開幕戦レイカーズvsクリッパーズ

プレーオフで出来なかったLA対決

チャンピオンリング授与もあるLA対決の開幕戦。優勝したレイカーズは、オフの補強も充実。充実というか「適正よりも少しずつ安いサラリー」で選手を獲得しており、オフでも勝者となりました。一方のクリッパーズは「適正よりも高いサラリー」での契約が目立ち、両チームには大きな隔たりが出来てしまいました。

特にモンテロズ・ハレルはまさかのレイカーズへの移籍でした。ライバル対決としてリーグがフューチャーしたい対戦カードだけど、レイカーズの方がかなり優位な空気です。

果たしてレナードとポール・ジョージは、この空気を打ち破れるのか。ナゲッツ、マブスと続く開幕シリーズに気合が問われます。気合か、リーダーシップか。どっちにしても気持ちの問題。

◎ビッグマンのかみ合わせ

バトゥームがスターターになったクリッパーズ。サイズのあるラインナップでディフェンシブな戦略に適していそう。ただし、そのバトゥームはガソルを担当することになります。ビッグマンが多いのはレイカーズ。

レナードとポール・ジョージを中心にしながら、連携で崩していくクリッパーズ。良い感じにポジションバランスがとられ、チームで崩す気持ちが強そうです。イバカが3P担当なので、インサイドに大きなスペースを作れているのは、これまでのスターターでは出来なかった形です。序盤はプルアップのアテンプトがなく、殆どがキャッチ&シュートなので軽快なリズムが作られていきました。

初めてプルアップを打ったのはトランジションからイバカのスクリーンを利用してのポール・ジョージの3P。その次のオフェンスは同じ形からイバカに出してフローターが決まり、早々に11点リードにします。ちょっと難しめの角度でしたが、ここでもイバカのフローターという、これまでになかった武器でフロアを広く使えました。

イバカがレブロンのドライブを守り切ったこともあって、攻守にオールラウンダーを並べたラインナップの良さを享受しており、チーム全体のスピードで上回っています。そんなところでレイカーズはガソル→ハレルにして、スピード対抗に切り替えましたが、クリッパーズはイバカ→ズバッツ。同じ形で攻略し続けることは出来なからね。

このあたりからレイカーズの方が内容で上回りますが、ADのキャッチミスが出たり、ズバッツがハレル相手にオフェンスリバウンドを奪ったりで、クリッパーズの優勢は変わりません。ハレルに対してズバッツは効いているね。

交代策でクリッパーズが上回ったかと思ったのも束の間。レナード以外をベンチメンバーにしたことで特に関係ない感じに。そうなるとレイカーズの方がマシューズ、クズマによって優勢を保ちます。

・・・なんだけど、とにかくゴール下の攻防でハレルをフィジカルで押し込んでしまうクリッパーズ。昨シーズン、自分たちがADにやられたことをやり返しているのか、単に練習で理解しるズバッツが自信あるからなのか。

序盤にビッグマンに対してストレッチ作戦で優位に立ったクリッパーズ
中盤からビッグマンのインサイドで主導権を渡さなかったクリッパーズ

レナードがポロポロシュートを落としていたのだけど、十分にカバーして22点差まで広げてしまいました。プレーオフで問題だったハレルのディフェンスを逆に利用しまくったね。

流れを掴んだことと、逆にレイカーズが流れを失ってシュートが決まらないことで、終盤も一気にクリッパーズペースに。残り1分半でポール・ジョージとケナードのポジションが被った挙句、ポール・ジョージが誰もいないところにパスをだしたプレーで流れを切ってしまいましたが、20点リードで1Qが終わります。

ウォリアーズvsネッツよりも離れるとは思わなかったぜ。

◎立て直すということ

レイカーズは苦しかった1Qにカルーソは起用せず、2Qになると出してきます。ヴォーゲル特有の起用法。これでレブロンを中心にした効率性を使いますが、そのレブロンがゴール下を落とすし、キックアウトからカルーソの3Pも外れて、思うようにはいかず。

ハレルがドライブしてきたポール・ジョージを止め、カウンターアタックに行ったものの、これがミスになると倒れこんで戻れなかったポール・ジョージがドフリーになっていたので逆カウンターを食らってしまう始末

さらにレブロンがレナードをブロックしたのに、速攻をクズマがレイアップミス。フォローに来たレブロンのリバウンドファールになってしまいます。アンラッキーなのか、クリッパーズの勢いに押されているのか。

さて、レイカーズの問題はシュルーダー。ロンドみたいな活躍を期待されているけど、まだフィットしていません。苦しい時間帯を解決するのに新加入組には厳しいよね。だから2Qの慣れているメンバーで点差を縮めておきたいわけです。適切なポジショニングとパス回しでフリーを作っているのですが、とにかく3Pが決まらない。まぁよく見る光景だ。

レブロンのファールもあって、ヴォーゲルはレブロン→ホートン・タッカーを選択します。まさかのノー・レブロン、ノー・ADでレナードのいるクリッパーズに対抗しに行く作戦。短い時間でしたが、お互いにオフェンスファールでチャンスを潰し・・・もといレイカーズ的には慌てることなくディフェンスプレッシャーを強めて立て直しました。

点差は縮まっていないけど、クリッパーズの勢いもなくなったね。3P決まっていれば追いついていたけど、決まるも八卦、決まらぬも八卦。大事なのはディフェンスというレイカーズらしさ。

すると、またも「仕事人」KCPが空気を読まない3Pで11点差まで追い上げてクリッパーズがタイムアウト。うーん。ファイナルを思い出すね。

いずれにしても正しいチームオフェンスでリズムを整え、ディフェンスから相手の流れを止め、どこかで決まるであろう3Pを待っていた感じです。なんせ2Q残り6分でまだ41-30とロースコア。2Q前半が6-15だもん。ディフェンスで巻き返したチャンピオン。

こうなってくるとクリッパーズはレナードアタックが目立ちます。試合開始直後のような連携はなく、ハンドラーアタック中心に。ぎゃはは。苦しいぜーーー、って思っていると、こちらもルーがプルアップ3Pです。連携関係ない選手を武器にしておくことも大切だ。ルーはさらにドライブから&ワンも決めて、低調だったオフェンスを盛り返します。

しかし、レナードのアタックをガソルが止めると、カウンターでKCPがダンク。これで点差が8点と一けたになります。ディフェンスから徐々に追い上げていったレイカーズ。3P信仰のチームには信じられない形の追い上げ方だろうなぁ。しかもレブロンはこの波に乗っていないのに。

ADがポストアップからタフなフェイダウェイを連発したので、クリッパーズはダブルチームに。パスアウトでレブロンがドライブダンク。決まっていなかったレブロンが立て直されてきたレイカーズ。さらにトランジションからのレブロンドライブが(チャレンジによって)&ワンで残り53秒2点差に。

ということで1Qに見事に作戦勝ちしたクリッパーズでしたが、20点差に慌てることなく、ディフェンスから立て直し、全然決まらなかった3Pが決まるようになれば、全然決まらなかったレブロンのアタックも決まるように、自分たちのリズムを見事に取り戻したレイカーズでした。

一方で苦しくなるほどに個人技に頼り、そこが成功しても「立て直すにも、何を立て直すのか」に迷ってしまい、大量リードをふいにしてしまったクリッパーズでした。

◎ハンドラーアタック

ハーフタイムを挟んだクリッパーズは、再びイバカのストレッチを使って、インサイドにレナードとポール・ジョージが侵入し、見事な連携で崩していきます。チームで崩す気持ちはあるってことだ。ADにマークされたレナードがオフボールムーブからのキャッチ&3Pも決めて良い感じ。

ただ前半と違うのはレイカーズの方もオフェンスで対抗できている事。後半はオフェンスで決めあう形で始まります。お互いにそれは好きじゃないのだけど、オフェンス力が上回っている感じです。

そんな中、ガソルがオフェンスチャージで5つ目のファールに。ハレルが登場しますが、前半を考えると、これはクリッパーズに傾きそうな流れだ。ただ、今度はべバリーがシュルーダーに騙されて4つ目。傾かないな。

そのシュルーダーは前半よりも効果的なプレーと、献身的なディフェンスランニングで活躍し、チームオフェンスの中心になり始めます。またもレブロンがレイアップを外すシーンもある中で、ハンドラー役は完全にシュルーダーに。おそらく意図的にシュルーダーからのパターンを増やしているのでしょう。

ところが今度はルーが登場すると、連続でシュルーダーからファールを引き出します。ルーvsシュルーダーな感じになっていく3Q。

さきに力尽きたのはシュルーダー。そりゃそうだスターターだし。フローターがエアボールになると、キックアウトも触られる形が連発され、レイカーズオフェンスは苦しくなります。レナードのムダなファールでフリースロー貰っても1本外してしまったし。

ところが付き合うようにルーのレイアップが外れると、ケナードのフローターやパターソンのジャンプシュートはADの怖さに阻まれ、得点が伸びない3Q終盤になりました。

互角の展開だったのですが、残り2分で休んでいたポール・ジョージが登場すると、ドライブ&ワン、フェイダウェイ、3Pと立て続けに9点を奪い、その間にシュートを落としたレイカーズを置き去りにします。ドフリーの3Pを連続ミスのマシューズ。「ダニー・グリーンは良かった」と言われそうだ。

見事に突き放したポール・ジョージによってクリッパーズが11点リードで3Qが終わります。せっかく20点差を追いついたのに、一瞬の爆発についていけなかったレイカーズなのでした。

んー、あとクリッパーズは結局は個人技主体に戻っていたね。3Q4分くらいしか持たなかった連携なのか、イバカがいないと成立しない連携なのか。それでもレナード、ルー、ポール・ジョージと交代でアタックできるのだから。

◎流れを掴んだPG13

レブロンのポストアップから、クズマのミドル
ポール・ジョージはポストアップからターンショート
お互いの違いを示す感じのスタートになりましたが、レイカーズはレイカーズでレブロンが自分で行くとズバッツにブロックされてしまいます。オフが短すぎたせいにしておこう。パスアウトしたらモリスやカルーソが3Pで追い上げます。

2Q同様の展開でレイカーズディフェンスに苦しむクリッパーズですが、べバリーがタフ3Pを決め、ズバッツはゴール下で踏ん張り、簡単には縮めさせません。さらにポール・ジョージはステップバック3P。流れをもっていかせなかったクリッパーズ。

9点差でレブロンが下がるのですが、2Qと違ってクリッパーズがディフェンスプレッシャーを強めると、どんどん苦しくなるレイカーズ。しかもポール・ジョージは3P&ワン。これで残り6分40秒13点差と広げます。

スーパーだったポール・ジョージ。一旦、ベンチに下がりますが、レナードのショートレンジも続いたので、このまま終わりそうなくらいの雰囲気です。

ここからクリッパーズは3連発でオフェンスリバウンドを拾い、最後はレナードがフェイダウェイ。レイカーズからすると、せっかく3連発で止めたのにロングリバウンドをキープできず。悪い空気が流れていくのでした。

全てはポール・ジョージから掴んだ流れでした。押し切られそうだったのに、個人技連発で一気に二桁リードになったことでクリッパーズは落ち着きを取り戻したよね。

〇ポール・ジョージ
33点
FG13/18
3P5/8
6リバウンド
3アシスト

残り3分半。ヴォーゲルはレブロンに続いてADも下げます。共に足を痛そうにしているシーンもあったので、大事をとった感じ。ただし、それ以外の主力は起用しているので完全に諦めたわけではない。なお、同じく足を痛めたKCPも下がった。

◎おしまい

ウォリアーズとネッツが大差だった中で1Qから20点差。それを2Qだけで追い付くのだから、どうなる事かと思いましたが、良い試合になってリーグも一安心でしょう。

内容的にはレナードとレブロンがイマイチなので、開幕戦に調整不足な匂いがしました。とはいえ、他のチームはもっと内容が悪い気がするので、悲観することはありません。

クリッパーズはイバカによってストレッチする形が出来たのはポジティブ。そこをレナードが使うところまでは出来ていたので、時間と共に改善する気はします。ただし、イバカのことを完全に信用しちゃだめよ。多様性は忘れずに。

見方を変えると、チームオフェンスで崩すことを突き詰めるようなメンバー構成ではないともいえます。パサーとかオフボールムーバーとか足りないもんね。いかにしてエース達に得点を取らせ、プレーシェアさせるかが勝負。これは変わらないんだろうな。

逆にレイカーズはレブロンは起点役に過ぎず。周囲が効率よくボールムーブしていくのが一番強い時ですが、プレーオフになるとそうもいかないじゃん。そんな時にロンドが働いてくれたわけですが、開幕戦からそこまでの形は作れないって感じでした。シュルーダー自身は働いたので。

気になったのはクズマがオフボールで動いてシューターになっているんだけど、それがロング2Pになっていたこと。おそらくダニー・グリーンのシューティングはクズマの役割なんだろうけど、ここでスペースを作れないから、段々とクリッパーズの収縮したディフェンスに捉まってしまいました。

ポール・ジョージを止められなかったことでカウンターが出来ず、オフェンスもスペーシングが出来なかった後半。チャンピオンだって、まだまだ開幕戦って感じなのでした。

開幕戦レイカーズvsクリッパーズ” への2件のフィードバック

  1. ジョージの調子が戻ってきたようでよかったです。リムアタックできているときはシューティングのリズムもいいように思いますが、肩の調子がよさそうで安心しました。
    シュルーダーがスターターなのはDFから入るイメージがあるLALにはどうなのかなとは感じましたが、クラッチ時のレブロンとの共存を序盤のうちに試しておきたいのかなと思いました。
    レブロンもレナードもまだまだって感じではありましたが、面白い試合でした。もう1試合も色んな意味で面白かったですが…

  2. LACがパッシングゲームをしだしたのはケニー・アトキンソンがAC入りしたこととも関係してるかもしれないですね

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