ヒートvsマジック

◉分業ではないデリック・ジョーンズ

最近は負けることが増えたヒートですが、そもそも今シーズン好調な最大の理由が「健康」だったりします。そしてもうひとつの理由が「分業制のスターター」と評しました。

バトラーとアデバヨがインサイドを攻め立て、周囲をシューター達でフィニッシュするのは、バトラーの特徴を大いに生かしてくれています。しかし、メイヤーズ・レナードを欠くとバランスが崩れ始めました。

本日の代役はデリック・ジョーンズ。試合開始から、見事にインサイドを使い、そこにマジックディフェンスが寄ったところでパスアウトするヒートなのですが、コーナーにいたのがデリック・ジョーンズだと設計的には苦しめです。2分間無得点だったヒート。

それでもアデバヨとバトラーのインサイド合わせで初得点すると、レナードに比べたらオールラウンドなデリック・ジョーンズはウイングからインサイドに飛び込むプレーでレナードにはない形をもたらしてくれました。論理的ではないけど、悪いことばかりではないよ。

そうして苦しんだ序盤にインサイドを押し込んでいくと、中盤にダンカン・ロビンソンがコーナーから3P。ベンチから登場したドラギッチも3P、そして1Q最後にもダンカン・ロビンソンがタフな3Pを決め、30-26と逆転して終わりました。

ちょっとバランスの悪かったスターターに対して、ベンチメンバーが増えてくると、ドラギッチをスコアラーの役割に回し、イグダラがPG役になるパターンが出てきたので、クラウダーとオリニクも含めてスポットシューターになれるタイプを並べながら、ドラギッチやダンカンといったオフボールで動くシュート力のある選手を活用するような形に落ち着き始めました。

うん、もう1人ダンカンが欲しいよね。地味だけど、次第に戦術的に欠かせない選手になってきたダンカン。あるいはダンカン、バトラー、アデバヨといったいろんな選手の役割をベンチから引き継ぐドラギッチの便利さか。

2Qになると3P打ちまくりのチームに変貌するヒート。バトラーとアデバヨのチームとは思えないぜ。

◉ダンカンとロス

ベンチメンバーの方が良くなってきたヒートに対してマジックは苦しみ始めます。オフェンスが形にならず、トランジションでのシュートに頼ることに。もっとも、もともとそんなものか。3P決めまくるダンカンとタフでも決めるドラギッチによって15点差にするヒート。

そんなわけで早めに戻ってくるブセビッチ。この人がいれば、ハーフコートがオフェンスっぽくなります。もうセンターはユーロから連れてこないとダメだよね。

ゴードンとの合わせでインサイド側に連携が出来ると、それとはあまり関係なくロスとフォーニエがタフショットを決めていくいつもの流れ。止まっていた得点が流れ始めます。

ただダンカンが止まらない。

〇前半のダンカン・ロビンソン
21点 3P7/8

専門家らしい3Pオンリーでの21点でした。これを止められるのはスポルストラしかおらず、長くコートに残したのでベンチに下げざる得なくなります。

ここからはマジックの反撃の時間に。こちらはロスが止まらない。ベンチから出しているからプレータイムも問題なし。個人技タフ3Pを決めまくる厄介な6thマン

〇前半のテレンス・ロス
20点 FG7/9
3P4/4

お互いのアウトサイドスコアラーが取りまくった前半。止められない3Pで守らせてもらえませんでした。どちらかといえばマジックとしてはロスの個人技に頼るのは日常なので、穏やかに爆発待ちした感じかな。

ともにFG50%オーバーの前半でしたが、3P13/23だった分だけヒートが優勢に。60-55と5点リードでした。

ただ内容的には15点差まで広がったのが50-35だったのですが、そこから10-20なのでスターターになったらマジックに軍配が。総合的にはヒートのベンチメンバーに軍配があがった前半だったのでした。

◉なんとなく互角

ヒートのスターターがあまり上手くいかない理由にアデバヨがブセビッチの要所を抑える守り方に苦戦していることがあり、タイミングの良い裏パスこそ出すものの、大人しめです。バトラーの方はアタックしてファールドローもするけど、好調なシューター達に打たせることを望みます。

逆にマジックはゴードンとブセビッチのペイント内推し。なので比較的安定して加点するマジックと、少し波があるヒートに。点差は動くけど、なんとなく互角。

しかし、マジックが速攻を決めたところで6分が経過したのでヒートがタイムアウト。オフィシャルタイムアウトのタイミングが悪い方に転がってタイムアウトあけもマジックの得点で逆転します。ささいな動き。

ただし、その後のマジックはブセビッチのシュートが外れ、そんなに続いたわけではありません。MCWがコーナー3P、ドライブレイアップと決めていくも、オリニクとドラギッチが3Pで返していく。なんとなーく互角の展開。

それが残り2分過ぎてからタイムアウトをとったマジックの得点が止まります。結局ヒートが再逆転して4点リードで終わった3Q。ほぼ互角で推移していったのですが、お互いにタイムアウトを取った前後でやられてしまうというHC的には嫌な展開でした。

3Qもお互いにFG50%オーバーと高確率でシュートは決めていき、そしてやっぱりスターターはマジックで、ベンチはヒートだった3Qなのでした。

◉23回

イグダラがコーナーから3Pを決めたヒートですが、そこから3Pが止まります。MCWがオフボールでダンカンを激しく追いかけ、シュートを打たれる前にファールで止め。それ以上に3Pに拘るようにインサイドが足りないヒート。ダンカンにまとわりついているのだから、インサイド使わないと。

マジックはまたもロスが連続3P。ヒートがスモール気味なのでブセビッチのポストも使って優位に立とうとします。

でも、そう思ったらオリニクが3Pにインサイド合わせのレイアップ。ファールされたと思ってミドルを放り投げたら、ファールコールされないけどシュートは決まる。アンラッキーなマジック

スターターの多くが戻ってくると、ゴードンとバトラーの戦いをバトラーが優位に立つのですが、またも関係なくタフショットで決め返すロス。激しくリードが入れ替わります。ちなみにこの試合は23回リードが入れ替わりました。でも同点は4回でした。3P多いからだな。

残り4分。その3Pを決めたはまたもダンカン。さらにバトラーのキックアウトからドラギッチも3Pで久々に7点リードにします。

じゃあマジックはどうするって?もちろん、ロスが行くぜ。ドライブで切り崩すロス。もうちょっとチームオフェンスにならないのか、とは思うのですが、ブセビッチとアデバヨがお互いを消しあっています。

バトラーはまたもドライブからキックアウトでコーナーのクラウダーが3P。マジックのディフェンスが収縮してくる事がゲームプランだったんだろうね。それくらい徹底してコーナーにパスを出しているバトラー。

マジックはまたロス。他の選手が打つと外れる。バトラーも自分で打つと外れる。

残り40秒で5点ビハインドのマジックはブセビッチのフックでシンプルに得点して3点差。ヒートはバトラーのアイソレーションを仕掛けますが、これが決まらず。リバウンド争いでブセビッチの肘がアデバヨの顔にヒットしますが、ノーファールの判定で、マジックはラストオフェンスに賭けます。

残り9.6秒のオフェンスで3点差なので、3Pを守りたいヒート。フォーニエがボールを持ちドリブルするとレフリーがデリック・ジョーンズのファールをコールします。コールされた本人に全くその意識がないファールであり、ファールされたフォーニエも「3P打ちたかったのに」というお互いに不幸なコール。

やり直しの6.2秒。ボールを持ったのはコーナーのゴードン。強引に3Pを打ちますが決まらず。ロスとフォーニエを選ばなかった選択が裏目に出たのでした。今シーズンは若手優先の時があるよね珍しい。

〇テレンス・ロス
35点 FG12/18
0アシスト、0リバウンド

0アシストって・・・なロスですが、こうして個人技で得点させるプロ。いわゆるインスタントスコアラーですが、その割には他のチームから引き合いがなかったのかね?

〇マジック FG44/84

こんなに決めたディフェンスのチームなのに負けてしまったら、どうしようもないね。マジックにとっては運の悪い試合だったとも言えます。予定通りのロスの爆発だけど、ヒートの3Pが良すぎた。

〇ヒート 3P22/44
ダンカン 9/12
ドラギッチ 5/9
オリニク 3/3

そりゃあイグダラ先生もやりやすいわけだ。

マジックは27勝35敗だけど8位。なんだそれ。上を見てもネッツ以外は抜けそうにないし、下を観たらウィザーズには追い抜かれそうにないし、そこそこ若手を使って伸ばさないとね。

だけどフルツは良くも悪くも目立たなかった。それは個人で無理に得点しに行かなかったからだし、チームで絡まないからシュートしないときはPGかどうかもわからん。だれかが爆発するの待ちな考え方は、そこそこの成績なら残せるから8位なんだろーね。

◉完成は先のヒート

足踏みをしていたヒートですが、その時間は無駄ではなかったようで、ベンチメンバーのプレーバランスが驚くほどに改善していました。持て余していた感じのイグダラがドラギッチとダンカンによってフィットし始め、クラウダーとオリニクもいるのでシューティングユニットを扱うプレーメイカーに戻りました。

イグダラとクラウダーのコンビで守るシーンもあり、ベンチの層が厚くなったのはポジティブです。ちょっとヒーローの居場所がなくなってきましたが、そこはダンカンやナンとの争いか。

その意味ではポジティブですが、本来はイグダラとクラウダーを加えてディフェンス力強化というか、ピンポイントで守るためのユニット構成が目的だったはずです。

スターターとベンチがそれぞれバランスよい

のでは意味がないよね。オールラウンダーを混ぜて、相手との相性や試合展開によってユニットの組み合わせを変える戦い方をしたいはず。まだここまでは辿り着いていません。

ダンカン・ロビンソンがもう1人欲しい、という試合でもありましたが、そもそも専門家的な選手は特定の役割にハメられているので、相手との相性によっては厳しいし、ケガ人に弱いよね。

そういう意味合いでオールラウンドにプレーできる選手を獲得したはず。プレーオフまでもう一歩詰めていく事がありそうなヒートでしたし、エースキラーを必要とする相手との試合を観てみたいのでした。

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