ペイサーズvsシクサーズ

4位を目指した戦い

ホームコートアドバンテージがないのに4位を目指して意味があるのかって話ですし、6位だとバックスと当たるのはカンファレンスファイナルなので、そっちの方が良い理論もあります。まぁ選手達はそんなことを考えて試合なんてしませんよ。

この試合は開始時間を間違えてしまい、おきたらハーフタイムだったので後半を全部見て、前半を見ながらレポートを書いています。なので、クォーターごとに書くのではなく、全体の感想をまとめる形にしていきます。

丁度試合内容もそんな感じになりましたので。

◎ゲームプランか、無策か?

全体で感想をまとめる方が良い、っていうのは
「試合前半にこんな展開」→「後半に修正と対応」
みたいな要素がない気がしたからです。

それは忠実にゲームプランを守ったのか、それとも無策だったのか。傾向的に言うと両HCが無策タイプです。初めに決めたことを延々と繰り返したいタイプというか、選手にお任せしたいタイプなのです。その中で特徴的なのは

マクミラン(ペイサーズ)・・・個人技で解決することを志すから、それが失敗しても気にしない(選手への信用)

ブレッド・ブラウン(シクサーズ)・・・選手の組み合わせを変更して対応したい気持ちはある。でも対応するようなロスターにはなっていない

こんな感じです。シクサーズはTJマッコネル、ベリネリ、イリャソバがいた時はゲームのリズムを変えることが出来ましたが、今はそのタイプの選手がいません。スターター強化型だし。

で、ペイサーズにはそのマッコネルがいますね。

〇TJマッコネル
17分 8アシスト

実際に後半だけで5アシストのマッコネルはシクサーズの穴を突きまくりました。これが逆転への布石になったのですが、「シクサーズの穴」といいつつも「ワンパターンだったペイサーズのオフェンスに変化をつけた」の方が正解な気がします。

シクサーズは4Q残り9分で10点リードを得たのですが、そこから1分40秒の間にマッコネルが3アシストで3点差に持って行きました。この試合のターニングポイントは

単調だった展開に変化をつけたマッコネル

ということになると思います。じゃあ何が単調だったのかって話が始まります。

◎PFシモンズ

ベン・シモンズをPFにして、ミルトンをPGにする

そんな話がありましたが、噂の時点で嘘だと思ったら、やっぱりウソでした。ミルトンの方ね。逆にシモンズについてはインサイドに置くパターンを増やしているので「役割が中途半端」になっています。

・エンビードがいない時間にセンター役
・ペイント内でボールを持たせて起点役

この2つでシモンズを利用する狙いはわかりますが、ボールを持っていないシモンズなんて怖くないじゃん。しかもエンビードとホーフォードがいて、トバイアスもいるのにインサイドにいたら邪魔じゃん。

〇ベン・シモンズ
19点 FG8/14
4アシスト
4ターンオーバー

19点は誉めて良いのですが、そのうち6点がセカンドチャンスで4点が速攻。ハーフコートではフリースロー含めて9点なので、減ったアシストも考えると意味があったとは思えない。

ネガティブにいえば「シュート力がなくてアウトサイドで無意味」なシモンズですが
ポジティブにいえば「インサイドでもアウトサイドでもプレーできるフィジカルとスキルを持ち、優れたパサー&ハードワーカー」です。

ま、要するに「別にシモンズである必要がなかったんじゃないか」と思わせる試合内容でした。PFやらせるなら、もっと良い選手が他にいるって。ホーフォードとかさ。

〇得失点差
オンコート △11
オフコート +5

これが全てではないけど、価値を感じなかったってことです。ちなみにホーフォードはいろいろと上手かった。

〇3Pアテンプト
ミルトン 1
Jリッチ 1
トバイアス 8
エンビード 5

しかも、この数字さ。ペイサーズのディフェンス問題があるので後程触れますが、この数字だけ見ると

シモンズをインサイドにおいて、ガード陣は3Pを打たず、トバイアスとエンビードに3Pを打たせた。

って構図です。意味あるのそれ?

戦術シモンズの効率性は置いといて、本来はいろんな使い方をすることで、多様な攻略の起点になれるはずのシモンズを抱えているシクサーズですが、自分たちを固定化してしまっているように思えたのでした。

◎ブログドンとサボニス

ペイサーズは今シーズンの中心となった2人が欠場。致命的な状況でしたが、ここでスターターに選ばれたのがアーロンとジャスティンのホリデーブラザーズだったことが、功を奏します。

復帰してきたオラディポですが、チームを動かそうとするブログドンに対して個人で動こうとするので絡みがイマイチでした。しかもチームは2ビッグが基本だったので、スペースも狭い。

でも本日は4人の個人技ドライブとターナーみたいな構図になったので、オフェンスはわかりやすくピックなどを使ってのドライブスタートになったわけです。

しかもアスレチックなディフェンダーを並べたから走りまくるしか道がない!みたいな。ここにブログドンとサボニスがいると走る選手が足りなくなりがち。ウォーレンだけ。

〇ターンオーバー
シクサーズ 21
ペイサーズ 10

ドライブ中心だからミスが少ないペイサーズと、プレッシャーディフェンスでミスを誘うペイサーズと。ほぼペイサーズの考え方の中で起こったターンオーバーの差だったと思います。

ただし、速攻では13点しか取れず、しかも10点がウォーレン。結局はウォーレンだけでした。なので、ペイサーズの狙いは上手くいったとは言い切れないわけです。

また、意思統一がされたからわかりやすかったものの、このオフェンスにメリットがあるかといえば、そういうわけではありません。シュート成功のチャートを見てみましょう。

ドライブ中心のオフェンスだけど、キックアウトパスは出てきませんでした。そして殆どがトップから45度での仕掛けでした。こんなにわかりやすいのに、シクサーズは対応できなかったわけです。

ブログドンがいれば起点となるポイントを変えていき、サボニスがいれば両ウイングに大きくパスを振ったはずです。

また、ターナー、サンプソン、リーフとビッグマン達はドライブに上手く合わせることが出来ませんでした。エンビードにビビった面も含めて。サボニスがいれば、ペイント内がもっと増えたはずです。

でも、シクサーズは対応しきれなかった不思議な試合でした。

◎エンビードvsターナー

〇エンビード
41点 FG15/23
FT10/12
21リバウンド

一方でシクサーズのオフェンスも止まりませんでした。エンビードはほぼ完ぺきなスコアをしたと言えます。8本ミスしたシュートのうち3Pが4本なのでシモンズをインサイドに置かなければよかったのに。

実際には決めまくったというよりも、落ちてもリバウンドを押し込みまくった感じで9つのオフェンスリバウンドはペイサーズのヤル気を断ち切ってもおかしくないものでした。圧倒的だったエンビード。

しかし、そもそもペイサーズはどうなんだろうって話です。

エンビードが圧倒的なのは日常的ですが、止め方も一般化されています。一番大切なのはボールを持たせる位置をリングから遠ざける事。そしてフィジカルコンタクトが嫌いな選手なので、ボールを持っていなくてもペイント内に入る前にコンタクトしまくることです。

この試合で問題だったのは9つのキャリアハイとなるオフェンスリバウンド。とにかくゴール下にポジションを取られ過ぎたペイサーズ。

なんせ、ターナーはコンタクトせずブロックを狙うタイプなので、イージーに入り込まれました。シュートミスしてくれう可能性が高いエンビードなんだから、まずはコースをきってフィジカルに行くのが大切なのに、ブロックやカット系を狙いすぎ挙句にファールして退場だからね。サンプソンの方が体を張っていて良かったよ。

エンビードのパスフェイクにジャンプして抜かれるとかダメでしょ。

20分足らずのプレータイムでファールアウトだし、ディフェンスリバウンド0だし。ターナーも悪いけど、守り方的にこうなるのは目に見えていたので、無策なマクミランも悪い。

体を張る仕事をサボニスに任せすぎなペイサーズであり、サボニスがいないと工夫も出来ないのでした。

◎ホーフォードvs形だけゾーン

とはいえ、ペイサーズはゾーンをしてきました。特にエンビードとホーフォードが両方出ている時間はミスマッチになるということでゾーン。

・・・なのに、ローポスト抑えないし、内側にポジショニングされるんだぜ・・・

あまりにも酷かったペイサーズのゾーン。試合前に急遽伝えられたんじゃないかってくらいに、エンドライン側にフリーが生まれまくりました。しかも、人を抑えないからオフェンスリバウンドをとられまくり。

「ザ・形だけ」の酷いゾーンに対して、ホーフォードは弱点を見抜き、逆サイドからオフボールでエンドラインに抜けていくプレーを連発しました。

人をみないゾーンなので、同サイドのディフェンスが「そっち行ったよー」とばかりにホーフォードを離すのですが、背中からきたホーフォードよりもボールを見ているディフェンスなので、何度もドフリーになりました。

・・・が、パスが来ないシクサーズ。

〇ホーフォードの得失点差 △26

試合を観ていた印象ではホーフォードはほぼ完ぺきに攻略していたのですが、結果は残酷でした。ホーフォードの時間帯にシクサーズは完敗した試合です。

「ホーフォードが不調」みたいな記述もたまにありますが、そもそも個人で輝くタイプではなく、周囲との関係性で価値を発揮するタイプなので、シクサーズ自体が上手く利用できていません。

本日も個人アタックばかりのオフェンス(でもそれで成功する)状況だったので、見事な合わせをしていたけどスルーされていました。

攻略されても無策だったペイサーズの形だけゾーン
見事に攻略できるのに無策だったシクサーズのオフェンス

こんな風に映ったので、頭が痛くなったぜ

◎TJウォーレンの53点

一本調子だった試合で圧倒してしまったのがTJウォーレン。延々と得点を取り続けて53点の荒稼ぎ。器用なタイプではないウォーレンですが、だって無策だから正面突破を繰り返せばよかったんだもん。

〇TJウォーレン
53点 FG20/29
3P9/12
FT4/4

フリースローが4本しかなくて50点って過去に記録あるのかな?

2P11/17ですが、速攻で10点をとっているので、こっちはウォーレンらしさ。それに対して高確率だっただけでなく12本も打ちまくった3Pってのはビックリしました。

ウォーレンが決めまくったことはウォーレンを誉めるしかありません。こんなに決めてくるなんてシクサーズからしても予想外でしょう。

しかし、止めようはあったはずです。ドライブさせてエンビードのところに誘導すれば良いじゃん。でも、シクサーズは「対応は個人次第」なのでマークマンを変更するくらいしか方法がありません。

しかも、ペイサーズはオフボールのスクリーンを絡ませてくるので、個人で追いかけるのも限界があります。上記の通りペイサーズのシュート成功は偏っていましたが、それでもOKだった理由はシクサーズが対応してこなかったからです。

ウォーレンはすごかった。延々と決め続けていた。だって同じような位置から打たせてもらえるからね。

無策同士の戦いだと思った理由はここです。エンビードにしろ、ウォーレンにしろ、対応する方法論がある選手なのに、両チームが対応してきませんでした。

それでお互いに120点オーバーなんて、ディフェンス主体のチーム同士の対戦とは思えないものだったわけです。

◎オラディポとシモンズ

結果的に大して目立たなかった両者ですが、ペイサーズの方が上回った理由を挙げるなら

オラディポがいる前提での構成になっていたペイサーズ(で、活躍したのがウォーレン)

シモンズの使い方に悩んでインサイドに置いたシクサーズ(で、活躍したのがエンビード)

要はマクミランが「オラディポがプレーしやすい環境は何か」で進んだってことです。なお、上手くいったのはブログドンが欠場したからなので偶然だと思います。

さて、問題はシクサーズ。120点のハイスコアゲームとなりましたが、スターターを並べると

〇得点
エンビード 41
トバイアス 30
シモンズ 19
Jリッチ 4
ミルトン 0

シューターとして結果を残したミルトンはシモンズのコンバートと共に消えてなくなりました。動かないエンビードがアウトサイドに立っているとスペースがなくなってジャマだし、パスも来ないしでご立腹っぽい。

コンバートしたところで他の選手がアウトサイドから射貫くわけでもないオフェンスは根本的な修正が必要です。今まで以上にシモンズとエンビードが並び立たない形にしてしまた試合でした。意味わからん。

ということで、対応してこないので、感想的にはかなりネガティブな試合。それはお互いに「上手くいっていることを続ければOK」な試合でもありました。観てる分にはストロングポイントがわかりやすくて面白いよね。

ハイスコアで面白い試合がポジティブとは限らないよい例示でもあったのでした。

ペイサーズvsシクサーズ” への2件のフィードバック

  1. 4本ではないですが、2010年代にフリースロー5本以内で50点以上をあげたのはウォーレン、カリー、トンプソンの3人というTweetを見かけました。こんなところでもあの2人が出てくるのかと…(^^;;
    意外とプレーオフではウォーレンみたいな選手がキーだったりするかもしれませんね。

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