サバイバル①ブレイザーズvsグリズリーズ

8スポットを賭けたゲーム1

初戦にして最大の注目カードとなる両チームの対戦。ブレイザーズのスターターはカーメロ、ザック・コリンズ、ヌルキッチを並べます。さすがにまともな判断をするテリー・ストッツです。

◎3ビッグ

あまり考えていなかったけどディフェンス面でメリットがあったのはトランジションのピックアップでバランチューナスが走ってもカーメロが捕まえた事。ヌルキッチとコリンズが動けることも含めて、スイッチ対応が柔軟さを増したと言えます。

グリズリーズお得意のドライブからヌルキッチを引き出しておいてバランチューナスに合わせる形も、ヘルプにやってきたコリンズがカット。明らかに動きが良いビッグマン2人。

まぁだからといってチームが守れるわけじゃない。3P好調のグリズリーズがアウトサイドから打ち抜きまくったのでハイスコアの立ち上がり。

タイラー・ジェンキンスのグリズリーズを解読したときの最大の特徴は「ペイント内得点」でした。ファールドローは少なく、ゴール下ではなくショートレンジを積極的に打っていきます。しかし、本日は3P連発って事はオフェンスが上手くいっていないって事です。

その理由はヌルキッチとコリンズがショートレンジの時点でピックアップできている事。打つチャンスが少ない。逆にゴール下っていうシーンは増えているけど、そこをギリギリで守っているブレイザーズ。

そんなわけで3P連発の後はスコアが落ち着き始めます。やりたいことが出来ていないんだから当然さ。ただし、ブレイザーズに不用意なファールが多くて、ロースコアにもなりません。

ということで、

ブレイザーズのディフェンスは良くなったよ。だけど主導権を握れるほどではないよ

一時は二桁リードを得ていたブレイザーズですが、ヌルキッチもコリンズもベンチに下がった終盤に、バランチューナスにバカスカ点を取られて1Qが35-30で5点リードになりました。ホワイトサイドがファール連発したので、再びヌルキッチが登場したら守り切ったのさ。

◎ヌルキッチ劇場

1Qにオフェンスで差を作ってくれたのがゲーリー・トレントとヘゾニャ。それまでリラードとマカラムに対して分厚いカバーを用意していたグリズリーズでしたが、ここまで止めることは出来なかった感じ。

ゲーリー・トレントはわかる。そういうプレーをずっとしてきた。でもヘゾニャが何なのか。

PG的に使われているヘゾニャ。テリー・ストッツはこの形をシーズン序盤から取り入れていました。ボール持ちたがりだけど、持たせ続けるとろくなことがない選手に対して「持たせるけどパスしろよ」みたいなメッセージ。フロントコートにはいったらパスから始まるからね。

でも、それが上手くいかなかったシーズンなわけで、今になって上手くいきそうなのは、パスを出す先がヌルキッチになり、そこからオフェンスがちゃんと展開するからかなーという感じ。

そして中断期間を経てリフレッシュしているのでエネルギーがある。確か、シーズン序盤もヘゾニャは悪くなかったもん。

さて、ヌルキッチを絶賛みたいに書いていますが、それって負担が大きいってことだ。実際に存在感が凄い。だから疲労していそうなのも気になります。

ところがもっと疲弊しているのがバランチューナス。いつもより長く出ていそうです。リラードをベンチに置いたままのブレイザーズがちょっとずつリードを広げ、4分経過には9点差にしました。

グリズリーズはクラークを使わず、JJJとトリバーを並べて準スモールラインナップに。まぁちょっとしたらクラークと交代させたから、単なるローテなのかもね。いずれにしても、平面で追い付くような守り方を目指しましたが、マカラムに追いつけないシーンが増えてしまいました。

ところがブレイザーズもチャンスなのに3P外し、速攻外しで差を広げきれず。12点リードが最大。

そしてヌルキッチがベンチに下がると、再び反撃のグリズリーズ。打たせてもらえなかったショートレンジをクラークが決めれば、ジョシュ・ジャクソンがトランジションのドライブねじ込み。モーラントもドライブレイアップ。

さらにホワイトサイドの目の前にあったはずのリバウンドをジョシュとクラークが2本続けて奪う。で、結局はヌルキッチの登場です。

ヌルキッチがいればブレイザーズ、いなければグリズリーズという前半でした。

〇ディフェンスレーティング
ヌルキッチ 105
チーム   115

そして、ヌルキッチの名前が出まくったブレイザーズに対して、モーラントやJJJがあまり出てこないグリズリーズ。いつも通りのプレータイムシェアで特定の選手に頼らない構図を目指しました。

拘っていたように見えたバランチューナスも2Q残り7分くらいから出てこなかったし、持てる力を発揮することを目指したブレイザーズに対して、余力を十分に残していたのでした。

◎こうなることは・・・

後半もvsコリンズでドライブを仕掛けたモーラントに対して、後ろからブロックしたヌルキッチ。リラードとのピックプレーからスピンショットで&ワン。JJJからはハーデン式のファールドローを決めて、ヌルキッチ劇場で幕を空けます。

ただコリンズはJJJにファールしてしまい早くも4つ目。ヌルキッチへの負担が高まっていきます。

そしてJJJはヌルキッチを抜いてのドライブダンク。クラークはフローター。モーラントとJJJがオフェンスリバウンドをヌルキッチから強引に奪い取ってのゴール下。前半は全く許されなかったプレーが出始めます。全てを止めきるのはムリなのに、前半は殆ど止めていたわけだ。

開始5分。ヌルキッチ相手に3Pを決めたJJJで点差は2点に。追い込まれているチームの苦しさが見えてきた3Q前半です。

タイラー・ジェンキンスからすれば「こうなることはわかっていた」
テリー・ストッツからすれば「こうなる可能性はわかっていたけど、頼るしかなかった」

次はモーラント。vsカーメロで3P、トランジションを持ち込んでダブルクラッチレイアップ、そしてアリウープをぶち込み予定通りの逆転に成功します。鮮やかすぎるタイラー&モーラント。

コリンズのファールトラブルもあって、JJJとカーメロのマッチアップになっており、ならばマカラムにマークされているモーラント&JJJのツーメンゲームでシュートチャンスを作りやすいわけです。

困ったブレイザーズはファールトラブルのコリンズとホワイトサイドを出してくると見事にモーラントをブロックしたホワイトサイドなのですが、マカラムのドライブもJJJに叩き落されると、そこからのカウンターで戻ってこれなかったホワイトサイドに対して、ブロックした後で走り出したJJJがフリーになって3P。遂に二桁リードにしたグリズリーズ。

これで試合の半分は決まったか。。。と思ったら、後がないチームが意地を見せます。

コリンズとホワイトサイドがプットバック
リラードがステップバック3Pにロング3Pをファールドロー
ラストディフェンスに駆り出されたヌルキッチがモーラントの3Pをブロック
そしてコリンズが3P

これで一気に3点差まで詰める離れ業をみせたブレイザーズでした。この時間がプレーオフの命取りになったら、泣くに泣けないグリズリーズです。

◎意地が続かない

3Q終盤に不貞腐れた感じでベンチに戻ったホワイトサイドでしたが、4Q開始から起用されるとスピンムーブからの&ワン。これがブロックに飛んだ後でトランジションに参加したことで生まれたプレーなので、取り返したい気持ちがありそう。

カイルのノロノロレイアップもブロック。実際、ホワイトサイドがゴール下にいるのは嫌なんだよね。ただ攻略方法が多いだけ。

そんな弱点の1つを突くように、ホワイトサイドがしっかりとミートしなかったところをバランチューナスがパスカット。そのままルーズボールを取りに行きますが、そのコース取りがホワイトサイドを手で押さえたとして5ファール目でベンチへ。

なお、頑張ったけどホワイトサイドもベンチへ。残り9分以上あってカーメロ以外のスターターがコートに立つブレイザーズ。

モーラントが戻ってくると滞空時間の長いレイアップを決めて7点リードに。あれ、気が付いたらリードが広がっていた。リラードがよくわかんない3P打ってエアボールしたり、カーメロがホームランパスしていたからかな。

止められないリラードですが、ここに2枚がかりで向かっていくグリズリーズ。ファールギリギリで凌ぐような激しいプレッシャーをかけて自由を奪っています。当然誰かが空くわけですが、コリンズが中途半端なプレーをしてしまいます。

103点から3分の間、得点が伸びなかったブレイザーズ。これで終わるのか・・・となれば頼るのはまたもヌルキッチ。速攻に走ってファールドロー。ポストアップからねじ込み。

グリズリーズは上手くヌルキッチをゴール下から誘い出すプレーで3Pを打つのですが連続で決まらず、ちょっとずつ点差が詰まっていきます。一気ではないのがグリズリーズスタイル。

タイムアウト明けに、モーラントからクラークへの見事なアリウープが通りますが、クラークのジェスチャーにテクニカル。この試合はブルックスとマカラムが既にテクニカルをコールされていて厳重警戒になっています。

にも拘わらず、今度はコリンズがゴール下をねじ込んだ後に大学の同級生に向かって何かを言ってテクニカル。テクニカルとは思えない行為だったけどね。

◎真打の出番

モーラントが止められないブレイザーズ。アウトサイドディフェンスの弱さをみせつけられるように、モーラントのピックプレーに何もできません。

ヌルキッチが止められないグリズリーズ。ハンドオフフェイクからのドライブダンクも許し、手も足も出ない。

何はともあれ残り2分で1点差まで詰め寄ったブレイザーズ。しかし、JJJのドライブに何故か、カーメロもマカラムも近くにいたのにコースに入ってくれず、後ろから行ったヌルキッチが6つ目のファールをコールされます。→ゲーリー・トレントへ。

当然のようにリラードがドライブからのダブルクラッチレイアップで取り返すと、コリンズがボールを失いかける怪しいプレーによって運よくドフリーになったカーメロが3Pで逆転。

直ぐにドライブで返したモーラント。それをミドルで返したマカラム。

再びドライブでファールドローのモーラント。それに対してリラードがドライブ→マカラムへキックアウト→カーメロへエクストラパスで3P。本日の真打はカーメロか!

タイムアウトのグリズリーズ。まぁ止められていないモーラントだよね。あっさりとドライブを許すと、クラークへのアリウープで同点に。

ラストはリラード。が、またもキックアウトでドフリーのカーメロへ。これを・・・・・・・・決められずオーバータイムです。

◎ゲーリー・トレント

ヌルキッチの退場でモーラントになす術がないブレイザーズが、腹をくくってスモールラインナップにしたことでアウトサイドのフリーを作った構図でしたが、カーメロの2本の3Pがあってやっと同点でした。

ならばグリズリーズはひたすらモーラントで攻めるのが正解なわけですが、そういうチームじゃない事と、ゲーリー・トレントがマークになったことで苦労し始めます。ヌルキッチの穴を埋めたのが、まさかのトレントさ。

全く得点が奪えず、マカラムとトレントの3P、リラードのドライブで8点ビハインドになってタイムアウトのグリズリーズ。

ここで選択したのがオフボールスクリーンを使ってのブルックスの3P。タフショットになってしまい外れたのに対して、マカラムは1on1からのプルアップ3Pを決めて二桁リードに。これはタレントの差。

もう時間を使えばOKなので長々とアイソをしたマカラムのレイアップが外れるとリバウンドをコリンズ。でも、ゴール下を外し、もう一度食らいつくとファールになってしまい退場です。バカだ・・・ホワイトサイドが登場。

ということで、勝てないメンバーに戻った残り2分。簡単にカーメロからファールドローしたモーラント。さらにJJJがマカラムからスティールし、メルトンの速攻を作り出すも、ここでリラードが完璧にコースに入って肘打ちを受けるチャージドロー・・・と思ったらリラードのファールだってさ。

このフリースローの2本目が決まるとフルコートプレスにきたグリズリーズは見事にスティールし、後ろから来たJJJが3Pというパーフェクトプレーで残り1分3点差。

勝てないメンバーのブレイザーズ・・・あっという間に射程圏内かよ。

それでもハイパーリラード。1人でイージーにボールを運び、アイソからの3人のディフェンスをかわしてドライブレイアップ。あぁこれぞ真打。完璧。ハイパー。

で、この後のオフェンスでしっかりとボールを動かし、ゴール下でフリーになったホワイトサイドにパスしたら、ホワイトサイドは外しやがった。勝てないメンバー。

ゲーリー・トレントはモーラントのドライブをブロックして吠える→テクニカル。勝てないメンバー。

ってことでしたが、何とか勝ち切ったブレイザーズでした。

誰かもう1人ヌルキッチを連れて来てよ。ホワイトサイドもコリンズもヘゾニャも差し出すからさ。

〇ヌルキッチ
18点 FG5/11
9リバウンド 5アシスト
6ブロック

こんな数字なんて意味がないほどに全てがヌルキッチ次第だったブレイザーズ。でも得失点差が△2なのはビックリ。リラード29点、マカラム33点ですが、主役はヌルキッチでした。

〇ゲーリー・トレント
17点
得失点差 +20

そして、陰の主役。まぁリラード程は重要じゃないけどね。キラーディフェンダー役をしてくれるので重宝したいけど、こんな機会でもない限りは活躍しないかな。

〇ジャ・モーラント
22点 11アシスト
5リバウンド

〇ジェイレン・ジャクソン
33点 3P6/15
3リバウンド

そして大事な試合で後半に躍動した若き2人も称賛しましょう。モーラントを止めることが出来なかったし、JJJはヌルキッチの脅威をかわす役割を果たしてくれました。

ただリバウンドが少なすぎて、単なるシューターみたいなスタッツだな。

最後はリラードとマカラム(とカーメロ)のタレント力でブレイザーズが上回った試合でしたが、グリズリーズはそこを悔やむ必要はないんだ。

ブレイザーズはヌルキッチがいればチーム力があり、いなければ個人能力しかないチームなのでした。

サバイバル①ブレイザーズvsグリズリーズ” への3件のフィードバック

  1. ヨキッチ、サボニス、ヌルキッチとユーロ系センターで回るNBAってのも凄いですよね。時代。
    そのうち(優勝にはポイントセンター)みたいな時代が来ますかね。
    ストッツはホワイトサイドをヌルキッチ化させたいんでしょうけど、色々と限界が… 最後、あの場面でフローター打っちゃうあたり、IQ面含めて今後、終盤ではより使われなくなりそうです。

  2. あの酷いディフェンスを見たら、シモンズは使えない。使わないのは流石のストッツ。でもアリーザが居ないからペゾニャを使わないと駄目なのは辛い。トレントは使えるよ。ホワイトサイドは予想通り駄目で、来年は居ないでしょう。シモンズ、ペゾニャ、ホワイトサイドをカットして、アリーザとフッドが戻り、控えを2人位補強すれば、来年は楽しみかな?

    1. ガードが守れないのはブレイザーズ仕様
      でもそこにウイングまで守れないと今シーズンみたいになっちゃいますね。
      ハークレス戻ってくるかな?

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