62点のカリー

vsブレイザーズ

カリーがキャリアハイの62点を奪った試合です。それを知ってから見るのと、知らずに見るのとではイメージが大きく変わってくるよね。

カリーは個人で何とかしてくれるタイプの選手ではありません。かつてクレイ・トンプソンが11ドリブルで50点(だったっけ?)取ったこともありましたが、タフでも決めてしまうシュート力を除けば、基本的にはチームメイトとの関係性でチャンスを生み出します。

その意味では、酷かったウォリアーズに改善の兆しがあったのか。それともカリーの独壇場だったのか。そんな点も気になるところです。「62点ということはチームとしても改善しているのだろう」と想像しながら試合を見ることになるのでした。

◎ドレイモンド・グリーン

ウォリアーズにはドレイモンドが戻ってきました。いわゆるポイント系ビッグマンのドレイモンドですが、年々PGしかやりたがらない傾向が強くなっています。ディアンジェロとの相性の悪さはそんな部分にもありました。

それはスプラッシュブラザーズに適した選手です。「スプラッシュありきの選手」だと思っていますが、戻ってきてくれたことでカリーにも恩恵がありそうです。

試合開始から目立つのが「ウィギンズ、てめーの動きは違うんだよ」とドレイモンドが修正する事。

トップでドレイモンドがボールを持った時にウイングで止まっているウィギンズに激しい指示を出し、スクリナー→ポストアップと連続して動くことを求めます。つまり、これまではチームの約束事をせずに、ボーっと突っ立っていたわけだ。なんでそれをスティーブ・カーは修正しなかったんだ?

ただし、ドレイモンドがボールを持たない時はウィギンズがハンドラーになります。そんな時にドレイモンドが同じことをしているかというと、していないよ。

そう。いずれにしても、この2人のどちらかがトップでボールを持つことが増えました。カリーはシューター役に徹することが出来ています。ってのはわかりやすいですが、もう1つの問題も解決しそうになっています。

ハイポストやトップでうろちょろするワイズマンがジャマ

ドレイモンドはウィギンズにクレームしていましたが、実際にビビっていたのはワイズマンかも。それは冗談ですが、これまで「動き回るカリーなのでトップが空く」から、そこにいられたワイズマンがインサイドに陣取ることが増え、オフェンスリバウンドの押し込みもありました。

ってことで、ポジションバランスが大きく改善したようなウォリアーズ。そんな中でワイズマンとのハンドオフからディープ2Pがカリーの初得点でした。

◎ベンチとカリー

しかし、カリーの得点は個人技で伸びていきます。スイッチさせた後でコビントンとのアイソでアンクルブレイク気味にドライブしたりさ。特にベンチメンバーが増えてきてもカリーがコートに残ったので、好き勝手にやりそうになります。

でも、そしたらトレントが登場しハードディフェンスで困らせます。超困っていたカリーなのですが、どうやらトレントがカリー担当とは決まっていないようで、頻繁に違うマークマンになっては得点を重ねていきます。

酷かったのはコビントンとカンターが2人でマークして、スピードで抜かれたシーン。チームとしてのピックアップが悪いブレイザーズ。そんなシーンを作るためにトランジションを増やしたのがウォリアーズスタイル。

そんなわけで1Qのウォリアーズはチームとしての改善がみられましたが、カリーが点を取りまくったのはベンチメンバーが増えてから、連携というよりは個人技で、超シュート力を使ったものが多かったです。

それは苦しい中で、火力の落ちるベンチメンバーをカリーに引っ張らせたいようにも見えました。代わりにランニングゲームを仕掛けられる選手構成にして、アンストラクチャーにしたいのでしょう。そしてカリーが点を取りまくったのに反して、チームとしては反撃を食らっていた時間でもありました。

カリーのシュートが外れていたら恐ろしい結果になりそうだ。

◎懐かしの

2Qになってリードを失います。でも、不思議なことにドレイモンドもワイズマンも起用せず、ウィギンズとパスカルを中心にしたオフェンスでした。特にパスカルは良い意味で生き生きとしており、自分が自由に攻めて良い形が好きそうです。ビラノバの時はそんな感じじゃなかったけどな。

そして、この時間帯はPGワナメイカーなので、普通のオフェンスをしています。スターターとは大きく違うよね。5分経過してワイズマンが登場すると、やっぱりトップから3P打ちました。やっぱりドレイモンドがトップにいるのがネックだったんだろうな。

カリーが戻ってきたのは残り6分。ウィギンズ以外はスターターユニットです。ワイズマンを操ってダンクを生み出す見事なアシストを通したカリー。ゴール下に飛び込むワイズマン。なお、その後ワイズマンはファールトラブルでベンチへ。

カリーもドレイモンドのパスからバックドアカット。ルーニーのポストアップの間にオフボールで動いて3P。ウォリアーズっぽいプレーが出てきます。さらにルーニーのスクリーンを使ってドライブレイアップ。

カリー、弟(ダミアン・リー)、ルーニー、ドレイモンドにウーブレイというユニットは、カリーが使うためのスペースを広く作り、スクリーンも用意され、パサーもいるため、テンポの良いオフェンスになっていきました。ウーブレイ以外は慣れている選手だったので、元に戻ったとも言えます。

ただし、ブレイザーズもトレントにカリー番をさせると止まり始めます。さすがに今度はマークは徹底してトレント。簡単にはスイッチしません。しつこいトレントに守られているので、抜いてもコースが限定されており、ヌルキッチにブロックされます。

このまま前半が終わるのかと思ったら、残り50秒のオフェンスで、またも何故かマカラムがカリーのマークに。3Pファールドローされます。うーん、ブレイザーズのディフェンスはゾーンだったのかな。何でトレントに守らせなかったんだろうか。

〇前半のカリー
31点 FG10/18

いつの間に30点も奪ったっけ?
そんな印象ですが、FG%は高いものの、カリーが前半だけで18本も打っていることも珍しい気がします。

スターターユニットでは、ウォリアーズらしさがみられたことで、チームオフェンスの中で打つことが出来、ベンチユニットの時はガンガン個人で打ちに行ったことで生まれたFGアテンプトだったのかもしれません。

◎走り勝つ

後半もドレイモンドにボールを持たせ、ワイズマンにはゴール下にダイブさせる形が目立ちます。それよりブレイザーズの方が、リラード&マカラムのドライブ時に誰もインサイドに合わせてこないのが気になるぜ。かつてのアミヌの仕事だ。シュート落としていたけど。

カリーのマークはデリック・ジョーンズ。チェイスしまくるのですが、疲弊しているようにも見えます。35分出す選手ではないと思うし、シュートを落とさせる能力は高いけど、チェイス向きかどうかはわからないな。

コビントンが速攻なのにダブルドリブルし、その次のディフェンスでカリーのドリブルをスティールする独り相撲をしています。この当たりから、ブレイザーズ全体の運動量が落ちていきます。ヌルキッチは歩きまくってゴール下に顔を出さないし、ワイズマンにワンステップで抜かれるし。デリック・ジョーンズはチェイスに疲れたのか、カリーがボールを離すと無警戒になってオフェンスリバウンドとられるし。

唯一走っていたマカラムも、苛立ったのか、ワンパスで走ってきたワイズマンに肘打ちタックルでフレグラント1.しかも4ファール。

ウーブレイがカリーとのハンドオフをフェイクでドライブダンク。さらにコーナーから3Pで20点差になります。リードを広げていく間にカリーは貢献しまくってはいるものの、ほぼほぼ囮。62点を見に来ている試合だけど、実際にはカリー以外でリードをもたらしていった感じです。

ウォリアーズファンにとってはカリーの大爆発以上に、チームオフェンスが機能しているのが楽しかった試合になった気がします。そこにカリーが花を添えた感じ。長い間見慣れたウォリアーズらしさが戻ってきて、次々にパスが繋がり、ガンガン走っていきました。

ブレイザーズファンにとっては、カリーにやられた以上に、動きの悪さが気になった試合になった気がします。とにかく動けていなかった試合。特にこの3Qは酷い。トランジションに人数が足りず、リバウンドに飛んでいる選手の数が明らかに少ない。

過密日程のシーズンでリラード&マカラムだけでなく、デリック・ジョーンズやコビントンも長時間のプレータイムかつエースをチェイスさせているのでダメージが溜まっていそう。そういう点も含めて層の厚いチームになったのが良い部分だったのに、実際にはスターター依存だもんね。ゾーンを使っていたのもそういう理由なのかも。

ところが3Qだけでみるとウォリアーズのリードは1点のみ。疲れていないブレイザーズのベンチメンバーがはいってきたら、追い上げられてしまいました。最後にタフなリラードがブザービーターを決めて14点差で終わった3Q。

ここまでカリーは45点。チームの半分近くをカリーがとっているけど、むしろチーム全体の好調さが際立ってきたのでした。でも、やっぱりベンチメンバーは弱い。

こちらも元気なパスカル。この試合16分で10点を奪いましたが、解説に「カンターが相手だからな」と言われています。勝てるマッチアップで勝負し、リードをキープする4Q序盤のウォリアーズ。

でも、そのカンターはオフェンスで取り返します。リラードもマカラムもコートにいるのですが、カンターの押し込みで何とかなっているなら、休ませればいいのにね。サイモンズ、カーメロと並べてディフェンス無視の布陣でしたが、カリーが戻ってきた残り7分で12点差と詰められませんでした。

戻ってきたカリーはリーのパスミスを拾って、タフな3Pをヒット。それをリラードがディープ3Pで返します。連発して9点差に。楽勝ムードだったのに、あれれれれれ。

ウィギンズがドライブをねじ込むも、マカラムのパスアウトからカーメロが3P。一歩も引かないオフェンス勝負が続く中で、キーになっているのがカンターの存在。

それまでリラード&マカラムがドライブしても誰も合わせなかったインサイドに必ず顔を出すカンター。その存在がウォリアーズのディフェンスを乱しており、インサイドでカンターが踏ん張ると、今度はアウトサイドが空くようになっていました。

一方でトレントに張り付かれているカリーがドライブすると、カンターからファールドローするか、こないならイージーなフローター。目立たないけど得点を積み上げていくカリー。3P連発ではなく、ファールドローが多い。

そのカリーは、今度はドライブからキックアウトを選択してウィギンズの3P。なんかウィギンズまでノせられたのかな。しかしマカラムに返されて残り2分半9点差。

ここで遂にリラードも疲れたのか、ハンドリングミス。その前のプレーで左手を叩かれて痛めていたのでミスしたのかも。試合自体はこのプレー以降は時間がなくて急ぐブレイザーズでしたが、トランジションに戻れていなかったり、プレッシャーかけてファールしたりで、終わった形です。

そんな中でカリーは残り1分半で56点。チームは13点差で勝っているので、タフでも3P打って連続で決めて62点に到達したのでした。

〇カリー
62点
FG18/31
3P8/16
FT18/19

フリースローが多かったですね。いつもの3Pファールドローよりもドライブしてのファールドローが目立ちました。狙い通りではあるけど、足が動いていないブレイザーズの事情も大きかったような試合でしたとさ。

◎ローテ

まとめは・・・いいかな。書いてきた通り、ウォリアーズの方はチームとしての改善があり、ブレイザーズの方はお疲れでした。お疲れだからと言って、62点の価値は落ちないけどね。

さて、この試合の両者で対照的だったのは
・ユニット構成として工夫したウォリアーズ
・連戦の疲労が溜まっていたブレイザーズ
という構図でした。

ウォリアーズは苦しい戦いが続く中で、スターターユニット以外のローテが

カリーを中心に走れる構成
パスカルやウィギンズを中心にオーソドックスな戦い方

こんな感じにベンチユニットはコントラストがハッキリしていました。そしてスターターは慣れたメンバーを長めに組み合わせることで、かつてのオフェンスが戻ってきた感じです。パサーとしてドレイモンドが戻ってきたのが、スターターの復活に繋がりました。

カリーのハイスコアは、オフボールからシュートを打てるスターターユニットと、自分で何とかするベンチユニットの両方で得点できたからだと思います。それは62点とはいわないけど、今後も続けられるかもね。

一方でスターターを長く使う形を好んできたブレイザーズは成績が伴っていません。「何かを試して」というよりは「堅実なローテ」を使って上手くいっていないのは問題です。

この試合だけでもガードエースをマークさせるなら、絶対にトレントです。デリック・ジョーンズにその役割をずっとやらせるのは苦しく、ましてやコビントンは使い方が違うんだ。

バブルでは「試合が終わったら、燃え尽きて死ぬんじゃないか」というくらい働いていたヌルキッチはハッスルしておらず。カンターを起用したのはいいけど、長く引っ張りすぎたしさ。

ってことで、試合によってもう少し柔軟なローテをしないと苦しそうです。柔軟なローテになる前提でゲームプランを立てないといけません。難しいんだけどね。過密日程だから、こういう事態は十分にあり得たので、工夫しないとダメだよ。

連戦で1試合目を取ったチームが、2試合目で負けるのは、ありがちなパターン。大勝したバックスが、翌日にヒートに競り負けたのを見ても、例年と違う難しさもあります。前戦を観ていないけど、ウォリアーズの方が変えてきやすかったのかもしれません。

ってことで、ウォリアーズがこのまま改善していけるのかどうか。きっかけになってもおかしくない試合で、カリーの62点が生まれたのでした。

62点のカリー” への3件のフィードバック

  1. ここまでウォリアーズの試合は全部見てます。
    負け試合はとにかく序盤からスリーを決められまくって落ち着いて攻めることが出来ずに勝負が決してしまうことが多かっただけに、ディフェンスから入る大事さが身にしみてました。
    今日はハンドチェックも良く手が出ていてたと思いますがディフェンスの印象はどうでしたか?
    それでもけっこう点はとられているのであまり手放しでは喜べず、レインブラザーズよりもカンターに中を荒らされたのが気になりました。
    今日のカリーのパフォーマンスを基準に考えられないのでやはりウィギンスとウーブレイの確率は上がってきて欲しく、ドレイモンドにフリーでボールが戻ってくるセットまで復活させてバリエーション見せて欲しいです

  2. あけおめ&コトヨロ☆です

    ブレイザーズはヌルキッチが元気無いだけであんなにチーム全体がもっさりしてしまうのが気になりますよね。ヌルキッチに全任せだとまた怪我しそー

    ウォリアーズはやっとドレイが入って「ウォリアーズっぽいオフェンス回数」が増えましたね。ただ、ドレイがいないだけでアイソだらけになってしまうのはねぇ…フロント陣、準備不足すぎないかい

    パスカル&ウィギンスは見ててなんか色々しんどいっす。選手がってのもだし、うまく活躍させれないフロント陣ってのもだし まぁ分かってた事なんで仕方ないですね…

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