プレシーズン~ナゲッツのビッグラインナップ

革命的なナゲッツ!vsウィザーズ

〇八村塁
18点 9リバウンド

再開するシーズンに参加しないビールの事情もあって、ウィザーズの中心になることが期待されている八村が結果を残したプレシーズン初戦。

本来であればサマーリーグで中核を担って成長する時期に、こうやって真剣勝負の8試合をエース格として過ごせることは八村にとってラッキーなことです。このチャンスを大切にし、ステップアップを図りましょう。

しかし、そんな18点もかなりの部分がナゲッツの特殊な事情によって生まれた面がありました。この試合はナゲッツが特殊過ぎてウィザーズ側はリアクションサイドになったことは否めません。

ナゲッツのトライアルはプレーオフと将来に向けて、何かを生み出す可能性があるのでした。

◎ビッグラインナップ革命

マレー、ハリス、バートン、クレイグ、モリス、MPJが欠場のナゲッツは、残ったロスターがビッグマンだらけになりました。そこで本日のスターターは

PG プラムリー
SG ボル・ボル
SF ヨキッチ
PF ミルサップ
C  ジェレミ・グラント

こんな状態になりました。ビッグラインナップであることは、試合前のスターター発表でわかったことですが、試合が始まると更に奇妙なことにプラムリーがPGで、ヨキッチと2人でボールを運び、ゲームを作っていったのでした。

さて、ナゲッツはなんでこんなことをしたのか、本日はガチ記事っぽく考えてみましょう。

Q1.なぜ、プラムリーがPGなのか
A1.マークしているのがセンター(トーマス・ブライアント)だから

実はスキルフルでハンドリングもパスもあるプラムリーですが、PG役になった最大の理由は単なるマークマンの関係です。確かに、本職ガードにマークされている選手が平面で運ぶよりもプラムリーに任せた方が堅実です。

ヨキッチはフリーランスなポジションなので、2人でトップとハイポストの関係性でパス交換し、オフェンスを構築していきました。なお、ヨキッチがいない時間もプラムリーはPG的に振舞いました。

〇メイソン・プラムリー
5点 FG1/1
3リバウンド
5アシスト

ということで本日はアシストが最も多いというセンターとは思えないスタッツを記録したのでした。一応、センター登録だったプラムリーに対して、ガード登録だったのがジェレミでした。

Q2.何故、ジェレミがセンターなのか
A2.マークがPG(ネイピアー)だったから

ヨキッチがPGやってくることは想定したであろうウィザーズですが、”最も小さい”ジェレミがガード的に振舞うと思っていたはず。だからネイピアーがマークするので、ポストアップしていたジェレミが実質のセンター役でした。

試合開始から「やってらんねー」って顔をしていたネイピアー。そりゃそうだ。

プラムリーとジェレミのポジションが想定と逆なのは、マッチアップの関係だったと言えます。そしてジェレミの方は途中からガード的に振舞う時間も出てきているので、あくまでもマッチアップの関係でセンターをやっていた試合開始直後だったことがわかります。

トータルでナゲッツがやっていたことは

自分たちは誰でもオールラウンドにプレーできる
マッチアップによって役割を変える

常にミスマッチを利用することを考えた布陣だったわけで、ナゲッツの戦い方は理にかなっていたのでした。それはマイクロボールで常にスピードのミスマッチを作っているロケッツと同じ発想かもしれません。

ボルボル以外は問題なくアウトサイドでプレーできるナゲッツのビッグマン達が作り出す形は未来形だったかもしれません。だからビッグマン革命と評したくなるのでした。

Q3.ナゲッツはこの形をプレーオフでも使ってくるのか
A3.使ってこない

そんなに論理的ならワンポイントリリーフ的に使ってきても良さそうですが、たぶんやりません。理由はとってもシンプルで

ヨキッチ、ミルサップ、ジェレミ、プラムリーの主力ビッグマンを同時起用したらスタミナロスに繋がる

プレーシェアさせるメンバーを同時に起用しちゃダメだよね。だからナゲッツはこの形をやりません。ガード陣がいないので致し方なく使っただけです。特にこんな機会でもないとボルボルにプレータイムを与えられないからね。

では、全てはこの試合だけの特殊なトライアルだったかというと、それも違う気がします。初めに交代したのはプラムリー→トロイ・ダニエルズでしたが、マイク・マローンはトライアルを継続していきました。

◎ジェレミとゾーン

ナゲッツは1試合を通してゾーンを使ってきました。メンバー的にも致し方ないわけですが、ここが本日最大のトライアルだったのかと思います。ボルボルを隠れ蓑に、プレーオフの準備をしていたと捉えるのが自然です。

ビッグマンが多い故に3Pに対しては飛びまくり、抜かれても分厚くカバーするゾーンを敷きました。

〇ウィザーズのFG
2P22/51
3P 9/34

もともとウィザーズの確率が低いことに意味があるのかわかりませんが、機能したとはいえます。キーになるのは前の2人が大きいことで、特にジェレミはスピードもあるだけに特殊な存在となりました。

ジェレミにゾーンの前をやらせ、3Pを止めるためのトライアルをしていた

おそらくナゲッツがやろうとしていたのは、ここではないかと。それはビッグマンのローテとヨキッチのダイエットにも関係してきます。プラムリーにPGやらせたことも含めてローテとしては

ヨキッチ ⇔ プラムリー
ミルサップ ⇔ ジェレミ

こうなるわけですが、ジェレミに前をやらせるには、もう1枚ビッグマンを使いたくなります。本日はそれをボルボルにやらせたわけですが、通常ローテに当てはめてみると

ボルボル → MPJ
ミルサップ → クレイグ
プラムリー → マレー(バートン)

こんな匂いがします。ジェレミを前に置き、後ろの両サイドをヨキッチとクレイグでカバーさせる構図です。ヒートはデリック・ジョーンズとバトラーを前に置く必殺ゾーンを持っていますが、ナゲッツはジェレミの特性を生かしたい匂いがしています。

「ビッグマンを並べてゾーン」というわかりやすい構図の中には、実践となるプレーオフに備えた準備の1つになっていた気がします。だからこそガードが出てきてもゾーンを続けたのかと。

ヨキッチもウイング側を守るだけの運動量を試された気がします。

◎ボルボルと八村

1年前のドラフトで注目されていたボルボルは20位前後での指名が予想されていましたが、予想外に9位で指名された八村に対して、延々と指名されず44位まで残ることになりました。

18点 9リバウンドだった八村と同等の結果を残したこの試合のボルボル

〇ボル・ボル
16点 10リバウンド
6ブロック

しかし、(6ブロックはともかく)数字とは違って44位まで残った理由を明確に示してしまう試合にもなりました。

・ディフェンスのポジショニングが悪い
・オフェンスで動きを作れない
・ハンドリングが怪しく、トラベリング連発
・リバウンドの反応が悪い

とにかく戦術力が低いのでボールをみているだけみたいなことが多かったボルボル。オフェンスではナゲッツ流でパスが回ってくるから良かったけど、フリーになる動きが混じりませんでした。かといって、ドライブするとトラベリングさ。

10リバウンドはとったけど、反応は悪いので、八村が4つのオフェンスリバウンドを奪っています。ちなみにビッグマンを並べたのに13のオフェンスリバウンドをとられたし、小さなトロイ・ダニエルズが6リバウンドをとっているので、高さだけじゃダメなんです。

前述のとおり、マイク・マローンはもう1人ビッグマンを起用して3ビッグにしたいのだと予想しています。だからボルボルが選ばれる可能性もあるのですが、不安要素が多過ぎる結果になりました。

かといってボーンレイも悪かったし。一番良かったのはタイラー・クックでした・・・って誰だお前は!?

そんな感じでブロック数に反してディフェンスもアレだったボルボル。ゾーンを続けたナゲッツに生じた隙間を八村が上手く飛び込んでいきました。

ボルボルの動きと八村の動き両方を追ってください。そして1本はブロック力の低いヨキッチの問題もありました。だからもう1枚使いたいんだろうな。

そんなわけで上手く隙間を使った八村は賞賛してよいのですが、ナゲッツのディフェンス事情が生み出したチャンスが多かったことも事実です。

「エースとしての経験を」という意味では、八村が出来なかったのではなく、ナゲッツの事情がやらせてくれませんでした。そんなリアクションオフェンスになってしまったね。

◎その他のウィザーズ

八村は得点を増やしましたが、ウィザーズ的には主としてゾーン攻略だったので、個人が目立つ感じになりませんでした。ゾーンの攻略としてはそこそこ上手くいっていたと思いますが、最後にブロックが飛んでくるのがどうにもね。

イシュとネイピアーが逐一、上手さを発揮していましたが、そこは初めから分かっている部分です。それに対して若手のジェローム・ロビンソンやアイザック・ボンガは、よくわからなかった。

ビッグマン達は隙間を攻めるので、そこそこ見ることが出来ましたがトーマス・ブライアントは8分もプレーしなかった。よくわからん。

唯一、トロイ・ブラウンだけは優れた素養を見せましたが、これもまたハンドラーとしてだったので、イシュとネイピアーがベンチに下がってからがメインでした。

ビールもいない状況でエース的に振舞えるかが八村のチャレンジですが、トロイ・ブラウンにとってはより重要な時期になるかもしれません。

◎その他のナゲッツ

ビッグマンを並べたナゲッツでしたが、結果を残したのはトロイ・ダニエルズでした。3年前みたいなシューティングモンスターっぷりを発揮しました。3年前だっけ?忘れたな。

ビーズリーを放出したことでシューターがいないので、ダニエルズが必要な時間は出てくるかもしれません。まぁマレーとハリスにバートンもいるから、殆ど出番はないのですが、短時間でも打ちまくる特性を発揮して欲しいものです。

ミルサップが3P0/5です。大丈夫かベテラン。そしてヨキッチとの相性の悪さを存分に発揮し、パスは合わないわ、完全に「打て」というヨキッチのパスでフェイクして打たなかったり。逆にしっかりとカッティングで合わせたけど、ヨキッチからパスが来なかったり。3年前みたいな相性の悪さを感じたのでした。3年前だっけ?

以上ですが、次の試合はマレー達は出てくるのでしょうか?

プレシーズン~ナゲッツのビッグラインナップ” への2件のフィードバック

  1. ボルボルはNBA1試合目だし、ディフェンスのポジショニングは悪いけど、まぁこんなものかなぁと思って見てました。トラベリングも慣れればすぐ改善できる部分なので、あんまり不安には感じなかったです。とりあえずスピードは無いけど、詰めた時の高さが驚異的なのと3ptはそこそこだってことが分かったので、4年くらいのスパンで成長見守りたいです。バンバの下位互換に終わるかもしれませんが。

  2. いやぁ~面白かったです。
    ヨキッチのディフェンス観てるだけで面白かった。

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