セルティックスvsバックス

◎ツービッグ

驚くことにブラッド・スティーブンスはタイスとトリスタンを並べるスターターにしてきました。機能しそうにない組み合わせでしたが、相手がヤニスとブルックのコンビであることを考えるとバックス対策なのかもしれません。

ヤニスにトリスタンをつけることでインサイドを強く守ろうとしましたが、バックスは慌てることなく、ヤニスを起点としたパスアウトで綺麗に3Pを打っていきます。確率はそこそこ。トリスタンはドライブ優先で守っているので、プレッシャーを受けることはなく、楽にボールを持てるヤニスなのでした。なお、スイッチでブラウンになったらドリブルさせてもらえなかった。

一方でセルティックスオフェンスでは、なんとタイスがムービングからの3Pを決め、さらにコーナー3Pも続けたので、この2人が並んでいてもシステムはワンビッグの体制をキープ。意外にもオフェンスは問題がなく、ディフェンス面で予定外って感じでした。

しかし、もっと予定外だったのは、ロングリバウンドからのカウンターを3発も食らったこと。ディフェンスの良いセルティックスなのに、テイタムの3Pにチェックに行ったホリデーがそのままフリーランニングで、ワンパスレイアップになりました。問題だったのはツービッグではなく、ブラウンとテイタムにセーフティーを意識させられず、トランジションディフェンスの人数が足らないことでした。決してルーズなわけではありませんが、ガードならもっと戻らないとマズかった。

結局1Q半分で選手が大きく入れ替わりました。面白いことに両チームがベンチメンバーだらけに。早いな。

セルツのもう1人の補強であるティーグになるとオフェンスが落ち着きます。全員の意識が共有されてのシュートなので、カウンターも食らわない。ホークスやウルブズと比べて、ハーフコートを組み立てるのは合っているようです。落ち着いてブラウンやテイタムにボールを渡したら、ティーグ自身はシューターになればいい。

ティーグが2本の3Pを決めるも、カナートンも2本の3Pで対抗。それぞれのベンチメンバーが働いたことでオフェンスは止まらず34-31で1Qが終ります。とはいえ、一番大きかったのは選手交代からバックスの速攻がなくなったこと。ハーフコートのやりあいなので、ランニングゲームじゃないから、一般的なハイスコアにはなりませんでした。

ってことで、セルツとしては開始直後のラインナップの分として、僅かに3点だけ負けた1Qでした。互角なんだけどイメージは悪かった。

◎攻略しない

セルツは続いて八村&渡邊のトレーニング動画でおなじみのルーキー・プリチャードを起用してきます。PGは足りているけど、ハンドラー並べるの好きだよね。

バックスのセカンドユニットはヤニスの時間。これをロバートとグラントのウィリアムスが奮闘して止めるのですが、ヤニスの方もグラントを豪快にブロック。そしたらグラントは見事な3Pフェイクでヤニスを飛ばすと、ロバートへアリウープパス。

1つひとつのプレーはどうでもいいけど、この2人でヤニスに対抗できるのはセルツにとっては大切なことです。そしてヤニスがベンチに下がるとロバートもベンチへ。怖いヤニスに対して、徹底してゴール下を厚めにしているのでした。

しかし、ここからバックスはドライブが効果的に決まります。ヤニスになれていた相手に対して、次々にドライブを仕掛けると止めにくいんだろうな。5人が広がっているから自分のマークを抜ければフィニッシュはイージー。ディヴィチェンゾ、ミドルトン、ホリデーと決めて9点リードに。

ところが今度はミドルや3Pが決まらない。少し下がり気味にまもったセルツが成功して点差を縮められてしまいます。ヤニスがいてもいなくても同じかよ。
バックスのディフェンスは、そんなに決められまくったわけではないのですが、ファールが増えてしまいフリースローを与えたり、いつものようにインサイド守りまくって3P決められたり。同じような守り方のはずなのに、多彩に決めているのはセルツ。

ブラウンの3Pで逆転されると、次のオフェンスはホリデーが簡単にブラウンに抜かれ、ノーヘルプ。片方しか決まらないバックスに対し、ドライブも3Pも決まったので、じっくりと差がついていくイメージ。そしてザ・主役のブラウン→テイタム→ブラウンと2人のドライブ&パスアウトを繰り返す動きに翻弄され始めます。

さて、ここはバックスの課題ですね。「困ったときに、どんなプレーをするか」はブレッドソーが抱える最大の問題であり、他の選手も助けてあげられなかった問題。落ち着いて1つのオフェンスをやりたいのに、手段がないんだ。

この開幕戦はヤニスが無謀な特攻をしています。無謀でも時に決めてしまうからMVPなのですが、ホリデーとのツーメンゲームをしても簡単にダブルチームされてしまいました。【攻略】の概念が足りないバックス。

ってことで、前半は解決することなくセルツが64-59とリードして終わります。最後はティーグとブラウンのシンプルなピック&ポップでした。複数のオフェンスパターンがあるので、簡単に攻略されたバックス。
でも、自分たちはゴリ押しだし、それでも決まるしで、簡単な攻略パターンを持たないバックス。さてシーズン通してどうなるのかな。

◎強引なエース

ヤニスとミドルトンの3Pで逆転するバックス。またツービッグでインサイドを固めすぎて怪しくなっているセルツ。つまりはバックスからすると、前半にゴリ押しになった修正でもあります。あとスマートがヘルプに行きまくるのでアウトサイドが空いちゃうんだよね。ブロックやチャージドローしてるから、それ自体は成功しているけど、だとするとツービッグの意味が薄くなっています。

それでもオフェンスでは、トリスタンとタイスがインサイドでショートフックを決めて再逆転します。一方でヤニスはショートレンジが決まらない。というか、インサイドに人が多い。もっとキックアウト3Pにすればいいのに、あっという間に元に戻ってしまいました。強引さばかりが目立って、最後は再びスマートがチャージドローに成功。3Q開始5分で2つのチャージングがヤニスの現状を示しています。

ちなみに、前半同様にバックスにはロングリバウンドからワンパス速攻のチャンスが訪れるのですが、そのたびにホリデーがパスを躊躇います。躊躇った挙句にダブルドリブルしてるし。ホリデーが来てもブログドンが恋しくなるのか!?

完全に手詰まりになったバックス。じゃあどんなオフェンスにするのか?
またもヤニスが特攻。でもファール貰える。強引に勝利をもぎ取りに行くMVP。強引すぎる。そしたら久しぶりにヤニス専用ディフェンダーのオジェレイが出てきました。わかりやすい。

その間にセルツはテイタムが強引なフィニッシュを連発してリードを得ます。お互いにエースの強引さで勝負している。だから何とも言えない。何とも言えないけど、スペースをもらっているテイタムは「ヘルプが来ない中でのタフショット」で、ヤニスは「ヘルプにぶち当たりに行くドライブ」という強引さの違いがあるので、そりゃあテイタムが勝つわ。

ティーグが出てきてテイタムが下がると、そんな強引さもなくなり、ブラウンも無理ならパスアウト。なので点差は開くよね。ティーグの3Pが決まって10点差です。

どうする?
ブーデンフォルツァーをクビにする?

こんな時昨シーズンのバックスはどうしていたのかというと、ディフェンスでスティールを狙いながら、何とかシュートが外れるのを待ち、トランジションで得点するのが武器でした。でもセルツとかヒートが相手だと、なかなか速攻を出させてもらえないので、耐えなければいけません。耐えるためにも、ハーフコートになったら、じっくりとオフェンスを組み立てたいのだけど、組み立てられない。苦しい。

ホリデーが個人技でミドル。続いてティーグをブロックし、自ら運んで緩急を使いながらレイアップ。耐えようとしているぜホリデー。次はポーティスとのコンビからアリウープを狙ったけど、高すぎるパスに対してADでもザイオンでもヤニスでもないから失敗。

ホリデーの存在でちょっとは改善した雰囲気ですが、ブレッドソーもこれくらいの活躍はしてくれたよね。もっとホリデーを輝かせるプレーコールが欲しいなぁ。

そして3Q終盤に再び出てきたテイタムが、3P、ミドル、3Pでまとめて奪い、101-84と大量17点リードに変えて終わります。チーム力の差が出てしまった3Qは、最後にエースも差が出てしまいました。強引すぎるヤニス問題は時間が解決してくれるのか?

◎戦略は成功か?

ノッテいるテイタムが「オレが個人技で行くから」な空気を出すと、ハイポストでアイソになります。ヤニスもそうすればいいのに、ダブルチームを食らってから考えています。まぁテイタムもダブルチームが来てから考えるタイプなんだけどね。バックスはダブルチームに来ない。

バックスはダブルチームされるのも、ヘルプに来られるのも嫌なので個人技スタートの3P連発になります。それじゃあ追いつくわけ・・・ヤニス、ミドルトン、ミドルトンと決まって追い上げます。なんだそれ。

これが成功したからか、タイムアウトを挟んでヤニスがインサイドで連続得点。点差が7点まで縮まると、スマートからスティールしたホリデーでトランジションに最後はヤニスが・・・グラントにチャージングです。この試合4つ目のチャージング。

それでも強く守って対抗するバックス。トリスタンのフックにはブルックが触れ、そこからボールを運んだヤニスがプルアップ3Pをヒット。どうしたんだ。一気に返したぜ。よくわからんぞ。2点差!!

基本的にインサイドを厚くして、ヤニスに「シュートまでいかせない」セルツの戦略は成功しています。それに対してプルアップ3Pを決めたヤニスはほめましょう。これを決められると手も足も出ない。結局セルツは得したのか損したのか微妙だね。

これでセルツはトリスタンを下げてオジェレイを投入。マークは随時受け渡し、誰もが個人でヤニスに対抗できる形にしました。しかし、突如としてインサイドに参加したブルックがプットバックで同点に。マッチアップミスを意図的に使ったなら賢いけど、そうはみえないのもブルック。

17点もリードがあったのに、同点でクラッチタイムを迎えることになったセルツ。終盤に弱いセルツですが、4Qはテイタムよりもブラウン中心に過ごしてきたので、最後にテイタムが決めきるスタミナは残っている気もします。一方でヤニスは試合開始からフル回転。でもホリデーいるじゃん。

◎クラッチ

残り3分半。
先手はヤニスのローポストからターンシュート
テイタムもヤニスを前にフェイダウェイで同点
ヤニスは3Pをエアボール
スマートがホリデーにボールを奪われかけ、ショットクロックがない中で打ったテイタムもミス

残り2分
テイタムがオフボールでミドルトンにファールして、再びバックスが2点リード
ブラウンがヤニスとホリデーを交わしてダブルクラッチレイアップ
ヤニスはスピンムーブでタイスを吹っ飛ばすもレイアップをミス
テイタムがローポストで押し込んでフェイダウェイでリードにするも
ホリデーが3Pで逆転

残り1分
テイタムのドライブはブロックに来たヤニスを避けてミス
カウンターのディヴィチェンゾはティーグが止める

ティーグのファインディフェンスで生き残ったセルツ。そもそもホリデーが怖くてスマートのPGを辞め、ティーグvsディヴィチェンゾを選んだのですが、速攻まで止めてくれるなんて!

タイムアウトのセルツはテイタムとタイスのピック&ロールを選択。もちろんテイタムに2人いったのでフリーになったタイスが3Pを打つも決まらず。

バックスはなぜかミドルトンがミドル。外れてラストオフェンスは1点差でセルツに。うーん、なんでこのプレーを選んだんだろうか。

残り9秒スローインから
テイタムに持たせて、まさかのvsヤニスにします。明らかに苦しそうに打ったシュートは、リングに向かわず・・・・ボードの高い位置にあたって、まさかのバンクショット3Pだぜ!ウソだろ!

残り0.4秒
ヤニスのスローイン。ボールを出せず再度タイムアウト。
スロワーをホリデーに変更し、ヤニスのアリウープを狙うと、ジャンプしたヤニスに対してトリスタンがファール。難しいプレーでファールはファールなんだけど、そもそもパスがリングに当たっているんだよね。だからトリスタンはクレームしているけど、覆らずヤニスのフリースローに。

2本決めれば同点。が、2本目を外したヤニス。開幕はセルツの勝利となりました。

◎変わらんぜ

そんなわけでバックスに何も工夫が感じられない開幕戦でした。

ヤニスのプルアップ3Pについては昨シーズンから果敢にチャレンジしていました。それが決まると止めにくいには事実なので、継続して伸ばすことには何もクレームすることはありません。でも、「プルアップ3Pさえ決めれば勝てる」とでも思ってんのかブーデンフォルツァー?

本来、全く違う考え方の両チームですが、セルツがインサイドを固めることを徹底し、ヤニスの3Pを諦めたことで、なんとなく両者のディフェンスは似てきました。どっちも3Pよりもインサイド固めるのが大事。

そんな中で「ヤニスの3Pvs相手ビッグマンの3P」なんて対決で勝つことを考えているなら、甘ちゃんだよね。

一方でセルツは当然のようにバックスが固めてくるインサイドを避けました。大活躍のテイタムですが「シュートが決まっただけじゃね?」みたいな活躍だったのも事実。それは、そこで打っていれば最低でも1on1なので、勝てるだろうっていう算段ですね。

とはいえ、最後の3Pはビビった。弾道それまくっているのに、綺麗に決まったぜ。
そしてヤニスはフリースローにビビったぜ。

そんなわけで、この試合の感想として極めて恐ろしいのは

チーム戦術でセルツが勝つのは知っていたよ
でもエース対決でも勝ってしまったよ

これですね。バックスが勝てそうだったのに、テイタムが勝負を決めてしまいました。なお、途中で書いた通り、タフショットを多く打っていた一方で、プレーオフみたいに個人でのプレーメイクはしていなかったので、スタミナ的には楽だったと思うし、これが正しいテイタムの使い方です。

反省してきたブラッド・スティーブンス
反省していないブーデンフォルツァー

そんな印象も残ってしまいましたね。ヤニスの方が仕事量が多かったけど、ホリデーもいるわけだし、そういうチーム構成にするのがマズいよなー。変わらんぜバックス。ボグダノビッチの責任にはするなよ!!

セルティックスvsバックス” への3件のフィードバック

  1. 個人的にはヤニスの伸ばすところはスリーではないだろ… バンクやフック、ミドルシュートなど制限エリア外での攻撃手段を増やし、伸ばす方が先だろと思ってしまいます。ノビツキーではなくダンカンになろうよ。トリスタンでもフックはうてるよ….

  2. プレシーズンから思ってましたがMILってメンバー入れ替えしたのにヤニスのスキルが伸びるのを頼りにしてチーム戦術は全然変更してないんでメンバー入れ替えで連携が以前より悪くなった分弱くなってるんですかね
    新加入のホリデーも含めて核の3人はいつもどおりみたいですし
    それでもMILはチームとしては強いのでいつでも挽回できるでしょうしプレシーズンの延長とみなして他の新加入のメンバーを活かすプレイを試した方が良かったのではとは思います
    贔屓は最後の競合いで負けましたが新人を積極的に起用したりしてて納得行く敗戦だったので

  3. ヤニスはかつてのレブロンと被りますねやはり。
    身体能力を存分に活かしたドライブでRSは圧倒するけど、POで対策されて囲まれたらチームとして次の手がなければ勝てないという。
    レブロンの場合はボール保持時間が長いために他の手段が限られてたというのもありますけど、ヤニスとMILの場合はボールシェア出来るから色んな攻め方が出来そうなんですけどね。
    オンボールではかつてのレブロン+フィニッシャーとして今のADの両方が出来たらどこにでも勝てるのに。
    レブロンはMIAに移籍して強引なドライブの数が減った代わりにミスマッチ利用が増えたりジャンパーの精度が上がったりと、よりスマートな選択をするようになったので、ヤニスもその段階に移行すべき時期だと思うんですけどねえ。
    ヤニスが契約延長した・してくれそうな目星が立ったから緩んでるのかもしれませんけど、それでいいの?って感じです。
    まあオフシーズンが短かった上にヤニスは怪我明けなのであまり多くを求めるのはあれかもしれません。

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