ホーネッツvsペイサーズ

2021/1/29

とても面白い試合でした。試合開始直後はながら見をしていたのですが、ついつい最後まで観てしまった。見直したら新しい発見がいっぱいありそうでもあります。見直さないけどさ。

しかし、面白い試合ってのは時にお互いに手が打てなかったような課題もあります。本当は強烈な個性が混じることで試合は変な方向に進むもの。そんな要素はなかったのは両チームが目指す方向性が似ているからかもしれません。

◎スモールとビッグ

ペイサーズはターナーとサボニスを並べるツービッグ。ベンチからはビターゼが出てきて、3人でローテしワンビッグとツービッグを使い分けます。

ホーネッツはスモール戦略。グラハム、ロジアー、モンクの3人をローテし常にツーガード、かつラメロやヘイワードをウイングでも使うので、実質的には3ガードの時間も長くなります。ヘイワードが便利だ。

つまり、この試合はお互いに必ずミスマッチが生まれる試合でした。ペイサーズはサボニスのところでスピードのミスマッチが生まれることを恐れないし、ホーネッツはターナーのところで高さのミスマッチが生まれることを厭いません。

これが両チームのオフェンスをスムーズに進めることに繋がり、試合が面白くなったともいえます。逆に言えば、共に何らかの方法で強烈に止めに行く事が出来なかったわけです。基本的にはワンビッグでも良いペイサーズがホーネッツに付き合わなかった形ですが、むしろホーネッツ側に強い狙いがありました。

ホーネッツのセンターはゼラーとビヨンボ。2人いるので常にどちらかをコートに出すことが出来ます。しかし、ペイサーズがビターゼのワンビッグになると、両センターをベンチにおいてウイングを並べる対応を選びました。

ウイングといっても今シーズンのホーネッツはブリッジスとワシントンをセンターのように使い、コーナーとエンドラインからのインサイド合わせを連発させます。このスピードにビターゼがついて行けるわけもなく、ノービッグの時間帯でホーネッツは次々にインサイドを攻略していきました。

もちろんペイサーズ側もガードのドライブから、ビターゼが高さで合わせてフィニッシュしていったので、自分たちの狙いはしっかりと使えています。お互いにメリットだけを享受しに行くことで、オフェンスが停滞する時間が短く、常にやりあう展開となったのでした。

そのうえで試合終盤になるとラメロをコートに残したホーネッツ。マークマンがサボニスになっていたので、積極的にラメロから仕掛けさせました。競った展開の中でラメロに任せるリスクもありましたが、それよりもマッチアップの優位性を全面に出していったわけです。

〇ラメロ・ボール
16点
FG7/13
7アシスト
6リバウンド

ラメロのアテンプトが多くなったのにはそんな理由もありました。本日は3P0/6でしたが、2Pは全部決めました。スピードで侵入してのレイアップが安定していたのは兄との違いか、戦術の違いか。今日はロンゾも大活躍だったけどね。

このスモール戦術を成立させている要因の1つがラメロのリバウンド力。ガードだけどリバウンドが強いことで戦術を面白くしてくれています。そのうえでチェイスディフェンスが良かったので、パスカットが多く、ディフェンス面での貢献も目立ちました。

絶対にスピードのミスマッチがあり、誰かはプレッシャーを受けないのが確実だったホーネッツが見事なボールムーブを続けられたことが勝利に繋がりました。

〇アシスト数
本日 35
シーズン平均 28.3

今シーズンリーグ最多のアシスト数を誇るホーネッツは、108点しかとらなかった試合なのに平均を大きく上回る35アシストでした。自分たちの狙い通りであり、ペイサーズ側が敢えて止めに行かなかったともいえるのでした。

◎ペイサーズの事情

ペイサーズは高さを生かしてインサイドの攻防で優位に立ちました。単純にゼラー相手のサボニスが勝てるので、思ったよりもサボニスの個人技も多くなりました。今シーズン全体的に多いんだよね。

〇ペイント内得点
ペイサーズ 60
ホーネッツ 50

前述の通り、スモールであるが故にホーネッツもインサイドを攻略しましたが、さすがに高さの部分で上回るペイサーズが上手。サボニス16点、ターナー14点、ビターゼ8点とビッグマンで38点です。しっかりとメリットを享受したし、ホーネッツはそこを諦めているし。

〇後半の3P
ターナー 0/5
ブログドン 1/6
ほか 3/8

しかし、後半になると3Pが決められず、特にターナーは空けられたような形が増えていきましたが、ここが決まらなかったことでホーネッツはインサイドのカバーが楽になってきました。

オフェンスパターンが読まれたことでブログドンがプルアップ3Pを打たざる得ないシーンも増え、ことごとく外れました。1本でも決まっていれば展開が大きく変わっていた気がするくらい微妙なラインではあったものの、後半はホーネッツのディフェンスの方が機能していたのです。

ここは「困ったときにオラディポ」がなくなったのでルバートの復帰待ちです。手術も無事に終わったようですし、やりすぎない程度に新エースとして輝いてほしい所です。

◎ペイサーズに足りないもの

〇被3P成功率 39.4%(29位)

この試合37本の3Pを打たれたペイサーズでしたが、それでもシーズン平均よりも少なく、とにかく打たれまくるのが弱みになっています。ラプターズのACだったビュルグレンは、いかにもラプターズっぽいチェイスとローテを繰り返すディフェンスシステムを導入しましたが、昨シーズンのラプターズも3Pを打たれまくるチームだったね。でも決めさせなかった。

ラプターズ以上の層の厚さを誇るペイサーズに、運動量とハードワークが求められるディフェンスは適しています。しかし、3Pのチェックが甘いから決められてしまう・・・ではなくて、インサイドにドライブをされている事の方が問題に映りました。どっちかは止めないとね。

インサイドのカバーリングをしながら、3人目の動きに反応してアウトサイドにチェックに出れる能力。まぁアヌノビーですね。ラプターズはアヌノビーの異常な守備範囲が大事だった。あと動かないガソルのために周囲がカバーしてしまう役割分担みたいな。

ペイサーズは全員が動くからこそ穴が増えているし、「ここは諦めよう」というポイントが少なかった気がします。アヌノビーがいない件はルバートとウォーレンに期待しておこう。

〇テリー・ロジアー
19点
3P5/8

この試合で言えば、今シーズン絶好調のロジアーの3Pだけでも止めておくべきでした。19点のうち15点が3Pじゃないか。止めるべきポイントがどこなのかを定めて、ある程度の取捨選択をしないと、さすがに全部を止めに行くのはムリだぜ。

ということで「面白い試合だった」の中にあるホーネッツのやりたいことが出来てしまった問題。ペイサーズは「自分たちの戦術」を高めている段階なので、気にしていないとは思いますが、「相手に合わせる柔軟性」もどこかで加えていく必要がありそうです。

◎多彩だったホーネッツ

ボレゴになってからの継続案件ではありますが、ホーネッツは最後まで多彩でした。パスを散らしてくれるヘイワードによって、スムーズなパスワークが生まれるし、自分で行く回数を減らしたグラハムは10アシストでオフェンスを構築しました。

ラメロが4thオプションくらいになっているにもかかわらず、ワンパスの怖さに溢れていたので、誰がボールを持っても油断できないし、誰もがボールのないところで仕事をしないといけません。上手くシェアしているね。

なかなか見れないレベルでのバランスアタックが実現されており、特徴に乏しいからこその脅威があります。いろんなことをしているから、オフェンスを読まれるシーンが少なかったのでした。ラメロが5ターンオーバーしなければ・・・。

ちょっと上手く行き過ぎていて、ここから何を伸ばすのかわからなかったりもします。足りないことを補おうにも、個人が伸びるしかないよなぁ。

ハンドラーを集めて失敗するチームが多い中で成立させてしまっているホーネッツ。多彩なアタックを実現し、このまま突き進むことが出来るのか。このパターンだと、どうなっていくのか本当に読めないので、定期的に観てみたいね。

ホーネッツvsペイサーズ” への4件のフィードバック

  1. 全員がハードワーク出来るからこそ空いちゃう穴もあるんですね
    ガソルがいたラプターズは絶妙なバランスに保っていたのでしょうか

    1. ターナーが空けられていたように、どこかは諦めた方が穴は空かないですよね。ペイサーズはどこも諦めず追いかけるので、サボニスやターナーがチェックに行けば、そりゃあ抜かれる。。。
      ラプターズはなんだかんだとガソルはカバーしてくれるので、全員がアグレッシブにチェックに行けました。異常に動く必要はありましたが。

  2. 本題からズレますが、各チームのACの特徴とか記事にしてもらえたら嬉しいです。戦術がヤバイレベルの今のNBAにおいて、ACの重要性が高まってる気がして。

    1. ACやスカウトなどフロントスタッフはとても重要になっていますね。
      Gリーグのコーチもディベロップメントでの重要性が高まっています。

      でも、さすがにそんなに詳しくないのと、言葉で表現するのは難しいです。

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