バックスが変わった試合

VSヒート 2020/12/29

開幕から1週間ですが、もう4試合目のバックス。過密日程はわかっていたものの、毎日NBA楽天を開くと、1日の試合数が多く「あれっひょっとして1日1試合観ているだけでは、例年のペースで全チームを見るのは難しいのか」ということに今更気が付きました。3~4試合から選んでいたはずが、毎日8試合くらいあるじゃん。

ここまでイマイチな内容のバックスですが、「もうちょっと確認しよう」なんて呑気な姿勢ではマズい気がします。でも本日はプレーオフで負けたヒートが相手なので、この試合までは確認し、内容をまとめましょう。

まとめるっていうか、みんな理解している内容なんだよね。・・・と事前に考えていたら、全く違うチームになっていました。開幕して1週間なのに!!

ヒートはバトラーが離脱。で、そこにはセカンドユニットにもはいっていなかったハークレスがそのまま納まります。万能ディフェンダーなのでディフェンス面は問題ない。苦しいのはオフェンスなので、ドラギッチとヒーローが仕事をしないといけません。プレーメイクできるのかヒーロー?

◎別チーム!

そのハークレスへのパスをヤニスが連続でスティール。さらにホリデーがヒーローのドリブルを奪って開始2分で3スティール。そしてカウンター発動で10-0です。苦しいと判断したか、レナード→ドラギッチでPG投入するもブルックにドライブを決められタイムアウトのスポルストラ

ダンカンに打たせるプレーコールは成功したものの、その後もバックスの勢いは衰えず。ディヴィチェンゾがドライブで崩し、ブルックは中でも外でもシュートを打ち、そしてウイングからヤニスがドライブ。

うん、変だよね。どうしたんだバックス。

ヤニスとミドルトンがトップ近辺から個人技で仕掛けるパターンが出てきません。その形を繰り返してボールを止め、パスがつながらず、アタックは阻まれる。そんなことばかりしていたのに、相手がヒートになったからか、1勝2敗という苦しさからか、プレーが全く違います。

ヒートはこのオフェンスに対して全く対応できず。ヤニスがボールを持った瞬間に少し収縮するのだけど、ヤニスはボールを持つ時間が極めて短くパスアウトしてしまうので、後手後手になってしまいました。なお、6分が経過し、ヤニスがじっくり構えてから自分でアタックしたらアデバヨに止められていた。

それでもヤニスから簡単にミドルドンにパスアウトで3P。トランジションでホリデーがキャッチ&3P、そしてトランジションでヤニスがダンク。ゴリゴリの個人アタックを極端に減らしてきたバックスは9分で40点に到達します。

これまでの試合は一体何だったのか。見事にチームで崩していくし、ディフェンスも思い出したように粘り強くインサイドを固めています。

ちょっと皮肉だったのはバックスの固いカバーに困ったヒートのオフェンスが、ワンスクリーンからハンドラー3Pばかりになったこと。ほぼヒーローだけど、オリニクも同じようなことしていたし、ドラギッチもシンプルにミドル。

バックスがハンドラープレーばかりで停滞していたのに、自分たちはハンドラープレーを止められないっていうね。

圧倒した1Qのバックスですが、ディフェンスはこのプルアップ3Pにやられてしまい26点まで伸ばされました。しかし、自分たちは46点も奪い取り、20点リードです。

強いバックスが帰ってきた!

そんな1Qになりました。こうしてチームは大きく変わっていくから怖いよね。まだ4試合目なのに1試合目と全然違うじゃん。ヒートのディフェンスなのか、自分たちの反省なのかでいえば、どうみても後者でした。1人がボールを持つ時間が短くなったバックス。

ヤニスが5点1アシストで、今シーズン最高のQだったということです。

◎離れすぎた

2Q開始からディヴィチェンゾが突然のプルアップ3P。タナシスがタフ3P、そしてカナートンもチェックされながら3P。

ヒートからすると運が悪いとしか言いようがないくらい3Pが決まるバックス。試合開始直後は「チームでボールを回しているから」と言えたけど、形が作れなくても決められてしまっています。

言い換えればバックスのオフェンスは形がなくても調子よく3Pを打っているという事。決まっているから、テンポがいい感じです。でも、テンポが良くなくても「自分たちの形」だから信じて打っているようなのがヒート。バックスがインサイドを固めているのだから、自分たちは3P打つよ。

普通なら、それでよいのですが30点離れてしまったので、バックスがひたすらインサイドを固めていれば勝てそう。ヒートはナンやブラッドリーが決まらず、バックスはヤニスのキックアウトからフォーブスが3P。その後もヤニスのアタックは潰しに行くヒートですが、キックアウトされると間に合わないの繰り返し。

2Q中盤くらいから試合が落ち着き始めます。要するにバックスのラッシュが止まり始めました。意図的にスローダウンさせた部分があると思いますが、全体の運動量が減り、ヤニスやミドルトンのアタックが増え始めたので、ヒートは守りやすくなってきました。

しかし、ヒートのオフェンスも決まらない。スクリーンでディフェンスを剥がしてミドル、という流れは同じですが、ヒーローくらいしか決まらないんだよね。バトラー不在が響いています。

ヒーローは前半だけでチーム51点のうち20点を奪いました。高確率で決めたので、そのプレーは悪くなかったけど、チームとしては苦しいシーンばかりでした。なおレナードとハークレスは試合開始直後に交代して以降は出番がなかった。

前半だけで83点を奪ったバックス。でもヤニスは7点のみで5アシスト。こっちの方が正解だといわんばかりの内容で圧倒しました。熱い戦いを期待していたのに、まさかの32点差です。ビックリ!

最後まで観る必要はないので3Qで終わりにします。そして、バックスのまとめをしておきましょう。

◎ヤニスで勝つ

KD&カイリーのネッツ、テイタム&ブラウンのセルツとエースの1on1中心のチームがありますが、レブロン&ADは似ているようで違いますね。1on1もするけど、基本的には「1on1なら行く」のであって、自分にディフェンスを集めたらパスを回し、そこからチームで華麗なボールムーブが始まります。

他のチームも同じですが、どんなに強い個人がいても、チームでボールを動かし、オフェンスを構築できるのかは最も基本的な部分です。それが出来ないと強さを感じずに、閉塞感のあるオフェンスになってしまいます。

しかし、チームオフェンスがちゃんと構築できると、最後に違いをもたらすのは「1on1の強さ」です。つまり、良いディフェンダーを抱えるチームはヘルプに行かずとも相手エースを「1on1で止める」ので、チームオフェンスに移行させません。それがプレーオフの戦い。

だから1on1に頼るのはダメだけど、1on1は重要なのです。

言葉で書くとこんな感じですが、実際にコートで起こっているのは、そんな簡単ではありません。特に「ヘルプ」の部分は、
全くヘルプに行かないのと
ヘルプに行ってしまうのと
「ヘルプに行ける体制を作ってある」
のとは大きく違います。チームディフェンスの考え方で違いが生まれてきます。相手エースのタイプによって使い分けられるチームがディフェンスの良いチームになってきます。

そしてバックス相手には、ディフェンス組織の良いチームほど「ヘルプに行ける体制」でヤニスをカバーしてきます。基本は1on1に見えるけど、ドライブした瞬間に複数で囲みます。ヒートはまさにそんなチームであるため、ヤニスがじっくりと1on1をしてきたら止められてしまいます。

これは開幕戦のセルツも同じでした。基本はトリスタンが1人で対応していますが、ドライブした瞬間にヘルプが来ます。そこでスマートとグラントがヤニスから4つのオフェンスファールを引き出しました。完敗だったヤニス。

だからヘルプに来る前にプルアップ3Pを打つのは効果的ではありました。まぁでも、そればっかりやるっていうのはチームとしてのパターン不足だし、「ヤニスの3Pで勝つ」っていう形を目指しているわけです。そんなの優勝できるわけないじゃん。

ホリデーやクレイグ、そしてフォーブスを補強したけど、結局はヤニスばかりが目立ち、ヤニス次第だったバックス。これは今シーズンもプレーオフは期待できないね。っていう内容でした。

そんなヤニスが困ると同じことをミドルトンがやります。確かに3Pで勝てそうなミドルトンですが、今度はドライブからの連携が消えてしまう。

◎変革の4戦目

そんな内容でウォリアーズには勝ったものの、ニックスに大敗したバックス。試合を観ていないので内容はわかりません。3P7/38と20%にも満たなかったので、パスは回したけど、単にシュートが決まらなかっただけにも見えます。

いずれにしても上手くいかないチーム状況から、この試合は明らかにオフェンスの考え方を変えてきました。相手がヒートなので、既にプレーオフでは止められていた「ヤニスの強引なアタック」をやらせないだけの理由もあったからかもしれません。何度かトップからのドライブもありましたが、セルツ戦と比べれば、内容は明確に違いました。ヤニスの違いについて触れていきましょう。

①スピンムーブがない

4つのチャージングを取られた得意のスピンムーブが消えました。つまりドライブは「正面を向いて突破出来る時のみ」になったわけです。プレーオフでヤニスを止めたクラウダーやバトラーはいませんでしたが、ヒートは同じようにヤニスを止めるシーンはありましたが、

スピンムーブになる = ディフェンスに止められ一回リングに背中を見せる

という状態を嫌い、そんな時はキックアウトパスをしていました。深みにはまるような強引なドライブをしなかったわけです。結果的にヤニスの得点は伸びませんでしたが、チームの得点は伸びているので良しとしましょう。ただし、じゃあドライブからのキックアウトパスが多かったかといえば、そんなわけでもありません。

②ボールを持つ時間が短い

むしろボールを持ってドライブする形から、すぐにパスアウトするほうが目立ちました。これだとディフェンスをひきつける前にパスしているように思えますが、前述の通りヒートディフェンスは、ヤニスがボールを持った瞬間に「ヘルプに行ける体制」を作ります。

ヘルプに行ける体制 → ヤニスのドライブにヘルプ → キックアウト

というのではなく

ヘルプに行ける体制 → パスアウト

と先にボールを振られるので、ヒートディフェンスはこれまで以上に足を動かす必要がありました。プレーオフでも「ヤニスがボールを持つ時間」は、ヒートディフェンスはじっくりと待てる時間だったのに、この試合に限っては次々に振り回されてしまい、3Pへのチェックが間に合わなくなっています。ワンパス3Pよりもチーム全体がボールを回せたのが印象的でした。

とはいえ、ヤニスがボールを持つなら、そこは大きく離して3P打たせればOKな部分です。大体はヤニスがそこで迷ってくれるわけで、反省したとはいえ、ヤニスの判断力が4試合目で急激に改善するわけではありません。ヤニスは改善したけど、劇的に良くなったわけではなく。

③エンドラインで待つ

一番の変化はバックスオフェンスがヤニスの絡ませ方を変えてきたことです。象徴的だったのはホリデーが、スクリーンに来たヤニスに対して拒否しエンドラインに向かわせ、ポーティスをスクリーンに呼んだシーンでした。

トップ近辺にヤニスがいると、それだけでディフェンスが収縮できてしまうので、ポジションバランスを変えたかったように見えました。しかも、バックスのスターターはブルックがストレッチ5なので、なおさらアウトサイドが狭くなります。

結果的にヤニスの3Pアテンプトは大きく減り、代わりにブルックが3/4と結果を出しました。後はホリデーが決めまくったのですが、それはいくらなんでも決まりすぎていたので、考えすぎないようにしましょう。

ホリデーのプレーメイク中心に変更

イメージはこれです。ヤニスとミドルトンよりもホリデーの方が中心に切り替わってきました。当たり前といえば当たり前なので、むしろ正しい形に戻ったのかもしれません。

この試合が大差になった要因の一つは、あまりにもバックスが違う形で来たのでヒートの準備が裏目に出た事です。ヤニスの止め方を準備していたら、ことごとく違うプレーを選択されてしまいました。さすがに次回はそんなことにならないでしょうし、バックスの3Pが決まりまくることもないでしょう。

本当は「チームメイトが活かされていない」ことも触れる予定でしたが、本日の内容だとチームメイトの意味が強まってきそうなので、それは将来に回しましょう。PGホリデー、ウイングにミドルトン、ビッグにヤニス。その方が上手くいくに決まっているよね。

ディヴィチェンゾ、カナートン、フォーブスには、もっと点を取らせるパターンを用意したほうがいいと思います。そのためにスクリナーを用意するのはバックス的ではない感じですが、ボールムーブがスムーズになってシュートチャンスを増やす方向には進めそうでした。

◎始まったばかりなんだなぁ

セルツが抱えていた問題は、簡単に解決する気がしませんでしたが、バックスの方は驚くほど早期に解決してしまいました。それは「ブルックやディヴィチェンゾの3Pをどうやって使っていくか」というチーム全体での活かし方に戻れば解決したからでもあります。ヤニスに打たせるよりも、この2人に打たせたいよね。

とはいえ、3試合観たから感想を書く、の3試合目が負けたセルツと、こんな内容になったバックスでは方向性は全く違うものになります。この試合の前は酷いくらいに叩きまくる前提でしたが、本当に驚くほどに解決してしまった。シュートが決まりまくったので参考程度の部分も大きいですが、否定する要素はないよね。

こんな変化をしてしまうのが「シーズンが始まったばかり」ってことなんでしょうね。セルツも突然なんらかの要因で解決してしまうのかもしれません。

一方でバックスには接戦になったときにどうなるのか、という疑問は付きまといます。ガマンしてボールムーブし、全員アタックが出来るのか。ブルックの3Pが決まらなくても打たせ続けることが出来るのか。ヤニスは自分で行きたがるのではないのか。

大差だったからディヴィチェンゾやカナートンもプルアップで打っていたけど、それは大差になってからじゃないのかなー。

これがシーズン終盤になって、決まらないシーンが続くと、プレーオフにヤニス頼みに戻る可能性も否定できません。それでも戦えてしまうから怖いんだよね。並みのチームだとヤニスの強引なアタックを止めらんない。

そんなわけでシーズンは長い。果たしてどんな形に変化していくのでしょうか。そんな変化を追いたいけど、過密日程だから観れる試合は少ないよ。

バックスが変わった試合” への2件のフィードバック

  1. 今日は序盤のパス回しでハークレスのところで3つターンオーバーして難しい3Pを決められまくった時点で駄目だと思いました
    さすがにNBAレコードだから50点差つかなかって良かったくらいしか言えないです
    スポも後半捨て試合にしてオクパラとABを試合慣れさせる為の練習場にしてましたしシルバも短い時間でいい活躍してました
    明日もバトラーいないだけに惨敗のMIAは2連敗もあり得ますがスタメンも含めてどう組み立てるかが見どころですかね

    1. ヒーローを伸ばそうとしている気がしますが、ちゃんと期待に応えちゃうヒーローでした。
      こんなに上手くいく理由がなんなのか。ほんに2年前はこんな感じじゃなかっただけに、気になるところです。

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