ECSF① バックスvsヒート

ゲーム1

いよいよこちらのセカンドラウンドも始まります。ウエストはまだファーストラウンドだというのにね。

前日の夜に「そういえば、始まるのか。初戦はヒートが勝つよね」と思い立ってしまってツイートしていました。でも、このリーグで予想なんて意味がありません。だって3試合連続で40点以上とるとか、50点取ってターンオーバー0とか、FG70%オーバーとか、予想するほうが難しいじゃん。

だから予想なんて意味がないのですが、戦術の話となると別だよね。プレビューも7割くらいは当たっていたと思うもん。そこにクレイジーな選手が出てきて、どうなっていくのかってのがプレーオフさ。

ということでゲーム1をヒートが勝つという予想は、戦術的・戦略的な話です。あと、ヤニスがそこを超えてこないっていう予想もあるのですが、まずは理由について触れてから試合を見ていきましょう。

スイープしたヒートは中6日、バックスは中1日です。スポルストラには考える時間もあれば、狙いを選手に伝える時間もありました。もともと、あれやこれやのHCなので、時間を有効に使うでしょう。

ブーデンフォルツァーは、あまりそういうことをしないHCです。しかも中1日なのでヒートの事を考えるよりもリカバリーが先だったはずです。

対策しまくるHCに時間があり
対策しないHCに時間がない

本当はブーデンフォルツァーだって、しっかりとやるのですが、そもそも自分たちの方が強いのだからコンディション優先だし、そもそもスポルストラが仕掛けることを先に読むってのは中1日じゃ厄介だから、ゲーム1の内容を受けてゲーム2からで十分じゃん。

問題は「それすらヤニスが超えてくる」が考えられないってことですが、バックスは戦術ヤニスなので、ヤニスを止めるのが全てです。そしてシーズン中にヒートはヤニスを止めて勝利しています。

他の選手に予想外にやられることがあっても、ヤニスにはやらせないはずなのでした。まぁ試合が終わってからなら、何とでも言えますが。

◎マジックの余波

1Qだけ見てから出かけたのですが「マジでちょっとヤメてよ!」と言いたくなるほどに、ミドルトンが超えてきました。しかも、ブルックがタフなブザービーター3Pで締めました。マジかよ。

〇1Qのミドルトン
10点 3P2/2

〇1Qのブルック
11点 3P2/3

ブルックはともかくミドルトンは、かなりやりやすそうにシュートを打っていました。理由は「こんなディフェンス、マジックに比べれば軽いぜ」という感じで打てたことだと思います。マークはバトラーだったけど、プレッシャーはかけてこないタイプだからね。

この感じはどこかで見た気がしましたが、シーディングゲームでヒートがラプターズ戦のあとでセルティックスと戦ったらシュートが決まったのに似ています。先にセルティックスだったら決まらなかったと思う。

ヤニスもトランジションで3Pを決めて、チームで6/9だった1Qはバックスが40点を奪います。ただし、ヒートも29点なのでオフェンスはそこそこ上手くいっていました。

ブレッドソーが休みのバックスですが、1Qだけで10人を起用しており、フランク・メイソンなんかも出てきました。プレータイムシェアの姿勢は、多少の得点の余裕と、コンディション重視な姿勢だと思います。

スポルストラはそこまで予想していたとは思いませんが、ヒーローが1人でボールを持って、個人で仕掛けさせていく時間帯があったので何かと思ったら、マークがフランク・メイソンでした。細かいけど、こういう所が地味に効いた1Qだったとも思います。

他には相変わらずドラギッチがワンレベル上のプレーぶりで、3Pにフローターと鮮やかに決めていき、その時バックスのディフェンスは中に外に大きく振られていました。

ファーストラウンドのバックスは、自分たちの弱点を突かれたけど、やり方は変えることなく「よりアグレッシブに守るのみ」みたいな。要は気合でプレッシャーかけてチェイスしていました。

それは素晴らしかったのですが、ここでもちょっと余波が出ていた感じ。もう少し、インサイドを固めるのがバックス流なのに、中にはヤニスしかいない感じのシーンもありました。

アデバヨにはシュートないし、バトラーはインサイド来られる方が嫌だし、ダンカン・ロビンソン以外は、もっと引き気味で良かったんじゃないの。マジックとのゲーム1みたいに。

そんな印象の1Qでした。ペイサーズの余波?そんなの1週間も経ったらないよ。

◎どうしたアンテトクンポ

2Qになると、なかなか見かけないシーンが出てきます。それはヤニスが全く効かないこと。ドライブアタックをアデバヨ単体に止められてしまいます。

2Qのヤニスは0点。それもFG0なので、決まらないのではなく打てなかった。なおフリースローは4本外した。

確かにアデバヨのディフェンスは良いのだけど、ステップを踏む段階でコースを切られてしまっていました。ヒートはブラインドサイドからヘルプが寄ってくるように設計していたけど、その前に捉まっていたヤニス。

ヤニスが休むとアデバヨも休む。再び出てくるとアデバヨも登場しますが、同時にブルックがコートにいるとマークはバトラーかクラウダーに変わります。ここでクラウダー相手にポストムーブを仕掛けるも、肘がクラウダーの顔に当たってオフェンスファール。

これってクラウダーが素晴らしかった、とは言い難いオフェンスファールです。だから、なんだかおかしかったのは間違いないヤニス。それが何なのかはちょっとわかりません。

踏み込み切れていないようにも見えるし、メンタルなのかもしれないし。いずれにしても、ヤニスがおかしい戦術ヤニスは苦しみ始めます。

ただ、ここでまたもミドルトンとブルックが救います。2Qは共に11点。打ちやすそうにしているミドルトンに、ナンが張り付いても関係なく決めたミドルトン。プレーオフ・ミドルトンは波が激しい。

そんなミドルトンのドライブにインサイドで合わせてダンクのブルック。アデバヨがヤニスのカバーを狙いまくっているので、アウトサイドで空きがち。3P2/2に3Pにアデバヨのファールを引き込みました。

マジで、ちょっと、やばかった2Qのバックス。それを救った2人でした。

しかしディフェンスはチーム全体が苦しい。3Pラインの外までマークしているとか、今までのバックスとは違うような・・・。

アデバヨがコートにいると合わせで待っていてくれるし、インサイドファイトしてくれます。DPOYのヤニスがインサイドで待ち構えていることになりますが、「ヤニスに取られずにアデバヨに渡す」のが、勝負の分かれ目に設定していそうなヒート。

それにはドラギッチはコートにいて欲しいから、アデバヨ合わせみたいになっていました。

アデバヨ→オリニクにする(それはヤニスもいない)と、4人が3Pラインの外まで大きく広がって、インサイドをバトラーのポストアップのみにします。なるほど。上手いね。日常ではあるけど、日常よりも多かったと思います。

通常であればミスマッチ誘導をするわけですが、バトラーのインサイドならミスマッチとか関係なくいけます。しかもアウトサイドにシューター揃えているから、簡単にはヘルプにも行けない。

ただ今度は純粋にバトラーがマシューズに止められてしまいます。なので、ポストアップしまくった割には仕掛けられなかったバトラー。戦略が上手くいっても、結果は個人の頑張りなんだよね。マシューズはレブロンですら止めるから。

そんなわけで2Qはどっちもやりたいことをやっているけど、通じていないような形でした。ただし、ヒートの方がディフェンスで4つのスティールを奪い、カウンターでの得点も増えたので31点取って、前半を63ー60と3点差まで縮めて終わりました。

◎苦しすぎた3Q

さて、3Qはとても難しい時間でした。まず最大の問題はヤニス。アデバヨに距離を空けられ3Pこそ決めたものの、やはり仕掛ける事すら出来ない様子。左足に体重が乗っていることが多かったので、右足に違和感でもあるのかという空気です。

バックス全体がその違和感を知っているかのように、バランスよくシュートを打っていくのですが、そもそも戦術ヤニスなんだから、インサイドで暴れるモンスターがいないと、3Pも効果が低くなります。

かといって、イリャソバやロビンを起用することもなく、ビッグマンはヤニスとブルックの2人だけで構成していたので、インサイドのエネルギー不足を感じさせる内容になっていきました。

3Qはターンオーバーが2つしかなかったのに、23点しか取れなかったのですが、3Pは4/10と決めており、普通に打って決めているけど、効果的ではなかったことに。

一方のヒートはアデバヨが3Qだけで8リバウンド4アシストと、ヤニスを尻目にチームの中心として強烈に機能しました。起点となるアデバヨがインサイドのディフェンスを引き出したり、ハンドオフからフリーを作ったり。

本人は4点でしたが、ポイントセンターとしてプレーを作っていったわけです。ヤニスが得点して初めてアシストが意味を成すバックスとは作り方が異なります。

そしてヤニスはリバウンドも0なので、守ってもボールに絡めず運動量の少なさが際立ちました。これがケガでなければ、相当疲労が溜まっていることになります。

そんなアデバヨが9.5分プレーした3Qでしたが、残りの2.5分はノーセンターをチョイスしたスポルストラ。ここにきてクラウダーとイグダラを獲得した意味を出してきました。

点差としては結果にはなっていないものの、バックス相手にノービッグで戦えるという事は、3Pを追いかけやすくなるということ。デメリットはインサイドを牛耳られることと、トランジションでヤニスアタックを食らいやすくなることですが、見事に両方とも発生しなかったわけです。

なかなか理解に苦しむ3Qでした。ヤニスが止まっているのがスポルストラの策がハマったのであれば、凄いことですが、「策は用意しているけど、それ以前にヤニスが攻められなかった」ようにしか見えませんでした。

イグダラ、クラウダー、バトラーで囲みに行くシーンもあったのですが、1人目のイグダラで止まっちゃうんだもん。

92-86とヒートが逆転して3Qが終わります。

◎プレーオフ・バトラー

さらに悩ませることに4Q序盤のヤニスは行きました。ガツっとインサイドに侵入して2人に囲まれても飛び上がる。なんで、ここまでそれが出来なかったのか不思議な動き。

もちろん好調の欠片もないから、ミスもあるのだけど、それでも「そもそも行かなかった」2,3Qとは意味が違います。

4Qは6リバウンド、3アシストと、やっと少し戻ってきたモンスター。でも、やっぱりFG1/4に加えて、フリースローも1/4とさすがにヤニスと言えども変すぎます。

〇ヤニス・アンテトクンポ
18点
2P4/7
3P2/5
FT4/12
10リバウンド
9アシスト

うーん、3Pだけは決まったのだけど、本当に全然行けなかった。DPOYのヤニスですが、それは2人分の運動量であっちもこっちもカバーするから怖いのに、普通に1人分しか働いていませんでした。

バトラーがミドルトンを抜いてペイントでフローターを打ったシーンなんかは、ヤニスだったら確実にプレッシャーをかけていたはずなんだけどなぁ。(丁度良い動画がなかった)

そんなわけで結構ヤバいぜバックス。このヤニスにはMVPどころかオールNBAにすら選べないよ。1on1で止められているぜ。

〇ペイント内得点
ヒート 42
バックス 24

得意のインサイドで完敗してしまいました。ヤベー

それでもバックスはコーバーの3P、マービンのドライブ&ワン、そしてジョージ・ヒルがヒーローを手玉に取るファールドローもあって逆転に成功します。

つまりはヒートも得点が取れなくなった。残り6分でバックスが1点リード。

この時点で25点だったバトラー。それが6分で15点を奪うことになります。これがまた難しい内容だったんだ。

話を遡ると、前半にバトラーのポストアップ押しの時間がありましたが、そこではマシューズに止められてしまいました。4Qもポストからターンしたら、マシューズにボールを叩き落とされるなど、バトラーは苦労しまくっていました。

マッチアップデータを見ると、マシューズはバトラーと勝負で2つのブロック、1つのターンオーバーを生み出し、FG1/4に抑えています。なお、マッチアップデータは今シーズンからよくわかんなくなっているので、これが正しいのか不明。

19回のマッチアップでしたが、その間にチームは31点を取られています。マシューズは抑えていたと思うのですが、チームとしては攻略されています。

しかし、この試合のマシューズは24分のプレータイムに留まり、特に4Qは2分42秒のみ。ブレッドソーがいない試合にもかかわらず、プレータイムは抑えられました。なお、プレーオフではこれが通常営業です。

4Q残り6分からの勝負所でバトラーとマッチアップしたのはミドルトン。この試合16回のマッチアップで、チームは21失点と全体で見ればマシューズより抑えていますが、そのうち16点がバトラーでした。

FG5/5とパーフェクトに決められ、完敗も完敗だったミドルトン。殆どのオフェンスでバトラーが仕掛けて成功していたことになります。

バトラーを抑えていたマシューズではなく、カナートンやマービンを起用していた4Q残り6分。それが1つの分かれ目になったと思います。

そしてバトラーはここから超人的に決めていきます。それはまるでジャマール・マレーが乗り移ったかのよう。いや、マジでそう思ってしまったくらいマレーが頭の中を占拠しています。ちがう、マレーとドノバンが占拠しています。

クラッチに弱い今シーズン
パワーフォワードな今シーズン

そんなシーズンの傾向を全無視してるぜゲーム1のバトラー。ほぼアウトサイドから仕掛けて決めてきました。なんじゃそりゃ。特に印象的だったのは、このミドル

ドラギッチのスクリーンを利用すれば、広大なスペースが用意されていたのに、わざわざ狭い方を選び、しかもそこにはアデバヨがいたから「自らマービンに向かっていって、2人のチェックからミドルを決めた」ことになります。

プレーチョイスとしてはバカとしか言いようがないのですが、決めちゃうのかよ。ちなみにこれってウルブズ時代に頻繁にやっていた印象です。ヒートに来てパワーフォワード化することで、論理的になってきたのがプレーオフになって登場したのです。

〇ジミー・バトラー
40点 FG13/20
4リバウンド 2アシスト

得点だけでなく、リバウンドが少ないのとアシストが少ないのも「ヒートのバトラー」らしくありませんでした。今シーズンの平均はキャリアハイの6アシストなんだけど、プレーオフでは6つ以上がペイサーズとのゲーム2しかありません。

ってことで、元に戻ったバトラーっていう意味わかんない形が強烈に出て制したゲーム1となりました。

ちなみにクラッチに弱くなったバトラーという話は、管理人の見解は「初めてチームの中心としてプレーメイクもするようになり、クラッチまでもたなくなっている」ということだったわけです。でも、今はドラギッチがスターターでゲームメイクしてくれています。そういうことなのかも。だったら、わかりやすいな。

◎スイープ・・・

ということで、クラッチバトラーでゲーム1を手に入れたヒート。管理人の予想はあんまり当たっていませんでした。

なんせ、そんなことよりもヤニスがヤバい!どうしたんだヤニス!

前半はファールトラブル気味でプレータイムが制限されていたのに、後半になっても元気がありませんでした。このまま復活しないならスイープってのも・・・

まぁ中1日なので心身ともにお疲れなだけだった可能性もあります。バックス自体がオフェンスを組み立てる気持ちに薄かったので、なおさら際立ってしまったのか。

あー、そういえばブログドン。こういう時はブログドン。でもペイサーズで困ってしまったブログドン。シーズンはお互いに良かったけどプレーオフになってお互いにヒートに苦しむとかワラエナイな。

ヒートの方は、ドラギッチの充実っぷりが半端なく、アデバヨはヤニスを止めつつオフェンスも組み立て、ベンチからはヒーローがクラッチ3Pも決める活躍でした。

試合勘は不安視されたものの、バックスよりも元気に動き回れたのは事実です。そう考えると1Qのラッシュさえなければ楽勝だし、充実していた割には1Qラッシュだけで互角くらいにはなってしまうという事。

ちょっと予想外の課題をぶつけられたようなブーデンフォルツァー。バトラーについては、なんとかするとして、自分たちのオフェンスをどうやって工夫してくるのかがゲーム2の注目事項です。

ECSF① バックスvsヒート” への2件のフィードバック

    1. 表面的にはヒルがいるのですが、他人任せのヒルなので、自分で切り崩してはくれません。

      こういう試合でヤニスがアレっ?って時にはブレッドソーの突破は有効でした。
      あと、単純にPGの枚数が足りなかったですね。ディヴィチェンゾにやらせてもよかったけど、ミドルトンが自分でやる時間が長すぎたかもしれません。

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