マジック1-2バックスで迎えるゲーム4
ゲーム1で自分たちの弱みに付け込まれたバックス。そこでどうするのかと思ったら、弱点をカバーすることはせず「より自分たちの戦い方を徹底する」ことを選んでゲーム2を制すると、ゲーム3は序盤に圧倒してしまったバックス
ディテールでは、バックスとの相性においてメリットのあるマジックですが、トータルでは「オフェンス力不足」なことを露呈してしまいました。
弱点を突くことは出来る。でも、圧倒される。それがゲーム3をざっくりと言い表したものになるのでした。
◎激しく。走る。
ピック&ロールからブセヴィッチがアウトサイドで空く
分かりやすすぎる弱点を持つバックスディフェンスは本日も変わらず。しかし、ブセヴィッチが連続で落とすし、そこにヘルプが来てパスアウトしたらクラークも外す。
弱点はある。だからといって得点できるとは限らない。それがバックスの考え方なわけで、その代わりハンドラーにはもっと激しく守ろうぜ!にしたので、時にはパスが出てこないことがあるわけです。
ここにドンチッチがいたら激しくしたディフェンスからファールを引き出すだろうし、ドノバン・ミッチェルがいたらプルアップ3Pで守りにくくしたでしょう。そういう意味では「まともに攻略するしかない」マジックのオフェンスは、正しくても物足りない。
バックスの狙いはもう1つ。ハードに守ってから走ろうぜ。自分たちが一方的に速攻でリードするのが、バックスの勝ちパターン。なので、走る。走る。とてもよく走る。
ハーフコートオフェンスに対して、中途半端な守り方をして成功したゲーム1のマジックなので、その前に攻めていく作戦です。ただし、走力を打ち出されてもマジックとしてはディフェンスが売りなだけに、しっかりとトランジションディフェンスを行い、ヤニスに楽にはやらせません。
オフェンスと違って、ディフェンスの方はもともと強いぜマジック。バックスが策を講じて攻略を狙っても、簡単にはやらせないだけの強さがある。
ということで、ゲーム3は成功したけど、このゲーム4ではトランジションしているバックスだけど、シュートを決めるのは簡単ではない。そこで「ハイペースだけどロースコア」が成立した1Qです。
見事なパスワークをみせたバックスだけど、ボールよりも人の方が早く動いて間に合わせたマジックとか、凄いシーンだった。
マジックはブセヴィッチが空くのだけど、そこにローテしてこられるとパスワークが出てこない。なおフルツは他の選手と違ってスピードでも振り切れるから期待したくなるプレーをしていましたが、まだ「期待したくなる」止まりです。前述のドンチッチやドノバン・ミッチェルを出来るようにならなといけない。やってもいいよ、とは言われていない。
1Qは22-18でバックスが4点リード。大差のゲーム3よりは遥かに良いさ。お互いに対策した上で「自分たちの良さを出すのが大切なんだ」と言わんばかりのガッチガチのディフェンスでした。
FG成功率はともに33%と外しまくったぜ。
◎突然のオフェンス
バックスが偉いのは3Pが決まらなくても、打ち続けるのを辞めない事。それがバックスだ!とでも言わんばかりに。ロースコアが続く中で、遂にブルックが決めると、続いてジョージ・ヒルもヒット。2本で6点とるだけで、マジックとしては取り返すのに労力が必要なんだ。
そして早い展開とパス回し、3Pが決まるとコートは広くなるので、ヤニスが1on1アタックを決めます。トップ固定でわかりやすく攻めていくのでプレー選択もわかりやすい。
こうしてペースを掴み始めたバックス。トリガーはブルックの3Pなので、このシュートの確率はこの先も大いにゲーム展開に関わってきそうです。
対して苦しいシュートが多いマジックですが、タフショットとか関係なく自分のリズムで打てば決まるのがテレンス・ロス。マークが強くなっていたのですが、ピックを使って抜け出すとタフ・ミドルをねじ込みます。
これでマジックも少し楽になると、フルツやクラークの3Pも決まり、そしてトドメはブセヴィッチの3P。空けられて決め続けてくれないと困るブセヴィッチが、ミドルと3Pを連発して、オフェンス力で逆転に成功します。
しかし、ここからブレッドソーがゴール下まで飛び込んで決め切れば、軽いタッチのミドルもヒット。そしてハードなディフェンスから速攻レイアップで一気に取り返します。特にミドルの軽さが印象的。ノッてるね。
それでもマジックはこのシリーズ好調のクラークが3P。ブセビッチも3Pで続き、外れたシュートもプットバック。ゲーム1同様に欠かせないビッグマンと3Pシューターの働き。
しかしバックスは、今度はマシューズが3P。前半最後にはロング3Pも沈めたマシューズ。つまりは、ミドルトン以外はアグレッシブに決めることが出来たバックス。チーム前半10本目の3Pで6点リードで終わったのでした。
1Qから打って変って36-34とハイスコアになった2Qでした。とにかく3Pを決めないと負けるマジックが意地を見せた感じ。
にしてもクラークはヤニスを守りながら、オフェンスでは3Pで貢献する見事な3&Dっぷりです。ビッグマンまで守れる魅力があるのだから、マイクロボールにピッタリですね。皮肉なのか、経験が生きたのか。
◎緊張
後半もマシューズの3Pから。それをブセヴィッチがミドルで返します。クラークも3Pを決めるのですが、苦しくなっているのはフルツ。攻守にブレッドソーのフィジカルに追い込まれ始めます。
そこでボールを持つ機会が増えたのがフォーニエ。集中的に守られていましたが、なんとかマシューズを振り切って3Pを決めると、さらにプレッシャーを強めたマシューズに4つ目のファールをさせてベンチに下げさせます。
攻守に効いていたマシューズがいなくなると、フォーニエへのカバーが必要となり、最終的に空いたのがフルツ。このシリーズは毎試合1本ずつ決めている3Pをここで決めてマジックは逆転に成功します。
直ぐに取り返されるものの、ハードなディフェンスから最後はフルツが速攻でミドルトンにあたりながらの&ワン。粘り強く全員で戦っていくマジック。交代ではいってきたDJオーガスティンやバーチも続きます。
3Q最後までコートに残ったヤニス。バーチがハーフラインまでプレッシャーをかけて守るのですが、そこからパスを出されるとインサイドの人数が足りなくて守りにくいマジック。これでバックスがリードを保って終わりそうだったのですが、
本日3P以外は好調だったロスが3Pフェイクからファールドローして3ショットを決めきり、84ー81とバックスのリードは3点に。
とにかく緊張感のある良いゲームです。どっちかが走りそうになっても、必ず反撃してしまうので、なかなかラッシュが生まれません。緊張感が途切れた瞬間にゲーム3みたいになってしまうのでしょうが。
とにかく3Qまで緊張感をキープ出来たのだから、ここで勝ち切らないといけないマジック。勝負に出る手立てはないので、後はひたすら頑張るだけ。そしてフォーニエとロスの爆発待ちです。
◎帰ってきたミドルトン
しかし、4Q開始もコーバーの3Pでバックスに先制されると、これまで抑え込んできたミドルトンにも3Pが生まれ、9点ビハインドになったマジック。
タイムアウト明けからブセヴィッチ、フォーニエと頼みの両エースがシュートを外し、逆にまたもミドルトンが3P。完全にバックスに流れを持って行かれ、16点差になって再度のタイムアウトです。
バックスからすると特別なことは何もなく、延々と自分たちの形を繰り返してきた中で、遂にミドルトンが難しいシュートを決めた感じ。決まらなくてもやらせてきたし、かといってやらせ過ぎることもなく。
再びタイムアウトも、ブセヴィッチのポストアタックはブルックがブロック、そしてミドルトンがまたもタフな3Pを決めると、この時のリバウンド争いでブセヴィッチがヤニスを押してファールコール。
3点差で始まった4Qが開始4分で19点差。決めまくったミドルトンと、全く決められなかったマジック。一気に勝負が決まった感じがあるのでした。
ただ、ここからマジックはフォーニエとロスの3Pで意地を見せます。もう眠たいから、まとめを書いて終わらせたい管理人の意向を無視するマジック。無視してくれて良いのですが。
ここから復活したミドルトンが立て続けに決めるも、ディフェンスのハードさを忘れなかったマジックにより、次第に一本調子になってしまうバックス。そこまでミドルトンにやらせる必要はなかったぜ。
そしてついさっきまできまらなかったブセヴィッチとロスが3Pで反撃ののろしをあげると、フォーニエも3Pで続きました。なお、フォーニエの方もミドルトン同様に抑え込まれている風潮が強いのですが、こういう時にちゃんと決めてくるのよね。
7点差に縮めるも、トランジションからコーバーが空いてしまい3P。追い上げないといけないマジックですが、オフェンスは3P頼みな一面もあるので、なんとかディフェンスで止めないとダメだよ。
そしてアウトサイドを守るのが苦しくなったら、ヤニスがインサイドでハードに戦って&ワン。フリースロー外したけど。泣きっ面にヤニス。
残り2分で12点差。追いつけない点差ではないけど、マジックのオフェンス力とヤニスにルーズボールやリバウンドに絡まれまくっているのを見ると、ちょっと取り切るための可能性に乏しい雰囲気が漂います。
フルツが1人でボールを持って行っての速攻。その後のディフェンスでもパスに食らいついて、スティール。意地を見せんばかりに戦いましたが、10点差は遠かったマジックでした。
◎自分たちを忘れない
負けたけど非常に良いゲームをしたマジック。そして自分たちのやり方を徹底して、勝ち切ったバックス。最後に緊張感が切れる点差になりましたが、その中身は抑えられまくっていたミドルトンが一気に取り返しに行ったことだったので、それも含めて良いゲーム。
〇ニコラ・ブセヴィッチ
31点 FG11/20
11リバウンド 7アシスト
バックスからすると「空けるしかない」守り方をしている中で、しっかりと結果を残すブセヴィッチがいてこその緊張感というのは変わらず。
ただアシスト数が増えているのは、さすがに放置できないからカバーがやってきて、そこで空いた選手にパスを出せたことで生まれたアシストです。落ち着いてしっかりとプレー出来ました。
マジックは他の選手も全員頑張った。だからこそバックスは苦労したわけです。とはいえ、敗因は打ち勝てなかったことであり、それはガードコンビのシューティングにありそうです。
〇フォーニエ
12点 FG4/14
〇フルツ
15点 FG6/15
マシューズのハードディフェンスに悩まされたフォーニエ。それでも3Pを決めていったのは見事ですが、マジックの事情を考えると、フォーニエが活躍しないと苦しいものがあります。
フルツの方は3Pは良かったけど、ドライブをどうやって決めきるか。マジックにはその担当がいないから、フルツに担って欲しいわけです。ドノバン・ミッチェルもテイタムも見事に切り裂いているだけに、フルツも頑張りたいところ。
と、まぁ、マジックはよく頑張ったさ。だからこそバックスが強さを発揮しました。「すごく強い」ということよりも「自分たちを信じてプレーを続けた」って感じです。
〇クリス・ミドルトン
21点 FG7/19
3Qまでは1本か2本しか決まっていなかった気がしますが、それでも自分がやるべきシーンでは続けていったことで19本のアテンプトが生まれ、最終的に20点に載せたのが4Qを制した理由でした。
アシスト数も29とボールを動かして3Pを打つことを忘れず、41本を打ちました。なお、マジックは45本と3Pで攻略を図ったわけですが、言い換えれば「打つしかなかった」感じでした。
相変わらず弱点を利用されているバックスですが、強みであるインサイドを固め、個人がハードにプレッシャーをかけ、そして走る。圧倒的ではなかったけど、強みを忘れず、打ち勝ったのでした。
バックスを見ていて、相手のことを考えすぎて自分たちの良さを失わないことの大切を改めて感じました。マジックのオフェンス力に対してはそれでよくても他のチームとやった時にどうかはまた別なのかもしれませんけど。
マジックが勝ち進むにはブチェビッチが高確率で決め続けてフォーニエ・ロスも大当たりってゲームを3回続けるしかないと思いますね。個人的には追い詰められた状況でフルツが一皮むけることに期待しています。