マブスvsナゲッツ

2021/1/25

ドンチッチとヨキッチ、MVP候補の直接対決です。「打倒レイカーズ」とウエストを定義するなら、伸びしろがたっぷりある上に個人としてもチームとしても対抗できそうなマブスとナゲッツに期待したくなるよね。

開幕当初の調整不足はなんのその。あっという間に吹き飛ばしてしまったドンチッチ&マブス。ポルジンギスも戻ってきて、順当に勝率を上げてきました。まだJリッチとフィニースミスは戻ってこないけど、その穴を感じさせない。

サンズとのオーバータイムの連戦を制し、遂に勝ち越し。上位チームは怖いであろうナゲッツは、変わらぬ強さを見せつつ、ディフェンスの弱さには困っています。マレーとヨキッチが「働きすぎ」なのは、良いのか悪いのか。

◎ドンチッチを止めろ

ドンチッチのマークはギャリー・ハリス。エースキラー役は見事にドンチッチを封じ込めます。ドライブを全く許さず、リターンパスは受け取れないくらいにプレッシャー。何もさせてもらえないドンチッチ。

しかし、そこは流石のドンチッチ。慌てることなくプレッシャーを受けるだけ受けておいてパスを回します。ハイプレッシャーって事は抜かれるリスクを周囲は気にするわけで、ドンチッチが自分で行かない事で、チームメイトが楽にプレーしています。

そして自分のシュートエリアでボールを持てれば、ハイプレッシャーを逆手に取るファールドロー。6分で2つ目をコールされるとベンチに下がるハリス。2つ目のファールは不必要だったけどね。

すると自由に振舞い始めたドンチッチ。それまで抑えられたこともあって、自分スタートの形を増やすと、ヘルプが来るのでパスアウト連発。マブスのオフェンスはポルジンギスが3Pを外さなければ良い感じでした。

序盤はハリスが抑えていたけど、そうするとハーダウェイ中心にドライブで攻め込み、途中からドンチッチスタートに変わるので、なかなか止められないよね。

◎ヨキッチとマレー

しかし、ナゲッツがオフェンスで上回ります。ドンチッチは凄くてもナゲッツにはヨキッチだけでなくマレーがいる。コンビで考えたらナゲッツの方が上回っているのです。

特に違いが生まれたのがポルジンギスがセンターになって、ヨキッチとマッチアップしてから。ユニコーンブロックに困るヨキッチなのですが、ピック&ロールでポルジンギスをおびき出してミドルを決めるマレー。ルーズなディフェンスをしてくるのを読んで、高いブロックをものともしないシューティングを使っていきます。

そうなるとコンビプレーも効いてくるよね。ナゲッツの方は3Pが5/8と決まったこともあって、38-31と1Qをリードします。シュートの差でしかありませんが、内容としてもナゲッツの方が良かった。ディフェンス力の差って感じです。Jリッチが戻ってくれば互角かな。

ガードを4人並べるようなラインナップを採用するしかなく、困りまくっていたナゲッツのセカンドユニットですが、サンズ戦で大活躍だったMPJが戻ってきており、3Pを連発すれば、ドライブからリバース&ワン。点差を二桁にします。

MPJ自身はナゲッツのコンビネーションオフェンスの外側にいるし、このチームでは珍しく「ドライブコースに他の選手がいる」ような事を引き起こします。MPJがいなければわかりにくいけど、選手のポジショニングが適正という証明を悪い意味でしてしまうMPJ。

しかし、やっぱりサイズがあるウイングは魅力的。単にシュートが上手いだけでなく、問答無用の高さでマークがいても打ち切れるし、オフェンスリバウンドも取ってくれる。

これでヘルプディフェンスでも働いてくれれば優れたウイングなのですが、ジェームス・ジョンソンの動きに騙されてついていけないし、ブロックに行ったらファールコールされています。

それでもオフボールでのカッティングもするMPJに、ヨキッチ&マレーの負担も軽減され、オフェンスで取り返せていくナゲッツ。3人目のスコアラーの復帰で強豪の匂いを取り戻し始めています。

◎代役

マブスはジェームス・ジョンソンに加えてイワンドゥを起用し、ディフェンスを強く打ち出します。イワンドゥはかなり効いていて、フィニースミスの穴を埋めようと奮闘。よく走るし、フィジカルコンタクトを嫌がらないから、インサイドが必要な時でも使いやすい。

ただ、どこからでも攻めてこれるナゲッツに苦戦しまくります。どうせ全てを止めるなんて無理なのだから、オフェンスで上回らないといけない。でもちょっと苦しい。

ブロンソンがファールドローや3Pで得点を繋いでくれてなんとか離されないものの、強烈に起点役になれるのがドンチッチだけなので、分が悪かった前半のマブス。

〇前半のドンチッチ
21点
7リバウンド
9アシスト

良くも悪くもドンチッチのスタッツでした。ドンチッチから行かないと苦しい。そこで何とかしたドンチッチではあるけどさ。とはいえ、ナゲッツもマレー&ヨキッチに依存しまくっている今シーズンなので同じですけどね。

前半は70-58でナゲッツリード。MPJが12点。この3人目の差が大きかったのでした。

◎金的パンチ

後半になって何故かナゲッツはスイッチを多用し、マークが空く選手を生んでしまいます。そこにドンチッチからパスが出てくるし、今度は決めるポルジンギスで7点差になってタイムアウト。するとディフェンスを変えてドンチッチにハリスがへばりつく。

しかし、今度はマブス側がディフェンスで連続24秒オーバーに追い込みます。オフボールで足が止まったナゲッツに対して、ローテしてシュートを打たせず、ヨキッチやマレーのアタックもコーリーステインが止めます。

その結果、この試合で始めてお互いが停滞する時間帯に。トランジションからハーダウェイのアリウープや、バートンの個人技が決まるので全く点が取れないわけではありませんが、どっちもチームで崩せない。

より深刻だったのはナゲッツ。ヨキッチにボールがはいると止まってしまい、全く展開できなくなります。ミスマッチを作ってVSドンチッチになったけど、守り切ったドンチッチってのもあってさ。

ならばマレー&ヨキッチだ!ってことで、ギブ&ゴーを仕掛けたマレーですが、ハーダウェイが体で止めると倒れこむマレー。ノーファールに怒りにマレーは立ち上がり際に金的パンチでフレグラント2。バカだ。退場です。

ここまでの内容は「ナゲッツの方が強い」と思わせるものでしたが、それはヨキッチだけでなくマレーもいるチームだから。1枚欠けたらマブスの方が上回るよね。

フレグラントのフリースローを決めたハーダウェイが、次のオフェンスでも3P。そしてディフェンスで守り切った後にドンチッチのワンパス速攻で同点になります・・・にしても、あっさりと追いつかれたね。ここまでのリードを一瞬で溶かしたマレーの金的パンチでした。

◎ゾーン

持ちすぎるヨキッチを狙うマブスディフェンスは、バークが後ろからスティールで速攻。そのバークとハーダウェイの3Pもあってリードを奪います。

マズいと思ったのかヨキッチはポストでの起点を辞め、3Pラインの外に出てハンドオフやスクリーンでのプレーメイクに切り替えます。これでオフェンスは少しマシになったような気はします。少なくともコートを広く使うパスワークが戻り始めました。

MPJをいれたナゲッツはゾーンに。そのMPJを狙うドンチッチはフローターを決めますが、パスアウトはカットされます。ど真ん中に侵入するスペースがあって使うのだけど、そこからサイドにはパスアウトしにくいっていう変なゾーン。

しかし、効いたのは一瞬だけ。コーナーからインサイドにカッティングしてくるジェームス・ジョンソンに崩され、ゾーンは終了です。3Qを36-22と大きく上回ったマブスが2点リードになったのでした。

◎上手くいかない

せっかく逆転したマブスですが、簡単に奪い返されます。ドンチッチのいない4Q序盤にオフェンスが全く形にならない。得意のスピードでかき回す作戦も、PJドジアーもケガで離脱しちゃったナゲッツが3ガード2ウイングの布陣なので、あまり意味を成しません。

ポルジンギスには頻繁に高さのミスマッチが生まれるのですが、オフボールスイッチを駆使するナゲッツがインサイドでは簡単にポジションを取らせないし、アウトサイドはポルジンギスが外してしまいます。

でもナゲッツも見事なボールムーブからMPJが決まらない。見事じゃないワンパスからなら決めるMPJ。これで残り7分半5点差になってドンチッチが戻ってきます。リードしておきたい時間だったけど、思った以上にオフェンスに困ってしまった。

ジェームス・ジョンソンが3Pで追い上げるも、ジャマイカルがドライブ&ワンで取り返し、ドンチッチよりも少し多めに休めたヨキッチも戻ってきます。でも、戻った途端にポストでボールを止めてしまい、ドンチッチに奪われるヨキッチ。それも連発。今日はこんなのばかり。お疲れだな。

そしてドンチッチのドライブと、またもコーナーからゴール下にカッティングしてきたジェームス・ジョンソンの合わせで追い付くマブス。今度はナゲッツがリードしておきたい時間帯に追いつかれてしまった。試合なんて思い通りにはいかないよね。

◎クラッチ

ディフェンスではポストアップするヨキッチを、オフェンスではMPJを狙っていくマブス。スイッチさせてvsMPJを制すドンチッチなのですが、MPJも3Pで取り返します。マークはドンチッチだったけど、走り勝った。

さらにドンチッチのドライブをハリスが止めるとパスアウトをMPJがスティール。やられるけど取り返せるのがMPJの良い部分。これで残り2分ナゲッツが5点リードに。

ドンチッチにスクリナーが来る前提で守るハリスに苦戦するドンチッチでしたが、ヨキッチがブリッツにきたら見逃さずポルジンギスにパスを通します。ファールドローで得点に。

しかし同じ形でポルジンギスにMPJがヘルプに来たら、ポルジンギスのパスアウトはヨキッチが触ってハリスがスティール。そのままボールを運んだハリスがヨキッチにボールを預けるとダブルチームに。ゴール下にはいったハリスにパスが出て、囲まれたところでコーナーのMPJへ。この試合30点目となる3Pを決めたMPJで試合が決まったのでした。

〇MPJ
30点
3P6/10
8リバウンド

いつのまにやら30点のMPJがマレー退場の穴を埋めてくれました。特に後半のナゲッツはヨキッチを起点としたオフェンスが大失敗だったので、コンビプレーと離れたところで得点してくれるMPJがありがたく感じた事でしょう。

マブスとしては4Qにはディフェンスをしっかりと締め、困らせまくっていただけに、マークしていても高さで打ち切ってしまうMPJにやられた感じもあります。

〇ポルジンギス
16点
3P1/8

逆に同じように決めて欲しいポルジンギスが決まらなかったことも大きかったです。ここってどう考えるんだろうね。ニックス時代から起点にされると困っていたしな。かといってムービングはしないから、マークを引きはがすのも一苦労。

ドンチッチとヨキッチ。今日はドンチッチの方が良かったよ。でも、だからこそナゲッツの方がチームでいろんな形で攻めるしかなかったね。ナゲッツが攻めきれたと考えるか、マブスが守り切れなかったと考えるか難しいけど、今日はMPJで上回ったということで。

これでナゲッツは10勝7敗。リーグ7位だってさ。混戦のシーズンだけに一気に上位陣になってしまいました。ディフェンスの不安は大きいけれど、さすがに強さを見せてきているのでした。

マブスvsナゲッツ” への2件のフィードバック

  1. コメントがないだと・・・
    ナゲッツの試合取り上げていただきありがとうございます。
    最初もたついててやっぱディフェンス崩壊したなぁ、ピストンズでエース?になってるグラントが恋しいなぁ、でMPJもすぐに離脱しちゃって早々にハイライトで済ませてたんですが、最近調子を上げてるようですね
    セカンドユニットが素晴らしいという記事が上がっており、コメ欄にはスタメンのマイナスをセカンドユニットがプラスに変えそのリードをまた3Qで溶かすとの辛辣なコメントがいくつかありました。
    需要はあまりないと思いますが、好調ナゲッツを支えるセカンドユニットなどの記事期待しております。
    (グラントがエースかぁ、ナゲッツじゃ無理だったのかなぁ。。。)

    1. そんなにセカンドユニットが良い印象はないですね・・・
      数字的には稼いでいるのは確かなのですが、エネルギッシュなカンパッソがムードを上げてくれているのかな。

      グラントの件は、そもそもエース的な選手を誰にも求めないオフェンスなので、ナゲッツでは難しいでしょうね。
      ピストンズはアイソしまくってますから。

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