柔軟なローテーションって何だろう?

ブレイザーズの話

前回はカリーの大活躍を中心に書きましたが、そこにあった1つの要因はブレイザーズの疲労でした。この「疲労」はどこのチームにもありますし、言い訳にはなりません。

ただブレイザーズで気持ち悪いことは、リラード&マカラムよりも他のスターターの方が疲れていること。ディフェンスの負荷が大きい分だけ、より疲れているとも言えますが、今シーズンは層を厚くしたにもかかわらずスターターのプレータイムが長くなっています。

要因はいくつかあり、コビントン&デリック・ジョーンズのディフェンスを重視しているので2人には常にフルパワーで働くことを求めています。でもデリック・ジョーンズなんて、そもそも20分程度のプレータイムでNBAを生き残ってきたのに、35分を超えることもあるのは働かせすぎです。

この問題については「スタミナ不足」とぶった切ることも可能なので、深く掘り下げないで行きましょう。

◎基本コンセプト

しかし、やっぱりコビントン&デリック・ジョーンズへの過度な期待があるのには問題があります。「ディフェンスが良い」といっても相性とか、タイプの問題もあり、特にハーデンのマークをコビントンにするなど、相手エースがガードの時に苦しくなります。

デリック・ジョーンズはまだエースキラー役にもなれますが、ハイプレッシャーではなく、あくまでもウイングスパンと運動能力を生かしてクローズアウトしていくのが持ち味。コビントンはヘルプ担当に残しておきたい。そうすればヌルキッチにはカバー一辺倒ではなく、アグレッシブなディフェンスも求めることが出来ます。まぁ何故かお疲れなので、出来ていないのですが。

ガード相手にプレッシャーディフェンスをしたいならゲーリー・トレントが適役。ウォリアーズ戦でもカリーを困らせまくっていましたし、その分抜かれることもありますが、ここではヌルキッチがしっかりカバーしていました。スターターは追いかけているけど、そういう連携が足りておらずチームとしては形になっていない。

いずれにしても、昨シーズンの反省もあってか、テリー・ストッツはディフェンスを大切にしています。ただし、リラード&マカラムを抱えているので、全てが上手くいくはずもなく、コビントン&デリック・ジョーンズ&トレントをキラーディフェンダーにしたがっています。

オフェンシブなリラード、マカラム、カーメロ
ディフェンシブなコビントン、デリック・ジョーンズ、トレント
センターのヌルキッチ、カンター

この8人で攻守のバランスをとって戦いたいのが基本コンセプトっぽいです。もちろん、フッドやサイモンズなんかも登場するし、ザック・コリンズもケガさえなければ使っていたのですが、彼らは今のところ繋ぎの役割です。もっとジャイルズを起用しろ。

◎上手くいっていない事

基本コンセプトはよいのですが、結局はリラード&マカラムが主軸のため、そこに組み合わせるのがコビントン&デリック・ジョーンズになってしまう傾向が強くなっています。その結果が固定ユニットで長いプレータイムとなっているのです。

でも、相手とのかみ合わせで考えた時には、もっとカーメロを使ってウイングシューターを強化すべき時もあれば、トレントのハイプレッシャーディフェンスを使うべき時もあります。

あるいはプレーメイクに参加するヌルキッチよりも、ゴール下で奮闘するカンターの方が効果的な事もあります。個人的にはコビントンをセンターにしてカーメロと併用したスモールラインナップはもっと試すべきかとも思います。

ちなみに6試合101分プレーしているスターターのディフェンスレーティングは115と守れていません。次に多いのがコビントン→カーメロになったユニットですが9分だけなので参考にならず。

ディフェンスを機能させたいけど、スターター固定になりがちで、上手くいっていない

これが現状の課題です。だから柔軟なローテーションをとれるように工夫したいのが今回の説明です。ちなみにリラードは6試合通して3Qはフル出場です。それはそれで固定化しすぎている気もします。試合展開は関係ない感じの起用法。

◎ローテ変更

リラードかマカラムのどちらかはコートに立つ
片方が休んでいる時はトレントを起用したい

典型的なのがエース2人を交代で休ませる形です。これ自体に問題はありません。マカラムは2Qと4Qに少し休みますが、きわどい時は休ませなくても、なんとか行けます。

レイカーズもこれに近い形ですね。ただし、レブロンとADのポジションが違う事もあり、周囲の選手のローテはかなり変わっています。ブレイザーズの場合は、同じガードかつ守れないってことで、一定の交代策で済む良さがあるけど、ウイングで形を変えていくのは難しい。

問題があるのは便利なトレント。これがサイモンズならば何の問題もないのですが、トレントは代役ガードだけでなく、ディフェンダーとしてもクラッチシューターとしても使えるので、試合終盤に起用したいことがあります。っていうか、毎試合起用したいくらいです。

加えてデリック・ジョーンズにファールトラブルがあったら、それもトレントで塞ぎに行く必要があり、ある程度はフレッシュな状態でゲームクローズに向かう必要があります。でも、このローテだとそうもいきません。

これは仮に2分ずつで区切っており、実際の試合は、こんな単純ではありませんが、トレントを引っ張ろうとすると3Q中盤から試合終了まで出ずっぱりになる可能性があります。

これをやっていたのが、クリッパーズのルー&ハレルでした。さすがにレナードとポール・ジョージが加入したら、引っ張り続ける必要性は薄まりましたが、1年前のロケッツ戦では、ベンチスタートなのにルーが41分、ハレルが38分出場し、2人合わせてFG10/34でした。

トレントだけでなく、シュート力の低いデリック・ジョーンズではなくカーメロを起用したい展開もあるでしょう。でも同じく3Q中盤から出てくるので、コートに残る時間が長くなります。

トレントとカーメロを柔軟に起用したい

今のブレイザーズに必要なのはここだと思います。これが出来るとスモールラインナップにも移行できる。それにはコビントンのスタミナも大事ですが、コビントンはマカラムとペアみたいになっているので、上の図と同じです。

もう少し柔軟なローテにするパターンだと、リラード&マカラムに2回休みを取らせる形があります。バックスがヤニス+ベンチにするので、このパターンですが、レブロンも2回休みますね。今は試合を通した総合力で戦う時代なので、ユニット構成を考えて、各チームがローテを工夫し、多様性も作っています。

セルツもテイタム&ブラウンの個人技アタックを中心にしている試合だと、細かい交代策を使います。マッチアップ調整が好きなHCなので、柔軟性をもって試合を展開したいわけです。

ブレイザーズの現状はセンターの方が問題が大きそうなので、なんともいえないのですが、ファールトラブルも多いし、今のローテだとどうしてもスターターユニットが長くなってしまう気がします。何試合か経過したら、形を変えてくるかもしれません。

◎ほんとはね

でも、本当はバランスを考えると、相手がスターターの時はリラード&マカラムのコンビよりも、リラード&トレントで立ち向かった方が良いと思うのです。加えてデリック・ジョーンズをベンチにしてカーメロをスターターにしましょう。

そうすればガードとウイングそれぞれにディフェンス担当とオフェンス担当がいる形に。相手がクリッパーズの時だけ今のスターターに戻せばいいじゃん。

シックスマンでマカラムが登場すれば、相手のセカンドユニットはボッコボコに出来そうだし、各ポジションでファールトラブルがあっても、デリック・ジョーンズで塞ぐことが出来そう。こっちの方が柔軟だ。

でも、そうはいかないよね。いかないよ。マカラムだもん。

柔軟なローテーションって何だろう?” への1件のフィードバック

  1. まずは、全員が万全の状態になってから考えなければならないでしょうね。キープレーヤーのトレントはふくらはぎの故障で2試合欠場、1試合は僅か6分しかプレーしておらず、半分はお休みです。フッドにも同じことが言え、欠場とプレータイム制限があります。コリンズは再手術で今シーズンはもう駄目でしょうし、契約延長もしなかったのでこのまま居なくなる可能性の方が高いですね。健康なセンター陣は問題なので、ジャイルズのPTを増やすことは今すぐにでも出来る方法です。
    セカンドユニットは現状、リラードor CJ、トレント、フッド、カーメロ、カンターであり、ディフェンスはトレント頼みになっています。欠場するともうどうしようもありませんので、ディフェンスはザルです。カーメロをスターターにして、ジョーンズをベンチ、覇気のないヌルキッチとディフェンスの出来ないカンターのPTを20分程度にして、ジャイルズをもっと起用するのもありだと思います。
    でも、今シーズンのベストゲームはジョーンズがレブロンをコビントンがADを1対1である程度抑えたLAL戦なんですよね。相手とポジションが合っているというもの大きかったような気がします。PGにコビントンを付けるとかあり得ないでしょう。
    兎に角、まずは健康になってから、色々試して、ベストのローテを見つけていくしかないですね。トレントとフッドが欠場するとサイモンズが出てきてボロボロになるので、そこだけでも解消すれば大分違うでしょう。

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