バブルを去るブレイザーズ

ゲーム5も激戦でした。

「ストッツ先生、バスケがしたいです」とは言わなかっただろうけど、ブランクを経て復帰したカーメロがバブルに来て、全盛期を思わせるようなジャンプシュートと、必死のディフェンスを見せるようになり

大ケガから復帰し、センターながら誰よりも動き回る運動量でチームを助け、相手をかく乱し、No1ポイントセンターを目指すような異色の出来を見せたヌルキッチに支えられ

勝負強い3Pと細胞レベルで反応するようなクラッチディフェンスでボールを奪い取るゲーリー・トレントによって、守り切る時も出てくる。

リラードとマカラムが支えてきたブレイザーズは、強力になったチームメイトを従えて、さらに2人が得点を奪い続けるバブルの主役となりました。

しかし、ザック・コリンズに続いてリラードまで離脱したゲーム5は始まる前から終わっているようなもの。そう思っていたけれど、ここでもまた激戦を繰り広げました。

◎ゲーム5

もう「守れるわけがない」と開き直っているブレイザーズは、ヌルキッチとホワイトサイドを遠慮なく並べるスターター。そして頻繁にゾーンディフェンスを使って、若干のスタミナ温存とある程度のカバーリングを優先し「レイカーズが3P外してくれたらいいなぁ」とでも表現したくなるようなディフェンスをしていました。

代わりにオフェンスは素晴らしい集中力。マカラムはスルスルっと抜けるとオフバランスのフローターを難なく決め、カーメロはまたもジャンプシュートを美しくヒットする。

ヌルキッチを経由するパスワークは、インサイドアウトが明確になり、サイモンズまで3P3/4と手に入れたチャンスは逃しませんでした。

〇ブレイザーズの3P 48.1%

本当に勝つならワンチャン、3P決めまくれ!みたいな集中力で、代わりにターンオーバーが19もあったのですが、許した速攻は11点のみ。失ってもイージーにだけはやらせない。

主力の4人は例によって長時間プレーし、特にマカラムは試合の最後にテリー・ストッツが諦めるまで1回もベンチに下がりませんでした。

誰もが感動するような試合をしたブレイザーズに勝利を与えたかったのですが、ただ、キングはそんなことは許しませんでした。

〇レブロン
36点 FG14/19
10リバウンド
10アシスト

なんていうか、キャブス時代のレブロンは今のドンチッチみたいに全てのプレーに絡んで圧倒していましたが、今のレブロンはゲームメイカーとして一歩引きつつ、それでも必要な時は自分で行って決めきるようなパーフェクト感。

明らかに2年前よりもセーブしているけど、より存在感がある感じです。もっとも、ここにはアンソニー・デイビスもいました。

〇アンソニー・デイビス
43点 FG14/18
3P4/6

ADってこんなにシュートが決まるイメージなかったのですが、カーメロに誘発されるように決め続けました。こんなに決められたら手の付けようがありません。

〇レイカーズのFG
レブロン&AD 28/37
他 20/51

〇レイカーズの3P
レブロン&AD 8/13
他 6/23

リラード&マカラムみたいに2人で大半のプレーを決めてしまったコンビ。他はKCPが3P4/9だったので、一歩間違えればレイカーズはゲーム1みたいになっていたし、一歩間違えることがなさそうなくらいレブロンはヌルキッチを狙っていきました。

こうしてブレイザーズの気合と根性と集中力は、スーパースターによってかき消されてしまったゲーム5でした。

◎考えさせられたこと

ブレイザーズのバブルでの14試合は、いろんなことを考えさせられる日々でもありました。それらを個別に触れて、終わりにしましょう。

メンタルが大切

ヌルキッチが戻ってきたとはいえ、リラード・マカラム・カーメロのトリオでは守り切れないし、ザック・コリンズは調子が上がらず再びケガをしたし、ゲーリー・トレントを除けばベンチも信用できないし。

次第にヌルキッチのポイントセンターっぷりが目立ちましたが、それは言い換えれば連携面では未成熟でした。

・守れない
・層が薄い
・戦術が未成熟

1年間やってきたことが機能した感じのサンズとは違って、ブレイザーズはチームとしての強さはありませんでした。

しかし、ヌルキッチとトレントはどこにでも顔を出してハッスルしまくるし、リラードとマカラムは信じられないシュートを決めまくるし、トレントとカーメロも勝負強かったし。

結局、4Qはチームで3P40%を超える超絶メンタルな戦い方で勝利を得てきました。さすがにレイカーズには勝てなかったけど、

大事なことは精神的な強さなんだ!

と戦術ブログを全否定するくらいのすさまじさがあったのでした。特にヌルキッチはよくもまぁあんなにハードワーク出来るわ。それでいてスキルフルなんだから・・・。もう1試合やったら死んじゃうんじゃないかってくらい動いているもんね。

緊張感が若さの秘訣

カーメロとレブロンの邂逅は、これが最後だろうとすら思われましたが、ところがどうしたことか、シリーズが進むごとにカーメロは良くなっていきました。

サンダー時代は腰が引けていたディフェンスも、アグレッシブにレブロンのマークマンを引き受けていました。どうしたことか。

レイカーズとのシリーズでは3P42%と最後まで決めていったので、バブル前のカーメロとは別人の輝きを放ちました。

そこで思ったのは、全ての試合で緊張感に満ち溢れ、1本も外してはいけないシュートなので、高い集中力を常に必要とされる環境で、守っても1回のミス、1本のリバウンド、1つのルーズボールの大切さをかつてないほどに感じていたのではないかということ。NCAAチャンピオンなんだけどね。

一方でレブロンはこの緊張感を(昨シーズン以外)常に感じながら、2年前は全てを自分がこなさないと負ける覚悟でプレーオフを戦ってきました。

2人の違いはヒリヒリとした戦いの場に身を置き、1つのプレーへの集中力の重要性を感じていたかどうかなのではないかとすら思ったわけです。試合をこなすごとに若返っていったようなカーメロですが、これまで緊張感が足りなかったのかもしれません。

エースムーブ

レイカーズのボールムーブよりも、レブロンとADのエースムーブが目立ち事が続いています。これがプレーオフなのか。

5試合でFG57%以上を記録した2人の活躍はすさまじいものがありました。一方でクズマ、KCP、ダニー・グリーン、カルーソはFG40%を下回りました。まぁKCPは3P決めているので効率が悪いわけではありません。

ディフェンスのチームなので、これでも勝てるのがレイカーズの強さになりましたが、とはいえ、ちょっと物足りないよね。確かにオフェンスの切り札が欲しくなります。でもウェイターズとJRスミスは不測の事態に備えているくらいかな。

リラードとマカラムも同じですが、なんならブレイザーズの方がヌルキッチを含めた3人が絡み、そしてトレントとカーメロがシューターとして備えていて、形になり始めていたよね。

これがセカンドラウンドにどうなっていくのかにも注目したいです。

◎来シーズンへ

カーメロの残りたい発言もありますが、ブレイザーズはどうするんだろうね。ホワイトサイドの契約(27M)が切れるので、これまでよりはマシですが、あっちもこっちも控えが足りない。

そういえば、テリー・ストッツは若手を信じて使うけど、なかなか成長してくれないよね。ビッグマンはガブリエルが頑張っていましたが、モノになりかもしれなかったラビジエリも放出しちゃったし。

来シーズンは開幕からしっかりと勝率を残したいですが、でも、こんな戦いをしていたらスターターはケガしちゃうぜ。なんとか休ませないと、休ませてもチーム力が落ちないようにしないと苦しそうです。

そしてテリー・ストッツも終わりになるのかな。成績関係なく、そろそろって感じもありますね。

バブルを去るブレイザーズ” への3件のフィードバック

  1. ラスト試合も取り上げて頂き、管理人さんありがとうございました。

    2シーズン前まではリラード個人のファンとしてPOR戦を追いかけていただけでしたが、特に昨プレーオフのDENとの4OTを経てからは心底このチームに勝ってほしいと思うようになりました。
    今年はウイング総入替え、後半はまさかのカーメロ獲得に驚きましたが、あれほど必死になるカーメロはオリンピック以来ですよね。この2シーズンはPORに出会うまで、ディフェンス、パスの大切さに気づくための旅をしてきたのかと思わされました。勝手な解釈ですが…

    勝てるのが一番ですが、リラードとPORのおかげで一喜一憂、心震える視聴体験を何度もさせてもらったことが最高でした。
    このオフの補強に真に期待します。スターター+トレント以外は全部変わってもいいです。リラード全盛期の間に、1試合でも多くの感動をまた味わいたいと願っています。
    ありがとう、お疲れ様、POR!!!!

  2. お疲れ様でしたPOR。
    ほんと楽しかった。
    スタートの5人(もちろんトレントで)はPOで一番好きかも。

    オフの動きに期待が持てないチームですが…
    起れ奇跡。

    是非またCFくらいまでは行って欲しい。レイン・ブラザーズはプレイオフがよく似合う。

  3. PORはどちらかと言うと自力で選手を育ててチーム構成していくので、FAで有望選手が来てくれないからしょうがないけど、大きな主力の補強は出来ないでしょう。
    それでも来シーズンは楽しみでもあり、怪我の不安のあるシーズンとなりそうです。Gコンビもこの2-3年がピークのシーズンとなりそうな年齢です。
    ホワイトサイドは今のNBAでは通用しないし、下手すると邪魔になる。サイモンズとペゾニャも要らないけど契約があるので残留。解雇か引取り手があればトレードしたい。コリンズも怪我が多過ぎで信用出来ない。どんなに才能やスキルがあっても怪我の多い選手は要らない。
    補強ポイントは3つで、サイモンズに代わるGの控えとディフェンスが出来て動けるインサイドの控え。バランサーが1人。インサイドの控えはトリバーでも良かったんだけどね。
    GはINDのホリデーとか欲しい。バランサーはハークレスが安く契約出来るなら戻したい。ターナーも安いでしょう。インサイドもDENのプラムリーとか戻したい。
    スターターはリラード、CJ、アリーザ、カーメロ、ヌルキッチで、控えが補強G、トレント、フッド、補強バランサーorインサイド、コリンズでどうでしょう?リトルも上手く育てれば使える選手になれると思うので、これで12人です。大きな怪我人が出なければそこそこ行けそうな気がします。

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