キングスvsニックス

2021/1/22

キャブスに続いて好調のニックス。その理由は同じで「ディフェンスが良い」ってことです。特にニックスは失点がリーグで最も少なく、被FG%も1位だとか。ディフェンスをよくする方法は実にシンプルです。割と簡単に改善できます。

・トランジションディフェンス最優先
・ゴール下を優先的に固める
・ミスを減らしてカウンターを食らわない

まぁこれだけ。これだけすればレーティングは大きく下がります。でも、これをするとオフェンスでいろんな問題が起こるし、本当に止めたいプレーを狙って止めるのが難しくなります。ただニックスの場合はこれに加えて

・被3P%がリーグ1位

ってのがあります。ゴール下を固めるのはミッチェル・ロビンソンとランドルでわかりやすい。でも、そのうえで3Pも外させているのだから、そりゃあ良いディフェンスになるさ!ってことで、書きたいテーマになっているので、試合を観て何が起きているのかを確認してみましょう。

〇被3P%
ニックス 31.0%(1位)
キングス 39.9%(30位)

その対戦相手は3Pを決められまくっているキングス。つまりは対極にいるわけだ。ニックス並みに3Pを守れていればキングスの勝率も高くなっていただろうに。その差が強く感じられるなら、学ぶことも多そうです。

なお、キングスの3P成功率は9位、ニックスは24位です。攻守のバランスがわかりやすいですね。

◎想定と違う

ところが、試合開始からフォックスのプルアップ3P、キックアウトからバーンズのコーナー3P、トランジションでヒールドの3Pと、1Qで4本の3Pを決めたキングス。そしてフォックスがスピードで切り刻むので、ディフェンスの良さを発揮できないニックスとなります。

ただ、ヒールドのオフボールについては、しっかりとマークして離さず。キングスのスクリーンが悪いって話も大きいけどね・・・。その上でドライブの侵入にはミッチェル・ロビンソンがしっかりとフタをしました。もちろん、崩されることもあるけど、自分たちの良さを見失わないのは大切さ。

強くプレッシャーをかけているわけではないけど、フリーは作らないし、あとサイズのあるチームなので、打ちにくくしているのかな。

そしてオフェンスはいつも通りランドルのポストアップからゴリゴリ。ミスがあってもカウンターは食らわないミドルレンジの崩しです。また、ドライブからロビンソンの高さを使った合わせも出てくるので、しっかりとゴール下を攻めていきます。

序盤こそフォックスのスピードに苦労したものの、次第にハーフコートの展開を増やして試合を落ち着け、バレットもオフェンスリバウンドを押し込むなど反撃していきました。3P1/5だけど、26点まで伸ばしたよ。

固く固く試合を進めて、ロースコアにすればチャンスは生まれる。みんな献身的に走るし、スキを減らす戦い方で成功しているのかな。ハードワークしているからポジティブだよ。しかし、取り立てて書きたいオフェンスもなかった。ながら見だし。

1Q終盤から2Qにかけてセカンドユニットになると、ルーキーのクイックリーとトッピンも加わりますが、コレクティブに戦っています。ディフェンスが良いってのは試合全体を通して余計な失点が少ないのも大事。ニックスはスターターが長くプレーするので、あまり好意的にみれないのですが、このセカンドユニットは良い感じだよね。

特にクイックリーが慣れてきたことで、ノックスへのスムーズなパスアウトもあるし、トッピンがPFとしてオフボールでしっかり動いたうえで、オフェンスリバウンドも押し込みました。なんかいい感じの若手たち。注目されていた若手2人ほど消えているけどさ。

◎変化がつけられない

ハリバートン♪ハリバートン♪とは言うものの、キングスの放送は必ずハリバートンのハイライトから始まるから、ちょっと飽きてきました。ダグ・クリスティがハリバートンのユニフォーム貰っていたけど、ちょっと似ているのかな。

フォックスが下がってから、そのハリバートンがイマイチ目立たないので、キングスは機能しません。そもそもオフェンスはスペースを取ってアタックを繰り返す形なので、インサイドに待ち構えているニックスのワナに自分たちからハマっていくような。

スネークドリブルを使うことが多いフォックス。それが効果的かどうかは置いといて、「一直線にドライブしてこない」ことはディフェンスを惑わせます。でも、これを出来るのがフォックスとハリバートンだけなので、どうも変化が付きません。わかりやすく守れらてしまうキングス。

良い選手が多いキングスですが、気の利いた選手は少ないよね。もう少し逆を突くとか、ロビンソンを引き出すとか、工夫が足りない。ホルムズも良い選手ではあるけどプレーとしては幅が少ないので、ニックスはインサイドを固めやすくなってしまいました。

そんなわけで2Qはニックスペースで進みます。ニックスだって別に変化がついているわけじゃないけど、カウンター気味に走る形は出来るよね。あとはインサイドに突っ込んでファールドローしているニックス。

そんな残り3分で、またもハリバートンが狙いすましたパスカットで速攻を作れば、3Pでの打開も加えます。2QだけでFG5/6で11点と違いを作ったハリバートンでしたが、チームメイトがFG4/16と全く続くことが出来ず。他に決めてくれたのはバーンズくらい。

結局前半は54-49でニックスがリード。FG40%の戦いに持ち込まれたキングスが苦しいばかりでした。ニックスディフェンスは「気持ちよく打たせない」ことを徹底できており、明確に止めるシーンは少ないけど、ワイドオープンにもしませんでした。スティールはお互いに1つずつ。

なんともいえない展開ですが、それこそがニックスのペースなんでしょうね。

◎経験の差なのかなぁ?

ドライブ、キックアウト、3P、ドライブと中→外→中と続けていくキングスですが、ワイドオープンにはならないので歯切れも悪い。悪いならディフェンスなんか関係なく打ってしまうヒールドの出番かな。ってことで、ヒールドがディープ3Pも決めます。でもドライブからパスアウトするとパスが合わない。うーん。

それに対してニックスは中→中→中って感じで、ランドルの強さを使ってインサイドやミドルで対抗します。バレットもミドルレンジからの1on1で決めていく。

ところでランドルのマークはバグリー。ランドルのフィジカルが強いのは事実だけど、3年目だし、そろそろ対抗してもらえないとダメだよね。あまりにも簡単に押し込まれてしまうぞ。ルーキー時代から一本調子のオフェンスが評判でしたが、ディフェンスも手段が乏しくないかい?

若手と違いを見せたのはバーンズ。バレットとの1on1を止めて、そのまま自分でレイアップ。同じように自分で運んでディフェンスを寄せるとバグリーのダンクをアシストします。ハーフコートでもポストアップからファールドローして、キングスが逆転。バーンズは「多彩」ってわけじゃないけど、積み上げた経験の差を見せつけた感じです。

この辺りからニックスディフェンスはキングスのボールムーブに追いつかなくなります。遅れて追いかけるから逆にドライブされる繰り返し。なので一気にベンチメンバーと交代します。

が、今度はキングスのフェイクに振り回されます。幸いシュートミスしてくれるので点差には響かなかったものの、インサイドに固まってくるニックスディフェンスになれたキングスが、しっかりと周囲を見回せるようになったのかな。

3Q終わって76-72とキングスリードに。18点しか取れなかったニックスですが、そりゃあキングスだってインサイドを固めてくるよね。ディフェンスが良かったとは感じないのですが、ニックスの方が密集地帯に飛び込んでミスしていた印象です。でも、それがカウンターを食らいにくいオフェンスでもある。

◎差はあった

ジョセフとハリバートンが両ウイングに広くスペースを取って組み立てるオフェンスで、ワイドオープンの3Pが生まれていきます。肝心のヒールドがミスしているけどさ。さらにトランジションから連続パスでグレン・ロビンソンのコーナー3P。完全に崩されていくニックスディフェンス。

さらにニックスのオフェンスはインサイドにしつこく押し込んできたトッピンのターンシュートがヘルプのメトゥにブロックされます。プレシーズンくらいのトッピンはポストアップしたときに、周囲のカッティングを使ったり、逆サイドへのキックアウトもあったのだけど、今はランドルみたいになっているよ。ランドルの方がパスするかも。

なかなか内容ほど点差が開きませんが、それでも10点差になったのでタイムアウトのニックス。ランドルがヒールドを3Pラインの外まで追いかけまくるなど、ディフェンスに気合を入れ直します。でも、追いかけるからかフリーになるグレン・ロビンソン。でも、ワイドオープン3Pもダンクも外してくれた。

ニックスもノックスとバークスのコーナー3Pで対抗します。ここがフリーになるよねキングス。インサイドを固めるなら、そんなものかな。しかし、そのインサイドもランドルが次々と攻略していきます。弱すぎるぜバグリー。無力。キングスの3Pが外れている間に追い上げて残り5分で4点差。

なお、3Pが決まり続けるなんてことはあり得ないので、戦略としては悪くないです。能動的ではないけど、地道に繰り返していくことで、常に接戦にすれば、どこかで勝つチャンスは出てくるさ。

外し続けているキングスは「このオフェンスは大事だ」と構えても、どうしてもボールを回してどこかで個人技勝負にしかなりません。シンプルに片サイドでツーメンゲームすれば良さそうなのに、やれるとしてもアイソしかない。3Pが連続で外れていったことで、フォックスがドライブするも、そこは密集地帯だし。

しかし、バークスの3Pをハリバートンがブロック。ボールを取ったフォックスが自分で持ち込んでファールドローします。そしてランドルのマークに立ったバーンズは見事に外に押し出していき、ノーファールでプレッシャーをかけてタフショットにすると、自分はペイトンからファールドローします。残り3分6点差。

さらにバーンズがもう1つランドルを止めると、ハリバートンがプルアップ3Pを決めて9点差。勝負所でバーンズとハリバートンが攻守に躍動して勝ち切ったキングスでした。

というか本日は15点差くらいになっても良い内容でした。後半はワイドオープン3Pも多かったのに、イマイチ決めきれなかったキングス。それがニックスの良さなのか、キングスの弱さなのか。どっちの要因もあったので、なんともいえないのでした。

◎ディフェンスの良いバーンズ

26点のランドルは確かにパワーがあって押し込める上に、フィニッシュもうまいのですが、いくらなんでも弱すぎたバグリー。そこで最後にバーンズとマークを交代させたことで、見事なディフェンスでランドルを抑え込みました。バグリーが弱すぎたし、バーンズのディフェンスは良かった。

前半はミッチェル・ロビンソンへのアリウープなんかもあって、効果的にインサイドを攻めていたニックスでしたが、後半はほぼゴリ押し。それに抵抗できなかったキングスの問題もあるから、なんともね。

オフェンスが物足りないニックスですが、だからといって打開するためにトランジションを増やしたり、3Pを打っていくと、今度はディフェンスが不安なのかもしれません。いずれにしてもポジティブな面は「自分たちのやるべきことを徹底した」ということ。ネガティブなのは単調だったこと。どっちに天秤を傾けるかの戦いかな。

最後はバーンズとスイッチしたバグリーをバレットが攻め立てればよかったのですが、そういう雰囲気ではなかったね。バレットは21点とっているし、結果を残し始めているけど、どうも目立たないなぁ。観戦が足りていないだけですかね?

〇3P
キングス 12/34 35%
ニックス 5/22 23%

冒頭の注目ポイントは、キングスの確率は可もなく不可もなく。印象的にはもう少し決めるべきでしたが、ワイドオープンが生まれたのは4Qなので、外しまくったわけでもありません。

一方でニックスの方がダメダメでした。キングスの守れない問題は棚上げ。そもそも22本しか打っていないので、パスアウトが出てこなかった。ある意味、バグリーのおかげかも。ニックスはもっとテンポよくパスアウトしていたので、今日はどうしたんでしょうね。

後半のキングスは5スティール。これがニックスを困らせました。ハンドチェックに妨害されてパスが繋がらないし、しかも速攻を出されてしまった。

〇速攻
キングス 15
ニックス 0

0ってなんだよ。0って!
これでペイント内56点もとっているのだから、すごいのか、すごくないのか。

ということで、あまりにも典型的な「守れるんだけど収支が合わない守り方」になってしまったニックス。後半は点差以上に圧倒されてしまいました。さすがにここまで典型的なのは初めて見たので、これが全てではないものの、わかりやすかったのでした。

キングスは相変わらずでした。メトゥがそこそこ活躍しているのは驚いたくらいで、あとは「ボールを回すけど、コンビプレーはない」から、目新しさはなかったな。もう少し色んなことをする気持ちがないと苦しいのですが、バーンズ、フォックス、ハリバートンが何とかしちゃうことがも多いので、そういう気持ちになれない。

キングスvsニックス” への2件のフィードバック

  1. バグリーはあれで割りと良くなったんですよw
    ディフェンスは悪いなりに改善傾向なんですがオフェンスはなんら工夫が感じられないですね。崩しきる事が少ない。唯一タイリースだけがP&Rからのキックアウトでスリーを演出しますが何故かジョセフがハンドラーの時間多く頻度が上がらない。そこが一番の不満ですかね。

    1. さいごのバーンズをみてしまうとどうしても・・・
      バグリーの悪いところは「工夫が足りない」ことでした。
      能力高いし、スキルもあるけど・・・いや、あるからこそ、もっと工夫して伸びないと!って思っています。

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