ヒートvsクリッパーズ

2021/1/28

ケガ人が多いとは言っても、いくらなんでも負け越しすぎている気がするヒート。その要因が何かを知りたいぜ。一方で好調のクリッパーズ。普通といえば普通だけど、そろそろ何かしらの理由が出てきていそうだよね。ポール・ジョージとレナードもコロナのプロトコルでお休みしているのに、ちゃんと勝てているぜ。

◎3Pとカッティング

ヒートは昨シーズン序盤を思い出すようにケンドリック・ナンが好調。ヒーローだけがPGだった形から脱却し始めており、アデバヨと合わせて3人が起点にもなり、周囲にダンカン・ロビンソンとオリニクでシューターを揃えます。

1Qに目立ったのはシューター側。ヒーローがドライブするとブロックにもあっていたし、インサイドは攻められないのだけど、そもそもクリッパーズのディフェンスは3Pに対してルーズなので、シンプルにアウトサイドから打ちまくれます。アデバヨのハンドオフとか、そんなに関係なく打ててしまう。

ベンチメンバーになってもビンセントが空いて3Pを決めれば、スタウスもトランジションから連続3P。そうなればドライブも効果的なのでやりたい放題だな。18点リードまで広げます。

つまりはお得意のオフボールでの動きを多く取り入れて、3Pを使ったオフェンスは健在。目立った個人技がなくてもチームとしての武器を意識しており、アンセルフィッシュなチームで居続けています。

この1Qのオフェンスについては、ほぼ問題はなかったものの、気になる点はありました。ハンドオフの良い部分は起点として3Pラインの少し内側に立つので、オフボールで合わせる選手は3P(アウトサイド側)でも、カッティング(インサイド側)でもOKってことです。だからこそ止めにくい。

しかし、インサイドへのカッティングをしているのはダンカンくらいでした。アデバヨのインサイド合わせも殆どなく。というのも、パスを出すのがアデバヨなので、どうしてもそうなるよね。ドラギッチがいれば、アデバヨの合わせもあるのだけど、もっとカッティングしないと難しそうです。

クリッパーズの守り方が「3Pは打たれてOK」を継続したので、問題にはならなかったのですが、アデバヨを起点にしすぎている問題がある気はしました。

◎プレーシェア

クリッパーズはエース不在でどうするのかと思ったら、バトゥームがスポットアップして作ろうとしていました。ウケる。やっぱダメだなーという展開が続き、10点しか得点出来ずにベンチメンバーが増えていきます。

すると「あれっ」と見慣れたシステムが登場。このブログでのみお馴染みのアトキンソンオフェンスが登場します。頼るエースがいないことでチームオフェンスになってきたかのようだ。スクリーンとオフボールムーブ、そこにパッシングを組合せ、ボールサイドと逆サイド、それぞれでプレーメイクされていくよ。個人突破はないんだ。

マジか。クリッパーズはこれで強くなってしまうのか・・・と思っていると、ルーが登場して元に戻ります。さらにウケたぜ!

とはいえ、やっぱりエースがいない影響は大きく、得点が取れなかった1Q。しかし、チームとしてはフロアバランスが良く、無謀な突破が少ない。イバカからズバッツにスイッチすると4アウトでボールを動かして、インサイドも狙っています。ヒートディフェンスは3Pを簡単には打たせてくれないから困ってはいるものの、形としては悪くない。

2Qになると、さすがに3Pを打たせないように守り始めたクリッパーズ。インサイドを攻略できないヒートの問題が強く出たので反撃します。ズバッツがゴール下で止めまくるんだけど、ズバッツに止められ続けるヒートってどうなんだ。ここが固まったことでプレッシャーディフェンスが効いてスティールが増えていきます。

ケナードやコヒーがトランジションで走り、シュートが落ちてもズバッツが拾う。エースがいないならズバッツの方が良い感じだね。全体の運動量も多くてチームとして良くなっています。イバカが戻ってくるとアデバヨにインサイドで得点されました。イバカの責任ってわけじゃないけどね。

堅守からの速攻が機能したことで追い上げると、ハーフコートオフェンスになってもレジー・ジャクソンが連続3P。そしてルーのドライブキックアウトからテレンス・マンがコーナー3Pで残り2分で追いつきます。

ダブルエースはいなくてもコヒーやマンがローテにはいってきたので、走り負けしないのは大きい気がします。逆に言えばヒートはハードワークの部分で劣ってしまった。

前半は50-48でヒートが2点だけリードして終わります。1Qはクリッパーズが19点、2Qはヒートが17点と、どちらも頼れるエースがいないことで、トラブルになると一気に停滞した印象です。

クリッパーズは9人が出場し、全員が10分以上のプレータイムでした。二桁得点の選手はゼロで48点まで伸ばしたわけで、なかなか驚きのプレーシェアをしています。ヒートはアデバヨが4アシストもFG1/7とストップ。インサイドの得点力が問題でした。

◎ドライブキックアウト

見事なドライブ&キックアウトの連続からバトゥームの3Pが決まったクリッパーズに対して、ヒートのハーフコートは苦しみます。オフボールからの3Pを警戒しているクリッパーズディフェンスなので、インサイド側を攻めないといけないのですが、アデバヨがイマイチだね。

そのアデバヨがベンチに下がるとイバカが3P、続けてバトゥームも3P。1Qの逆でクリッパーズが3P攻勢で逆転します。タイムアウトを挟んでバトゥームが更に3P。ケナードも3Pで続いて、レジーの3Pで二桁リードになります。

いくらなんでも決まりすぎだぜ。打たれすぎだぜ。ヒートのディフェンスはクリッパーズのドライブに困りまくっていて、カバーに行ってはキックアウトされています。つまりは個人のディフェンス力問題ってことだ。初めのところを止めてくれれば、こんなに困らなかったはず。バトラーだけでなく、ブラッドリーもイグダラもいないしな。

あるいはヘルプのところは徹底してアデバヨに任せるべきだったかも。オーバーヘルプでアウトサイドが空いてしまうのも目立っています。こんなに簡単にパスを出されてはどうしようもないぜ。

〇3Qのクリッパーズ
3P 9/14
アシスト 9

9本の3Pすべてにアシストが記録されました。見事だったドライブキックアウト。3Pは決まりまくったけど、その前のプレーが重要でした。レナードもポール・ジョージもいないからボールが止まることがなく、次々とパスが繋がってはドライブの繰り返し。バトゥームが3P4/6と引っ張り88-69と19点差まで広げました。

ヒートは終盤はゾーンにして3P攻勢を止めたのですが、ヒーローがボール運びで2つの余計なパスミスでターンオーバーするし、3Q最後に時間が無くなったのでマンが打ったターン3Pジャンプシュートにビンセントがファールしちゃうし。

うーん、内容もあるけど、悪い流れを止められず、そのうえでミスが加わったヒートなので単にケガ人が多いだけでなく「リーダーの不在」が響いているのかもしれません。バトラー、ドラギッチ、イグダラ、あとACレナードもいないし。

中心選手がいなくてチームワークが良くなったクリッパーズ
中心選手がいなくてメンタルに問題がありそうなヒート

◎ハイプレッシャー

しかし、4Q開始2分でヒートが9点差にします。ハイラインのゾーンプレスでプレッシャーをかけ、トランジションに移行する作戦。そしてインサイドでアチウワが合わせるプレーが連発されました。お見事な奇襲的采配で10-0のランです。

クリッパーズとしては前半に機能していたズバッツのところでやられたのが痛かった。インサイドカバーを薄めにして成立していたのに、ここでは一気に攻め込まれました。しかし、タイムアウトを挟んでアチウカへのアリウープパスをカットしたズバッツ。ビンセントのミドルやヒーローの3Pを許すも、インサイドでの自由を奪ったことでヒートの勢いを止めます。

オフェンスではハイプレッシャーに対して、レジー、ケナード、ルーの3人が広くスペースを取って冷静に回します。ハードに守ってくるヒートを突破することは出来ないものの、しっかりとしたボールムーブはカウンターの機会を減らし、そしてルーが得意のファールドローで繋ぎます。

ヒートはオクパラの3Pとドライブで6点差にするも、どうもアデバヨがイバカを上回ることが出来ない。ダンカンにはパスが出るものの、ペイント内を全く攻め込むことが出来ず、逆にイバカとモリスのゴール下で再び10点差に戻されてしまいます。

残り4分半で99-89.ここからヒートはヒーローが連続でドライブレイアップ。さらにストップジャンプシュートで勝負強さを見せ始めます。しかし、クリッパーズもモリスが3Pで取り返す。

残り2分でルーがナンのパスアウトをスティールし速攻。ナンはレイアップで入れ返すけど、時間が過ぎていってしまいます。そしてディフェンスリバウンドをとったヒーローがワンパス速攻を出すも、ナンはゴール下をミス。

意地のプレッシャーディフェンスで追い上げたヒートでしたが、クリッパーズもボールを持ちすぎることなく、時間を使って逃げ切ったのでした。

◎アデバヨよ!

最後のプレッシャーディフェンスに対してクリッパーズはレジー、ケナード、ルー、バトゥーム、モリスとベテランの多いメンバーで落ち着いた対応をしました。ミスもあったけど、変なところにハマりたくないってね。レジーは残りタイムアウトがないのにコールしてたし、ダメなところも多かったか。

3P6本決めたバトゥームの18点がチームハイとバランスアタックに徹したクリッパーズ。びっくりだね。バランスの良い戦い方で大人な対応をしました。ルーとモリスがベンチスタートだけど、展開に応じて使い分けやすい形になっており、上手く選手交代したと思います。

エースがいないことでバランスが良くなるってのは2年前のクリッパーズですね。すごく強いわけではありませんが、堅実に戦えているので、ダブルエースが不在でも面白くなってきました。

一方でヒートはアップダウンしすぎた。ダンカンにマークを引き付けることは出来ているのに、そこから展開できていません。パスが少しずつ遅いなんて問題もあるのですが、一番の問題はインサイド攻略が足りていないこと。

全てをアデバヨの責任には出来ませんが、アデバヨには「敗戦の責任」を受け持って欲しい。ドンチッチやドノバン・ミッチェルはそういうことをルーキーシーズンからしていましたが、アデバヨはちょっと違うよね。

FG6/16とアデバヨが外しすぎたのが大きな問題であると同時に、勝つために足りない部分をリーダーとして埋めないといけない。ケガ人が多い時にそんな経験を積んでもらうしかありません。

この試合で言えば、ディフェンス面でアデバヨがインサイド専任になってもよかったくらい。オフェンス面でもゴール下でのチャンスを作ることを考えないといけなかった。それらは「いつものプレー」とは違うけど、勝つためにはそういうこともしないとね。

ってことで、結構苦しかったねヒート。ペリメーターのディフェンス力、リーダーシップ、そしてインサイド攻略。バトラーがいないだけで・・・では済まない感じなので、苦しい戦いは続くのかな。

ヒートvsクリッパーズ” への2件のフィードバック

  1. MIAはメンバーがプロトコルや故障で抜けて入れ代わり立ち代わりで固定できてないのが大きいですね
    負け試合は大抵序盤から中盤で10点差で追いつくもディフェンス崩壊でまた点差を拡げられ終盤接戦になってもフルメンバーならオフィンスの選択肢の多さを活かして誰が決めるか分からないところがあるのですが今はバトラーアデバヨヒーロダンロビドラギッチのうち1人か2人しかいないので相手はディフェンスを絞り安いです
    絶対的エースがいないチームカラーがマイナスとなっています
    バトラーも体重がかなり落ちて本調子には程遠いらしいので復帰してもしばらくは厳しいと思います
    今年は指名権がOKCに行ってるだけにプレイオフには出て欲しいのですが厳しそうです
    まあ今の状態だと再建もWinNowの大物獲得のトレードもなさそうなのでそれだけが救いですかね

    1. どこのチームも欠場には困っているので、ヒートだけじゃ・・・とは思ったものの、試合を見ると、欠場人数以上の厳しさがありました。1Qのパターンで4Qも構成しないといけないからムリがありますね。そもそも多様性が特徴のチームだったのに、多様じゃなければ難しい。

      バトラーは確かに細くなっていましたし、意外と先は長いのか。

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