ジャズvsマブス

非常に面白い試合だったので雑感スタイル

ジャズが突如としてオフェンス力向上した理由が何かって質問にゴベアーのスクリーンだとか、なんだとかお答えされたらしいスナイダーですが、まぁぶっちゃけ一番の理由はコンリーが離脱してドノバン・ミッチェルをPGとし、イングルスをスターターに入れた事だよね。

1年前もルビオが問題になってきたら、同じような形で結果を出していたし、コンリーって要るのかな?問題にもなりそうです。

そんなジャズですが試合序盤はドノバン・ミッチェルはPG役に徹し、パスによってシューター達を有効活用すれば空いたインサイドのゴベアーにパスを通していきます。十分にフリが効いてきた勝負所は自分で得点するのがスーパーエースの余裕っぷり。

一方のマブスはドンチッチの脅威から始まるオフェンスで崩し始めると、整えられた合わせのインサイドプレーと適切なポジショニング&パッシングによる3P攻勢が得意パターンです。ドンチッチの脅威とみせかけてチームオフェンスの秀逸さが得意のフィニッシュパターン。ジャズとは逆ってほどではないけど、ストーリーの順番は異なっています。

そしてこの試合の序盤は、お互いがお互いの事を理解しての対応ディフェンスでした。つまりエース視点で書くと

ドンチッチに打たせたくないジャズ(パスを出させろ)
ミッチェルに打たせに行くマブス(パスを出させるな)

本来はPGではないミッチェルなので、このパターンを仕込むのは相手にとって難しい要件でしたが、ハンドラーやってくれるなら「お前が打てよ」と誘導は可能です。若い両エースを巡る攻防から試合が始まるのでした。

◉決めるドンチッチ

オニールにマークされたドンチッチでしたが、1Qだけで12点とジャズの狙いを打ち砕きます。といっても速攻が混じっているので完全に打ち砕いたわけではありませんが、オニールをスクリーンで引き剥がしてインサイドアタックのパターンです。

本来はこれをゴベアーが待ち受けるわけですが、3P2/3のポルジンギスがそれを許しませんでした。2on2でドンチッチを抑えきるわけでもなく、ポルジンギスも空いてしまう。スイッチして1on1に誘導するわけでもなく。結果的にどっちつかずになっていったジャズのディフェンス。

微妙な判断の部分で正解を導いていくドンチッチのプレーメイクが光った1Qはマブスオフェンスが完全に上回り、ポルジンギスと交代するクリバーも3Pを決め、ジャズに守ることを許さないパーフェクトなオフェンスで36点を奪いました。

◉見事だったゴベアー

しかし、ゲームプランを諦めたジャズは開き直ったような守り方に移行しました。それは大きく2つの対策でした。

①ドンチッチ担当をオニール→イングルスにして、そもそもスクリーンを避けることを目指す

②スクリーンにかかったらミスマッチを怖がらずスイッチ対応

ディフェンスの良いオニールに対して、イングルスの特徴は大胆な角度でマッチアップしていくのでスクリーンをかけるのが難しくなります。先読みディフェンスのイングルスによってマブスオフェンスの狙いを外しに行きました。

これはオフェンスの狙いを外すことには成功しましたが、ただ単にドンチッチにドライブでぶち抜かれることに繋がりました。それはオニールならもう少し守れただろうけど・・・ってことで終盤になると再びマッチアップを戻しています。これはこれで違う要素を生み出しましたが、後ほどね。

〇ドンチッチ
25点 2P8/15
7アシスト

この数字の捉え方が難しいのですが、ドライブでのイージーな得点が増えたけど、その割にはアシスト数は伸びなかった部分もあります。ディフェンス側を評価できる数字ではないけど、ジャズの狙い変更が引き起こしたインサイドゲームでもありました。

一方で②が混ざったことで、思い切ってドンチッチvsゴベアーを受け入れたジャズ。ドンチッチはドライブしても最後の最後でゴベアーにブロックを食らうことも出てきました。2ブロックFG2/6にしたゴベアーがこの試合のMVPだったと思います。

マブスにとって誤算というか、苦しかったのはドンチッチvsゴベアーではなく、スイッチによって生み出された高さのミスマッチをほど活用できなかったこと。主としてポルジンギスですが

〇2Q以降のポルジンギス
7点 FG3/9
0リバウンド 3ターンオーバー

ゴベアー相手の方がまだ楽だったポルジンギス。そもそもジャズの守り方はしっかりとペリメーターでプレッシャーをかけ、インサイドでゴベアーが待ち構える形ですが、1Qのポルジンギスによって許されなかった守り方になりました。それがミスマッチにしたはずが単に止められる形に。

ということで、ポルジンギスの課題は継続中。ドンチッチvsゴベアーは多少の運の悪さもあった内容ですが、エースのところで崩す形に少しずつ困り始めるマブスになりました。

◉変更されたローテ

マブスディフェンスが周囲への警戒を強めておき、ミッチェルから出るパスを優先に守ろうとしたことで、いつも以上に序盤から自分で打つ必要が出てきたPGミッチェル。1Q8点とそこそこ対抗していましたが、自らの凡ミスもあって3ターンオーバーでアシストはゼロ。

ジャズと違いマブスのディフェンスはゲームプラン通りの入り方になりました。それはどこから崩れたのかっていうと、ちょっと判断が難しい案件になります。

基本的に2Qにジャズが追い上げたのはゴベアーがオフェンスリバウンドも押し込むなど攻守にわたる奮闘をしたことでした。ただ、趣旨として「ミッチェルにやらせる」のがマブスの狙いだと捉えるならば、狙いが崩れたのはジャズのローテーション変更だった気がします。コンリーが戻ってきたことで前半のローテが

ミッチェル(1Q中盤)→コンリー→両者(1Q終盤)→ミッチェル→コンリー→ミッチェル(2Q後半)

おそらくプレータイム制限があるであろうコンリーゆえの変則ローテですが、マブスが用意したディフェンスはベンチメンバーになると個人で守り切れる選手が足りず、スターターに戻ったらミッチェルがいない状況になりました。

なので、自然消滅的にマブスの狙いは消えてしまいました。前半のミッチェルはFG4/12とマブスは完全に戦略で上回ったのに、気が付いたら戦略と関係ない形になっていたよ。

◉膠着状態

後半になると試合は膠着状態に。前半でそれぞれの狙いを出しているので、ハーフタイムで修正してくる両HC。なので、見事に決めきるシーンもあれば、止めきられるシーンも出てきました。

そんな中でゴベアーのゴール下の奮闘に耐え切れなくなったポルジンギスが5つ目のファールでベンチに下がります。基本的に前半はマブスの狙いの方が機能していたわけですから、ビッグマンが減ったことで流れはジャズに傾き始めるのでした。

しかし傾いたころに出てきたコンリー+クラークソンがFG1/7だったので追い上げも出来ません。ベンチメンバーで苦しむぜ。

マブスはポルジンギスのところにマルヤノビッチが登場します。「この流れだと3Pのないマルヤノビッチになったらオフェンス崩壊だろう」と思っていたら、ちゃんとマルヤノビッチ仕様になっていくマブス。『スイッチさせたらゴール下』をちゃんと狙うので、せっかくポルジンギスを5つにしたのにメリットを享受しきれませんでした。

ってことで、3Qはなんとなく終わります。

◉最後はミッチェルなのか

ジャズの基本路線の終盤ですが、本日は「最初にミッチェル」をやらされたことで調子がくるってしまいました。ところがそれってマブスも理解しているって事で、ミッチェルへの警戒を強めていくと、他の選手から崩し始めました。

積極的にウイングにパスを出していくミッチェル。するとドライブに行ったオニールの動きをドンチッチが完璧に読んだディフェンスをするのですが、クロスオーバーで持ち替えたオニールが上手く抜け出し、ブロックが飛んできたところでゴベアーにアシスト。珍しいオニールとゴベアーで崩しきってしまったシュートで同点に。

その後もジャズはマッチアップ変更を促し、ボグダノビッチvsカリーを作ってアイソレーションを連発します。最後はミッチェルじゃないじゃん。

一方でドンチッチのマークがオニールに戻ります。このオニールのディフェンスにドンチッチは大いに困りました。大いに困ったんだけど、だったらスクリーンを使うよね。でもスイッチのゴベアーにも困らされているしな。

マブスはオニールを剥がす前に、オフボールでゴベアーのマーク変更を促し、二回のスクリーンでイングルスなんかを狙う作戦に。ただし、その狙いはドンチッチの1on1だけじゃなくて、ゴベアーvsフィニー・スミスにしておくことで、パスアウトから3Pとドライブを使いやすくしました。芸が細かいぜ。

ところが、結果的にドンチッチから出てくるパスでドフリーになったけど決めきれなかったフィニースミス。ハーダウェイとカリーは決めていたけど、スクリーンの部分では使いにくなったんだろうね。「狙ったこと」は出来たけど決めきれませんでした。

一方で接戦となった終盤にミッチェルはクイックショットで3Pを連発。ドライブせずにアウトサイドから打ち切ってくることを選ばれたので、マブスとしても誘導しにくいものがありました。

採取的に5点差で勝利したジャズ。それはこの試合でジャズが得た最大得点差でした。最後の最後にまくりきったミッチェル。マブスの狙いが機能しアドバンテージをもたらした試合でしたが、終わってみればいつも通りの形になりました。

自分たちのストーリーを崩されたジャズが違う形で紡いでいったことで、最後に元に戻ることが出来た一方で、自分たちのやり方を上手く使っていったマブスが最後の一手で失敗したのは切ないものもあったね。

ジャズvsマブス” への4件のフィードバック

  1. お疲れ様です。
    今年のマブスは接戦に弱すぎますね。確かOTも全敗でしたし。
    勝っていて最後まくられるのが多いので、クロージングが下手なのですが、若さゆえなんでしょうか?
    今日の試合は、4Qのクリーバーのオープンの3Pが一つでも入っていたらというのと、FT落とし過ぎたなあと思います。
    シーズン前から考えるとかなり頑張っていると思うのですが、勝ちきれないのを見ると歯がゆいですね。

    1. うーん、この試合を見る限りは接戦になると勝負弱いというよりも、ネタ切れになる感じに見えます。ジャズはあれやって、これやって、対策されても最後まで手立てがあったので。
      マブスはまだ、そこまで手をつけるのではなく、基本的な戦い方を徹底しているイメージです。

  2. ゲームレポートありがとうございます。
    昨シーズンまではオフェンスでファンブルが多かったり、飛んでファールを無駄にしてしまったりとあまり安心して見ていられない部分が目立ったゴベアでした。だからフェイバースがNOPへ行った時は正直キツイなと思っていました。(今でも彼がいたらとは思いますが…)でも、今シーズンはダイブのタイミングや攻守におけるポジショニングのさらなる改善など、安定材料に成長していてうれしいかぎりです。
    昨シーズンからポジショニングの向上は見受けられていましたが、今シーズンに入り劇的にプレイヤーとして成長した気がします。管理人さんは今のゴベアをどう見ているのかお聞きしたいです。

    もう一つ。ここまでは、スケジュールに恵まれ、サイズのある強豪と当たってこなかったため補強が一応は上手くいっているように見えていますが、正直これからPOを勝ち抜いていくにはガードを減らし、サイズのある選手を入れることも必要かなと個人的には思っています。(チーム事情として、勝ち星が付いているため動きにくいというのはあると思いますが。)管理人さんは、ジャズの補強についてはどうお考えでしょうか。
    長々と失礼しました。気が向いた時にでも返信いただけるとありがたいです。
    これからも拝読させていただきます。

  3. 是非、jazzが煮え湯を飲まされ続けてきた、コービーの特集してほしいです。悲しすぎる

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