ディンウィディと足りないガード

アトキンソンのネッツは高額サラリー3人を欠いた火の車状態のはずだ

カイリーが加入するだろ。そしたらディアンジェロは移籍するしかないだろ。でも、カイリーじゃアトキンソンのオフェンスは理解できないだろうから、オレの出番が増えるんじゃないか!?

そんな悪だくみを抱いたかは別にして、スペンサー・ディンウィディはネッツのリーダーとして強烈にチームを引っ張り上げているのでした。カイリーとKDという2大スターを欠き、ついでにサードオプション(予定)のラベートは今シーズンも離脱したので、チーム最高のスターという座を手にし、ネッツをひたすらネッツらしくしているのでした。

〇ベンチ⇒スターターの変化
プレータイム 26.1⇒33.2
得点     17.1⇒25.6
FGアテンプト13.5⇒19.5
アシスト    4.6⇒ 7.2

プレータイムとしては7分伸びただけなのに、6本のアテンプトと2.7本のフリースローを増やして得点を8.5点も増やしながら、アシストも2.6本も増やしてしまったディンウィディは、ただただチームの中心。全てがディンウィディから始まるのでした。

4勝7敗だったチームはディンウィディがスターターになってから12勝8敗と一気に5割を超えてきました。うん、でも、12勝8敗はちょっと微妙な数字でもあるね。15勝5敗とかなら「カイリー不要!」と声を大にして言えるのにね。

その良さをいろいろと語りたいところですが、1年前にも語った気がするので、そこを中心にするのは止めておきましょう。そうではなくてチームとして何が起こっているのかが大切です。まずはネッツのカイリー離脱前⇒後の変化です。

〇レーティング
オフェンス  108.5⇒105.3
ディフェンス 111.0⇒104.9

非常にわかりやすいですね。ディンウィディがスターターになって劇的にディフェンスのチームに変化しました。オフェンスではよい数字を残していたカイリーですが、ディフェンスが悪すぎたわけです。これをディンウィディ個人のレーティング(カイリー離脱後)と比較すると

〇オン/オフレーティング
オフェンス  110.5/90.0
ディフェンス 107.4/96.1

オフコートでディフェンスが100を切るのは謎なのですが、一番の特徴はオフェンスがカイリーとそん色ないことです。そのうえでチームは守れるようになったということ。ちなみにカイリーのオフェンスレーティングは110.4です。

しかし、カイリーとディンウィディの個人スタッツを比較すると「?」が浮かんできます。

〇カイリー⇒ディンウィディ
得点 28.5 ⇒ 25.6
FG 44.4%⇒ 43.3%
3P 34.1%⇒ 29.9% 
EFG 50.6% ⇒ 48.6%
ターンオーバー 2.4 ⇒ 3.1

ということで実はそんなに効率よくないディンウィディ。特に3Pは30%を下回っており、弱点扱いされてもおかしくありません。タフでも3P打つ癖があるから低いのですが、じゃあワイドオープンなら堅実かっていうとそういうわけでもないし。そして個人スタッツでカイリーを下回りながら、同じくらいのオフェンスレーティングになっているってことは

ディンウィディの方がチームメイトが活躍している

ということになります。例のチームリーダー問題でもありますが、それだけではない事情も見え隠れするので、少しずつひも解いてみましょう。ただし、ちょっとした前提条件があります。

カイリーとKD、ラベートが離脱しているネッツは、高いサラリーの選手が軒並み不在ってことです。チームのサラリートップ3がいないのに勝利を積み重ねているってのはスプラッシュがいないだけのウォリアーズと大きく違います。そこをディンウィディが補っているという構図ではありますが、6thマンがスターターになったことでベンチは極めて薄くなるはずです。ここがポイントです。

「カイリーとディンウィディの差」ではなくて「選手が1人欠けたことによるベンチのしわ寄せ」が発生しておかしくないのに、チームとしては立派に保っているネッツなのでした。

アトキンソンおそるべしというか、そもそもディンウィディもジョー・ハリスも他のチームで使えないとされた選手が活躍するのがネッツだからね。

◎ジョーダンとアレン

カイリーとディンウィディ云々ではなく、ネッツのスターターは大きく入れ替わっていきました。

カイリー ⇒ ディンウィディ
ラベート ⇒ ジョー・ハリス
ジョー・ハリス ⇒ テンプル
プリンス
ジョーダン ⇒ アレン

もっとも気になるのがセンターの交代なのですが、2人の成績はアレンの方がスティールやブロック、そしてオフェンスリバウンドが多く、ジョーダンの方がディフェンスリバウンドに強いくらいの差です。ただし、この差がスターター変更にはいろいろと関わってきている気がします。

まずそもそも長く一緒にプレーしているディンウィディ・ハリス・アレンのトリオは明確にチームプレーが機能しています。当初アレンがベンチだったのはディンウィディと一緒に出したかったのではないかという気もしてきます。

次に前述の通り、ディンウィディのシュートは結構な割合で落ちます。特にタフ3Pを強気に打つので大きく外れることもありますが、その時にオフェンスリバウンドに強いアレンの方が好ましくなります。

「オフェンスリバウンドに強い」といってもゴール下ならジョーダンだって超強いわけですが、アレンの方がカバー範囲が広いので3Pのロングリバウンドへの対応力で上回っています。ここの差は小さいようで非常に大きい要素です。最近はディンウィディとジョーダンのコンビプレーが光りますが、選手としての特徴を考えるとアレンの方が適していると思います。

一方でカイリー時代のディフェンスにおいては全体的に守れていない事情もあって、ディフェンスリバウンドを確保する必要性が高かったです。実はカイリーとラベートはリバウンドをよくとっていましたが、広い範囲をカバーするアレンよりもゴール下にドンと構えている方が、優れているのではなく「やりやすい」のではないかと。慣れていないチームだけにチェイス・ローテ・スイッチが乱れるくらいなら、そもそもやらない方が良いよね。

そしてこれらはカイリーの個人ディフェンスとしても問題の部分です。だからカイリーにはジョーダンの方が組み合わせやすかった。加えてジョー・ハリスがSFってのも苦しいので、半ばディフェンスを諦めていたというか。

管理人はアレンの方が2レベル上のプレイヤーと考えていますが、それでも周囲の選手との組み合わせを考えればジョーダンをスターターにしたアトキンソンの選択は熟考の上で決めたことの気がしてきました。ただし、コンビプレーに乏しかったから成功はしていなかったけどね。

◎ラベートとジョー・ハリス

一方でオフェンス構築において、より大きかったのがSGの変更。正しくはラベート⇒テンプルなのですが、新生ネッツはカイリーとラベートを両サイドラインに広げて、突破力を中核に置いたプレーコールを増やし、両者のドライブは大いにオフェンスで輝きました。その代わりムービングシューターであるジョー・ハリスはパスをもらえず、決めるのはスポット系のシュートばかりになりました。

これがディンウィディ&ハリスコンビになったことでトップからウイングの広い範囲を、ムービングでのキャッチ&シュートを目指すハリスと、突破するディンウィディに変更されました。そこで起こるのはハリスのオフボールによって生じるディフェンスのギャップです。

〇ジョー・ハリスの3P
アテンプト 5.5本⇒6.7本
成功率  47.5%⇒40.6%

アテンプト数を増やしたハリス。カイリーのパスから1.8本だったのがディンウィディからは2.9本と増やす要因になり、同時に難しいシュートが増えたので成功率は落ちました

他にもいろいろと変化はありますが、キーになるのは「オフェンス力は変わらない」ってことです。同じくらいのレーティングを発揮していたスターター。違いが生まれるのは失点なわけです。両ガードが突破していた頃と違い、アウトサイドから打ち切ってしまうことが増えたので、トランジションを食らいにくくなりました。アレンもいるしね。

〇ネッツのパス数 246本⇒277本
〇キャッチ&シュート数 20.9本⇒24.1本
〇アシスト数   23.1⇒23.9

明確に増えたパス数と意外と増えなかったアシスト数。パスで崩す形は増えましたが、決定力を欠いている一面も大きいです。ちなみにディアンジェロ時代のパス数は309本でキャッチ&シュートは25.1本です。カムバック・ディアンジェロ&エロいネッツ!

◎カイリーのトレードはあるのか?

ネッツが苦しんでいるのはディンウディの控えがいないこと。ここさえ解決すれば、15勝5敗も夢ではありませんでした。最近はベンチからカバロー、ヌワバなんかも活躍し始めており、伸び悩むムサと戻ってきたのかクルッツ、そして走り回るルーキーのクラックトンもいます。

ウイングとセンターの充実は、ガード不足になった現状でディフェンス力を大いに改善させました。これが勝率アップにつながっています。今シーズンっぽい。ベンチから出てくるのがディフェンスが良い選手ばっかりで引くレベルです。みてるかロケッツ!ヌワバ、カバロー、テンプル、チャンドラー、シャンパートまでいるぞ。

こうしたウイングの層の厚さももっているのが現状ですが、とにかくPGはピンソンしかいないので、テンプルがPG役をこなしたりしています。管理人は開幕前に「テンプルは不要だろ」と思いましたが、こんな役割まで見据えていたならグッドチョイスでした。

とはいえ、ここまで控えガード不足ならばトレードでPG獲得は一案です。カイリーとディアンジェロをトレードしちゃえばオールオッケーですが、それじゃあディンウィディはスターターじゃなくなってしまいます。

ネッツらしさを押し出すなら、ねらい目はウルブズから「ティーグに指名権たっぷり」です。控えPGとして適切なプレーをしそうなうえに契約が切れるから来シーズンのFA戦線だって狙えます。ウルブズが4年契約のカイリーを手に入れられるなら、タウンズ以外は手放すでしょ。マジックからDJオーガスティンも良いですが、あそこは指名権オマケしてくれないでしょ。

そんな根も葉もない噂はさておき、こうなってくると課題になっているのがカイリーではなく、「カイリー+ラベート」のコンビです。やっぱりジョー・ハリスはSGじゃないとディフェンス面が苦しくなりがちだし、せっかく厚くしたウイングの意味がありません。両者が復帰しても1人はあぶれます。特に来シーズンはKDもいるだけに、どこかで調整しないとね。

ディンウィディと共に復調してきたネッツですが、だからといって

「予想外のディンウィディの大活躍」ではない

のもポイントです。サラリーの高い3人(1人は来シーズンから)がいなくても勝っていることに大騒ぎしないのは、ニュースターでも何でもなく、スターターになってプレータイム増えれば、これくらい働くだろうと誰もが思っていました。

そしてウイング増でディフェンス強化も予定通り。ジョーダンも含めてネッツらしいオフェンスを展開する時間も増えてきたので、

「えっコレ、カイリーもラベートも不要じゃないの?」

という印象が拭えません。そもそもカイリーとラベートを並べるってのが予想外だったしね。さらにジョー・ハリスまで並べるから意味わかんなかったな。

ケガ人を抱えるネッツですが、カイリーもラベートも、そしてデュラントも「ケガが多い選手」という数シーズンを過ごしており、このまま抱え続けるのはリスキーにも思えるのでした。

ディンウィディと足りないガード” への11件のフィードバック

  1. 今年のBOSの噛み合った強さと
    離脱後のBKNの面白くてしかも勝ってる様子見るに
    勝利を求めるチームにカイリーは不要でしょう(ラベートも)
    となるとミネソタですね。
    タウンズも勝たせる選手では無さそうですし無問題

    1. タウンズは違うチームに行ったら、もっと輝く気がします。いつもいつもパサータイプの相棒不足なんでね。
      カイリーだってレブロンとなら上手く行ってたわけで。リーダー向きじゃないんでしょうね。

  2. シャンパートが枠の問題で解雇され、ヌワバがアキレス腱を先日断裂してしまった為SGの層も薄くなってきております。

    レギュラーシーズンにおいてはディンウィディを中心とするチームバスケの方がいいのですが、プレーオフ、そして優勝を見据えるとなるとカイリー&デュラントの存在は必須ではないでしょうか?

    あのチームオフェンスを作り上げたスティーブ・カーがプレーオフの大事な場面でデュラントにアイソレーションを指示し、キャブスはレブロンがいながらも4Qはカイリーに任せてきた部分が多いかと思います。

    個人的にはネッツの今の課題は相手にランをされた時の、攻撃の単調さだと思います。得点が入らないときに、プリンスやテンプルがスリーポイントラインの少し後ろやタフショットを無理に打ったりすることが多くなるケースが増え、毎試合必ずどこかで大量失点していると思います。(先日のニックス戦の2pFGの少なさがそれを表している気がします)
    それが、ディンウィディがいない時間帯は深刻化している印象です。

    今のスターターとデュラント、ルバート、カイリーを起用する時間をなるべく分けるというのが最善な解決法ですかね…

    1. 個人に頼る時間が出てくる前提として3人は多すぎるんですよね。ウォリアーズはスプラッシュはチームオフェンスとして機能してましたから、頼るべき異分子は1人で良いのかなと。
      それがカイリーでも問題ないのですが、ラベートと並べちゃうと苦しい。でもラベートの方がネッツらしさは表現できるし。

      1. B/LがKATのトレード候補について、3チームの可能性が報じられてますがその中にネッツもあり、

        T’Wolves:
        Dinwiddie, LeVert, Allen, Harris, 2020 1st (lottery-protected via PHI)

        Nets: KAT

        カイリー、デュラントが中心にどうせ来季になるんなら、このトレードもありかと思うんですが。。

        1. 連携の良いメンバー放出なので強気ですね。そういうやり方もありだとは思います。
          ウルブズ としては若手有望株といえるのがラベートだけで旨味があるかどうか。の方が問題に見えますが。

  3. カイリー戻ってきたらディンヴィディと組ませるのかな?テンプルと組ませるのかな?
    ディンヴィディなら勿体無い。
    テンプルなら物足りない。

  4. ラッセル残してKD加入
    これだったらなー
    ってネッツファンは想い続けてしまうのでしょうかね
    遅いラッセルが居たから早いレバートが生きた
    カイリー移籍でハリスが割食って
    ラッセル移籍でレバートが微妙に
    って印象です
    怪我しなければ前半戦に色々試してみても良かったんでしょうが難しくなっちゃいましたね
    スターが居ないからこそ出来たシステムのチームにスターが来るとどうなるか
    アトキンソンはスターと共存出来るのかを楽しみにする事にします

  5. ペイサーズが出すかわかりませんが、マッコネルで解決しそう。後
    ニックスならポーティス+ペイトン+指名権(マブスからもらった1個)でカイリーを引き取るよ。

    1. ペイサーズはカイリーくれるなら欲しいでしょうが、キャップスペースが問題になってしまうので。
      まさかのブログドンとトレードしたら凄いですが。

      ニックスのトリアーをサードハンドラーとして欲しい。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA