サンダーvsウォリアーズ

変わった両チーム

12チームが登場したゲームレポートですが、本日のラインナップでは両チームが初登場になる組み合わせがこの試合だけです。そしてこの両者は大きく形を変えています。そんなことを楽しみに早朝から見ていこう。

◉本当にサンダーか

サンダーとは思えないサンダー。まるっきり別のチームじゃないか。選手同士が適切な距離、いや適切と思えるよりも少し遠い位置を保ちながら、全員が動いてミートし、A→B→Cと次々に違う選手にパスが出てきます。ウソだろ。本当にサンダーかよ。

例えばこれを「ウエストブルックがダメだった」と結論付けるのは簡単ですが、実際にはポール・ジョージの方がわかりやすく、オフボールでアダムスなんかのスクリーンを利用しトップ~ウイングに出てきたポール・ジョージにパスが渡り、そこからアイソレーションを仕掛けるようなのがサンダーでした。

つまりウエストブルックに限らず、特定の選手をフリーにする動きと、その選手が個人技で仕掛けるってのがオフェンスの基本パターン。チームオフェンスの根本が個人突破にあり、「個人突破させるためにどうするか」「突破した後のパスアウト先」を用意していました。

ところが、次々にボール保持者が変わるサンダーのオフェンスは個人突破よりも「パスを受けた選手がシュートを打つ」「次の選手にパスを出すか」で成立している感じ。最後は個人で攻め切るのが基本ですが、根本にある考え方が真逆になっている印象です。

代表的なのがアダムスで、屈強なスクリーンが役割だったのに、それよりもゴール下でポジションをとることが大切になっています。その違いをウエストブルックとクリス・ポールの違いに求めるのは無理があります。

開始5分でまた見たくなるようなオフェンスを展開するサンダー。パススピードが速く、目まぐるしく動くチームオフェンスは、あまりにも脆弱なウォリアーズのインサイドと、あまりにも屈強なアダムスのゴール下であっという間に二桁リードにしました。

これがサンダーなのか。でも連敗スタートなんだよね?

◉弱すぎるウォリアーズ

ルーニーが離脱したウォリアーズはインサイドが脆弱。2Kではドレイモンドがゴベアーをブロックしまくるのですが、現実には高速ヘルプで優秀なドレイモンドですが、リムプロテクターというわけではありません。

マーキース・クリスがチャンスを掴みましたが、こちらも基本はPFタイプなので、どうにもインサイドアタックを止められず。こまったのでゾーンを取り入れて少なくともミスマッチになることを防ぎますが、パス回しとシンプルなシュートで攻めてくるサンダーにローテが遅れまくります。

加えて違う弱さもあります。

ネッツを観た時に「ここにディアンジェロがいればエロいのに」と思いましたが、だからといって「ディアンジェロがいるチームがエロい」わけではありません。自由度の高いシステムに苦戦します。

ディアンジェロの弱点は身体能力不足からくるゴール下のフィニッシュ力不足。鮮やかに抜いていくプレーもフィニッシュが決まらないし、そこに合わせてくれるビッグマンもいないのでフェイクが通用しません。サンダーからするとドライブしてきたディアンジェロをリムプロテクトすれば済んでしまう。

ということで攻守にインサイドで弱いウォリアーズ。あまりにも弱い。圧倒されたことでタイムアウトのスティーブ・カーは真っ向勝負を指示します。

◉ 早く、ただ速く。

ウォリアーズが始めた最大の革命はトランジション。かつてのサンズのようにトランジションの連続を生み出すことで優位な状況でシュートを打つことを目指しました。スプラッシュブラザーズのためのトランジション。

あまりにも弱いインサイド事情からウォリアーズは更にスピードアップします。ただし、その内容はスプラッシュに打たせる形ではなく、誰もが走って積極的にシュートを狙っていく全員バスケ。早く、ただ速く。

切り替えの早さ、展開の早さ、判断の早さ、走力としての速さ、リリースの速さ。いろんな速さがあるウォリアーズの面々。今シーズンは自分でシュートに行く選手を増やしました。

肉を切らせて骨を断つ

そんな表現が相応しいウォリアーズは、たとえインサイドを守れなくても強引に自分たちの流れに持ち込もうとします。展開が早くなれば高さのデメリットが薄まるだけでなく、高速ヘルプの意味が出てくるのでウォリアーズ型のディフェンスにもなっていきます。

ただし、スキは多いのでサンダーに的確に利用され、最後はクリス・ポールの3Pで35-20と大量ビハインドの1Qとなりました。

まぁそれでもトランジションに拘るのはウォリアーズの本質っぽくって好きだぜ。ディアンジェロは関係ない。単純にザ・ウォリアーズって感じがして好き。

そして肉を切らせて骨を断つっていうのは、スターに拘らず早い展開なのだからベンチメンバーの多くを使って運動量勝負に持ち込むって事。試合が進むにつれて優位性を生み出し、3Qに爆発するってのが持ち味だ。ただ、単純にシュート外し過ぎだから、その前にノックアウトされる可能性も高いけどね。

観てるか、ルーク・ウォルトン。これがトランジションに拘るチームの正しい姿だ。ハーフコートを構築できなくても戦うってのは、こういう覚悟が必要なんだ。上手くいかないからってスターターに罰を与えるようなのは偽物だ。

◉サンダーの変化、ウォリアーズの惨状

ウォリアーズがトランジションになり始めた1Q中盤からサンダーの様子が変わってきます。シュルーダーとクリス・ポールがボールを持つ時間が長くなり、スピードあふれるパスが減ります。減るっていうかほぼなくなります。自然とゴール下のアダムスパターンも減りました。

前述のポール・ジョージのボールの貰い方はそれはそれで特定の選手に頼る形としては有効でしたが、今のサンダーはそのプレーを捨てたので、単にハンドラーがボールを持っているだけに。ウエストブルックに慣れていると、それでも突破してくれるわけですが、普通の選手は無理です。

トランジションのウォリアーズがバカみたいにミスしてくれているので助かっていますが、根本的にオフェンスが構築出来ていないサンダー。これも面白い現象だ。どう変化していくのか興味が出てきます。

そして酷すぎるウォリアーズ。フリーの3Pは決まらないわ、パスミス・キャッチミスのオンパレードだわ、最終的にはディアンジェロの見事なパスでドフリーのダンク決めるだけなのに手元がおぼつかず時間がかかり、追いつかれて後ろからブロック食らうわ。

誰が誰だかわからないような選手を多くそろえ、カリーやディアンジェロがいながらも、どこにいるのかわからなくなるくらいに全員が好きに打っていくウォリアーズ。カリーのシュートすら決まらなくなります。

まぁでも、ここまで徹底できるからウォリアーズは好きさ。普通はこんなに上手くいかないなら辞めるよね。辞めないからウォリアーズ。デュラントが来てハーフコートが組み立てられるようになって強くなった姿とは異なり、原点にあるウォリアーズ。

点差は離れていく一方だけど、それでも何だか興奮するのでした。まぁファンじゃないしね。大敗しようがしったこっちゃない。

本当はパスワークが崩れている状況ではしっかりとスローダウンすべきなのですが、スローダウンしたところでオフェンスを構築できるとは思えない選手ばかりなので、だったらこのまま高速バスケをすべき。なんせパスキャッチが出来ないってのは、展開の速さに体と頭が慣れていないからです。慣れるためにこの試合を捨ててでもやり続けたい。

 

サンダーはSGAが戻ってきたことで早い展開の中でドライブで切り裂きまくります。新エースはウエストブルックよりもゴール下が堅実。そして点差が離れたので気持ちよくシュートを打って決めるファーガソンとシュルーダー。

前半は70-37でした。この結果を「ウォリアーズ最強!カリー最高!」みたいな派閥はどう見るのかね?
クレイ・トンプソンがいたら解決したかい?

〇ウォリアーズ
FG 27.5%
3P 15.8%
ターンオーバー 11

体感はターンオーバー30くらいですが、思ったよりも少なかったです。にしてもシュートが決まらない。あまりにも決まらない。お前らはGリーグかっ!!いやGリーグの方がマシだ!さすがにスティーブ・カーに同情するレベル。

◉どうするウォリアーズ

ただただ早い展開をしていた前半からハーフタイムを挟んで修正を施すスティーブ・カーは「早い展開ってのはパスワークがあってこそ」みたいな感じで、鮮やかなプリストンオフェンスでカリーとディアンジェロのパスからフリーのゴール下を生み出します。まぁそれすらもダンクミスするし、抜け出すときにちょっとコンタクトしただけでバランス崩すし。

さらにディフェンスも気合を入れなおします。「ボールを回されるなら、そもそも回せないように個人を守れ」といわんばかりに個々のマークが厳しくなります。まぁでも単純にガリナリに突破されるのですが。

とはいえ、これ以上追っかけても仕方がないので、まとめましょう。ウォリアーズから。

まず気になるのはクリスの存在。これだけビッグマンがいないなら貴重な存在だし、パスアウトも出来し、スピードをもったビッグマンなのでウォリアーズ的にはそこそこ使えます。ただ、ダンクミスも含めて正確なプレーをしてくれない。さらにすぐに苛立つわ、ワガママだわで非常に使いにくいタイプです。

選手としての能力は感じるけど、精神的な未熟さが際立つってのは早い展開で上手くいかないことも多いウォリアーズに適しているのかいないのか。黙々と働くルーニーなど仕事人タイプが多かったポジションだけに悩んでしまいます。

次にディアンジェロ。見事なパスはあるけど、総じてトランジションの連続の中では身体能力不足が目立ってしまいます。SGAみたいな選手の方が映えそうなので、こちらも向いているのかいないのか。

シンプルに言えばカリーのフィニッシュスキルを学べばステップアップすると思ったのですが、早い展開過ぎてそんな空気でもない。

そんなことを書いていたらレフリーにクレームして退場しました。ネッツの試合でここまで激怒した記憶がないので(それをやるとベンチから出られなくなるし)精神的にもあっているのかどうか。

そしてカリー。やっぱりゲームメイク能力がないので、単純なボール運びでもゾーンを狭くしてしまったり、何でもないパスを繋いでいく事が出来ず、フィニッシュに直結することを求めすぎたり。

それでも正確なシュートで得点を量産すると思っていたのですが、思ったよりも決まらない。まぁスクリーンも使えず、パスが戻ってこないの気持ちよく打つことも出来なかったのは確か。カリーの悪い部分ばかりが目立ちました。

つまり早い展開を徹底したことは面白いのですがカリーとディアンジェロがコントロールしきれていないのは大いに気になることに。なお、ドレイモンドは普通。1人だけちゃんといろんなことをこなそうと頑張っていました。ただ穴が多すぎてドレイモンドといえども埋めきれなかった。

マッキーニーを放出しなければいけない理由も良くわからない内容となってしまったことも含めて、このままだとメチャクチャ時間がかかることになります。やべーやべー。

特にディフェンスが大問題。個人が守れな過ぎて、どうしようもないんだ。ディアンジェロが「守れる選手」と思えるほどに酷かったウイング陣でしたよ。サイズも足りないから「インサイドだけでも固めておく」ことも出来ません。やべーやべー。

管理人は割とウォリアーズに厳しめの評価をしていた方だと思いますが、そんな予想を上回るレベルで酷かった。キングスよりも酷い。ということでウエストのプレーオフラインは予想以上に下がってくるのかもしれません。ドアマットのウォリアーズになるかも。

まぁウォリアーズはプレーオフ逃して休養してください派なので、スティーブ・カーも実はそんなことを考えているんじゃないかってね。

「肉を切らせて骨を断つ」ような戦い方で骨ごと真っ二つにされたウォリアーズでした。

◉どうなるサンダー

そんなウォリアーズディフェンスを相手に好き勝手やったサンダー。どこまで信頼して良いのかわかりませんが、試合序盤は素晴らしかったです。でも、おそらくウエストブルックとポール・ジョージがいたら上位シード(4位以内)を得られただろうね。

SGAがやっていることはウエストブルックにやってほしかったこと。エースとして強気にドライブするわけですが、基本はボールを貰う段階でギャップを作り、スピードを活かして飛び込むこと。

ただウエストブルックはディフェンスリバウンドからの速攻という武器があるから、初めからボールを持っていることが多いんだよね。SGAにはなれないのでしょう。

スターターの5人+シュルーダーが信用できるだけに、パスゲームをすることでこれまでにはなかった魅力が出てきました。ただ、パスの距離が少し長めに設定されているので個人を守られると苦しいのかも。でもそれでスペースが出来るならばSGAがドライブするチャンスが広がります。

少しだけ出てきましたがクリス・ポールが持ちすぎる可能性が高いので、それをやらせないほどにSGAが活躍し続けることを願うばかりです。ガリナリとの両ウイングが活躍するほどに形が出来てくるはずです。

ただ、ベンチメンバーになると雰囲気が一変したように、チームとしてはまだまだ。堅守速攻が本来の持ち味でしたが、ウォリアーズが酷すぎて堅守かどうかも判断できませんでした。

いずれにしても連敗スタート(しかもウィザーズ)っていう理由が良くわからないので継続観察です。次はロケッツとの対戦なので続けて観る・・・かもしれません。OKCでやるなら観るけどな。

サンダーvsウォリアーズ” への16件のフィードバック

  1. GSWは清々しい全員ローテで、ただのランアンドガンのサンズでしたね
    無名の若手に毎試合15分ずつぐらいプレイタイム与えて
    シーズン終盤には、そこそこ使える選手にしちゃうんだろうな………

    1. それがウォリアーズというかスティーブ・カーの良さですからね。今シーズンだけでなく将来に向けてガマンの時なんだと思います。

  2. OKCはジャズに対してゴベアーにインサイドを守られ、ミッチェルにボコボコにされました
    クリポのゲームメイクでギリギリ戦えた感じです

    ウィザーズにはほぼピック&ロールで攻めてましたがヘルプサイドに常にカバーがいてペイントで点を取れず、外を外しまくって負けました
    トマブラがアダムスを結構守ってたのが印象的です
    というかウィザーズのPF陣が何気にいいです
    なおユニットの問題もあると思いますが、クリポは結構放置されてました

    1. やっぱりコンビで攻略しないことと、インサイドで優位に立てないと苦しいのかな。
      ウィザーズの若手コンビは八村という事情抜きで面白いです。

  3. 煽るなあ〜
    カリーとD-LOの弱点を的確にカバーできるクレイがいたらもうちょいマシだと思いますが
    (無駄なたらればですし、それでもPOいけなさそう)

    ドレイは強いチームでこそ輝く選手だし、カリーもD-Loもサイズとフィジカルをウイングがいないとダメなんですよね
    そう考えるとGSは絶妙なバランスで成り立ってたんだなあと

    カリーのプライムタイムを1年無駄にするのはもったいない気もしますが、チームとしてはもう十分成功したし休ませてあげて欲しいですね
    ルーニーとかボロボロすぎて可哀想になってくる

    1. 煽ってないよ。普通だよ。

      さすがにこれだけインサイド不足だと苦しいですからね。
      ただ、こんな時にPFタイプのウイング不足なことを強く感じてしまいます。
      これまではイグダラとデュラントもいて、そこが強みだっただけに。

  4. オクラホマシティーにわかです。

    サンダー、変わりすぎてときめきが止まらないのと同時に、ロケッツペリカン戦でスペース広い中突っ込んでいくラスを見て、ああサンダーもこうだったら…と寂しくなりました。何が悪かったかは私にはわかりませんが、これでよかったのかもしれません。…ロケッツの方はなんとなく怪しい気がしてますが汗

    で、ウォリアーズですけど、やっぱりインサイドですよねぇ。ゴーリーステインってディフェンスがよかったってイメージがあまりないので、復帰してオフェンスが良くなっても根本はダメなままな気がします。ここまで変わっちゃうんですね。バスケって難しい。

    1. サンダーは意外な方向ですが、それがSGAに合っているのも面白いです。ウエストブルックがこれだったらなぁ・・・という感じも。

      ウォリアーズはビッグマンがいれば、スローダウンさせることが出来るので、誰といわずいればそれで。

  5. 初めてコメントさせて頂きます。
    ネッツのD-loはエロいけどD-lo自体はエロくないというのがよくわかる試合でした。
    KD以前のGSWも去年の(しか知らない)BKNもチームオフェンス重視ですが、GSWは結局はカリーなのに対してBKNは特定の誰かではない印象でした。
    カリーとd-loが共存できるシステムを作れるのか見物です。

    ラスのトリビュートは楽しみな一方OKCファンとしては複雑ですね。
    ジェラミがナゲッツで暴れてるのを見るのと似た心境です(笑)

    1. 起点のディアンジェロから誰もがフィニッシュするネッツと
      誰もが起点になりながらカリーがフィニッシュのために動くウォリアーズ

      根本が結構な違いですからね。その分、フィニッシュできる選手を揃えたウォリアーズですが、まぁフィニッシュが下手でした・・・。

  6. 色んな意味で変わったこの古巣である2チームを見たらデュラントはなにを思うんですかね?

  7. カリー31歳、クレイ29歳、グリーン29歳なんで、このトリオで優勝を狙うとしたら、あと1回が限界。でもサラリーキャップはカリーの契約が切れる2022まで余裕が無いので、今年と来年はタンクしてドラフトに期待するのもアリだし、そっちの方が未来は明るいんじゃないですかね。ディアンジェロがトレード出来たら話が大きく変わりますけど、今のままじゃマックス契約は背負い切れないですね。どこのチームも。

    1. というか、その3人が恒例になってくるから、周囲を若手で固めたいのだと思います。
      だから1回ではなく3回優勝するためのガマンの時間。

      最低限、ディアンジェロとコーリーステインが軸になれれば、将来も有望ですからね。

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