シクサーズvsセルティックス

2021/1/20

選手が揃わずに試合が実行されたことにクレームしていたシクサーズ。でも、消化しておくことは大事だし、タイリース・マキシーが台頭してきたし。セス・カリーが離脱しているのでスターターになっています。毎シーズン期待の若手が登場するのはすごいけど、みんな2年目に続かないっていうシクサーズマジック。

セルツはケンバが戻ってきたけどテイタムがお休み。それが影響しているのかはわからないけど、タイスをベンチにしてグラントがスターターです。タイスとトリスタンのビッグマンコンビよりははるかに良い感じ。

◎テイタムがいないこと

トリスタンがエンビードを止めて、グラントがコーナー3Pを決めて、そしてケンバがプルアップ3Pで先に飛び出したのはセルツ。試合は始まったばかりですが、テイタムがいないことでボールが停滞することがなく、スクリナーをちゃんと使ってプレーメイクするケンバによって、チームオフェンスっぽくなっています。

でも、そのケンバからミスが出るとトランジションで簡単に逆転されます。これはトバイアスが決めまくったことで起きた現象ではあるものの、セルツらしくないトランジション連発されるのは、オフェンスの終わり方が個人技じゃないから、戻るのが遅れたのかもね。

ケンバと交代でプリチャードが登場すると、さっそくブラウンの個人技。これまでベンチメンバーが増えるとテイタムに任せることで打開してきたからか、ブラウンまでトップからのハンドラーになっています。強気に打っていき、成功→失敗→成功→失敗。個人技だし、こんなものでしょ。

しかし、ディフェンスで止められない。打たせることにしたエンビードの3Pが連続で決まり、そのうえでパスアウトしてダニー・グリーンの3Pまで食らってしまいます。

ブラウンはドライブねじ込みもあったけど、ベンチから出てきたティーグが中途半端なプレーでミス連発、プリチャードもターンオーバーからカウンターを食らってしまい、1Qはシクサーズが32-25とリードします。

ブラウンがトップに出てきて仕掛けるようになったこともあって、コーナーで効果的な3Pを打ったのがグラントのみでした。フロアを広く使えていなかった。狭い中では頑張ったオフェンスでしたが、ケンバが下がると苦しかったね。

ホーネッツで連続パスを生み出し、コーナーから3Pを打っているヘイワードと好調のロジアーを思い出さずにはいられないのでした。

◎エンビード仕様

ハワードがオフェンスリバウンドを押し込み、ミルトンがプルアップ3Pを決め、中外を使えているシクサーズ。さらにサイブルとシモンズが並ぶディフェンスも平面でも高さでもカバーが効いています。シモンズ中心にベンチメンバーを合わせたユニットですが、どちらかというとミルトンが主役になっています。

ところでハーデンのトレードでシモンズと交換ってのが実際のオファーとしてあったそうですが、シクサーズにとってベターな選択だったかは置いといて、ロケッツがやろうとしていることにシモンズは適任だった気がします。ハードなディフェンスと、中外両方で起点になり、オフボールにパスを出す形。本人はロケッツに行った方が能力発揮できた気が・・・。

どうもかみ合わせが上手くいかず、ケンバの3Pもあって11-1のランを食らったので逆転されるシクサーズ。なのでエンビードを戻します。ローポストにたつエンビードから始まるオフェンスは良い感じ。インサイドを攻めておいて、収縮したところでアウトサイドで次々にパスを回していきました。でもそれシモンズじゃなくて良いわけで・・・

さらにマキシーのドライブからインサイドに入ってきたエンビードに。エンビードが飛び込んでの合わせをしているのって昨シーズンまでだと珍しかったよね。ポストからの展開も増やしているし、リバース効果というか、イェーガー効果が出ているのかも。

そんなわけでシクサーズのオフェンスは、ビッグマンを中心としたグリズリーズの流れを感じさせるものに変わってきています。エンビードの強さをしっかりとベースラインで活用し、強引さよりもチームとしての狙いがわかる形。ペイント内ではエンビードにスクリーンをかけて、逆サイドのローポストでポジションが取りやすい工夫も。

開幕当初はここまで明確ではなかったので、試合をこなしていく中で形がハッキリしてきたのかも。トリスタンはエンビードを守っている事よりも、スクリナーが来ることを嫌がっている雰囲気で苦しそうにしています。

ただ、こんな時にディフェンスが上手い選手っているよね。エンビードをマークしているわけではないグラントが、スクリーンを見て先にエンビードに体を当てておき進路妨害するので、ポジションを簡単には取らせません。オフボールのペイント内で繰り返されるフィジカルな戦いにして、ポジショニングの戦い。

また過度にヘルプに行かないセルツと、パスアウトが上手くはないエンビードの関係もあって、シクサーズのオフェンスは形は出来ているけど、展開はされず、そもそもオフェンスが上手くいっていないセルツと共に、停滞していきました。フリースローくらいしか点が決まらない。

残り6分半から残り1秒にトバイアスがゴール下を決めるまでFGがなかったシクサーズ。フリースローで得点出来ていたので、そこまで問題はないのですが、セルツのファールが増えていた理由はプレーを読んでいることにもありました。ただ止めきれなかったからファールになっていた。

61-58とセルツが3点リード。シクサーズがやりたいことはエンビードの活用でした。それは形になってきたけど、さらに拡大していくには時間が足りていません。かといって戦力は充実しているので、多様性が不足していてもセルツが止めきれるわけでもない。そんな前半でした。

あと、スマートやグラントみたいな戦略的なディフェンダーがいると、こうしてオフボールでの工夫が出来るってのも示していたよ。ローポストに立たせない作戦がすごかった。

◎ケンバがいない

ケンバが出てこず、ティーグがスターターに加わる後半。そのためブラウンの突破が増えますが、ダニー&シモンズがやらせないのでシクサーズが逆転します。シモンズはティーグからスティールして速攻ダンク。ディフェンスからシクサーズのペースになっていきます。

ハーフコートになるとピック&ロールからエンビードvsティーグにしてポストアップさせるなど、狙いはしっかりしていますが、そこにダブルチームに来られたらダニーの3Pが外れるので、なかなか引き離すまでには至らず。

セルツは苦しいならスマートが行くよね。ピック&ロールからエンビードを引き出して振り回します。簡単には打たずに、しっかりと引き出すことを優先しておいてのミドル。そうするとシュートが外れてもゴール下でトリスタンがオフェンスリバウンドを拾ってくれます。なので、相手の弱みをつかって逆転。

ところがグラントが5つ目のファールでベンチへ。スモールになってオフェンスでは困らないけど、ディフェンスはエンビードに対抗できず、ゾーンも交えて踏ん張ろうとします。そしてここでもスマートがボールを入れさせないディフェンスでエンビードを消します。でも消したのにトリスタンがシモンズにオフェンスリバウンドをねじ込まれちゃってさ。

それでもセルツはエンビードを引き出して崩していくスマートと、3Pで打開して、ドライブも出始めたブラウンのコンビでアドバンテージをキープします。ケンバがコートサイドでチューブでの体幹やエアロバイクをしているのだけど、出てきてくれないなら、ここでリードしておかないと苦しいよね。

スマートがスティールから速攻。ブラウンがドライブからタイスのゴール下をアシスト。これで9点リードまで持って行きます。

しかしシクサーズもエンビードがポストアップから強引にねじ込んで&ワン。さらにトランジションでコルクマズがダンク&ワン。2つのプレーで3点差にするとケンバが登場します。パスミスでターンオーバーをするも、次のオフェンスはスピードでレイアップ。

それに対してシモンズが2オフェンス連続でオフェンスファール。これで5つ目。3Q終わってセルツが92-86と4点リードで終わりました。ケンバのプレータイムを制限するため、スマートのいない時間に限ってプレーさせて耐え抜いた感じのセルツでした。

◎真ん中にエンビード

セルツはケンバに託すしかない苦しいオフェンスですが、自分に2人のディフェンスを集めてはフリーにパスを出すケンバで耐え忍びます。また、この試合はずっとジャボンテ・グリーンがルーズボールやリバウンドに顔を出しまくって繋いでくれます。

しかしシクサーズはドライブからファールドローするミルトンと、トバイアスの突破からハワードの合わせを連発し、3分で同点に。ちょっと限界かなー、ってことでケンバ→スマート。スマートにオフェンスを託すのは厳しいけど、タフショットをねじ込んでなんとかかんとか。

そして残り7分エンビードもブラウンも戻ってきてお互いに主力中心に。でもシモンズとケンバはベンチに座っている。

タイスがディフェンスを踏ん張ってエンビードに決めさせません。身体を張るのだけど、簡単にはコンタクトしないのでトリスタンよりも上手く守れている。一方でトランジションに行ったスマートやブラウンにもミスが出て、ここでもお互いにランになりません。

残り6分でタイス→トリスタン。早速フェイダウェイを決めたエンビード。さらにトップからドライブして強引にファールを引き出します。トリスタンになった途端に決めたエンビードでシクサーズが1点リードになり、ケンバとシモンズも戻ってきます。

再びトリスタン相手にドライブを仕掛けたエンビード。ケンバがヘルプに来てターンを止めてくれたのですが、その後で手を出したトリスタンのファールに。このプレーでタイスと交代させるブラッド・スティーブンス。

ポジション争いでエンビードのオフェンスファールを狙いに行ったタイスのフロッピングはレフリーにばれてディフェンスファール。でも、さらにチャレンジしたセルツ。失敗。グラント不在でポジションを取られてしまい、残り3分半シクサーズが4点リードに。

5ファールなんだからグラントを戻せばいいのだけど、こういう時にはスモールラインナップを好むブラッド・スティーブンス。グリーンの出来が良かったこともあって交代させないぜ。

するとタイスはエンビードへのパスをスティール。そのまま走ってフリーになり、パスをもらってダンク。さらにローポストアタックもノーファールで止めきります。グラント不要で正しかったのか。タイスはさらにケンバのレイアップミスも押し込みます。でもブラウンのミスで追いつけないセルツ。

ここで突如、トバイアスのポストアップで押し込みます。エンビードサイドに警戒が集まり、しかも相手はグリーンなのだから正しい選択なんだけど、あまりにも唐突だったな。残り1分シクサーズが4点リード。

決めれば勝ちのシクサーズオフェンス。エンビードを狙うも、ここでもタイスがパスを入れさせず。困ったのでトバイアスアタックですが、それもタイスが止めたのでパスアウト・・・なんだけど、トバイアスに対してタイスのディフェンスがファールコールされます。トバイアス本人も予想外のコールっぽいのに、、、

〇エンビード
42点 FG12/19
FT17/21

42点のエンビード。その得点以上に良かったよ。多分、エンビードが活躍してこんなに否定的にならないのは初めて。エンビードのローポストアタックを中心にオフェンスを組み立てつつ、ちゃんとスペーシングも出来ていました。

まだまだポストからの展開力には課題がありますが、それには慣れも必要だよね。セスがいないことで、むやみに3Pを打たないこともエンビード中心に拍車をかけたのかもしれません。もう少し時間はかかるけど、進んでいる方向はここ2年に比べたら格段に良い。

ただし、そこにタイスは天敵みたいになっています。よく働いていたぜ。ディフェンスだけでなく、オフェンスでもFG10/11とエンビードがヘルプに出たところを使えていました。

負けたセルツですが「テイタムいないしね」となります。でもテイタムがいると、今度はタイスがここまで働くか疑問。いずれにしても、これまでセルツはシクサーズに対して

「エンビード?確かに怖いけど、アウトサイドで放置しておけば問題ないし、エンビードが決めるほどチームオフェンスにならないからOK」みたいな守り方をしていました。過度にヘルプに行かず、フィジカルを踏ん張っておけば、ミドルを打て外してくれていました。

ある意味、戦略の中心にエンビードはおらず、自分たちの都合を優先してスイープしたようなプレーオフでした。でも、この試合はそうもいかず、攻守にエンビードの攻略がキーポイントとなっていた印象です。そんな戦略的な面での変化があったように思えます。まぁケンバとテイタムで打ち勝てないからでもあるけどね。

ってことで、なかなか面白い試合でした。相変わらずセルツはスマートの巧みさが光っていますが、スマートだけでは解決できないようになるかもしれないシクサーズでした。

シクサーズvsセルティックス” への4件のフィードバック

  1. ・エンビードのミス待ち
    ・エンビードがFT20本貰える
    だったとしたら前者の方が再現性が高い訳で、やっぱりPOで先に4勝するのはBOSのように思えるのですがどうでしょうか?

    1. それはそうなのですが「ローポストにポジションを取らせ、適切にパスアウトする」ことをチームとして目指している雰囲気なので、この形が成熟するとミスが減りますし、フリースロー頼みからも脱却できます。

      その戦術面がプレーオフまでに整備できるかどうかの勝負になります。
      セルツとして「整備されないことを祈る」ってわけにもいかないので、まだまだ、これからって感じです。

  2. 記事読ませて頂きました。
    本日も同カードの対戦がありましたが、見られましたか?
    もし見られたのであれば簡単で良いので修正された点、変化など教えて頂きたいです。あとボストンにテイタムがいればどのような戦い方になるでしょうか。

    1. 観てないです。すいません。

      どっちにしてもセルツはテイタム任せが多かったので、ブラウンだけじゃ厳しそう、という感想です。

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