スパーズvsグリズリーズ

2021/2/1

若手を多く起用しながら、粘り強い戦いをする両チーム。スター候補ではなかった選手を自分たち仕様に育て上げようとする段階で、しっかりと勝ちにも結び付けていくのは大切。

グリズリーズのニューカマーはセンターのティルマン。ルーキーながら、的確なポジショニングでインサイドへの侵入を塞ぎ、グリズリーズディフェンスを強固にしていきます。バランチューナスがいないのでスターターになってきました。

このティルマンのディフェンスは効いているものの、対面するオルドリッジはシュータービッグマンになっており、さっそく2つの3Pでインサイドから引き出そうとします。スパーズとしては非常に良い試合の入り方になりました。

でも、そこはインサイド重視のグリズリーズ。ぶれることなく、ペイント内へのドライブを捕まえ、ある程度はアウトサイドで打たれることを許容します。ロニー・ウォーカーのミドルなんかもあって、スパーズの得点が止まったわけではないけど、ディフェンスを崩すには至らず。

一方で超有望株であるグリズリーズのモーラントは、トランジションでもハーフコートでも、あわやターンオーバーというシーンを連発してしまいます。マレーやケルドンらのディフェンスにコースを読まれ、得意のインサイド攻略にならないグリズリーズ。

ただ、ミスになりかけたのをクラークが拾ってレイアップ。カイル・アンダーソンはコーナーからのドライブを決めて得点を繋ぎ、さらにスパーズの弱みであるビッグマンの差でのねじ込みもあって、互角の展開を続けます。

お互いにインサイドを封じられる中でビッグマンの分だけグリズリーズが優位ではあったものの、ベンチメンバーが増えるとデローザンがドライブからこじ開けていきます。ただ、3Pが決まったのはグリズリーズ。ベインとジェンの3Pで33-31と2点だけリードして1Qが終ります。

◎ディフェンス強化

モーラントのドライブをパートルがブロックし、さらにゴール下での押し込みで&ワン。2Q開始を高さで上回ったスパーズ。ミルズが3本目のコーナー3Pでリードします。ゲイのドライブも決まって、中も外も攻め込み始めたよ。

モーラントもリングから離れながらのフローターを決めると、ティルマンとのコンビでアシストもレイアップも出てきます。やっと本領発揮。

お互いにミスが続いた後でタイムアウトをコールしたグリズリーズは、ディフェンスへの意識を高め、個人のディフェンスでドライブの一歩目を連続で止めると、速攻からティルマンが&ワン。カイルもドライブダンクを決めて一気にグリズリーズペースに。デローザンがベンチに座っているスパーズは、突破口を失ってしまいました。すごいディフェンスするね。

デローザンとオルドリッジを戻し、起点にしたことで、次第にドライブも出始めるのですが、最後までチェックに飛んでくるグリズリーズディフェンスに対して、ロニー・ウォーカーは連続ミス。ミルズのカッティングにはパスが合わず。

グリズリーズはディロン・ブルックスがタフなドライブを決めると、インサイドのジェンへの合わせプレー、カウンターのトランジションでメルトンがレイアップ。モーラントがベンチに下がっても関係ないバランスアタックで加点していきます。今日はクラークのフローターが昨シーズンみたいだ。

終盤にデローザンが個人技で返したものの、2Qを22失点に抑えたグリズリーズ。69-53と16点リードで折り返します。1Qはスパーズ側の個人ディフェンスが目立ったけど、2Qになるとローテーションが良い上に、個人で止めていくグリズリーズのディフェンスが機能しまくりました。

加えてそこからのカウンターが早い。グリズリーズがちょっと変わっているのは、センターラインをビッグマンが走り、サイドから速攻のパスが出てくること。直線的な速攻で後ろからのパスを押し込む上手さが光りました。

なんとなくグリズリーズとスパーズの目指す方向性は同じ気がしています。ハードなディフェンスから走れる選手を揃え、バランスアタックとファールドローよりもシュートレンジの堅実さ。ただ、そこに至る過程で伸ばしたいポイントは違う感じ。速攻の出し方とかね。

◎モーラントとケルドン

クラークのインサイドで21点差になるも、マレーが連続3Pで追い上げる後半のスタート。どちらもディフェンスプレッシャーに困っていてパスミスが出るのですが、それが相手に渡るスパーズと、運よくアウトオブバウンズになるグリズリーズです。

さらにグリズリーズがゾーンにするとスパーズのオフェンスは何もできず。せっかくトランジションに行ってもケルドンのシュートをカイルがはじき出します。外だけでボールを回して3Pを打つしかない感じに追い込まれてしまう。

スパーズもゾーンをしますが、モーラントがスクリーンを使ってインサイドにはいってのキックアウトパスから3Pになるので、形は出来ている。なので再び20点差に戻ります。ただモーラントについてはスパーズディフェンスに囲まれてミスも多く、もっとリードを広げられそうで広げられない。

ここでスパーズはケルドンが奮起します。単発の3Pを決めれば、2人のディフェンスがいるところに飛び込んで&ワン。さらにど真ん中を切り裂くとダブルクラッチで&ワン。タイムアウトのグリズリーズは、ケルドンへの警戒が強まったか、他の選手のマークが緩んでしまい、フリーになったゲイの3Pやゴール下にカッティングしたホワイトのゴール下に繋がります。そして外れたシュートにケルドンがオフェンスリバウンドに飛び込んでファールドロー。

強引に流れを変えたケルドンによって、再び10点差に縮まりました。そこまで締まっていたグリズリーズディフェンスですが、チームとして守れていますが、基本は個人のマッチアップで簡単にはインサイドに侵入させないことにありました。そこを直線的に切って落としたケルドン。

ケルドンが下がった残り2分。グリズリーズがジェンとタイアス・ジョーンズの3Pで再びリードを広げるも、スパーズもミルズ、ゲイ、デローザンがペイント内に攻め込んだので、3Qは96-83と13点差で終わります。

試合が決まってもおかしくなかった3Qでしたが、決めれなかったモーラントと決めさせなかったケルドンって感じだったよ。

◎ビッグの差かな

グリズリーズのオフェンスでちょっと不思議なのが、2Qと4Qの序盤にティルマンのワンビッグになると、まるでノービッグみたいにインサイドにスペースを作っていること。ティルマン本人はストレッチタイプじゃないのに、スクリナーになった後にスペースを選んでポジショニングするので、ヘルプディフェンスがいない状況を作って、モーラントとカイルがゴール下を決めます。

さらにデズモンド・ベインが3Pを決め、ティルマンが速攻をフィニッシュして20点差。追い上げなければいけないスパーズの勢いをそぎます。昨日のナゲッツもそうでしたが、いったん追い上げられた後に、もう一度しっかりと突き放すことが出来れば、エネルギーきれを引き起こせるよね。

スパーズはやっぱりケルドン。ドライブで崩してのアシストや3Pで何とかかんとか。個人としてはダブルダブルで対抗したものの、それをチーム全体に波及するようなオフェンス設計ではないので、最後までチームとして攻略できずに終わったのでした。

〇ケルドン・ジョンソン
25点 
3P3/8
11リバウンド

ラスト6分はベンチに下がったケルドン。それは良いのだけど、ヴァッセルの出番が少なかったことは気になりました。これだけウイングからのドライブくらいしか攻め手がないなら、もうちょっと使ってあげても良かったんじゃないかな。スパーズは攻め手を欠いてエネルギー切れでもあったので。

ディフェンスが光ったグリズリーズが速攻で差をつけた試合でしたが、終わってみるとジェンの3Pが大きく、スパーズにインサイドを守らせなかったことが差をつけた気がします。スパーズの方もモーラントに対してよいディフェンスをしていたし、簡単には突破させないのですが、ビッグマンに3P決められるとね。ティルマンのポジショニングやクラークのフローターと共に、オフェンスはビッグマンで上回った。

一方でオルドリッジは1Qの2本に留まっており、打たせる形に持ち込めなかったともいえます。ゲイのワンビッグをもっと使っても良かった気がしますが、ヴァッセルの件も含めて9人ローテくらいにしておきたかったんだろうね。ライルズも出番がなかったな。

点差は開いたけど、お互いにディフェンスが締まった見ごたえのある試合でした。それにしてもモーラントが大した活躍しなくても関係ないグリズリーズってのはすごいよね。非常に粘り強いディフェンスを展開しています。

スパーズvsグリズリーズ” への2件のフィードバック

  1. 今日の試合は完敗でした。おっしゃる通りでビックマンの差が結構でた試合だったと思います。グリズリーズは最後ビックマン1人でリムプロテクトできるがスパーズはできないためにヘルプによってキックアウトパス出されてスリーがフリーになってたと思います。あと今季デローザンのスカウティングが各チーム進んでいるなぁと感じます。ショートコーナー付近で捕まってポンプフェイクするが引っ掛からずオフェンスが止まる場面が結構見られるようになってます。そういう時にロニーにもう少し積極的に行ってほしいと思うのですがディフェンスを避けながら飛ぶのでフィニッシュ力が微妙。今シーズンはケルドンが良いのでそこが良くなるともっと良くなると思うのですがどう思われますか?

    1. ロニー・ウォーカーについては、ケルドンのように判断が良くドライブするわけでもないし、強引に決めきるわけでもないので、いろいろと改善しないといけませんね。
      フィニッシュパターンを増やすのか、ジャンプシュートを使っていくのか、選択肢はありますが、シュート力が高いわけでもないので、迷いどころ。
      個人的にはヴァッセルの方が面白いと感じているので、もっと2人を競争させてもよいかなーと思います。

      デローザンについては対策としては一般的なので、どっちかというとインサイドとの絡みが減っているのが気になります。

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