リバウンドとディフェンス論

リバウンドが強いからディフェンスが良いのか?

リバウンドが強い→ディフェンスが良い
ディフェンスが良い→リバウンドが強い

この関係性をチーム単位で考えてみたいのコーナーです。セカンドチャンスを与えなければディフェンス力は向上するに決まっており、日本の解説者に言わせれば「シュートの半分以上は落ちるのだからリバウンドが大切」です。でも今はシュートの半分以上は決まるわけで「リバウンドを取るためにはシュートの確率を落とさないとダメ」です。ニワトリとタマゴ。

さて、ここで前提条件がありまして「シュートの半分以上が決まる」ってのは大ウソですね。FG50%ないじゃん。

なのですが、現代は3P時代でして3Pはロングリバウンドになることが多く、ボックスアウトに意味があるのかどうか?

そして2PFGは51.4%決まっています。なので、ここの考え方次第ではいろんな事が変化してきます。オフェンスの進化により「3P守るのは難しいからインサイド分厚くして2P落とさせてリバウンド確保」ってのは間違った戦略ではなくなってきました。これが前提条件です。前提条件にして最新なのかもしれません。

◉ピストンズのドラモンド

現代の最強リバウンダーといえばドラモンド。圧倒的なリバウンド数を誇るハードワーカーですが、その割にビッグマンとしての評価が高くありません。

その理由はリムプロテクターとしての能力が高くないこと。しかし、実はドラモンドは特殊系統でペリメーターを守れる機動力を持っており、ガード相手でも挑んでいきます。アデバヨやカペラほどではないとはいえ、現代型の素養を持ち合わせたハイアベレージリバウンダーなのです。

◯ピストンズの被FG46.5%(20)

しかし、チームとしては高確率で決められています。センターまでがアウトサイドまで守れる、からといって全体が機能するわけでもなく。

◯ピストンズのDR率 72.7%(16)

そしてドラモンドはいるけどディフェンスリバウンド率も16位と中途半端。せめてどちらかが有能なら持って勝てるよ。そんな簡単な話じゃないけどね。

強力なリバウンダーがいるけどチームとしては機能していないってのはカペラのロケッツも抱える問題です。

◯ロケッツの被FG45.7%(16)
◯ロケッツのDR率72.9%(15)

カペラを引き出してしまえば、リバウンド勝負で有利になるってのが相手チームの戦略でした。特に昨シーズンはDR率29位と低迷したのが最大のミス。守れているのにセカンドチャンスで守りきれなかったのでした。今シーズンはウエストブルックにより、そこが改善傾向に。トランジション増によるマイナス要因もあるのですが、リバウンド強化の成果は出ています。

とはいえ、ピストンズよりもちょっと良い程度なので、チームとしては優れているわけではありません。ロケッツの場合はビッグマンの控えがペリメーター守れなかったり、リバウンド弱かったり問題もあるのでね。

ピストンズは動けるビッグマンをベンチにも揃えているのですが、メイカーもウッドも経験不足というかプレーが荒くてさ。

◉アデバヨとヒート

同じような形で成功しているのはアデバヨのヒート。ドラモンドやカペラに比べるとリバウンドが弱いのですがチームとしては機能しています。

◯ヒートの被FG43.7%(7)
◯ヒートのDR率75.7%(3)

ディフェンスリバウンドだけで2桁奪うドラモンドとカペラに対して、落ちる確率が高いのにアデバヨは8本ですが、チームとしては堅実なリバウンドを誇っています。ピストンズやロケッツと似たようにビッグマンでもペリメーターを追いかける事もあるわけで、そこでアデバヨの貢献度は高いわけです。

そしてヒートが両チームと違うのはアデバヨ以外の部分です。5人をファイタータイプで固めており、フィジカルコンタクトで負けない、要するに5人それぞれがブロックアウト他の戦いを厭わないこと。ウエストブルック頼みのロケッツとはちょと違う。

ドラモンド、カペラ、アデバヨ。個人のリバウンド数の多い順にチームのリバウンド率が下がっている事実は、ディフェンスの構築方法と起用する選手のタイプによる違いです。また2年前は守れていたロケッツが示しているのは、対策が進んでディフェンス組織そのものを崩されるとリバウンド確保も難しくなるということ。1人のスーパーリバウンダーより5人のオールラウンダー。ザ・ウォリアーズ。

個人の戦いで崩されないフィジカル系を並べ、リバウンドでもフィジカル系で制す。バトラーを筆頭にリバウンドの取れるウイングを並べたがるスポルストラ。ここかヒート成功の要因でありケンドリック・ナンが起用される理由でもあるよね。

ちなみにアデバヨは「8本しか」DRがないといっても昨シーズンは5.3なので、アデバヨの成長がヒートに安定したディフェンスと勝率をもたらしてくれています。8本はこのディフェンススタイルでは立派な成績です。

◉取れないリバウンド

前回のラストはこれでした。

〇被FG%(DR率)
1位 バックス(2位)
2位 ラプターズ(29位)
3位 クリッパーズ(7位)
4位 セルティックス(27位)
5位 ナゲッツ(8位)
6位 レイカーズ(11位)
7位 ヒート(3位)
8位 ペイサーズ(9位)
9位 ブレイザーズ(25位)
10位 ジャズ(4位)

ラプターズ、セルティックス、ブレイザーズは守れるのにリバウンドが取れない計算です。ビッグマンが弱いセルティックス、ホワイトサイドの動き&PF不足問題がありそうなブレイザーズはともかく、被FGが2位で優れたディフェンス力を発揮しながら、リバウンドが確保出来ていないラプターズというのは興味深いものがあります。

◯被OR 12.8(30)

リーグで最もオフェンスリバウンドを奪われているのがラプターズ。言い換えれば、それだけシュートを外させているわけですが、キープ出来ないのです。

「シュートの半分以上は落ちるのだからリバウンドが大切」理論でいけば、落とさせまくっているのにリバウンドが取れないのだからカスみたいなチームなわけです。でも勝っているじゃねーか!?

リバウンドが弱くてもディフェンスが良いのがラプターズ。それだけのチェイスをしているし、外させるためのディフェンスは素晴らしく、ちょっとガソルが弱いからってのも事実。

◯被セカンドチャンス 14.1(24)

当然セカンドチャンスも決められていますが、リバウンドの悪さほどではないので、取られた後も守ろうぜ理論ね。14秒リセットをポジティブに捉えれば、リバウンド取られた瞬間に囲んでいれば、簡単には決められないし、戻したらショットクロックは10秒切ってるし。

ラプターズが示す「リバウンドが取れなくても守れる」理論ですが、ここには個人のリバウンド力だけでなくディフェンス事情もあります。ヒートが個々の強さを使うならばラプターズはチームの強さを使います。両ウイングではアヌノビーがエースキラーで、シアカムも時にプルアップを打ちたがるガードを守るようにリバウンドよりもシュートを外させる事を優先した配置です。

そしてディフェンスの良いRHJやスタンリー・ジョンソンでも「ディフェンスがダメ」とローテに入れなかったりするなど、個人を守ることよりもチームとしての守り方が出来ないと非難されます。ヘルプポジション、ローテーションディフェンスなど自分のマークを守っているだけじゃダメなチームディフェンスは、それだけマークマンから離れる機会が多くなります。

そう、これもまたリバウンドが取れない要因。優れたチームディフェンスはブロックアウトを難しくする事があるのです。マークを離して次から次にローテをするのは素晴らしい反面で、どこかで誰かが空いているってこと。アンストラクチャーなわけだ。

スマートの1人ゾーンディフェンスのセルティックスにも似たような要素があるかもね。あっちはそもそも小さすぎなんだけど、それがオフェンスのためじゃなくて、ディフェンスでチェイスするためでもあるし。

リバウンドが取れないからってなんなのさ。それよりも守りきるための方法論をとっていけ!

ラプターズの「アンチ・ブロックアウトディフェンス」に対して解説がブロックアウトしないと!みたいな事を言ってきたら「このローテとボックスアウトをお前は両立出来んのか!?」と反論してやりましょう。よくヴァンプリードとか必死こいてボックスアウトを試みてるよね。そもそもお前がゴール下にローテしている時点で苦しいって!

ところで、ラプターズにドラモンドやウエストブルックが来たら解決するわけですが、じゃあこの2人がチームディフェンスを完璧にこなせるかっていうと怪しいよね。少なくとも時間がかかるよね。アデバヨやジャレット・アレンはルーキー時代からそこを求められていたから対応できるのかもね。

◉リバウンドを制する

でもね。そんなラプターズが正解ってことはないわけです。「リバウンドを制すればディフェンスを制する」理論も正解なのさ。リバウンド率は高いけど被FGは高くないチームがあるわけです。代表格はシクサーズ

◯シクサーズのDR率 77.6(1)
◯シクサーズの被FG45.4%(15)

ラプターズほどハッキリはしてないけれど、リバウンドを確保する能力の高さと、それほどでもない被FGによって強力なディフェンスを構築しているのがシクサーズなわけです。

「リバウンドを制すディフェンス」のシクサーズ

確かにシクサーズには強力なジョシュ・リチャードソン、ベン・シモンズのペリメーターディフェンダーがいて、リムプロテクターのエンビードが待ち構えます。最近じゃサイブルなんて選手も出てきました。

でもさ、チームディフェンスとしては印象ないよね。ペリメーターで個人が強力に、そしてアグレッシブに守りつつ、そんなに連携良くないけど抜かれてもエンビードが何とかしてくれる。そして何よりシクサーズでは誰もがリバウンドを取れる。ホーフォードの6.8本がチーム4位だからね。

「全方位リバウンダーのシクサーズ」

こっちの名前の方がしっくりくるね。もちろん、ただ単にリバウンドを制しているわけじゃなくて、それだけインサイド側を手厚くしているのが特徴。

・・・なんだけど、被3Pアテンプトが最も少ないのもシクサーズ。要はインサイドに誘い込むのがお得意で、そこにはビッグラインナップが待ち構えています。そして3Pが少ないって事は被FG%は悪くなるよね。

リバウンドを制するってのは、ロングリバウンドを減らす事にあり!

これが冒頭の前提条件にも繋がってきます。「リバウンドを制することはディフェンスを制する」ではないのですが、そこに近づくディフェンス戦術が3Pを打たせない事にも繋がるならベストだよね。

流行系になりそうなビッグラインナップ。それはリバウンドを制する事に繋がり、リバウンドを制する事が出来るチームならば3Pだって防げるぜ!

この先陣はジャズでしたが、ちょっとやり過ぎてビッグマン個人への負荷が増してしまい失敗しそうな最近。大成功しているのが言わずと知れたバックスで、追いかけてきたのがレイカーズ。アイザックとゴードンのマジックも路線は似ているのか。

バックスなんかは特にペリメーターも積極的だけど、困ったらインサイドだけを封じる潔さもあるからね。優先はヤニス&ロペスツインズがリバウンドを抑える事で、それがあるからペリメーターも積極的。どっちかを捨てるならペリメーター捨てろってハッキリしてます。

◉リバウンドを制する者は試合を制す

正しくはない言葉なわけですが、バックスやシクサーズの考え方はリバウンドを制する前提で作られていると思っています。目的がリバウンドを制する事ではなく、前提がリバウンドを制する事なんだよね。

ボックスアウト論も関係してくるので、奥深いテーマだと思いますが、リバウンドが取れてないからって「ボックスアウトしろっ!」理論が正しくはない事だけは言っておきたいわけです。ボックスアウトがリバウンドを制する事への近道ならば

ボックスアウトし易いディフェンス

を作れって事です。そうしないと単なる無茶振り。「シュートを落とすな!」と大して違いはありません。シュートだってさ、良いパスが完璧に通ったなら外しちゃダメじゃん。ボックスアウト出来る状況でしないのはダメって事ね。

チームの例をとる書き方は弱いチームは出てきにくいんだよね。ボックスアウトするディフェンス出来ていても、そもそもリバウンダーがいないと数字が悪くなるしなー。

リバウンドとディフェンス論” への2件のフィードバック

  1. リバウンド制する系で上がったチームのHCはボーゲルを除いて3人ともスパーズ出身者ですね。偶然なのか、因果関係なのか。

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