ECSF④ヒートvsバックス

ヒート3-0バックスで迎えるゲーム4

負けたら終わりのゲーム4
最高勝率のバックスはヤニスというモンスターを中心にしたリーグ最強の効率性を誇る戦術がありながら、しなやかさを欠く弱点を大いに利用されて3連敗。ここから復活できるのかどうかは、契約延長を控えたヤニスの動向にも影響しそうです。

◎ヤニスのみのバックス

14点、FG6/8を1Qだけで奪ったヤニス。しかしチームは22点どまり。ヤニス以外のスターターは1/11で、3Pは0/8と戦術ヤニスの欠片もないスタートになります。

「選手の価値はプレーオフになったわかる」とはよくいったもので、あんなに強固だったバックスが追い込まれたらただのモンスターが暴れているだけのチームになっています。HCよりも選手の方が問題ある感じです。

ヤニスが個人で奮闘しまくるのは素晴らしいだけに、いや、素晴らしいほどに「負けたらチーム解体するしかない」とでも言わんばかりのチームメイトたち。ブーデンフォルツァーじゃなければ、こんなに勝てなかっただろうし、期待もされなかっただろうけど、どうしてこうなってしまうのか。

特にミドルトンは個人で仕掛けてばかり。このシリーズはそれで成功している面もありますが、ボールをもらう位置がトップに行けば行くほど、止められる匂いがしてきます。あくまでもセカンドエースな男であり、ファーストチョイスとしては弱すぎるぜ。

なお、ベンチメンバーの方がメンタルはよくて、NCAAを制しているディヴィチェンゾはスティールから速攻。ヒルもウイングからドライブを押し込んでいます。

一方のヒートは本日もバランスアタック。ヤニス以外のスターターが2点のチームとは違うんだよと言わんばかり。誰がどうやって得点するのか、わりとわかりやすいのですが、バックスデイフェンスはタジタジ。このシリーズで最も不思議なのはここかもしれません。

ゲーム1はヤニスがお疲れに見えましたが、その要素を含めてヒートのディフェンスはヤニスを止めに行きました。それはシーズン中もやっているので予想できた光景。ただオフェンスについては、明確な弱点を持つバックスだけど、言い換えれば「止めるところは絶対に止める」わけで、こんなにバランスアタックが成立するのは不思議。

そしてアデバヨが正確にショートレンジ決めていく。インサイドも抑えきれていないバックスディフェンス。いろいろと困っちゃうぜ。

まぁゲーム4なので、かなり「3連勝の余裕」がヒートをより強気にしてくれてもいます。追い込まれてプレーの正確性が落ちているバックスと、余裕のあるヒート。最大12点差まで行った1Qはヤニスに救われ、31-22で終わります。

◎スモール

この状況ではヤニスを長く起用するしかないブーデンフォルツァー。ところがゲーム3で痛めた足首を再び痛めてしまうヤニス。フリースローを打った後でロッカールームに戻ります。多分、絶望感のあるバックスファン。ここまでの流れだと「これで試合は決まった」と言いたくなる。

でも、いろんなことが起こるもので、ブルック中心になったバックスが、ポストアップの収縮から仕掛けるから、トップでボールを止めてから仕掛けるヤニスよりも、ちょっとだけ形が良くなります。それはオフェンスの成功というよりは、カウンターを食らわないようになること。

次にバトラーvsミドルトンの構図が増えると、シュートが決まらなかったバトラーと決まったミドルトンで互角です。「決まらないと決まる」で互角って変なんだけどさ。いずれにしても、ヒートの得点が落ち始めます。

そしてブルックがベンチに下がるとスモールラインナップになったバックスディフェンスを攻めあぐねるヒート。なお、その後ミドルトンもベンチに下がった。このシリーズ20点取っている3人が全員コートから出ていき、インサイドを固めて勝ってきたバックスが初めてスモールになった時間帯

これで何故か追いついた。内容はヒルの連続3Pですが、個人技の仕掛けばかりだったのが、2~3人が絡んでのシュートになりました。分断されていた連携が戻り始めたというか、「わかりやすい」ヤニスがいないからヒートディフェンスが迷って、「1人でやりすぎ」のミドルトンがいないからバックスオフェンスのバランスが改善された感じ。

残り1分からディヴィチェンゾのドライブ、ブレッドソーのドライブで逆転したバックス。ドラギッチの3Pファールドローで取り返したヒートで前半が終ります。

〇前半のバックス
ヤニス 19点
ミドルトン 6点
ベンチメンバー 17点

得点だけ見るとヤニス不在で追いつくのがわけわかりませんが、ベンチメンバーの方がバランスよかったのでした。それはヒートディフェンスが的を絞りにくくなったってことです。とはいえ、個人勝負なら勝てると踏んでいるスポルストラなので、予定外ではあったでしょう。

2Qのヒートは17点。こっちの方が問題でした。目立って外した選手はいないので、そういうこともあるさ。ヤニスやブルックがコートからいなくなると、ヘルプの逆を取るプレーが出来なくなって、迷っちゃった感じかな。

それが真実なら『強固だけど一辺倒なブーデンフォルツァー』は問題ってことにもなります。HCのクビが近づいた前半かもしれません。

◎モンスター・バム

ヤニスの代役はディヴィチェンゾ。オフェンスは凝り固まっていたポジショニングが少しだけ流動的になり、見事なカッティングで得点するディヴィチェンゾと「ヤニスがいるはずの」ハイポストからの1ON1で得点していくミドルトンで堅実な立ち上がり。

しかし、ディフェンスはアデバヨにタジタジ。ブルックにマークされていても正確なミドル。そして反応力の違いを見せつけるオフェンスリバウンドでセカンドチャンスを作り、これがクラウダ―の3Pへと変わります。

もともとシリーズを通じて、ヤニス以上の反応の速さをみせていたアデバヨ。まぁ仕事量がヤニスほどは多くないからね。バックスからすると「普通ならとれる」リバウンドが何故かとれなくなりました。それを反応の悪いブルックでは対応できるはずもなく。

ヒートが逆転した頃にアデバヨはベンチへ。そうするとオリニクになってインサイドにいないから更にスピード差が目立ち始めてしまいます。バックスもブルック→マービンでスモール対抗にします。ここがヤニスだったのがゲーム3までですが、ヘルプに行くヤニスで必ず誰かが空いていたんだよね。

オリニクのドライブやダンカンの3Pでヒートがリードしても、ボールムーブからコーナーのマシューズとミドルトンが3P。オフェンスリバウンドに参加したマシューズからカナートンのゴール下で互角に持っていくバックス。うーん、ヤニスがいなくなって、コートを広く使えるし、ポジションチェンジが増えたバックス。

そんなわけで踏ん張り続けたバックスですが、アデバヨが戻ってくるとブルックを戻し、またモンスターっぷりにやられます。信じられないようなプットバックに、スピードドライブでファールドロー。アデバヨが「スクリーンをもらって」抜けていくところでファールしちゃうブルック。

大いに困りまくったアデバヨ対応。本当はブルックじゃなくてスモールにするのが正しいのだけど、そういうのは慣れていないバックス。普段は自分たちがヤニスで得ているアドバンテージをアデバヨにやられまくった3Qでした。

それでもミドルトンが3P沈めて88-85とヒートのリードは3点のみ。なんと40-36とハイスコアになった3Qでした。アデバヨに対応できないから、打ち勝つしかなさそうなバックス。

ロビン、イリャソバ、ウィルソンとビッグマンを用意していた意味はなくなっています。本日、ロビンは登録外なのでそんなものかもしれませんが。

◎取り返すしかない

アデバヨいるけどマービンにマークさせてスモールのバックス。そのアデバヨからダンカンへのアシストで連続3Pになります。

うーん、バックスはラプターズ戦みていなんだろうか。モンスターアデバヨに対して、スモール対抗したラプターズは、アヌノビーがアデバヨにハイプレッシャーディフェンスで自由を奪い取りました。センターにハイプレッシャーが効くなんて珍しい案件ですが、スモールならそうしないと徐々に押し込まれるだけだよね。

結局ブルックを戻しちゃって、そこからは起点もアデバヨ、ルーズボールもアデバヨ、ヒートが8点リードします。オフェンスで対抗するしかないぜ。

ヒルが抜けていってのダンク、ブルックがコーナーから3P、そしてヒーローとのミスマッチになったのでアリウープ。見事にオフェンス対抗で接戦を続けます。ブルックはアデバヨをブロックも!

ダンカンとクラウダ―の3Pが外れてチャンスが来たバックスは、ブレッドソーがミドル。さらにブレッドソーのドライブからコーナーのブルックが3P。4点リードになります。

◎残り3分

はい。バトラー勝負です。ドライブフローターを決めて2点差。ドライブからアデバヨにわたしてフローターで同点。外さんぜアデバヨ!

バックスはミドルトンが決まらないものの、自分で行ったブルックがフローターでリード。その後のバトラーアタックはブレッドソーがファールで止めたけど、ノーコール。そのままボールがエンドラインを割ったので、残り2分切っているのでレビュー。でもチャレンジしないとファールにはならないので、バックスボールに。

バックスはミドルトンvsドラギッチにするけど、長々とドリブルしていった割にはパスアウトしてヒルの3Pがミス。よくわからんかったぞ。

ヒートはバトラーがミスするも、アデバヨがオフェンスリバウンド。そこからヒーローの3Pをアシストしたアデバヨ。残り1分でヒートが1点リードに。

バックスはミドルトンが行くけど決まらず。でも次のディフェンスでバトラーをタフショットにして、ラストオフェンスのチャンスを得ます。タイムアウトだ。

そういえばアフタータイムアウトのバックスってどうなのだろうか。良い印象がないぞ。成功法で失敗しそうなパターンが多い。読み合ったらスポルストラなわけだし。

コーバーをいれてコーナーに置き、ボールはディヴィチェンゾへ。これをバトラーがスティールしかけますが、戻したディヴィチェンゾはミドルトンへ。この時点でバトラーがマークできていないのですが、ボールをもらったミドルトンはゆっくりとやろうとして、逆にダブルチーム食らいます。再度のタイムアウト。なんだそれ。

ベンチのスターリン・ブラウンが激おこ。空いている選手に怒っている。

やり直しはミドルトンがクラウダ―に止められますが、パスを受けたディヴィチェンゾはバトラーをフェイクでかわしてドライブからファールドロー。強いなメンタル。ところがフリースローは1本ミス。同点どまりでした。

◎オーバータイム

バトラー&アデバヨからバトラーダンクで始まるオーバータイム。次のオフェンスはバトラーのシュートミスになるけど、アデバヨが4人に囲まれながらジャンプボールにしてしまいます。モンスターめ。ちなみに2つのディフェンスでブレッドソー→マシューズのブーデンフォルツァー。守り切れないと早々に判断しました。

バックスはミドルトンが単純なミドルで同点にはするも、オフェンスは形になっていません。なのでブレッドソーを戻す。あまり意味はなくて、やっぱりミドルトンの単純なミドル。良く決めたぜミドルトン。

さて、4Q終盤でオフェンスリバウンドに参加しなくて「アレっ?」というシーンもあったアデバヨですが、いよいよスタミナが切れてきました。歩き始めてしまったぞ。ヤニスがいなくて楽になったはずなのに、スモール対抗で逆にプレータイムは増えるし、走ることになったし。

これでヒートオフェンスが成功せず、時間だけが過ぎていきます。

残り1分。苦し紛れに打ったブルックのターンシュート。それも片足は3Pランを踏むほどのタフショットなんだけど、これにアデバヨがファールしてしまいます。無視してよかったのにチェックしてしまった。ヒートはチャレンジしますがコールは変わらず、残り45秒でバックスが4点リード。

ドラギッチの3Pが外れるも、ロングリバウンドになってクラウダ―が抑えます。やり直しのオフェンスはヒーローがタフ3Pをねじ込みます。

残り30秒で1点リードのバックス。決めれば勝ちの場面でボールを持ちすぎるミドルトンは、またもダブルチームを食らいますが、ここでプルアップ3Pをねじ込んでしまいました。

〇クリス・ミドルトン
36点 FG12/28
8アシスト

ヤニスがいなくなった試合で勝負を決めたミドルトン。ちょっと、まさかな展開を制してスイープとはさせませんでした。

なお、この後、ヒーローがまた3P決めた。オーバータイムになって止まったヒートオフェンスを救ったルーキー。試合ってのは何が起こるかわからない。これまでならバトラータイムで終わっていた試合だったのに、バトラーが決まらないとルーキーが決めるなんてね。

ヤニスのケガをきっかけに色んな事が起こったゲーム4でした。それは優位だったヒートの戦略を崩すことになった印象も強かったのでした。いかに「ヤニスにやらせれば勝てる」と思っていたか。

ECSF④ヒートvsバックス” への2件のフィードバック

  1. ヒルもミドルトンもロペスも頑張ってたけど決してスーパーではなかったし、よく準備すればするほど想定外で弱くなるのは組織的なチームの泣き所!
    と言うより最高峰のNBA(しかもプレーオフ)であっても完璧な準備は不可能なんですね。バスケ面白いですねえ。でもあっさり次でヒートが勝ってブーデンホルツァーのクビがどっかに飛んで行くんだろうな…世知辛え〜

    1. ヒートが自分たちを追求するチームだったら、ヤニス不在で楽に勝っていたでしょうが、そういうチームだったら三連勝はなかったわけで、致し方ない負け方でしたね。
      逆にヤニスがいた時のバックスの弱みを思い知らされる内容でもありました。オリニク周辺が特に。

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