ロケッツvsウィザーズ

2021/1/26

ウォールがウィザーズと戦う初めての試合。ロケッツはウッドが休みでスターターにウォール、オラディポ、カズンズと並びます。3年前ならビッグ3のスーパー戦力ですが、今ではケガからのカムバックを試されるトリオになっています。

健康に困っているのはウィザーズ。八村もアブディヤもいません。スターターにはギル、ロビン、ボンガが並んでおり、全く違うチームの様相を呈して言います。途中からは補強したレンとベルも出てくるので、フロントラインは様変わり。

◎そのスイッチは?

ロケッツのホームなので、本当はウエストブルックの帰還ですが、無観客だし気持ちはウォールが主役です。そのウォールはカズンズのスクリーンを使って、積極的に得点を狙うスタートになります。

でも、これは不思議な状況でした。ウォールのマークはウエストブルック。ところが、スクリナーがくると簡単にスイッチします。これがスクリーンの「ス」の字もないくらい、ノンコンタクトなのにスイッチしてしまいます。

そもそもウォールに対してはプレッシャーをかけず、離しているのでスイッチすら不要なのに、ロケッツがスクリーンの「素振り」を見せただけでマーク交代。ただし、さすがにロビンとのスイッチを簡単にしたわけではなく、ギルとスイッチしまくります。なのでウォールvsギルが頻繁に発生。そのギルも離しているのでミドル連発のウォール。

殆ど守られていなかったようなウォール。狙いがよくわからなかったのです。ウィザーズは選手が少ないこともあって、早々にウエストブルック→ネトにすると、今度はネトがスイッチを躊躇います。ウエストブルックは簡単にスイッチしたのに、ネトは迷い、その結果フリーの選手が生まれる。相変わらず、戦略に欠けるチームだ。

しかし、そんなウィザーズディフェンスにロケッツは封じ込まれる1Qになりました。ウォールがベンチに下がると、何しているのかわからん。ロケッツの良い部分はフィジカルなウイングを増やしたハードワークにありますが、今日はウィザーズの方が強かった。特にベルはウィザーズにいなかったインサイドファイターなので役に立っている。

ジョーダン・ベルの場合は、これが続かないことが問題なんだけどね。

スイッチさせてギャップを作り、ドライブするけど抜ききれないし、ヘルプに捉まり続けたロケッツ。29-26とウィザーズが3点リードになりました。

◎相変わらずの

インサイドにフィジカルな選手を増やしたウィザーズは、ウエストブルックとビールに対してロビンがスクリーン&ダイブでゴール下を攻めるので良い感じ。ベルもエンドラインの合わせをしているし、ウィザーズのビッグマン達が出来ていないハードな部分で強みを見せました。

ギルもなかなか賢い動きをしているし、これは新生ウィザーズは良い方向に向かっていくのか!

・・・なんて思ったのは3分くらい。あっという間にビールとウエストブルックの個人技になってしまいます。言うまでもなくシュートが下手なウエストブルックなので、出口のパスコースが少ないチームオフェンスでは強引さしか出てきません。

特にロビンがベンチに下がると誰もスクリーンにこないので、コネコネしてプルアップ3Pを打つウエストブルックとか最悪。ボールウォッチャーだらけだし、相変わらず見どころが足りないチームだ。

そんなわけで2Q早々にロケッツが逆転します。こっちもゴードンの個人技に頼っていて苦しいのだけど、それ以上にウィザーズが決まらなかった。

お互いにメンバーが大きく入れ替わった2Q中盤からウィザーズはネトやジェローム・ロビンソンがPGになって、オフボールでビールが動いていく形になったので、3人ぐらいがプレーに絡むようになり、改善し始めます。同じことをウエストブルックでやらないのがブルックス・クオリティ。

しかし、このウィザーズオフェンスをロケッツのディフェンスが強烈に塞ぎに行きます。特にウォールは気合のディフェンスでビールを封じ込めたがっている。連携が悪くミスも多いウィザーズの事情もあって、スティールを連発するロケッツ。

〇前半のスティール
ウィザーズ 3
ロケッツ 8

今シーズンのウィザーズの良い部分はターンオーバーの少なさでしたが、ロケッツの良さはディフェンス。持ち味を発揮できたのはロケッツだったので、前半を56-52とリードしました。わかりやすい。

ただ、これだけ速攻が出やすい環境なのに4点差に留まっているように、ロケッツのオフェンスはそんなに機能していません。カズンズはほぼ3Pラインの外で待ちの姿勢なので、ウォールとオラディポがドライブで決めきる以外はゴール下を攻められませんでした。そんでオラディポはボール持ちすぎ。

◎ローペースだな

ウエストブルックに張り付くオラディポが1人で守り切ります。パスを出せばよい感じのウィザーズですが、出そうにも誰もヘルプに来ないから空く選手がいません。苦し紛れのパスになるウエストブルック。でもウォールも付き合うようにミスが出てイマイチな後半スタートです。

両者に共通するのはシュートが上手くないのでアウトサイドで離されること。それは楽にパスが出せる環境でもあるので、オフボールでシューターを空けるシステムがあれば機能するのですが、オラディポはそういうタイプじゃないし、ビールはフリーになれない。ネトとビールが同じ動きをするシーンもあるぜ。なんだこれ。

6分半で4-2と超ローペース。打開したのはカズンズのステップバック3P。これでロビンが引き出されているから、ゴードンはドライブレイアップ。

するとウィザーズも良くなってしまう。ビールのアリウープ、ビールのドライブ、ビールのファールドロー。全部ビールじゃねーか。

〇3Qのウィザーズ
ビール 10点 FG3/7
ほか  8点 FG4/13

いやー酷かったね。そういえば試合中に紹介されたのが、1Qに30点を奪ったのは9人しかいないらしく、そのうち2回達成したのはコービーだけとか。ビールに頼りっきりのウィザーズですが、1人で決めきるほど爆発はしていないビールってのもあります。まぁ30点は期待しすぎだけど。

〇3Qの3P
ロケッツ 1/8
ウィザーズ 0/7

しかし、ロケッツも19点どまり。カズンズ以降3Pが決まりませんでした。どちらもなかなか酷いオフェンスになりましたが、ベンチからゴードンが出てくるのでロケッツの方がちょっとだけタフショットに強かったのかな。

どっちもオフェンスがイマイチだった理由は最後に書きましょう。ポジティブにいえばウィザーズの割にはディフェンスで頑張れました。フロントラインの入れ替えは良いこともある印象です。

◎ウォールが決める

強引にこじ開けにいくけど、フリースローが決まらないウエストブルックとか、ドライブ&パスアウトでフリーを作れるのにパスがズレてしまうロケッツとか。それぞれ問題は残りつつも、チャンスを生み出す回数が3Qよりも増えてきます。Qの間に修正したのかな。

ロケッツはレンのディフェンスを狙いやすく、カズンズがそのまま行くことも出来るし、スイッチさせればブラウンがスピードでぶっちぎるし。なので常にリードを保つことが出来ています。選手が少ないので簡単にはレンを下げられないウィザーズ。

ウィザーズだって徹底してカズンズを狙えば面白いのですが、せっかくピック&ロールでカズンズを引き出しても、そこから先の形がなく躊躇う間に、マークマンが戻ってきてしまい、ウエストブルックもビールもターンオーバーに。

そんな中でウォールが強引に突っ込んでディフェンスを吹き飛ばしながら&ワンを決め、さらにポストアップで押し込んで残り6分90-79の11点差となります。オラディポも3Pで続いて一気に試合を決めに行ったロケッツ。

これに対してウエストブルックがウォールをアンクルブレイクしてレイアップに行くとファールドロー。ここでウォールとウエストブルックがトラッシュトークしてダブルテクニカル。そしてフリースローをミスするウエストブルック。ダメダメだな。

〇ウエストブルック
19点
11リバウンド
7アシスト
FG7/17
FT4/8

フリースロー外しすぎ。FGも決まらないし、放置されているような感じでした。が、本当の問題はこの展開になると一気にブーストする良さが消えていた事。力の抜けたクラッチタイムになるとシュートも決まる感じなのに、最後までエンジンを空ぶかししていました。

欠場も多いし、昨シーズンのケガをまだ引きずっているようにもみえます。1人でチームを勝たせる選手だったのに、こういう展開で限界突破してこないのは違和感ありあり。ハードディフェンスや理不尽速攻でチャンスを増やすのが特徴ですが、全然ハードじゃないんだよね。

ならばビールが行く。ってことでミドルを連続で沈めます。ゴール下まで押し込まず、ストップジャンパーで決めきったビール。しかし、それを3Pで返したウォール。オラディポもミドル。そしてカズンズはコーナーからの3Pで続き、試合終盤に「ビッグ3」が交代で決めていったロケッツが難なく逃げ切ったのでした。

◎オフェンスが悪かったこと

ウィザーズオフェンスの問題点は、単に個人技に頼っている事ではなく、パスアウト先がないこと。この点については選手不足で連携不足によって生み出された部分も大きいので、この試合に限った話ともいえます。ただ、ルールが足りていないのは事実。

また、すぐにビールに頼りすぎ。むしろビール以外でチームオフェンスを作っておいた方が、最後にビールに託しやすいのにね。ジャズやレイカーズを見た後でウィザーズを見ると、初めからエースに頼るのは信じられないよね。レブロンもミッチェルも得点していない試合こそが、チームとして良かった試合。

細かいポジショニングやオフボールでの仕掛け。チームとして形を作る気持ち。いろいろと足りないけど、燃え上がるようなウエストブルックの魔力も皆無ってのが気になったのでした。

ロケッツの悪かったところはオラディポとゴードンからパスが出てこない事。オフボールで動きを作るのがサイラスの良さですが、特にベンチユニットの時は意識的に動きているのに、ゴードンからパスが出てこない。代わりにゴードンにはドライブスペースが出来たので、大活躍ではありました。ゴードンに頼りすぎなのか、ゴードンが頼られようとし過ぎなのか。

ウォールがキープして、逆サイドでオラディポが動く形は良かったのですが、基本的にボールを持って1回止まりたいオラディポとの相性はイマイチでした。ここがビールなら(笑)

それでも本日はカズンズがメインセンターだったことで、ピック&ポップを使えて、パスアウト3Pとドライブのウォールはやりやすそうでもありました。この組み合わせが、もう少し機能するといいですね。まぁ欠場も多くて連携不足だし、じっくりと熟成してください。

サイラスのロケッツは、なかなか面白くなっていますが、今日の内容はその面白さが足りませんでした。オフボールでの崩しや全員アタックといった部分がウォールとオラディポが並んで霞んでしまったような。ケビン・ポーターも獲得してウイングを増やしているだけに、もうちょっとプレーシェアしたいですね。

ロケッツvsウィザーズ” への4件のフィードバック

  1. ウォールとオラディポはDFでは強烈なコンビですがオフェンスではやや噛み合わせが悪い感じですね
    両者が揃った初試合っていうのもありそうですが

    1. 時間は待ってあげないといけませんが、どっちも足を止めるシーンが多いので苦しかったですね。
      どちらもケガもあったので、今の環境で急ぐ必要がないのは好ましいと思います。

  2. ウィザーズはオフェンスもディフェンスも見ていて全く面白みを感じません。個人的にはHC含めたフロントに一番の原因を感じているのですが、管理人さんはこのチームの諸悪の根源はどこにあると思いますか?

    1. ウォール、ビール、オット・ポーター、ウーブレイなど、ドラフト戦略については、わりと結果を残しているチームです。
      しかし、その先の「チームつくり」は最悪ですね。
      どんなサポートキャストが必要か、どんな戦術が必要か、他のチームが何をしているのか、なんてことが把握できていません。
      普通は頻繁に方針転換して失敗するのですが、長期計画で失敗しているというレアケースでもあります。

      一番の問題は、ビール中心に構築しようとしても、リーグ中から信用されていないことです。
      その意味では解体してリビルドしない限り、信頼を取り戻すのも難しい気がしています。

      今は再建モードのチームが少ないので、決断する良い機会なんですけどね。
      ウエストブルックが勝たせてくれないなら、再建するしかないかな。

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