3Pの確率に困っていました。

〇ホーフォード
26点
8アシスト

〇3P
ホーフォード 3/6
他のスターター 3/13

ベンチからダリウス・ミラーとムスカラが3Pを決めてくれたものの、得意のドライブ&キックアウト戦術が機能したとはいえず、ホーフォードによって助けられた形でした。ディアロこそハンドラー役として得点したものの、ドライブが決まらないと得点が伸びないのは明らかだったと言えます。

そのサンダーは2試合目でホーフォードが休み。アイザイア・ロビーも欠場なので、ビッグマンがいないエマージェンシー。ただしエースのSGAは戻ってきました。

エースのいないウルブズとエースが戻ってきたサンダー。ただし、インサイドが脆弱なサンダーでもあります。

◎スーパースモール

SGA、ドルト、マラドン、ベイズリー、ケンリッチの5人を並べるサンダー。ガード5人みたいな構成ですが、ベイズリーは定位置なので、純粋にセンターがいないだけともいえます。そのセンターの役割はそのままケンリッチが引き受けます。便利屋。

このラインナップにはゲーム1とは違うメリットがあって、開始からベイズリーのドライブが効きます。だって、スピードのミスマッチだもん。そのうえでサンダーのプレッシャーディフェンスは、ベイズリーとケンリッチのところでボールを奪い取り、速攻に移行します。

フィニッシュするのもこの2人。ディフェンスリバウンドから走ってリードを置き去りにするので、イージーフィニッシュに。リードはちゃんと走っているので批判は出来ません。ウルブズのトランジションディフェンスの悪さも目立ったね。

言い換えるとウルブズ側もディアンジェロ不在でオフェンスが落ち着かない。タイミングを合わせた動きが殆どないから、ハンドラーの判断次第なんだよね。それがターンオーバーの連続を生み出したとも言えます。

いくらなんでも・・・と言いたくなるほどにターンオーバーをするウルブズ。ミスからカウンター、リバウンドからカウンター。どうなっているんだ。

ハーフコートになっても5人がアウトサイドに広がって、ドライブ&キックアウトが機能するサンダー。どっちかというとキックアウト&ドライブかもしれないくらいパスでディフェンスをずらしてのドライブになっていきます。

仕方がないのでゾーンにするウルブズ。しかし、ベイズリーのハイポスト、ケンリッチのゴール下と今度はギャップでパスを受けに来る選手に攻略されてしまいました。

◎エドワーズ

ウルブズで1人気を吐いたのがアンソニー・エドワーズ。リズムを掴んできたようなプルアップ3Pが武器になりはじめたので、シュート&ドライブの形が出来始めました。身体が強いのでインサイドに侵入する能力があります。フィニッシュスキルは足りない。

ディフェンスもフィジカルの強さを生かして守ろうとしますが、もともと守れない選手な上に、コースを塞いでくれるヘルプとかはいないので、止めきれないんだけどね。

エドワーズのところでボールが落ち着き始め、サンダーがベンチメンバーに切り替わってきた頃に、他の選手でも攻めることが出来るようになっていきました。プレッシャーでのミスが減ったよ。あとレイマンやオコギーが登場すると、戻りが早くなってきた。

ウルブズもベンチメンバーになるとマクダニエルのワンビッグになったのでスピード負けしなくなってきます。まぁ代わりにムスカラのフィジカルプレーで&ワンなんていう珍しい現象も起きたけどね。

1Qは走りまくったサンダーがリズムを掴み、なかなか得点できなかったウルブズが途中から反撃するも、サンダーの勢いを止められず43-24と19点差になりました。サンダーの3P4/10なので、シュートが決まりまくったわけではなく、ウルブズはもう少しやりようがあった気がします。

◎ムスカラ

2Qになってもサンダーのオフェンスは勢いが衰えず。そしてウルブズは守れず。ムスカラがエルボーでボールを持つと、ハンドオフフェイクからドライブ、そしてミドル。パスアウトと振り回しまくります。「ムスカラくらい個人で止めろよ」って感じなので、純粋に個人のディフェンス力も足りない。

サンダーのよかった部分はゾーンに対してはドライブ&キックアウトだけでなく、ギャップにポジショニングさせる形を上手く活用している事です。ディフェンスに応じた攻め方が出来ており、いろんな選手がギャップに飛び込むことが出来ています。

そのうえでゲーム1で活躍したダリウス・ミラーを投入し、3Pも強化しました。インサイドでギャップを使っていたはずのムスカラはコーナーに移動しての3Pも沈め、見事にウルブズを振り回していきました。

守っても「選手のいないところにキックアウトする」ようなウルブズの拙攻にも助けられ、ローテーションが機能します。どうせ高さでは劣るからか、高さのミスマッチを恐れないスイッチするしね。

20点差に開いて、ちょっと開き直ったようなウルブズはルビオがペースアップします。ここからビーズリーの3Pも生まれると、リードはローポストアタック。ヘルプするヒマがないくらいに攻め立てようぜ。って感じで成功し始めるのですが、そのルビオとリードがベンチに下がります。

なんだろう。走る前提だから選手交代を増やしたのかな。エド・デイビスが今更でてきた。止められないからオフェンス勝負にしたようなウルブズの2Qでした。サンダー40ー38ウルブズと、その狙いは当たった気がします。

前半は83-62と一方的なようで、最後はウルブズが望んだようなオフェンス勝負でした。83点は取られすぎですが、そこを許容しなければ、点差はもっと離れたイメージかな。サンダーからすると一方的に得点できたけど、20点差の中でディフェンスの集中力が途切れてしまったかも。

サンダーの83点は前半のフランチャイズレコードだそうです。まさか、このメンバーでレコードを作るとは想像も出来なかっただろうね。そしてゲーム1は100点だったのに、あと17点まで迫ってしまった。昨日と違って気持ちよく打てたってのも大きかったのかな。

◎リード

後半開始から7点がリードによって記録され12点差に縮まります。やっと高さの利を生かし始めたウルブズ。引き続きルビオはトランジションゲームを仕掛けており、その中でリードへパスが通る状況を作りました。特にマラドンとのマッチアップにすればイージーなので、ちゃんと守らせないようにしていった。

これに対してサンダー側も前半同様にアグレッシブに仕掛けてしまいます。それは反撃されている時間帯としては良い判断ではなさそうだねぇ。

前半と違うのはスターターのかみ合わせでウルブズのシュートが決まるとカウンターを食らわない事。リードとバンダービルドが並んでいるので、早い展開にさえならなければインサイドを固めることが出来ます。サンダーはキックアウト3Pになるけど、これが決まらないから得点が伸びません。

それは苦しいので4分半でムスカラ投入のサンダー。マラドンを下げてディアロも加わってディフェンスで簡単にインサイドを攻めこまれなくなります。勢いを止められてしまったウルブズ。選手交代で変化してきたサンダー。SGAとディアロのドライブもあって、オフェンスも個人技でなんとか。

ところがムスカラの3Pが決まらず、単発ドライブだけのオフェンスになってしまいます。シュートは決まらない時もあるよね。どうしても守り切れないならアウトサイドを捨てよう。インサイドだけでも止めていくウルブズ。

あまりにも決まらなかったサンダーの3Pに対して、ウルブズはエドワーズが3Pファールドロー。ノエルの3Pと上回って点差が徐々に縮まっていきました。

〇3Qの3P
サンダー 1/10
ウルブズ 3/8

これで3Qに13点しかとれなかったサンダー。決まらないからインサイドを固められ続けてしまいました。ウルブズの得点は32点なので、2Qよりも少なく、オフェンスが機能したわけではありませんが、序盤にリードのインサイドに合わせまくって加点したのが大きかったです。

要は3Qになって自分たちの強みであるインサイド側を強く出せたウルブズ。まぁ普段は弱い部分なので、ここを強く打ち出すのに時間がかかったとも言えます。あまりインサイドで合わせないチームだもんね。

◎SGA

ウルブズとしては一気に逆転したいところでしたが、リードを出し続けるわけにもいかず、ベンチに下げるとオフェンスは停滞します。それでもビッグマンでは勝っているし、マクダニエルがオフェンスリバウンドを取りまくるのだけど、PGマクラフリンは悪いガードではないのだけど、困って自分で攻めてしまうクセが強く、インサイドを押し出せない。

そんな中でマクダニエルのドライブ時に肘がムスカラの顔に当たり、オフェンスファール。フレグラントでよいレベルのクリーンヒットした肘打ちでしたが、ノーマルファールの上でムスカラはロッカーへ下がることに。

これで逆転したウルブズ。残り8分半で6点リードになります。「ムスカラが効いていた」ってのは違和感のあるワードですが、ビッグマンの居ないサンダーからすると貴重な存在であり、いなくなると一気に守れなくなってしまいました。ただでさえホーフォードがいないのに、つらすぎるな。

しかし、スターターを戻していったサンダーはここからケンリッチが連続オフェンスリバウンドでミスを救っていきます。コーナーに構えていながらシュートと同時にインサイドに入り込むケンリッチを捕まえられないウルブズ。ディアロもルーズボールに飛び込んで、ハードワークのサンダーが苦しい局面で上回っていきます。

そしてキックアウトからマラドンの3Pで追い付くサンダー。ただ4Qの3Pはこの1本だけ。あと3本打って全部外れました。ウルブズとしてはインサイドを固めるので正解だったのだけど、外れてもくらいついてくる競り合いに困らされたね。

PGがルビオになると、ポジションを入れ替えながらリードにはゴール下でポジションを取らせに行きます。ケンリッチがフルフロントで守りに行っても絶妙なパスを通してくるルビオ。そしてエドワーズは個人技アタックの3Pにドライブレイアップで続きます。

対してサンダーはSGA。ドライブだとわかっているのにドライブして、粘り強いフィニッシュで決めきる。昨日はいなかった分だけ元気なのかも。リード相手に仕掛けてブロックにすら飛ばせないシュート。

リードとエドワーズがパワーで押し込めば、SGAがスピードで返す展開が延々と続きます。

違いがあったのはサンダーはリードに対して、2人目、3人目のヘルプがきて止める行く事。そこからパスが出てこない事もあって、残り2分で遂にシュートミスになると、逆にSGAのドライブにヘルプがないウルブズなので、サンダーが再逆転します。ノーヘルプに怒るエドワーズ。

残り30秒。エドワーズがドライブからコーナーのレイマンに見事なキックアウトでワイドオープン3Pになりますが、これが決まらず。うーん、エドワーズはキックアウトも出るようになってきたのだけど、チームメイトが決めてくれないこと多い気が。

サンダーもケンリッチのミドルが決まらず。残り5.2秒2点差で再びウルブズのボールに。タイムアウトで狙ったのは本日好調のリードによる押し込みでした。

サイズ関係なくスイッチするサンダーは、最終的にリードvsSGAのローポストに。フェイクしたリードにひっかかったSGAでしたが、ドライブしたリードに対してブロックに来たのはケンリッチ。これをかわすようなレイアップを打ったリードでしたが、リングに嫌われ、前日のリベンジとなったサンダーでした。

◎器用なサンダー

ホーフォードはいないのに、ムスカラやケンリッチ、ディアロで器用に戦ったサンダーでした。もうサイズで負けることに慣れていることも含めて、それでもインサイドを攻略することを忘れず、アウトサイドに頼らない形で得点していったのも見事。

そしてSGAが勝負強く決めていった。ノーヘルプだった理由の一つはサンダー側のポジショニングがヘルプに行けないようなところに構えている事でもありました。コーナーの選手を捨ててインサイドを厚くしても良かったウルブズですが、うーん、出来ないんだろうね。

〇SGA
31点
FG12/22

圧倒的な感じではないSGAですが、フィニッシュスキルが高いので、チームでコースを作れればドライブを決めきってくれます。その信頼が生み出したような勝利でもありました。

ケンリッチやベイズリーでよくぞインサイドを戦い抜いた試合ですが、相手がウルブズだからギリギリってのも事実だね。

〇ナズ・リード
29点
FG12/21

普段は3Pラインの外で待つことが多いリードですが、やられまくった前半を経て、後半はインサイド推しになったことで反撃しました。ウルブズがこうやって戦略変更しているのは新鮮だったので、ちょっとほっとした。でも遅いのも事実。

20点のエドワーズも含めて、ディアンジェロがいないならいないなりに、攻めるポイントがあったのは悪くなかった。ただオフェンスの内容が全く違うものになっているので、チームとして何がしたいのかは選手も悩んでいるような。エドワーズの成長はポジティブ。

1つの試合に勝つこととシーズンで良い成績を残すことはちょっと違う。欠場者がいても、しっかりと戦えるのは重要だし、ブレない戦術と柔軟な戦略が必要だ。サンダーはビッグマンがいないのに、そういう部分はしっかりしているよね。

ウルブズの方はかなり心配なのだけど、それでも今日は戦い抜くことが出来たので、前向きにとらえておこう。

サンダーvsウルブズ” への6件のフィードバック

  1. すみません話が少しずれるのですが、エドワードの説明の際にゴードンもですがフィニッシュスキルが足らないと仰られていますが、リングまでの手段が乏しいということですか?
    SGAをシーズン前に評価されていたと思うのですが、データが少ない中で具体的になにをみて判断されていますか?来シーズンからルーキーも見ていくつもりなので、管理人さんの視点を少し知りたいです。

    1. フィニッシュスキルはレイアップとかの確率です。造語です。
      エドワーズはドライブで突破するのは、割と良い感じですが、ブロックをダブルクラッチでかわして打つとか、フローターとか、あるいはフィジカルにぶつかっておいてから打つとか、そういう最後のフィニッシュがイマイチなので、そこさえ改善すれば得点力が上がってくると思います。

      ドラフト上位指名に出てくる選手は、ほぼ身体能力が高いのですが、NBAはモンスターだらけなので、それだけではダメですよね。だから他にどんな武器を持っているかを探します。オフェンススキルのパターン数は大切かな。

      あとは判断してプレーしているかどうか。ハリバートンなんかはスカウティングビデオの時点で、判断する能力はピカイチでした。あんなに3Pが決まるとは思いもしませんでしたが。

      シュート力とか爆発的なドライブとかは、あまり気にしません。

  2. ケニーハッスル様様って感じの試合でした。まだ序盤ですが苦しい時間帯に彼のORで何回救われたかって感じです。しかもそれが伝染していくので素晴らしい。
    ムスカラくらい個人で、っていうのはわかるのですが(笑)活躍する試合のムスカラさんは結構セルフィッシュにシュートを打っていて判断のタイミングが早いので止めずらいのかなという気がします。なんとなく、目力が違うような気もします(笑)

    傍目にはタンク合戦にも見えるかもしれない2戦目でしたが、結構面白かったです。スモールをリードの部分で突いてきたウルブズと、最後の最後ダブルチームでなんとかしたOKC。ウルブズとはどう転んでも接戦になるんだなあと思ってみてました。

    1. この試合のムスカラは3Pではなくペイント内で活躍していたので、それくらいは個人で止めないと・・・。

      若いなら若いなりに、選手がいないならいないなりに、面白い部分ってありますよね。
      ケンリッチはその代表格で、フルメンバー揃うなら、あまり価値のない選手ですが、どのポジションでも埋めてくれる便利な存在かつハードワーカーっていう良さがみえて面白かったです。

  3. そろそろ開幕から25試合というところですが、西は上位11チームが勝率5割以上の魔境と化してます。こんな中でMINだけが取り残されてるわけですが、チーム戦術の熟練度を見るにあと2、3年は浮上しそうな感じがしないですね。タウンズ出して再建を選んでもフロントが…って感じですけども、どうしたら良いんですかね?

    1. 「再建」にはプランが必要で、ただタウンズを放出するのではなく、どんな形でチームを構成するかを考えないといけません。
      HC交代はもちろんですが、フロントを大きく入れ替えないとダメっぽいですね。
      今シーズンの状況はロスター構成の問題でもありますし。

      フロントを大きく変更するためには、オーナー変更が一番。ってことで、KGがチームを買えることを祈るばかりです。
      多分このままタウンズを残しても、契約が切れた段階で出ていくでしょうね。そう考えると2、3年ガマンする意味もないですね。

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