ジャズ2-1ナゲッツで迎えるゲーム4
ゲーム展開について選択権があるのがナゲッツ。しかし、その選択が裏目に出てしまい連敗を喫しました。変えたくても変えられないジャズが自分たちの正しいやり方を貫き通したともいえます。
試合前にマイク・マローンは「ヨキッチとマレーがもっと頑張らないと」と発言したとか。この2試合はそういう問題ではなかったと思うぜ。そういう意味の発言だったら失言。
一方でゲーム1みたいにやるしかない。それはヨキッチとマレーでオフェンスを成功させまくるって事だ!っていう意味ならば信頼の証。どっちが正解かは知りません。
そしてナゲッツは本日も戦い方を変えてきましたとさ。変えた部分とゲーム1に戻した部分とね。
◎スタート変更
予想外のスターター変更をしてきた選択権を持つマイク・マローン。ディフェンスの大穴になっていたMPJ→グラントはわかる。でも、そのグラントをドノバンのマークにして、クレイグ→モンテ・モリスはビビったぜ!
この狙いはグラントが守れることを信じたわけですが、クレイグのディフェンスにはドノバンも手を焼いていたんだけどね・・・。
もう一つはモリスをPGにすることで、マレーとヨキッチの負担を減らし、より得点することを求めたものです。その狙い通り、オフボールから始まるヨキッチ&マレーです。特にマレーがハンドリングしないで動き回れるのは、MPJの得点力を捨てた中では必要な事だったのかもしれません。
開始5分で15-11となってジャズがタイムアウト。ナゲッツはこれまでになく得点できたスタートなので、狙い通りかな。ゲーム3がシーズン最低の87点だったのでオフェンスのテコ入れ。
ただし、グラントはドノバンアタックに抵抗できていません。まだそんなに目立ってないけどさ。
◎いつものパターンです
ジャズからするとこの2試合と違って、ドノバンが自由なオフェンスです。ダブルチーム作戦がないから、ボール貰って、仕掛けて、キックアウトして。ゲーム1みたいだ。
ゲーム1と違うのは、コンリーがいること。なので、あんなにボールを持たないし、自分にパスがこないでオフェンスが終わることもあります。
もう1つ、少し違う事がこの2試合でオニールもゴベアもオフェンスで活躍したじゃん。だから自信もってプレーしていて、オニールが自分でドライブしきるプレーも。総じてゲーム1みたいにボールはこないよ。
ナゲッツが6点リードしたところで、ニヤングが登場。マークにはMPJが登場。
はい、いつものパターンです。
笑えるくらい繰り返される形。ドノバンに対してニヤングがスクリーン。スイッチさせたら、ドライブアタックしてヘルプが来たらニヤングの3P。こなかったら自分で決めきる。ナゲッツはオフになったらMPJにストレスチェックしたほうがいいよ。
MPJはミドルを返しますが、ジャズオフェンスが止まりません。ただし、今のナゲッツにMPJを起用しないという選択肢はないので、オフェンスで打ち勝つしかないんだ。ってことで、ちょっとだけ休んでいたマレーが戻ります。
「ヨキッチとマレーがステップアップしないといけない(HCとしては戦略ではどうにもできません)」
そんなメッセージだったとしか思えないマイク・マローンです。
そしてここでドノバンがベンチに下がるとジャズはMPJを狙えなくなります。ただ、ナゲッツもゾーンにしてきました。噛み合わないね。
いずれにしても一旦は逆転したジャズですが、ドノバンが下がってからはナゲッツがマレーの3P連発もあって取り返し、そして最後のMPJがプットバック。1Qが36-33で終わります。
まぁあれだよね。57点の衝撃がどれだけマイク・マローンを狂わしたかって話だよね。そしてトラウマレベルのいじめられ方をしてるMPJだけど、必ずといって良いほどにオフェンスで取り返すんだから偉いぜ。
このMPJの姿勢は意外と出来ないレベルだと思っています。まぁディフェンス悪すぎるけどさ。なお、大事な事なので、もう一度言いますが、まともにボッコボコにしているのはドノバン・ミッチェルだけです。
◎オフェンス優勢と個人技
オフボールでMPJにカッティングさせてダンク、そしてマレーのサーカスショットと2Qも先手のナゲッツ。サーカスショット・ブラザーズの片割れは未だに試合に出てこないけどね。
さらにマレーはプラムリーとのコンビプレーでパスフェイクからレイアップ&ワン。PGをモリスにして、ひたすら得点を取りに行くマレー。これは確実に「自分で行きまくれ」と指示されているやつです。
困るので1人オールコートマンツーに行くイングルス。しかし、コンタクトしてくるマレーによってファールコールされてしまいます。ジャズもディフェンダーがオニールしかいないんだよね。
止まらないマレー。しかも、なんだかんだでモリスのポジショニングがマレーが困ったときにパスを出す先になっています。
ただ、本日はどうも噛み合わないというか、マレーとヨキッチをベンチに下げたらドノバンが登場します。これをマイク・マローンが狙っていたら凄いのですが、一旦ベンチに下げたマレーをすぐに呼んだので偶然っぽいな。
2Q残り6分で50-44とナゲッツリード。守れていないのは変わらず、明らかにオフェンスに意識が向いているナゲッツ。そしてこのシリーズ初めてな気がするくらいにMPJvsクラークソンのミスマッチを使います。
完璧に守れるなんてことはないわけで、その選手がもつ良さを使ってメリットを生み出さないとね。ジャズはスモールなので、なんでこのミスマッチをあまり利用できていなかったかは不思議でもあります。ただ、実際あまり決まらない。
ジャズのオフェンスはドノバンやクラークソンがアタックしていきます。ただ、クレイグがミスを誘ってターンオーバーも多い。ってことで、ちょっとずつ得点が決まらない流れになってしまいます。
MPJもベンチに下がったし、攻略できなくなってきたらどうするのか? 答えは誰かの理不尽なまでのオフェンスに頼ろうぜ。
ドライブに対して手厚く対応されてミスも出ていたドノバンは、プルアップ3P&ミドルに切り替えます。そこにプレオフ”パパ”コンリーも続いて、個人技で得点を増やしたジャズ。
一方のナゲッツはモリス&ヨキッチのプレーを中心に崩し、フリーにパスを出していくのです、ちょっと3Pが決まらない。あとはマレーに頼るしかない、という形でした。
前半は65-64とナゲッツが1点リードに。ディフェンスの硬いナゲッツがオフェンス優先を選んだゲーム4.選択権は常にナゲッツにあり、だけど大体の事はドノバン・ミッチェルで解決するジャズです。
〇前半
ドノバン・ミッチェル 22点
ジャマール・マレー 18点
コンリーが戻ってきたジャズはもちろん、モリスをいれたナゲッツもマレーに「得点だけを狙ってくれ」にしたのは面白い工夫でもありました。
◎苦しみ始めたオフェンス
後半もドノバンとマレーのドライブが決まって始まります。ゲーム1と違うのは、コンリーが助けてくれること。シーズン中とは別人のコンリー。ボールを持ちすぎることもないし、タフショットも選ばない。この差でジャズが追いつきます。
うーん、コンリーどうしたんだ。3Qはドノバンの方がPGっぽくなってコンリーはウイングで動いてボールを貰うから、2つくらいのドリブルで勝負を決めています。心配していた要素が出てこないぜ。
そしてプルアップ3Pを決めて逆転させるコンリー。まじか。パパ強し!
さて、ナゲッツの方は次第に苦しみ始めます。スターターではオニールがマレーに張り付くのですが、そこを解放してあげる動きが足りない。
3Qは完全にジャズの方が良い内容になっており、とにかく落ちないコンリーのシュートでナゲッツは守れなくなっています。それに対して、ジャズのディフェンスを全く崩せていないナゲッツ。それでもヨキッチがねじ込んで、なんとか二桁点差にならないようにするのが精いっぱいという感じ。
ジャズが6点リードになったところでMPJが登場します。
ちなみにここがよくわかんないのですが、MPJのディフェンスは弱点です。でも、オフェンスで取り返そうぜ!は正しい選択。しかし、マレー&ヨキッチがコートにいるなら、MPJはボールにすら触らないこともあります。
つまり弱点だけ晒して、長所があまり活かされていません。スターターにMPJも同じでした。ただし、この時間はドノバンが3Pとミドルを落としてくれたので、なんとか助かりました。
3Q終わって97-89とジャズが逆転。ナゲッツは24点しか取れませんでした。「しか」ってことはないのですが、オフェンス勝負を挑んだゲーム4なので、これでは苦しい。コンリーみたいに決めまくられると苦しい。
◎ミルサップとMPJ
そのコンリーが3Pで二桁リードになったジャズ。プレーオフ”パパ”はえぐいぜ。それをタフショット3Pで返すマレー。パパになったのかな?
しかし、怖すぎたコンリーの3Pにモリスが飛び込んでしまい3ショット。ちなみにイングルスが1本も3P決めていないらしい。ウケる。
同じく決まらないのがミルサップ。ナゲッツはオフェンス構築して最後にドフリーになるのがミルサップなのだけど、あまりに決まらないから形になっていません。だから、もうタフショット・マレーしかない。
ジャズからすると、しっかり守った上でカバーが間に合わなくなったらミルサップを空ければOKになってしまっています。ディフェンスのMPJとオフェンスのミルサップ。狙われている感じの2人。
ジャズが7点リードの残り8分。ナゲッツはここでビッグランナップを使ってきます。マレー、MPJ、グラント、ミルサップ、ヨキッチ。
シュート決まらないけどオフェンスリバウンドを連発して、最後はグラントが3P。MPJも3P。マレーもプルアップ3P。ビッグラインナップの意味があるのかわからないけど連続3Pさ。
これで4点差になるのですが、MPJをベンチに下げます。ちょっとよくわかんないっす。そして決めるのはマレーのプルアップ3P。交代関係ないっす。残り4分半で1点差。
◎決め続けるクラッチ
グラントのドライブを止めたドノバン。ルーズボール気味のボールを制し、いち早く前を走ったコンリーへのパスを通すところでミルサップがファールで止めます。当然のクリアパスシチュエーション。ベテランが正しいとは限らない。
フリースロー2本をドノバンが決めて、ポゼッションはコンリーがフローター。一気に5点差にしてしまったミルサップ。
もうマレー&ヨキッチのコンビプレーの時間です。ポップしたヨキッチが3Pをしっかり決め、続けて同じような形から逆サイドのグラントへ。このシュートは外れるもミルサップがプットバック。次もマレー&ヨキッチからマレーがプルアップ3P。
ドノバンはドライブからプルアップミドル。次はドライブからファールドロー。そしてドライブレイアップ。残り1分20秒でジャズが3点リード。決め続ける両チーム。
ヨキッチが個人技でファールドローして1点差。
ドノバンは1回目のドライブをミルサップにブロックされるも、やり直しのオフェンスを再びミルサップ相手にプルアップ3P。ブロック後に睨みつけたミルサップの行為は火をつけてしまったのかな。54秒4点差。
スローインから時間をかけずにヨキッチがドライブダンク。
スクリーンに来たオニールで、ドノバンのドライブコースに倒れてしまったグラントがファールで点差は縮まらず。ここでコンリーを下げてモルガン登場と守り抜く姿勢のジャズ。
残り30秒マレーはオニールを抜いてゴベアにぶち当たってのレイアップに行くも、これがノーコール。ゴベアの手はマレーの腕にあたっていたのでファールでしたね。
ファールゲームするしかないナゲッツですが、ボールを持ったのがドノバンなので、しっかり2本決めます。残り21秒6点差。
簡単に引き下がれないナゲッツはここから食らいついて、7点を奪うのでしたが、ドノバンもコンリーもイングルスもいるから、ファールゲームは難しかったね。
こうしてオフェンスでの点の取り合いを挑んだナゲッツでしたが、見事に返り討ちにされてしまいました。
〇マイク・コンリー
26点 FG8/13
まぁゲーム1同様にナゲッツが勝ってよい試合だったと思いますが、誤算というかゲーム1と違ったのはコンリーがいたこと。しかも3P4/8の「プレーオフ”パパ”コンリー」がいたこと。
ゲーム3の活躍に加えて、ゲーム4のこのパフォーマンスなら、2試合休んだことくらい帳消しです。
◎結局はディフェンス
残り3分からナゲッツは19点、ドノバン・ミッチェルが14点を奪う最後まで緊迫した展開でした。そんなことが出来る中ではゲーム2とゲーム3の戦い方が悔やまれます。結局はゲーム1と同じようにやっていればよかったじゃないか!
〇ジャマール・マレー
50点
FG9/16
3P9/15
11リバウンド
7アシスト
凄かったぜタフショット・マレー。3Pの確率が!
スターターが変わったことでリバウンドもしっかりと抑えてくれました。この活躍で「ステップアップしなければ」とは言わせない。見事に期待に応えたと言えます。しかもターンオーバー0!!
〇ニコラ・ヨキッチ
29点
2P9/14
3P3/10
7リバウンド
6アシスト
ちょっとリバウンドがね。物足りなさもあるけど、ゴベアも11なので、まぁこれくらいか。
ヨキッチとしてはスーパーではありませんでしたが、及第点だと思います。マレーがスーパーでヨキッチが及第点ってことは、これで負けるって苦しかったぜナゲッツ。
オフェンスについては、これ以上を望むことは出来ないので問題はディフェンスにあったといえます。クレイグが18分だったけど、もっと起用して良かったかもしれません。
そして本日はゲーリー・ハリスがベンチを出てコートサイドになんども姿を見せましたが、ここにハリスがいれば、それだけで成立していたでしょう。なんとも苦しいぜ。
オフェンスで勝負を挑んだゲーム4は、見事に成功したオフェンスですが、結局はディフェンス問題に戻ってきてしまうのが切なかったのでした。
◎止まらなかったジャズ
ナゲッツのオフェンス力を止められなかったディフェンスのジャズ。ところで「ディフェンスのジャズ」って、今ではそこそこの固定観念だよね。そんなに守れていない今シーズン。
〇ドノバン・ミッチェル
51点
2P11/20
3P4/7
7アシスト
本日もハイパーだったドノバン・ミッチェル。同じシリーズで2回目の50点オーバーです。ただゲーム1と違ったのは、仕事量としてはかなり少なかったこと。そして3Pを7本しか打っていない事です。
クレイグから解放されたことで、MPJが相手でなくてもドライブは割と楽に出来ていました。逆にいればグラントだから3Pは減ったのかもしれません。シンプルにドライブしてレイアップも決めましたが、途中で手詰まりになりそうだとミドルに切り替えてきました。
一応、ナゲッツの工夫が3Pを減らしたので57点から6点下がりました。そういうことにしておきましょう。
〇ジョーダン・クラークソン
24点
2P5/6
3P4/7
コンリーと共にナゲッツ的に問題だったのはクラークソンへの対応。少なくとも2P5/6はダメでしょ。
ゲーム2と3で自信を持ってしまったジャズの面々。それがゲーム4にも繋がったし、3P決めまくったことがナゲッツディフェンスの考え方を難しくしてしまったのかもしれません。
マレーはすごかった。ドノバン・ミッチェルも凄かった。両チームのエースが「プレーオフでステップアップする」というスーパースターっぷりを発揮したゲーム4でしたが、それ故に勢いというか、ゲーム3までの展開におけるアドバンテージをジャズ側が享受してしまったようなゲーム4でした。
マレーもヨキッチも1勝3敗になったくらいで意気消沈する選手ではないと思いますが、最も意気消沈していそうなのがマイク・マローンだよね。
「ゲーリー・ハリスさえいれば・・・」とは、ボグダノビッチを欠くスナイダーが言わせないぜ。ゲーム5はどんなディフェンスをしてくるのか。マイク・マローンにもメンタルチェックが必要だ。
数年後ちょっとした伝説になりそうな二人の戦いになってきましたね。
ナゲッツにはラッキーボーイが必要なんですけど、それってMPJでもボルボルでもなくて、多分ミルサップじゃないかと思ってます。
過去にそんなシーンを何度か見てるんですよね…
この状況ではすでに不確定要素感が強い彼ですが、ベテランらしく大仕事をしてもらいたいです。